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さあ、美味しく食べてビシバシ使おう 6月30日

 

先日の「銀はなに色」の写真にも写っていましたが

このちいさなガラス容器はKANESEIでなくてはならないほど

いつも活躍してくれています。

ご覧の通り、某有名なお店のガラス製プリンカップ。

このプリンは皆さんも一度は召し上がったことがあるのではないでしょうか。

 

田町にある絵画修復スタジオ Tokyo Conservation

使っていたのに始まって、すっかり手放せません。

・とにかく丈夫

・耐熱で湯煎にかけられる

・透明ガラスだから色が良く見える

・大抵の溶剤にも溶けださず安全

・洗ったり拭いたり、片づけが楽

・厚手で安定感があるから倒れない

・程よい小ささ(断然ミニプリン!)

などなど。

ちょっとだけニカワが必要、ほんの少し石膏液を湯煎したい

箔の繕いをするのに少しだけ水が必要

ニスを使った筆を溶剤でゆすぎたい・・・

なんて時には、これがなくては始まりません。

 

そしてなにより、割ってしまったとしても補充も手軽です。

なにせデパ地下に寄っていくつか買って美味しく食べれば

すぐに使えますから。

それもひとつ200円ちょっと。素晴らしい。

 

プリンが食べたいのか、容器が欲しいのか?

どっちも!

これぞ一挙両得と言えましょう。フフフ。

 

調布音楽祭 バッハ・コレギウム・ジャパン 6月27日

 

梅雨晴れの日曜日、調布音楽祭の最終演目

バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)の演奏会へ行きました。

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いつものように演奏が素晴らしいのは言わずもがな。

穏やかでありつつ熱い鈴木さん(父)の指揮と

その指揮を誰よりも見つめて演奏する優人さん(息子)は

深い信頼で繋がった素晴らしい親子関係に感じました。

父を見つめる息子の眼差しが強く印象に残っています。

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お父さんの鈴木さんが演奏に使われたチェンバロ。

アムステルダムの文字が見えます。

鍵盤の右側が少し高くなって、斜めです。

わざとかな?楽器が古いのかな?

弾き難くないのでしょうか。

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息子の優人さんが演奏しておられたチェンバロはシノワズリ。

どちらも黒に金で装飾された美しい楽器でした。

 

ヘンデル「水上の音楽」と言うと思い出すのは

小学校低学年の頃に買ってもらったLPレコードです。

両親とレコード店に行って、誕生日プレゼントとして

何か1枚買ってもらう約束だったのですが、

この「水上の音楽」と「うる星やつら」のサントラで

迷いに迷った挙句、誕生日とクリスマスということで

2枚買ってもらったのでした。

これが最初の「自分のレコード」でした。

 

このLPは今も家のどこかにあるはずですが

指揮者も演奏者も誰だったのかもはや遠い彼方。

「水上の音楽」は幼い頃の思い出に繋がっていて

華やかな音楽を聴きながらもしみじみとした気分でした。

 

彫刻の本「CARVING ARCHITECTURAL DETAIL IN WOOD」 6月23日

 

市が尾にあるAtelier LAPIS の本棚には、主宰の筒井先生が

揃えてくださった様々な本があり、生徒さんはもちろん

わたしも随分と参考にしたり活用させていただいています。

その中にある「CARVING ARCHITECTURAL DETAIL IN WOOD」は

月曜コースの生徒さんに人気があり、わたしも1冊手元に置くことにしました。

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Atelier LAPIS にある本と表紙が違い、見慣れぬ本。

2011年に改訂版が出たようです。

初版が2000年、それから4版目ですから人気がある本です。

 

それもそのはず、内容は古代建築の様式、名称などから

建築と家具、装飾のつながりと歴史を説明し、

後半には具体的に木を彫刻する方法が解説されています。

下描き図面の作り方、道具、彫る順序、細かい方法など。

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LAPIS では写真ばかり(写真が豊富!)見ていましたが、

あらためてじっくり読んでみると、彫刻実習の

授業を受けているようで楽しくワクワクします。

ふだん自分で彫刻をする時になにげなくしていた作業も

こうして順序立てた写真と文章になると再確認にもなりました。

「おや、この道具は便利そう!」というような

ちょっとした文具や留め具が紹介されていたり。

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イギリスの本ですからもちろん英語ですけれど

ゆっくりでも読む価値あり!なのです。

 

それにしてもいまさらながらですが

つくづく額縁はヨーロッパ、つまりはギリシャ・ローマの

文化なのだと痛感します。

この内容の日本語の本があったらどんなに嬉しいか!

4版も重ねるほどの需要は日本にはないのかもしれませんが・・・。

額縁や建築、それに繋がる家具、絵画、美術様式、

ヨーロッパと日本の遠さを感じます。

わたしが日本で古典技法の額縁を作ったり

アカンサスの彫刻をするのは、さながら

イギリス人の方がイギリスで漆芸をするようなものでしょうか。

ううむ、本場から遠くとも、額縁作りますよ!

 

「CARVING ARCHITECTURAL DETAIL IN WOOD」

Frederick Wilbur

GMC Publication Ltd

2000年 第1刷発行

 

 

Atelier LAPIS(アトリエ ラピス)の様子から 2016年6月 6月20日

 

フラ・アンジェリコが描いたリナイウォーリ祭壇画の

楽奏の天使を模写していたMUさん。

途中で違う額縁の制作をなさった時期がありましたが

自宅でコツコツ描写を続けておられました。

なにせ大きなサイズですから地道な作業を要します。

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とうとう完成が見えてきた、とのことで

アトリエでミッショーネによる装飾を入れることになりました。

 

ミッショーネの液「モルデンテ」(箔用接着剤)には

油性・水性がありますが今回は水性を使います。

フィレンツェにある画材店 ZECCHI が販売している製品です。

 

まず面相筆で模様の部分にモルデンテを塗ります。

塗る・・・というか描くというか置くというか。

その上にフウワリと箔を置きます。

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コットンでポフポフと、ごく軽く押さえます。

 

しばらく待ったら、やわらかい筆で箔を払います。

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すると、モルデンテを塗った部分に箔がきれいに残りました。

この払う作業はいつもながら感動します。

 

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モルデンテの塗り方によって、今回のように

ふっくらとしたミッショーネにもなりますし、

薄く塗ればシャープな表現も可能です。

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ミッショーネの装飾で、天使がさらに神々しくなりました。

さぁ、あとはテンペラ用のニスを塗って完成です!

MUさん、大作の完成おめでとうございます。

つぎはこの天使の額縁制作です、わたしも応援いたします!

 

 

メディチ家の至宝 ルネサンスのジュエリーと名画展 6月16日

 

目黒にある庭園美術館で開催されている

「メディチの至宝」展に行きました。

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ロレンツォ・イル・マニフィコの頃から、メディチ直系の最後

アンナ・マリア・ルイーザまでの人物を中心に

メディチがコレクションしてきた素晴らしいジュエリーでした。

ルビーにダイヤ、真珠にサファイア、そしてカメオに黄金。

身に付けたらさぞかし重かろう!というような物ばかりです。

 

ブロンズィーノの描く陶器のような肌の肖像画も

輝くような美しさでした。

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庭園も緑濃くツツジが美しい季節でした。

 

なにせ小さな -ジュエリーとしてはとても大きいけれど-

ブローチやカメオですので、覗き込んで観ても良く見えない・・・

雰囲気と輝きを楽しんで、帰宅後に図録でじっくり見ました。

超絶技巧は図録写真の方が大きくて詳細が良く分かるのでした。

 

図録によると、ロレンツォ・イル・マニフィコの元コレクションに

「tazza farnese」という瑪瑙でつくられた古代の皿状カメオがあったそうで、

記録によると10.000フィオリーノという価格だったとか。

(今回の展覧会には出品されていません。)

下の写真、「tazza farnese」はウィキペディアよりお借りしました。

600px-Tazza_Farnese[1]

同記録にはフラ・アンジェリコの大きな円形テンペラ画が

100フィオリーノとあるそうで・・・

単純に、アンジェリコの絵100枚分の価値がある?!

なんとまぁ。

当時それだけ古代カメオに価値があるとされていたのですね。

盛期ルネッサンスの華やかさを夢想できる展覧会でした。

 

東京都庭園美術館

「メディチの至宝 ルネサンスのジュエリーと名画」展

2016年4月22日~7月5日まで開催

 

組み合わせをお楽しみください 6月13日

 

額縁によって作品のイメージがガラリと変わることは

みなさまご存知の通り。

額縁制作をする者にとってセンスや考えが問われる

責任重大な部分です。

 

先日完成した額縁には、色やテクスチャーが

特徴的なマットを使いました。

ひとつは古いフランスのデッサンのための額縁。

お客様との打ち合わせの結果、額縁は薄く細い木枠に

シンプルな金の装飾、そしてマットはアースカラーに。

マットの端先(斜めにカットされている部分)には

金色を塗装しました。

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いつもなら無難なクリーム色などをお勧めするところですが

今回はお客様のご希望でこの色に決まりました。

作品の紙の色から額縁の金、木地の茶色へのつながりが

とても自然、そして落ち着いた格調のある仕上がりになりました。

マットの幅が左右より上下を広くしたの成功の要因です。

 

もう1点、こちらはスウェード調のマットです。

こちらもまた茶色の木地に金の装飾をいれた

オーソドックスな箱型額縁ですが

スウェードの雰囲気で、より優しく穏やかな雰囲気になりました。

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模様にみえるのは指の跡ではなく、オリジナルです。

 

マットのサンプル帳には様々な色やテクスチャーがあって

お好み次第でどうぞ

お客様の選択のお手伝いをするのもわたしの大切な仕事のひとつ。

作品とマットと額縁と

組み合わせの楽しみをご提案していきたいと思います。

 

 

ヤマモトさんちのお隣で その先には 6月09日

 

京都のおまけ。

寺町通り、額縁のヤマモトさんの数軒先には

有名な老舗喫茶店があります。

スマート珈琲という昭和7年開業のお店です。

 

ヤマモトさんへ伺う前に腹ごしらえです。

このお店で人気のフレンチトーストやホットケーキを

たのしんでいるお客さんの中、わたしはフルーツサンド!

メニューに見つけたら、迷わずフルーツサンドを頼みます。

ふわふわパンにとろとろクリーム、缶詰フルーツの懐かしい甘さ。

ううむ、フレッシュフルーツも良いけれど、缶詰もまた良し。

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いつからこんなにフルーツサンドが好きでしたっけ?

思えば小学校の給食で食べたのがはじまり。

揚げパンよりフルーツサンドが嬉しい子供でした。

スマート珈琲

 

 

ヤマモトさんちのお隣で 6月06日

 

平日3日間でダダダッと京都に行きました。

車移動でしたので片道7時間。

限られた時間でできるだけの見聞をしたいと思い

盛りだくさんの旅でした。

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大徳寺聚光院の狩野永徳筆 国宝障壁画を予約観覧し、

東寺では特別公開中の五重塔初層内部を観て、

今宮神社に清水寺、上賀茂神社、光悦寺、北野天満宮・・・

真夏のように暑い中、ヨレヨレになりましたが大満足。

 

そして京都にいったら寄らずにはおられない

額縁のヤマモトさんのお店へも、もちろんお邪魔しました。

お忙しい作業中に伺ったにもかかわらずお話をさせて頂き

額縁への情熱を新たにしたところです。

ありがとうございました。

 

ヤマモトさんのお店は寺町通りという賑やかなアーケード街にあって

周りには有名な老舗喫茶店や古書店が多い場所です。

ヤマモトさんのお隣にも、これまた素敵な古書店があります。

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上の写真はgoogleからお借りしました。

右側がヤマモトさんのお店で、水押し金箔の手仕上げ額縁が見えています。

左側が仏教書物専門の古書店「其中堂」というお店でした。

写真では閉まっていて残念ですけれど、素敵なたたずまい。

いままで気づかなかったなんて!

美しい古書店に出会って、入らずに帰ることなどできません。

 

1930年のものという古い建物の内部は白い漆喰の明るいお店で、

奥には高い天井まである大きな大きな装飾格子窓が印象的です。

「別冊太陽 高野山」と「明治のデザイン」2冊を買いましたら

それは丁寧に美しく包んでくださいました。

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古本(それも雑誌)はビニール袋か、せいぜい紙袋に

ぽんと入れられることが多いのに

包装紙(デザインも素敵)に包み、さらに手提げに入れて渡されて、

「本という物」が好きなわたしは感動してしまいました。

ううーむ・・・さすが京都。

これは寺町通りの古書店めぐりもしなければ。

京都へ行く楽しみがまた増えました。

 

額縁のヤマモト

其中堂(きちゅうどう)

東寺 春季特別公開

大徳寺 聚光院創建450年記念特別公開

 

金継ぎ練習 作業1 6月02日

 

「帆立貝のタベルナーコロ」額縁の受注は5月末で終了いたしました。

ご注文いただき、ありがとうございました。

お届けまでもうしばらくお時間をいただきますが

どうぞよろしくお願い申し上げます。

*  *  *  *  *  *

平和島の全国古民具骨董まつりで

「金継ぎ練習用」として買った割れ皿で自習中です。

机には紙を敷いて、手袋に腕カバー装備していざ開始。

まずは欠けた割れ口をヤスリで整えます。


そこに木地呂漆を塗り、ロウソクの炎で炙って固めます。

小麦粉と米糊と生漆を練って作った接着剤、麦漆を

竹の付篦(つけべら)で薄く均一に伸ばして接着。


ここまでの作業で30分くらいでしょうか。

セロテープで補強し、乾くまで1週間待ちましょう。

前回、ちがうお皿の作業時、まぁいいか、なんて

セロテープでの補強をはしょったら

(補強するよう先生も仰ったし本にも書いてあるのに!)

翌週見事にズレて接着されていたのでした。

同じ失敗は繰り返したくありません…。

 

漆風呂代わりのダンボール箱の内側を

霧吹きでたっぷり湿らせておきます。

1週間後、きちんと接着されていますように。

漆は実際の作業時間より乾くまでの待ち時間の方がはるかに長く、

待つのが苦手なわたしの良い修行になっています。