diario
ぎりぎりを攻める 8月29日
桐木地の小箱の形を変えるとき
一番悩むのが「どこまで削るか」です。
箱に使われている板の厚さ(おおよそ4mm)を鑑みて
箱の強度と安全性が保たれるギリギリラインまで攻めるのです。
▲これはもう少しだけ攻められそう。
もともと四角い箱を、どうにかして変化をつけたい!その一心です。
全ての角を丸くする、エッジをつけて丸くする
あるいは角を面で切り落とす・・・
4mmの間でいかに変化をつけるか、難しくも楽しい作業です。
まだバリエーションは増やせそう!
「むぅぅ」の行きつく先は 8月26日
ある日の出来事、どうでも良いけれど
どうでも良くない出来事の日記です。
前夜の寝る直前にsnsで嫌な発見があって
「むぅ」と思いつつも、まぁ仕方がない
そんなもんだ、と振り切って眠りました。
そうしたら案の定、とても嫌な夢を見て
これまた「むぅぅぅ」と起き上がりました。
またもやボンヤリとsnsを見ていたら
友人の幸せな様子が目に飛び込んできて、慌てて目を逸らす。
こんな時はとにかく無心になるのじゃ!と思って
それっ!とばかりに作業部屋に駆け込んで
自分の幸せを数えて(昭和の歌詞のようだけど)
黙々と作業をいたしました。
なにせ頭と心と手と目の接続が悪い時ですので
単純作業が吉。ひたすら点々打ちに没頭しました。
▲わたしを慰めてくれるのは、やっぱり制作なのでした。
夕方近くには気分もすっきりして
「やれやれ」と思っているところにメール着信。
クレジットカード会社から「4500円の
不審なカード使用があったから本人使用か確認したい」とのこと。
その「不審な使用」はつい2分前なのでした。
2分前なんて点々打ちに没頭していた時です。
もちろん「わたしは使っていません」と返信しました。
あっという間にカードは停止され
番号も変わるとの知らせが来ました。
(確認したところ幸いに不審な使用はその時のみ)
新しいカードが届くまで2週間程度かかるとか。
その間はオンラインで買い物できませんし
諸々登録してある支払い(保険ですとか)も番号変更手続きが必要・・・
昨夜から続く「むぅぅぅ」っとした気分が
ここで最高潮になりました。
いつどこで番号が盗まれたのか
だれがどこの国で何を買おうとしたのか
もう分かりませんけれど・・・
カード会社の対応のスピードからして
珍しい出来事ではない様子ですし
漠然とではありますが気をつけないと、と思うのでした。
▲庭のモジャモジャを見て深呼吸
幸いにも金銭的な被害はなかったけれど
心のショックと恐怖と「むぅぅ感」は増しました。
でも不幸中の幸いと言えるのでしょう。
誰も気づかなかったら被害額は増えて
心的疲労も恐怖心も倍増ですもの。
むぅぅ・・・と思っていると
「むぅぅ」な出来事を引き寄せるのでしょうか。
意識して朗らかに過ごしたほうが良いだろう!と頷いたのでした。
ラテン語額縁大活躍の巻 8月22日
6月に完成してお届けした「ラテン語額縁」
(ラテン語のフレーズを装飾として入れた)は
おかげ様で大活躍したそうです。
ご注文下さったのはジュエリーブランド
germedeur の主催者 kaneko さん。
8月、新宿伊勢丹1階で germedeur の
ポップアップショップが1週間オープンして、
ラテン語額縁はガラスケースの中で
美しいジュエリーを展示するお手伝いをしていました。
▲最終日に駆け込みでご挨拶に伺いました。
額縁は伊勢丹の担当の方やお客様にもご好評ですよ!と
kaneko さんから嬉しいお言葉を頂きました。
フル・オーダーメイドの古典技法額縁は珍しいようです。
kaneko さんには額縁以外に小箱も使って頂いておりまして
これまた嬉しい再会です。
▲豆小箱に指輪がひとつ。ピッタリサイズ!
▲錫箔の箱も嬉々として働いていました。
それにしてもなんという下手な写真でしょうか。
実物の展示とジュエリーはもっともっと素敵なのですよ!
・・・それはさておき。
我が娘(額縁や小箱)が嫁ぎ先で大事にして頂き、
さらに喜んで頂いているとは母としてこれ以上の喜びはありません。
また頑張って作ろう!という励ましと
kaneko さんの自信とエネルギーを分けて頂いて
晴れ晴れとした気持ちになりました。
さぁ、残暑は厳しいですが秋は目前、がんばります。
今にして分かること 8月19日
小箱制作では、ある程度まとまった数の小箱に
石膏下地を施しています。
ボローニャ石膏を塗り重ねて乾かしておけば
いつでも思い立った時に装飾作業が出来るという流れ。
今日もウサギ膠にボローニャ石膏を溶いて石膏液を作りました。
そしてふと、フィレンツェ留学時代に
弟子入りしていた額縁工房でのことを思い出しました。
午後に工房へ行くと、同じころに来たパオラがひとこと
「あ!今日の石膏液は良い感じにできてるねぇ!」
それを聞いたマッシモが
「でしょ?午前中に作っておいたんだ。フフフ・・・」と
2人でホクホク喜んでいました。
わたしはその「良い出来」の石膏液を
混ぜたり触ったりして「へえぇ」と思いつつ
今ひとつ「何が良いのか分からない」のでした。
そして今日、小箱用に作った石膏液は、とても良い出来でした。
トロリとなめらか、少しふんわりとしている・・・
とても美味いポタージュのような。
あの時、ふたりが言っていた「良い出来」の石膏液は
きっとこんなだったのかな、と思い出していたのです。
そうして振り返ってみれば
今のわたしは当時の2人の年齢に近づいて来ました。
結局、そういう事なのですよね。
制作をずっと続けて、ああでもないこうでもないと経験しつつ考えて
ようやく積み重なって、石膏液の良し悪しだとか
「どうして今日の石膏液が良くできたか」が理解できるようになった。
しみじみと感慨にふけった午後でした。
未だわからない 8月15日
小箱に金箔を貼って、その上に彩色して模様を入れました。
何色を塗るかは、あっさりと決まる
(その時の気分によって選ぶ)時と、
数日の間、本を見たりして悩んでから決まる
という2パターンあります。
今回は悩んだバージョンでした。
選んだ絵の具の色名はクリムソン
臙脂色というか、青味のある暗い赤色です。
今まで金と赤の組み合わせはあまり選んできませんでしたが
少し違う雰囲気の彩色も良いかしら・・・と選びました。
だけど、なんだか、気に入っているようないないような
未だ釈然としません。
そうこうするうちに彩色も完成しました。
なかなか華やかな雰囲気。
これからアンティーク風に古色をつけて仕上げます。
どうなる事やら??
今日は何の日 8月12日
「今日は何の日?」
「ダメダメの日」
どうにもこうにも細かい作業が上手く行かない日ってあります。
▲ブレちゃってずれちゃってもうどうにもこうにもいやはや。
オフホワイトの絵の具で模様を細く入れたい・・・
ですがブレブレのヨレヨレ。
そんな時はすぱっと止めて
事務仕事でもした方が有意義なのです。
分かっちゃいるけれど、「でもでもだって!
今はこれがしたいんだもの!」と叫ぶ気持ちもある。
仕方がないので、ここぞとばかりに秘蔵(?)の新しい筆をおろして、いざ。
そうして続けると、嗚呼・・・言わんこっちゃない。
・・・とは言いたくないけれど。
いさぎよさも随時必要でございますね。
ぶれた線は明日の午前中に修正します。
色のカタチ 8月08日
昨日8月7日より、松屋銀座で開催の
「色のカタチ」という催事に小箱を出品しております。
13個と数が少なく、わたしは会場でお迎えできないのですが
銀座にお出かけの際にお立ち寄り頂けましたら幸いです。
よろしくお願い申し上げます。
「色のカタチ」
松屋銀座7階 遊びのギャラリー1979
8月7日(水)~13日(火)最終日17時閉場
金に糸目はつけぬ 8月05日
ペンが一本ほしくて、駅前の文具店に行きました。
そうしたらついうっかり楽しくなってしまって
あれもこれも、そうだテープも・・・などとかき集めてしまって
お会計をしたら5000円ですって。
自分の頭の中では「えーっと、たぶん3000円くらいかな!」などと
能天気なことを考えていましたので一瞬ぎょっとしました。
▲これだけ買えば当然
でもまぁ、どれもこれも使いますし便利ですし
着ない洋服を衝動買いするより有効なのだ!・・・などと思っています。
と言うか、眺めてニヤニヤ、使ってホクホクしています。
先日、知人にわたしが「あの画材があると便利だよ~。
でもちょっと高いし少ししか使わないから勿体ないかもね。」と話しましたら
彼女は「いいの、買う!わたしは画材なら
お金に糸目はつけないから!」と言っていました。
ああ~!ここにもいた。画材には金銭感覚が変わる人。
わたしも同様なのですもの。
なんなんでしょうね、この感覚。
じゃんじゃん使おう 8月01日
額縁の吊り金具(額縁裏に取り付けて紐を通す金具です)
が無くなったので、購入しました。
画材店などでは数個ずつ売っていますけれど、割高ですのでまとめ買い。
そうしましたら、ひと箱1000個ですって。
某モ〇タロウでは1000個が最小ロット。
1000個の吊り金具って、額縁1枚につき2つ使いますから
つまり額縁500枚分です。
一般的な額縁工房ではこうした単位で購入しないと追いつかないはずです。
なにせ作る額縁の枚数が沢山ですからね。
500枚の額縁ですって。
アハハ!・・・死ぬまでに使い切りたいと思います。
いや、そんなことを言ってる間にジャンジャン作って
ジャンジャン金具を使いたいと思います!