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知って驚くたのしみ 3月30日

 

宮本輝著「田園発港行き自転車」を読みました。

宮本輝氏の作品は、高校の国語の教科書で

出会って以来、すべてではありませんが

読み続けています。

 

その「田園発・・・」の中で

『おっしゃった』という言葉が

「仰った」ではなく「仰有った」と書かれていました。

この文章を見たとき、我ながら目が見開きました。

 

「おっしゃった」と言う言葉は日常で使います。

文字として書くとき、またwebで変換する時も

「仰った」となるのが当然と思っていました。

でも今回の「仰有った」で、「おっしゃった」の

本当の、と言いましょうか

本来の言葉の意味がようやく理解できたようです。

目上の人からの「仰せ」が「有った」。

おおせあった。おっしゃった。

そうか・・・!

 

ううむ、なるほど。

すでにご存じの方にとっては「何を今さら」なこと、

「仰せ」の意味を考えれば分かりそうなこと、

そして些細なことかもしれませんけれど

わたしにとっては新知識。

頭の片隅にさっと日が差したような気がしました。

 

新たな疑問も湧きます。

なぜ送り仮名が「仰・った」になったんだろう?

そもそも送り仮名はどうやって作られるのだろう?

 

こうした発見と疑問が自分の日々に

もっと起れば良いのに。

そのためにも、そして楽しみのためにも

読書は生涯続けようと思います。

 

 

Atelier LAPIS(アトリエ ラピス)の様子から 2018年3月№2 3月28日

 

LAPIS自慢の桜の借景が楽しい

春がやって来ました。


そして、約2年半をかけて制作したMAさんの

額縁と古典技法見本板8枚が完成しました。


額縁制作会社にお勤めで日々額縁木地を

作っておられるMAさんですので、

手先はとても器用、そして根気と集中力は

さすがです。

 

はじめて古典技法で、2015年の秋から

まずは額縁つくりから開始しました。


そして様々な技法を小さな1枚の板に作って

いわば「古典技法サンプル」が完成しました。

一通りの技法を経験して、好きな技法も見つかりました。

 

卵黄テンペラでクリヴェッリの部分模写、

大理石模様のフォーフィニッシュ、

水性モルデンテ(箔用糊)でミッショーネ、

卵黄テンペラでグラッフィート。

箔の上に絵具を塗って、絵具層を削って模様を描きます。

などなど8種類すべて違う見本板を作りました。

 

長い時間がかかり完成した姿を見て

達成感は言わずもがな、ですね。

お勤め先の社長もとてもお喜びだそうで

しばらく会社に飾られるとか。

 

MAさん、すばらしい作品を完成させてくださり

ありがとうございました。

今回見つかったお好きな技法を駆使して

素敵な古典技法額縁をぜひ制作してください!

 

古典技法の額縁制作と箔の技法

卵黄テンペラ画教室

Atelier LAPIS

 

 

類人猿の歩み 3月26日

 

朝起きて、ぼんやりと立ちあがったら

腰にぴきっとした小さな衝撃があって

それから30分後にはもうイダダダダ・・・

これはいわゆるぎっくり腰。

背筋を伸ばすと痛い。

腰を丸めるのも痛い。

一番楽な姿勢は、膝を曲げて前傾姿勢

両手は横に垂らして足は肩幅に開いて。

スクワットの途中のような体勢でした。

自分の歩く姿を鏡で見たら、

あら、これって図鑑で見たんじゃない?

猿から人間になる途中、類人猿の姿でした。

 

このまましばらく「常にスクワット状態」の

体勢で過ごしたら、脚と腹筋が鍛えられるかも?

ぎっくり腰が治ったらお腹周りが引き締まって

階段昇りが楽になっていたりして??

なんて呑気なことを考えています・・・。

日頃の運動不足を痛感。

 

ある日突然やってくるぎっくり腰

皆さまもどうぞお気を付けください。

 

 

 

トッポジージョの穴 3月23日

 

金箔を水押しで貼り終えたら小さな穴や破れを繕います。

わたしは「つくろい」と言いますが

つまり小さな箔片で穴うめをします。

箔板に数ミリ角の箔片をたくさん切って準備し、

左手には水用の筆、右手には箔を運ぶ筆を持つと

両手使いで「穴に水を置き箔を乗せる」 という

一連の流れがスムーズに進みます。

イタリア留学時代、額縁師匠マッシモ氏にある朝

“Allora,fai ai topi.”と言われました。

「ネズミをしなさい」?

しばし考えて「金箔の繕いをしなさい」と気づきました。

Topo とはイタリア語でネズミの意味です。

トッポジージョはネズミのジージョなのです。

日本で言う虫食い穴のことをイタリアでは

小ネズミ達がかじった穴と呼ぶのでしょうね。

トッポジージョがクネクネしながら

金箔額縁をかじっている絵を思い浮かべたら

ひとりニヤニヤしてしまいました。

 

 

ジェイン・オースティン 料理読本 18世紀末のレシピ 3月21日

 

ジェーン・オースティンといえば

わたしは真っ先に「プライドと偏見」を

思い出します。

18世紀末のイギリス、田舎の下級貴族

(というのでしょうか)と上流貴族の話。

・・・ひどいまとめ方ですが

その著者オースティンの時代の

料理についての本です。

この本にでているお料理も、庶民ではなく

使用人を置いて生活する人たちのメニューです。


レシピをみると、当然と言えば当然ですけれど

鮭やヒラメならまずさばくところから、鶏や野鳥も

処理(どのように肉の状態にするか具体的に)

の方法から載っているのです。

ゼリーを作るには鹿の角をけずったもの!を

準備せねばならず、羊や仔牛ももちろん

骨や皮付きの状態から始めなければなりません。

コックの仕事とはどこからなのか?!

調理より食材の準備のほうがメイン?


食事を準備することに費やすエネルギーと情熱が

並々ならぬ量だったのでしょう。

いや、そこまでしないと食事にありつけないというか。

冷蔵庫があって、スーパーマーケットがある、

そしてすぐに火を付けられるコンロがある現代からは

手間も時間も想像を超えています。

 

ちなみにこの本は、18世紀末当時のレシピそのままと

現代用にアレンジしたレシピと両方が載っていて

それを比べるのがとても楽しいのです。

昔のほうが脂濃くて野性的な味付けで

今の人が食べたら胃もたれしそう、

そして卵の汎用性の高さに驚いたり。

なにか作ってみようかな、と思ったけれど

いまのところ読んではひたすら唸る本になっています。

 

「ジェイン・オースティン 料理読本」

著者:マギー・ブラック

   ディアドレ・ル・フェイ

訳者:中尾真理

株式会社晶文社

1998年2月28日発行

 

 

額縁の作り方 番外 避けて通れぬ刃物研ぎ 3月19日

 

週末に、まとめて刃物研ぎ。

今日は彫刻刀を12本研ぎました。

 

atelier LAPIS の生徒さんの中にも

最近は彫刻刀をご自分で揃える方が

増えてきました。

自分の彫刻刀を持つからには

手入れも自分でしたいもの。

でも「研いでも余計に切れなくなる」

なんてお話もちらほら聞きます。

切れない刃物は怪我につながりますから

これはよろしくない。

 

そうですね、彫刻刀ふくめ刃物を

砥石で研ぐには練習が必要です。

研いでも切れない理由は、

刃物を砥石に当てる角度が合っていない

また前後させるときに角度がぶれてしまうこと。

恐々やって、必要な力が伝わっていないかもしれません。

砥石も粗いものから極細かいものまであるので

粗、中、細と3種類はあると良いでしょう。

刃こぼれしていないなら中と細があれば大丈夫。

 

彫刻刀を持ったらわきを締めて、ゆっくりと。

すこし研いだら刃先を良く見て

どの部分が砥石に当たっていたか確認します。

なるべく一定のスピードと力加減で

少しずつあてる場所をずらしていきます。

(これはわたしのやり方ですけれど。)

 

・・・と言うは易し。

でも練習すればきっと出来るようになります。

最初は上手くいかなくても、

砥石に当たる刃物をよく見て観察して

すこしずつ動きを改善させましょう。

自分の道具を上手に手入れできると

ちょっとした達成感も湧いて、

制作ももっとスムーズにはかどり、

そして楽しくなりますよ。

 

 

何も無いところへ 3月16日

 

KANESEIのブログ”diario”を始めたばかりの頃から

「何も無い」というカテゴリーを作っています。

何も無いところに行くのが好き、という理由で。

 

正確には何も無くはないのですが。

人工物がほとんど無いところ

荒涼とした開けたところ

地平線がみえるところ。

最近はあまりたどり着けていません。

 

いま一番行きたいのは北海道の野付半島

「トドワラ」と「ナラワラ」です。

きっと非日常の風景がある遠いところ。


写真は「北海道ファンマガジン」からお借りしました。

 

できれば晩秋、冬の来る直前に行きたいのです。

そこに「さわやかな空気」や「鳥のさえずり」

「美しい青空」は要りません。

花々も、そして他の人間も無いほうが望ましい。

寒風吹きすさぶ荒地にひとり立って目を見開けば

飛んでいくような解放感を味わえるでしょう。

 

わたしが「何も無いところ」に惹かれるのは

現実逃避と解放感、そして幸せの再確認

そんなところなのだろうと思っています。

 

 

Atelier LAPIS(アトリエ ラピス)の様子から 2018年3月№1 3月14日

 

このところLAPISの生徒さんの間で

古典技法の箔作業では欠かせない道具である

箔板(箔盤、箔床、箔台、色々な呼び名。

金箔等を切るクッション状の台です。)

を作ることが流行っています。

作っている生徒さんの様子を見て

他の皆さんも作りたい!となるようです。

これはとても嬉しいことです。

制作は自分の世界にこもりがちになるもの。

おおいに他の人からの影響を受けて

興味の幅を広げて頂きたい、

LAPISを切磋琢磨する場にして頂きたい!

と思っています。

 

さて、今回はNAKさんの箔板です。

こちらで紹介する箔板作りは3回目(3人目)。

そして完成した箔板も、本当にそれぞれです。

十人十色とはこのことですね。

NAKさんの選んだ革は、とてもやわらかくて

鮮やかなピンク色。テープは淡い若草色。

下の写真は太鼓鋲の打ち始めです。

金の太鼓鋲もきらりと輝いています。

まずは四隅を打ってから等間隔に打ちます。

太鼓鋲は金にする?銀にする?

迷った結果、両方!

NAKさんが現在制作中の額縁も

サーモンピンクと金の組み合わせですから

やはりお好みが表れているのです。

 

MAさんは職人風でハンサムな板

ISHさんはクラシカルで優雅な板

そしてNAKさんは明るく華やかな色の板。

いやぁ、どれもこれも素敵!

美しい道具は見ていて心躍ります。

 

わたしも新しくて美しい箔板が欲しくなりました。

わたしの箔板は、学生時代に

有森正先生に教わって自作したものです。

当時、何も考えずに選んだのは

紺色に黒いテープ。・・・なんと地味なこと。

実用一辺倒だけれど健気に働く箔板ちゃん、

ずいぶんと味が出て(汚れて擦り切れて)きました。

でも使い慣れた相棒はまだまだ活躍してくれそうです。

新しい箔板を作ってお払い箱にするのも

かわいそうですし、どうしたものか。

欲しいけれど必要ない。

でも作りたい。むむう。

もうしばらく悩むことにします。

 

箔板の製作にご興味をお持ちの方がいらっしゃれば

ぜひAtelier LAPISへいらして下さい。

 

 

手のひらサイズのミニアチュール展 3月12日

 

2月に完成をご覧いただいた

「クリヴェッリの花」のテンペラ模写と

昨年暮にご覧いただいた

「ゴッツォリの天使」テンペラ模写2点を

東急デパート吉祥寺店で開催されます

「手のひらサイズのミニアチュール展」に

出品いたします。

 

カルロ・クリヴェッリ作

「聖母子と聖フランチェスコ、

聖セバスティアヌス」から卵黄テンペラ部分模写

サイズは60×60mm(額縁含まず)

 

ゴッツォリ作マギ礼拝堂のフレスコより天使

卵黄テンペラ模写。55×40mm(額縁含まず)です。

 

30数名の作家による日本画、水彩、アクリル画

そしてテンペラ画と様々な技法で描かれた

小さな作品展です。

ぜひお立ち寄りください。

よろしくお願い申し上げます。

 

手のひらサイズのミニアチュール展

2018年3月15日(木)~21日(水)

東急百貨店吉祥寺店 8階美術工芸品売場

 

 

ヒヤ子の2018年 分裂騒動 3月09日

 

なんと、このブログ「diario」でヒヤ子を

ご紹介するのも今年で5回目になりました。

これを機に「ヒヤ子観察日記」カテゴリーも作りました。

 

2014年にデルフトブルーのヒヤシンスの

球根を水栽培したのが始まり。

翌年からは地植えになって

健気に毎年春に真っ青な花を咲かせています。

名付けてヒヤ子さん。

2017年の花は2本になるはずだったのに

合体したままの形で成長、開花して

その後に小さな第2花を咲かせてくれたのでした。

 

寒かったこの冬、ヒヤ子の発芽も遅く

なかなか成長しませんでしたが、

ひな祭りを過ぎていっきに伸びました。

ある朝にじっくり見てみると

あれ、なんだかおかしいぞ、葉っぱが多いぞ。

 

昨年同様に平べったい第1花の蕾があって

(きっと今年も2本合体型なのでしょう)

その横にすでに二つの小さなつぼみが!

 

なんと。これはもしや・・・

すでに球根が分裂しているのかもしれません。

園芸にも球根にもまったく無知なわたし、

球根がどのように越夏して成長するのか

調べてみたところ、ヒヤシンスの球根は

「花が終わったら掘り起こして日陰で乾燥」

させねばならないことを知りました。

 

幸いにも我が家のヒヤ子は庭の地植えで

肥料も与えていたので、なんとか今まで

毎年花を咲かせてくれていました。

でも地下での姿はどうなっていることやら!

球根が巨大化しているのか、

すでに分裂が始まっているのか。

ヒヤ子クローン化!・・・でしょうか。

 

ひとまず花が終わるのを待って

掘り起こしたらまたご報告させてください。

(ヒヤ子の成長にどうかお付き合いください!)

ううむ、ヒヤ子は健気に生きている。

 

 

菊と牡丹と金と紫 3月07日

 

先日ごらんいただいた制作中の小箱が

完成しましたのでご覧ください。

 

サイズは75×48×23mmで手のひらサイズ

金箔を艶消し仕上げにして

箱のなかは紫色にしてみました。

 

お茶の席で、もしかしてもしかしたら

お香合として使えないかな・・・

などと淡い期待を抱きつつ。

 

何かの折に外国の方にプレゼントできたら

それもまた、とても嬉しいです。

西洋の古典技法で作った

日本伝統模様入りの小箱。

金色と紫色の組み合わせは日本で珍しくありませんが

西洋ではあまり見かけることが無いように思います。

気に入って頂けますでしょうか。

 

 

「works」ページ内「other」にアップいたしました。

どうぞご覧下さい。

 

格子窓の風景 出られない 3月05日

 

木の格子窓の向こうに金属の格子。

木の窓を内側に開けても

外に出られない。

この窓は日本だけれど日本ではないところ。

 

そういえばイタリアの外に向いた窓も

木の格子の外に金属の格子が入っていました。

(多くは1階の部屋だけれど)

 

外から入れないけれど

わたしも出られない。

閉じ込められて叫びだしてしまいそう。

なので、二重格子の窓の部屋には住みませんでした。

 

 

丸と四角 金箔きらきら 3月02日

 

丸いものと四角いものを同時進行で

作っています。

小箱と引出しのツマミです。

 

木地はどちらも市販のもの。

今回はKANESEIにはめずらしく

和風の模様を入れることにしました。

デザインは「日本の模様 第一集」青幻社より。

石膏を塗り磨いた小箱とツマミに模様を転写したら

ニードルで線刻します。

 

赤色ボーロを塗って純金箔を水押ししたら

メノウ棒で磨きつつ、線刻のラインも

細いメノウでなぞり磨きます。

 

磨き終わりました。

金箔がきらきら。

和柄初挑戦でしたが、新鮮な気分です。

完成後、またご覧頂きたいと思います。