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ダダーンと。 6月29日

 

大きな肉塊を焼くとか

大量の野菜を刻むとか

ダダーン!と料理をしたくなるときがあります。

血が騒ぐというか、暴れたくなるというか。

そんな時は心の中ではロッキーのテーマが

流れているものです。

 

これも発散のひとつですね。

そうしてスッキリしたらご飯が出来ている。

こんな方法で発散できるのですから、

なかなか良いと思います。

冷えたビールがあればなおのこと良し。

 

 

風呂上りの笑顔 6月27日

 

ずいぶん昔、TokyoConservation のスタジオで

油彩画のクリーニングをしたとき、

ほとんど汚れていないように見えた作品がありました。

クリーニングは必要ないんじゃないかな、

なんだか無駄な作業をしているような気がするな、

などと思いながらも手を動かしていたのです。

すると主任に「汚れていないような気がしても

終わったら見てごらん、風呂上りみたいに

こざっぱり良い感じになっているはずだよ。」

と言われました。


一通りクリーニングが終わって、

離れた場所から改めて絵を見てみたら

主任の話してくれた通り、まさに風呂上り。

歴然とした違いは無いけれど、すっきりと

色つやが良くなって、ぴっかりしていたのです。

やるべきことには理由があるのですね。

 

額縁に入っていても絵はやはり汚れます。

今回、伯母の額縁修復とともに

油彩画のクリーニングもしました。


絵は風呂上りのようにすっきりと笑顔になって

服(額縁)も洗い立てのようにさっぱりとして

昔から知っている伯母の家の応接間の

いつもの場所に納まってくれるでしょう。

 

 

サンソヴィーノチャレンジ 6月25日

 

16世紀後半にイタリア・ヴェネト州で

「サンソヴィーノ」スタイルという

額縁が流行しました。

ヤコポ・サンソヴィーノという

建築家・彫刻家から採った名前だとか。

ほどけたロールケーキのような渦巻きや

うろこの模様などが特徴的なデザインです。


そのサンソヴィーノ額縁を

作ってみようと思っています。

鼻息荒く準備を始めましたが、

簡略化したとはいえ

下描きを進めれば進めるほど

写真を見れば見るほど

重なりが複雑で渦巻きがぐるぐるで

不安も渦巻いてまいりました。


KANESEI風味のサンソヴィーノになっても

とにかく途中で投げ出さずに

完成させたいと思います。

むむむ・・・挑戦です。

 

 

ランチにバジルペーストを。 6月22日

 

庭のプランターに植えたバジリコ(バジル)が

茂りすぎて森化してきたので、

一株ばっさり収穫しました。


ザルに山盛り一杯。

これは Pesto di basilico バジルペーストを

作らずばなるまい!

空きビンに入れていた松の実と

チューブのすりおろしにんにく

生協のお手頃バージンオリーブオイルで

レシピも無く鼻歌まじりで作ったら

あら、けっこう美味しくできた?

でも片手ひとすくい程にしかなりませんでした。

あんなにあると思ったのにね!

 

自分の忘備として適当レシピ

バジリコ:大きいザルいっぱい

松の実:10粒くらい

にんにく:小さじ1/3

オイル:大さじ3くらい

塩:小さじ1と1/2

松の実はもっともっと増やして良いかも。

きれいな緑色、無添加ですから

塩はちょっと多めにしました。

 

パスタにするのもおいしいですけど、

トーストに塗るのと、ゆでたてホカホカの

タマゴやじゃがいもにつけるのが好きです。

 

それにしてもバジリコの花ってシソそっくり。

さすが同じシソ科なのです。

白身魚のカルパッチョに花を添えたら

おいしいかもしれませんね?

 

 

3年越しの待ちぼうけに終止符 6月20日

 

吊金具が痛んでいて、ある日突然

落下して壊れてしまった額縁。

額縁の大切な仕事のひとつである

「作品を守る」を果たしたとはいえ

装飾は失われ、木枠も歪みました。

 

幸い原形をとどめている部分も多いので

型取りをして装飾を再現します。

今回は箔は使わず、アクリル絵具と

古色ワックス、「ゴールドフィンガー」の

アンティークゴールド色で補彩しました。

写真は上が作業中、下が修復後です。



危険で重いガラスはアクリルに交換予定。

吊金具と紐も錆びにくい丈夫なものを付けます。

これでまた絵を守り、引き立てて

健やかに過ごしてくれることでしょう。

 

 

実はこの額縁、2015年晩冬にお話しした

「点検してください2」に登場した額縁です。

伯母から預かったまま、甘えていたら

3年も過ぎていました!

薄情な姪ですね。すみません。

祖父から伯母へ伝わった大切な作品、

早々にお届けしようと思います。

 

 

天使の誘惑に負けて夢を見る 6月18日

 

久しぶりに銀座の山野楽器2階にいったら

ついうっかりワゴンセールを覗き込んでしまう。

先日、必死になってCDを売りとばしたのに

また増やすのかい?!と思いつつも

結局レジに向かってしまうのでした。

だってジャケットがゴッツォリの天使なのですもの。


ここのところようやく雑貨と服の誘惑は

ぐぬぬ・・・とかわせるようになったけれど

CDショップと書店は克服ならず、わたしの鬼門です。

立ち入らないようにしていたのに

まんまと自分に負けてしまいました。

 

音楽も文章もデータが主流の昨今ですが

「手に持つ実感」「貸し借りできる」ということは

やはり抗いがたい魅力だと思うのですよね。

そんなわたしは古いのでしょう。

お婆さんになったら益々時代に取り残されていそう。

変な詐欺に引っかかったりしないようにせねば!

と今から自戒を込めて考えている次第です。

 

一方で、優秀で親切なロボットアシスタントが

ひとりに1台付いていてくれるから大丈夫、

というくらいずっと進んでいると良いなぁ

なんて夢も見ていたりします。

いまのところはAIBOが欲しいのですが、

これもまた夢のひとつ。

 

 

修復に度胸は必要ですか? 6月13日

 

先日、知人との会話で

「修復には度胸が必要でしょう?」

と言われました。

 

そうですね、修復処置をすべき額縁は

自分が作ったものではなく、多くの場合は

自分の持ち物でもない古いもの。

「代わりの物」は存在しません。

それに刃物を入れたり液体を塗ったり

様々手を入れなくてはいけない。

 

「さぁ始めるぞ」と言うとき、最初の一手には、

あるいはちいさな度胸が要るかもしれません。

でも、着手する前には念入りに調査し、

計画を立て、シミュレーションもして、

脳内リハーサルもしてしばらく考えて・・・

「うむ、よ~し!」となって始めます。

必要な処置を身心で理解できていれば

「恐怖」はそれだけ減るはずですから

度胸ではなくて安心を持って始められる。

 

そうは言っても、修復対象の額縁は

ひとつとして同じものは無い訳で、

予想外のことがおこる可能性もあります。

それを受け止めるのも「度胸」

冷静に処置するのも「度胸」

 

でもそれは

「覚悟」と言い換えることができる

かもしれません。

 

 

 

根暗な乙女風 6月11日

 

先日ご覧いただいたリメイクフレーム

あざみの花の模写をいれました。

ルドゥーテのあざみを 卵黄テンペラで。

最初から黒い額縁に入れるつもりで

背景や花の色もアレンジしたので

並べてみるとだいぶ違うのです。

グレーと黒と濃いピンクの組み合わせは

気が強いけれど根暗な乙女、の雰囲気。

なかなか好きな仕上がりになりましたよ。

12月の「小さい小さい絵」展に出品予定です。

 

 

額縁の作り方 20 色を塗る 6月08日

 

ボローニャ石膏地に部分的に金箔を置いて

さらに色を塗る場合、

どんな色材を使いましょうか。

フィレンツェの師匠マッシモ氏は

水彩絵の具を使っています。

わたしは水彩、卵黄テンペラを使う場合もありますが

今回は アクリルグアッシユにします。

完成色は黒の予定ですが、まず下色から。

ベネチアンレッドとローアンバーの混色、

つまりは赤色ボーロの様な色です。

入り組んでいるので細い丸筆で塗りました。

箔に絵の具が付いてしまっても

その日のうちなら取り除けます。

 

赤茶色が乾いたら黒を重ねます。

輝く金箔とつや消しの黒、なんとも派手になりました。

この写真では分かりづらいですが、

黒の下に赤茶色があることで深みと奥行きが増します。

また、そこはかとなく暖かみもかんじられます。

白い石膏地に直接黒を塗る場合とは

やはり歴然と違いが出ます。

 

ひとまず今日はここまで。

次は古色をつけて、いよいよ完成です。

 

 

イタリア人が落とすのは生ハム 6月06日

 

先日、読んでいたものに

「イタリアには『目から生ハムが落ちる』

ということわざがある」とありました。

意味は「目からうろこが落ちる」と

同じだそうです。

 

イタリア人の目からペラリと落ちる

生ハム・・・

一方、日本人の目からはパラリと

うろこが剥がれ落ちる。

その様子をお互いで見てびっくり!

なんて。

 

イタリア人と日本人、どこかで

似た感性を持っているのですね。

なんだか笑いつつ嬉しくなりました。

 

 

なぜそこに、あゝなぜあなたは書いたのですか 6月04日

 

色々な本を開いて資料を探していたのですが

久しぶりに見たこの額縁、やはりなんど見ても

一瞬驚いてしまいます。


というのも、これです。

表面の金箔の上に直接、整理番号が記入されています。

こちらも。

なぜ。

なにゆえここに書き込むのでしょうか。

まさか油性ペンではないとは思いますけれど。

この額縁、展示するという本来の用途の予定は無く

もはや資料としてだけの額縁なのでしょうか。

 

整理番号、必要ですからね。

額縁の裏側に、紙のラベルを水性の糊で

貼りつけてくれたらどんなに良かっただろう。

 

だれが、いつ、なぜここに書いたかは

知る由もありません。

現在もそのままにされて本にも載せるということは

おそらく理由もあるのでしょう。

でも、額縁を制作、そして修復する立場としては

なんだか複雑な気持ち。

せっかく素敵な額縁作ったのになぁ、・・・とか。

何百年も大切にされてきたのになぁ、・・・とか。

 

ううむ、わたしが気にし過ぎなのだろうか?

せめて可逆性のあるもので記入されていることを

願うばかりです。

 

 

フレームリメイク お色直し 6月01日

 

小さな黒額縁に古色付け。

ワックスを塗った上に「偽ホコリ」の

パウダーをはたきました。

しばらく待ってから布で磨きます。

この額縁、ずいぶん前に画材店のセールで

ふたつ買って忘れていたのですが、

ひょっこり出て来たので

黒に塗って雰囲気を変えました。

下の写真の奥がリメイクしていないものです。

元は明るいクリーム色の大理石風。

クリーム色もかわいいけれど

黒のアンティーク風も

なかなか良い感じに出来たと思います。

どちらがお好みですか?