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Atelier LAPIS(アトリエ ラピス)の様子から 2018年7月№1 7月30日

 

久しぶりになりましたatelier LAPIS 生徒さんの

完成作品ご紹介です。

MIさんの模写と額縁、とうとう完成しました。

 

真鍮プレートをカットして書き込んだ

タグプレートを取付けます。

狭いスペースで滑るので慎重に。

 

さぁ、出来上がりです。

このプレートの存在で作品がぱしっと絞まりました。

 

美しく磨き上げた金箔は、あまりに美しく

古色を付けるのを中止するほどです。

模写もぐんぐん上達しました。

 

金箔の永遠の輝きとメディチ家の食卓を飾った

フルーツの模写を、どうぞ大切に楽しんでください!

MIさん、すばらしい作品を完成させてくださり

ありがとうございました。

 

atelier LAPIS

 

 

メール不具合のお知らせ 7月28日

 

KANESEIホームページにございます

「contact」からのメール送信について、

7月25日あたりから不具合がございました。

発覚が遅れ失礼いたしました。

 

お送りくださったメールがキャンセルされてしまった、

またはKANESEIからの返信が無いという方が

いらっしゃいましたら、大変恐縮ですが下記のアドレス

hrk830kanesei@gmail.com

再度こちらへお送り下さいますようお願い申し上げます。

 

 2018年7月28日 KANESEI

 

 

チューリップを箱に入れよう・・・かな? 7月27日

 

まるい板に黄金背景テンペラで

満開のチューリップを模写をしました。

天気が良くて乾燥している日を狙って

ニスを塗って、完成です。

 

ちいさな板の側面にも箔を貼りたい、

そんな時には持ち手の棒を取付けます。

 

真上からの照明で金箔を撮影するのは

難しいです・・・。

 

さて、どんな額縁に入れましょうか。

透明アクリルのボックスなど

シンプルな箱に納めてしまうのも

側面が見られて良さそうです。

でもやっぱり・・・

クラシカルな額縁に入れた方が無難でしょうか。

迷います!

 

 

夏の金継ぎ大会開催中 その1 7月25日

 

予定外にまるっと時間が空いたので

溜まっていた壊れ皿をひきずりだして

「平成最後の夏・金継ぎ大会」を

ひとりで開催しております。

「大会」と銘打ちつつも、

1日の作業時間はたったの30~40分程度。

薄く塗っては室入れ、そして待つ・・・

漆仕事は待ち時間が長~~いのです。

 

今回は日用使いの食器を簡易金継ぎで流れ作業。

本来は漆で作った接着剤や練り物で

繋いだり欠けを埋めるのですが

耐水性接着剤とエポキシパテで代用し

仕上げに本漆と純金粉を使います。

がっちり接着できて、表面は本漆なので

食器としての使用も安全ですから

違いを理解して、こだわりがないならば

この方法が一番合理的じゃないでしょうか・・・

賛否あると思いますけれども。

 

さて、下の2点は金の蒔絵をせずに

黒漆で完了にしようと思っております。

気が向いたら改めて蒔けばよし。

毎日使うような食器ですから

皿洗いも気兼ねなくしたいですしね。

 

今日は夕方になったら、きのう他のお皿に蒔いた金を

磨こうと思います。

これが楽しい作業なのです。ふふふ・・・。

やはりわたしは金を使う作業が好です。

 

 

頭の中がいっぱいだったころ 7月23日

 

この夏、古いフロッピーディスクに入れていた

自作額縁写真を引きずり出して保存し直し、

ディスク71枚を処分しました。

 

それらディスクから蘇ってきた写真は

かれこれもう20年近く前に撮影したものです。

額縁写真の中には、ギャーと叫んで

逃げたくなるような気分にさせるものもあり。

それもわたしKANESEIの歴史です・・・。

 

下の写真はフィレンツェ留学時代に

修復学校の木工授業で作った額縁です。

大学で模写したフラ・アンジェリコの天使図を

留学に持って行き、フィレンツェで額装しました。

いま見ると模写も額縁もつたない限りです。

 

まだ額縁師匠マッシモ氏に出会う前の留学1年目。

クラスメートは小箱などを作る横で

わたしはひとりで額縁を作って、修復学校では

「なんだか変わった-つまり面倒くさい-

留学生がいるぞ~」と先生方に思われていた

ような気がします。

材はジェロトンです。

学校の材木室から節穴のある材を選んで

(右中央部と下部に穴があります)

虫食い風にしようと思ったのでした。

デザインはその頃好きだったロマネスク風の

アーチを乗せることにしました。

ただのぶ厚い板だった材木を必死で切りだし、

ホゾを作って木を組んで、彫り、磨き、塗装し、

わざわざ日本から持ってきた絵を納めて。

 

これ以来、先生方は「コヤツの頭の中は

額縁ばっかりだな!」とご理解くださって、

様々なことを教えていただきました。

わたしが若く、ひたむきだったころの額縁です。

 

 

古いもの、古い魂 7月20日

 

わたしは両親の影響があってか

昔から古いものが好きです。

今では骨董市に行ったり、

出先で骨董店や古書店を見つけると

ついつい立ち寄ります。

このブログ「diario」にも

「古いもの」というカテゴリーを作っています。

そんなわけで、我が家には家具、食器、

道具や本、アクセサリーなど

新しいものより古いものが多くなりました。

 

だけど古いものって、当然ながら

わたしの前に持ち主がいたということですよね?

中学の時にわたしが着ていた古着のダッフルコートに

友人が「でも、古いものって、怖くない?」

と遠慮がちに言いました。

深く考えず「古いもの」を受け入れてきたけれど

そうか、前の持ち主ってどんな人だったのだろう。

なぜ手放すことになったのだろう。

大切にしていたのかな。

手放したくなかったのに、やむを得ず手放した?

それとも、亡くなったから・・・?

 

「古いもの」に宿った「古い魂」があるならば。

霊とか気とか、念とか怨とか・・・

それはとても、とても恐ろしいことですね。

あるいは悲しいこと、寂しいこと、でしょうか。

わたしのものなのに、なぜおまえがもつのだ・・・?

そのような思いでしょうか。

 

古いものだからこその魅力も抗いがたい。

「古い魂」が辛く思わないように

大切にすればきっと許してくれるでしょう。

 

霊感も無く、妄想好きなわたしです。

今後もあまり深く考えずに。

 

 

おつとめ品の花ひらく 7月18日

 

今年のお正月に「おつとめ品」で

安売りされていた百合根。

卵とじにしたり煮物にいれたり

茶わん蒸しの具としてもおいしい食材です。


これを、何を思ったのか家族が

庭の日当たりの良い場所に埋めました。

いや、正確には植えました。

もったいない事をしちゃって・・・

と思っていたのですが。


5月ごろにはにょきにょきと

猛スピードで背を伸ばし始めました。

最初は信じられなかったのですが

なんとこの夏に花を咲かせました。

咲いた花は百合でした。

いや、当たり前ですけれどね。

百合根でしたからね。


食用の百合根は鑑賞用の百合とは違う種類で、

食用の根はすでに死んでいると思い込んでいましたし、

更にはおつとめ品でくたびれた根だったし・・・

いやはや、わたし驚きました。

 

こんなに立派な花を咲かせるのに

いつも食べちゃってごめんね、と思いつつも

じゃがいもだってにんじんだって

土に植えれば芽をだし花を咲かせるんだものねぇ・・・

と、なんだか感慨深い気持ちになったのでした。

植物の命よ、ありがとう。

 

 

サンソヴィーノチャレンジ つづき② 7月16日

 

相変わらず隙間時間に彫り進めた

サンソヴィーノ額縁はひとまず

彫り終わりましたが、さて。

次なる装飾をどう進めるか。


正統派サンソヴィーノ額縁は

全面に石膏を塗り、金箔または

金箔と褐色の組み合わせで装飾されて

かなり豪華できらびやかなものが多いのです。

 

金と黒は前回の額縁と同じになるし

褐色の彩色はあまり好みでない。

全面金箔はちょっと強烈だし(お財布にも強烈)

白木の状態ですでにコッテリ派手派手。

これを金箔仕上げにしたら・・・ううむ。

ここは邪道に木地仕上げにしちゃおうか

などと企んでおります。

 

どうでしょう、イタリアの皆さんに

いやがられるでしょうか。

せっかくなのだから、ここははやり

正統派を追った方が良いか。

・・・まだしばらく悩み考えてみます。

 

 

さよなら東宝日曜大工センターパパ 7月13日

 

東宝日曜大工センター ご存知ですか。

幼い頃には父に連れられて行き

額縁の仕事を始めてからは自ら行き

散々お世話になったホームセンターは

2010年に閉店、今はもうありませんが、

 いまだにどのホームセンターも

つい大工センターと呼んでしまう。

隣には東宝映画撮影所があって

大工センターで庭の掃除用具を買う

芸能人などよく見かけたり

ちいさな売店でソフトクリームを食べたのも

良い思い出です。

カナヅチ振り上げるお父さんの

イラストバッグには 紙テープを入れていて

使うたびに思い出す大工センター。

そろそろこのバッグもお払い箱、

懐かしの大工センターの記憶も

バッグと共に擦り切れて 消えてゆく。

 

 

額縁の作り方 21 気の強い娘から妖艶なマダムに変身 7月11日

 

しばらく時間が空きましたが

いよいよ仕上げです。

ピカピカの金と塗りたての黒。

これも悪くは無いでしょうけれど

わたしはアンティークな雰囲気が好きなので

今回もいつものように古色仕上げにします。

手順は、①打ち出し②磨り出し③汚し付け

で完成とします。

 

まず、木槌で打って傷を付けます。

角や凸を打ちますが、強弱をつけて

打ち跡が並ばないようランダムに打ちます。

石膏が割れて白くなっても木地が少々見えても

それはそれで良しとします。

掛け替えや移動のときに

落としたりぶつけた感じをイメージ。

 

つづいて磨り出しをします。

スチールウールで少しずつ様子を見ながら

凸部分を狙って箔の上も絵具の上も磨ります。

箔下のボーロの赤や黒の下色の赤を

ほんのりと見せます。

これまた昔々に歴代のメイドさんが

何年も長い間、季節の変わり目の拭き掃除で

徐々に下地が見えてきた・・・そんな感じ。

下の写真、金の下にうっすら赤が見えています。

 

さて、最後に汚しを付けましょう。

わたしはフィレンツェの師匠マッシモ氏に

教わったレシピでワックスを調合しています。

このレシピはここでお知らせできませんが

様々な茶色の塗料を工房それぞれで作っています。

日本では手に入りやすいブライワックス

という商品を使う方もいらっしゃるようです。

 

ワックスを筆やウエスで付け、乾き始めたころに

灰色のパウダーをはたきます。「にせものホコリ」です。

これもわたしは調合して作っていますが、

最近は「ホコリ」として販売しているお店も

あるそうですので、お試しください。

ホコリをはたいた表面を手のひらで擦ったり

ウエスで拭きこんで、さぁ完成です。

 

額縁のデザインや時代、額装する作品、

飾るお部屋や家具の雰囲気、

それらを考慮し、お好みで調整しましょう。

 

下の写真は古色を付ける前と付けた後。

金の反射が落ち着いて、黒に艶が出ました。

いかがでしょうか。


パーティー好きで熱気みなぎる気の強い娘から

酸いも甘いも噛み分けた妖艶なマダムに変身・・・

そんなイメージです。

 

完成した様子はこちらでもご覧ください。

 

 

ちゅーちゅーたこかいな 7月09日

 

「ちゅーちゅーたこかいな」

 

二の四の六の八の十

「にのしのろのやのとう」

と同じように、二つずつ数えるときの

数え歌のようなもの。

6月の大歌舞伎劇中で中村芝翫さんが

小判を数えるときのセリフにあって

とてもとても久しぶりに聞きました。

 

幼い頃に祖母とおはじきを数えた時のことが

突然に鮮明に思い出されて、なんだか

ホンワカと涙が出そうになりました。

しわしわで骨ばって、かさかさに乾いていて

いつも暖かかったおばあちゃんの手の

(なにせ冬でも半袖で過ごすような人でした。)

感触や声が蘇って来ました。

わたしのおばあちゃん。

 

 

サンソヴィーノチャレンジ つづき① 7月06日

 

作っていますサンソヴィーノ

なにせ彫りが深いので

木づちをふりまわして

右腕が鍛えられた気がします。


いつものことですが、木地の形が

(自分で設計したのに)そもそも違うので

オリジナルよりロールの高さが足りませんが

そこはまぁ、可能な範囲で善処ということで。

 

いや、それにしても難しい・・・

 

 

夜の深みにはまらないように 7月04日

 

「物を減らそうキャンペーン」は

地道にゴソゴソと続けています。

すこしずつ、でも確実に減っています。

 

先日はFD(フロッピーディスク)を処分しました。

KANESEI初期の額縁写真が主ですが

プライベートの写真記録もいくつかあり、

捨てるに捨てられずにいました。

この度ようやくFDドライブを買って整理。

ディスクその数71枚・・・。

読み取りに時間がかかるし

4分の1の写真データはすでに劣化して

読み取り不能になっていました。

でもとにかく、これでひとつ区切りを

付けることができた気分です。

71枚のFDよ、ありがとう。

 

助け出せた写真や記録はまだ

きちんと見ることができていません。

なんだか怖くて。

写真って心に深く響くものですね。

夜に見ると深みにはまりそうなので

天気の良い午後にでも見ることにします。

 

 

銀白の額縁 7月02日

 

この額縁を作ったのはいつだったか・・・

忘れられていた額縁第2弾からしばらくぶり、

忘れられていた額縁第3弾です。

おそらく第2弾のブコの額縁と近い頃だと思います。

 

「works」ページにある venezia-1 を作って

デザインを少し変えて銀箔にして・・・

という感じで作った記憶。

名前は「銀白」とつけていました。

銀箔のうえに白をベールのようにかけて

銀の輝きがソフトになっています。

半艶消し、古色はつけませんでした。


お客様のもとに渡り、もはや見ることも叶いませんが

こうして写真で振り返っても可愛らしい額縁だったな

などと親バカ気分で思い出しています。

 

「works」内「classical」にこちらの額縁をアップいたしました。

どうぞご覧下さい。