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DECORATING WITH PICTURES 7月29日

 

この本もまた先日ご紹介した「Displaying Pictures」同様に

古典技法額縁の教室 Atelier LAPIS の生徒さんから

お借りした本です。

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「この本に載っている額縁をイメージした

小さな額縁を作りたい」とのこと。

先日から教室で さっそく制作を始められています。

 

この本は絵のモチーフ(静物や人物 風景 動物等)の

表すイメージを元に どの部屋にはどんな絵を

どのように飾れば部屋の特徴を表現できるか・・・など

インテリアと合わせて全体的な部屋の装飾を提案しています。

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美術館に納められている名のある作品に付けられた

額縁は大きくて立派で歴史もあり「額縁作品」として

鑑賞するには良いけれど 一般的な家庭には合いません。

この本にはクラシカルな額縁の写真が多いけれど

自宅に飾るイメージを抱きやすい「手頃」で趣もある

様々な額装を施した作品が載っています。

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こちらもやはり英語で書かれていますが

美しい沢山の写真を ぼんやり眺めているだけでも

想像が膨らんで楽しい本です。

 

データ : 「DECORATING WITH PICTURES」

     著者 Stephanie Hoppen

     Ebury Press,London

     1991年第1刷発行

 

 

La nostalgia in Italia 2011 Firenze -Il melograno- 7月25日

 

イタリアの郷愁 2011 フィレンツェ -柘榴-

 

11月のフィレンツェでは 市場でも街中の木でも

柘榴の実りを見ることができました。

日本では あまり見かける機会が無いように感じる

柘榴の実ですが 中国からヨーロッパにかけての

大陸では身近な果物のようです。

宿泊先にも大きなテラコッタの鉢に植えられた柘榴に

ひとつだけ実が残っていました。

誰も食べないのかしら 鳥のご馳走かしら などと

余計な心配をしたのは わたしだけのようですけれど。

melograno

 

 

今 手元にある「ヨーロッパの模様辞典」という本によると

「西アジア原産の柘榴は種子の多さから繁栄のシンボルとされた。

14世紀のイタリアを中心に東方的なイメージとしてもたらされた

柘榴模様は独自に変貌しつつ高級織物の模様として発展した。」とあります。

ルネッサンスからバロックにかけて 貴婦人の豪奢な衣装に

柘榴模様が使われています。

「柘榴模様の衣装」で一番に思い出したのは

アーニョロ・ブロンズィーノが描いたこの作品でした。

aaAngelo_Bronzino_038[2]

Eleonora di toredo col figlio Giovanni (1544~45)

Galleria   degli Uffizi,Firenze

「エレオノーラ・ディ・トレドと子息ジョヴァンニの肖像」

これもまた「多産・繁栄」を象徴する柘榴模様は

外国から嫁いできた女性の肖像画の衣装としてふさわしいのでしょう。

 

「貴婦人と一角獣」のタピスリーに織り込まれている

貴婦人の衣装にもダマスク織にゴブラン織・・・もちろん柘榴模様がありました。

ドレスの模様もベルトの垂れ飾りも柘榴です。

時代なのか作られた場所なのか 上の肖像画の衣装よりも

柘榴模様がより具体的というか 柘榴と分かりやすい形で

表現されているようです。

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14世紀当時とほぼ変わらない佇まいのフィレンツェの街を旅して

今もかわらず愛でられている柘榴を見て・・・

はるか昔の彼女たちの栄華に思いを馳せます。

 

 

Displaying Pictures 7月22日

 

先日 古典技法額縁の教室 Atelier LAPIS で

生徒さんがお持ちになった本です。

とても面白く興味深い内容だったので

お願いして貸して頂きました。

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タイトル “Displaying Pictures” のとおり

様々な技法で描かれた作品(油彩や水彩 版画等)に

どのような額装が合うか そして展示の方法を提案しています。

モダンな白いインテリアに 古典的額縁に入った作品を飾ったり

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格子が特徴的なクラシカルな壁に 様々なタイプの額を沢山。

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巻末には簡単ながら額縁の作り方 使う道具 吊金具の選び方

また布貼マットの作り方や額縁に古色を付ける方法

そしてちょっとした修復方法も紹介されています。

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この1冊で 額縁の扱い方がひとまず理解できるような

なかなか優れた内容です。

 

ぱらぱらとページを繰っていると なんだか手放しがたくなって

インターネットの古本屋から取り寄せることにしました。

英語で書かれているのがハードルではありますが

まずは美しい写真を眺めてから 読み進めるつもりです。

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データ : 「Displaying Pictures」

     著者 Caroline Clifton-Mogg , Piers Feetham

     Mitchell Beazley International Ltd

     1988年発行

 

きのこのこ 7月18日

 

金を使ったツマミのご注文を頂きました。

「works」ページ内の「other」にある giglio の模様です。

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模様はgiglioとデザインもサイズも同じですが

木地の形が違いますので 雰囲気も少し変わり

「works」の giglio (下の写真右)よりクラシカルです。

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このツマミを作っている間ずっと頭から離れない歌 ・・・それは

「きのこっのっこーのこげんきなこ」という歌詞から始まるCMソングでした。

横から見ると さらにきのこです。

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左のふたつがマッシュルーム 右がエリンギ。

すっかりわたしの中で この子達は「きのこ姉妹」になりました。

 

ちなみにイタリア語で「きのこ」は “fungo”(単) でフンゴと発音します。

「きのこが一つ きのこが二つ・・・」は “un fungo, due funghi…” となります。

イタリア語を勉強し始めたころ この「フンゴ」という音が面白くて

頭の中には「鼻息荒く頑張っているきのこ」のイラストが広がりました。

そしてこの単語はすぐに記憶することができたのでした。

そんな思い出。

 

 

La nostalgia in Italia 2011 Firenze – Extra 8 I biglietti dei musei- 7月15日

 

イタリアの郷愁 2011 フィレンツェ -番外8 美術館のチケット―

 

日本での映画前売り券や特別展覧会のチケットには

きれいな写真が印刷されていて 鑑賞後もコレクションしてしまいます。

でも常設展や映画の当日券は・・・日付の印刷があるシンプルな券ばかり。

イタリアの美術館の常設展でも やはり同じです。

下の写真は 上から

サン・ロレンツォ教会の聖具室入場券

サン・マルコ美術館

メディチ家礼拝堂入場券(サン・ロレンツォ教会内)

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下の2枚はフィレンツェ市の統一チケットのようで バーコードで管理されています。

美しいデザインではあるけれど わたしのような

「何でも捨てずに取っておく旅行者」にとっては

ピンクのサン・ロレンツォ教会聖具室入場券のように

昔ながらというか 趣の残るチケットのほうが嬉しかったりして。

そのうち この聖具室入場券も下の統一チケットになるのかもしれません。

 

 

クリュニー中世美術館 1929 7月11日

 

「貴婦人と一角獣」タペストリーを所蔵する

パリのクリュニー中世美術館は

ルーブルやポンピドゥー・センターといった超有名美術館とは違い

ひっそりと静かに でも大変に力強い印象で存在するパリの名所です。

薄暗い室内 むき出しの石の壁と床の空間で

何百年も昔に 人の手でこつこつと作られた重さを感じさせる

彫像や絵画 工芸品に囲まれて過ごす時間は 瞑想にも似ています。

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上の写真は 先日の「貴婦人と一角獣」展カタログから。

束柱やフランボワイヤン装飾などゴシックの美しさがそこかしこに見られます。

壁もクリーム色に輝いて 建物の保存修復も隅々まで。

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上は同じくクリュニー美術館のエントランス写真ですが

こちらは古い絵ハガキ 裏には1929年の印があります。

1枚目の写真と一見違いがないように思えますが

すすけて汚れた壁は なんだか現在の様子よりリアルに感じます。

元は15世紀に建てられた修道士の邸宅だったそうですが

装飾品で着飾った修道士が厳かに扉の向こうに見えるような雰囲気です。

そして一番の違いは 中央扉の上。

ハガキには はっきりわかりませんが窪みに彫像があります。

でも現在の写真は ただ窪みに空間があるだけになりました。

彫像の保存のために移動されたのか

戦争や様々な80年の歴史の中で失われてしまったのか・・・。

時間は確実に過ぎていく。

でも美術館内の中世の遺物は どうかこの先も今の姿のままで。

 

 

ただ なんとなく 7月08日

 

先日 納戸の片づけをしていた母がくれました。

文庫本より一回り大きいくらいで 思いがけずずっしりと重い箱。

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開けてみると 古いコンパスのセットでした。

何年も前に不忍池の上野骨董市で買ったものだとか。

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母は使う目的があって買ったわけでは無くて

「ただ何となく買った」そうです。

・・・この母にしてこの娘(わたし)あり。

使い道とか必要性とか理由を考えることもなく

古いものに呼ばれて買ってしまうのですね。

 

アルファベットの商標 神田の文字

濃紺のベルベットとモアレの布

錆びているけれど欠けることなく今に至る一揃い。

どんな経緯で上野骨董市に並ぶことになったのか

知る由もありませんけれど

仕事道具として大切にしておられたであろう元の持ち主は

きっと夏には開襟シャツと麻の白いスーツ パナマの帽子

そして眼鏡をかけた眼光鋭い痩せた人・・・

だったのではないでしょうか。

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La nostalgia in Italia 2011 Firenze -Terracotta- 7月04日

 

イタリアの郷愁 2011 フィレンツェ -テラコッタ-

 

朝 宿泊先の屋上に行って冷たいけれど新鮮な空気を深呼吸。

様々な高さの屋根の連なりの向こう側に

朝日を浴びるサン・ロレンツォ教会のクーポラが見えました。

テラコッタの瓦屋根のグラデーションの波に

これまたテラコッタの煙突から出る蒸気がきれいでした。

 

地上から見る街は 建物はルネッサンス当時と変わらずとも

現代的な服装の人々や車が通り 商店の看板もあります。

でも屋上からの眺めは 現代的なものがほとんど目に入らず

大昔から変わらないテラコッタのオレンジ色が見えるばかりなのです。

そしてこの風景は個人的に なんだかとても「留学当時」を思い出させます。

屋根裏にあった友人のアパートからの眺め

学校にあった藤の花が美しく咲くテラスからの眺め・・・

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限られた旅の時間 物思いにふけってばかりはいられません。

暖かいカプチーノと甘いブリオッシュでイタリア的朝食をとって

さっそくサン・ロレンツォ教会の見学に出かけることにします。

 

 

小箱の使いみち 7月01日

 

昨年11月に手に入れた タンブリッジ・ウェアの小箱は

http://www.kanesei.net/2012/11/15.html

その後もしばらく空っぽのまま

箱としての仕事をせずに飾られていましたが

最近ようやく役割が与えられました。

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箱の中には 引出し用ツマミのサンプルを仕舞いました。

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小さな箱に小さなものがぎっしり。

「小さなもの好き」なわたしとしては

なかなか楽しい小箱になりました。

 

*「works」内「other」に新しいツマミを5つアップしました。

どうぞご覧下さい。