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猫とお肉とアフリカと 4月08日

 

2024年2月のフィレンツェ滞在記

相変わらず忘れたころに再登場です。

フィレンツェ滞在時には公私ともに(?)

お世話になりっぱなしの友人Lですが

今回の滞在でもLと奥さんCちゃん

そして猫のムジッチェとチョルニのお宅へお邪魔しました。

猫を愛でながらビステッカをいただくのです。

 

今回、わたしはベジタリアンCちゃん用に

ホウレン草の胡麻和えとポテトサラダを山盛り

そして頂き物のシャンパンとアマローネ

(赤ワイン)がありましたので持っていきました。

アマローネはイタリア北部ヴェネト州名産ワインだそうで

ヴェネト州出身のLは大喜び、そして

レアのステーキにはピッタリ!でございました。

シャンパンもアマローネも自分では選べない

(知識がない上に価格的にも)お酒でしたので、

大切な友人とシェア出来て何よりでした。

 

▲シャンパンと猫・・・至福の時。この子はチョルニ。

お行儀の良い女の子。でもテーブルに乗ってはいけません。

 

▲相棒のムジッチェは人懐っこい男の子、じっとしていません。

テーブルからは降りなさい~。

 

さて、今年もLが準備してくれた

美味しいお肉と記念撮影をしまして、

早速ジャジャッと焼いていただきます。

もちろんLが焼いてくれます。

Cちゃんとわたしは座りっぱなし!

 

▲満面笑顔のLをご紹介できないのが残念

 

 

フィレンツェのTボーンステーキは厚切り

それをレアで頂くのが定番です。

外側はカリッと香ばしく、中はほんのり暖かい。

そして血が滴ることはほとんどありません。

 

▲さらにもう一種

 

ステーキのつづきはイタリアンソーセージ

「サルシッチャ」です。

これは豚肉だと思うのですが、ハーブが効いていて美味しい。

そして半生・・・。

以前から不思議なのですが、イタリアでは

「生ソーセージのパニーノ」がありますし

こうして家やバーベキューでも半生で食べます。

日本では生の豚肉は絶対食べちゃダメ!と言われますが

イタリアと処理に違いがあるのか、未だに謎なまま。

そして謎なまま美味しいので食べてしまう・・・。

 

▲毎回ムジッチェが膝にやってきて、わたしはもうノックアウト。

 

「もうお腹いっぱいだ~!」と叫ぶ頃

ベストなタイミングで猫が膝に座ってくれます。

実は言葉が分かっていて、残り物をつまもうと

膝に乗っただけかもしれません・・・

でも良いのです。幸せなので。

(もちろん彼らには人間のご飯は食べさせません。)

猫の頭のにおいを嗅ぎながら食後のジントニック・・・

なんたる幸せ。

 

▲Cちゃんに抱かれて至福のチョルニ、それを見るCちゃんもうっとり。

 

女の子のチョルニはわたしには抱っこさせてくれません。

それもまた猫らしくて「くぅぅ~♡」となるポイントです。

 

LとCちゃんは2023年夏にアフリカ旅行をして

すっかりアフリカに魅了されたとか。

今年の夏も今度はボツワナに行くのだと張り切っていました。

写真を沢山見せてもらって、地平線や真っ青な空、

荒涼とした砂漠も力強いサバンナ、

そして野生動物の眼差しも美しい宿ももう別世界、

二人の興奮が伝わりました。

「一度は行った方が良いよ!

だまされたと思って行ってごらん!!」と

二人に勧められました。

・・・アフリカかぁ・・・遠い。

感覚的にも距離的にも、わたしにはとても遠い。

イタリアからアフリカって、南下すれば良いんだもんねぇ・・・

時差が無いのですもの。日本からよりずっと近い。

きっと日本人とイタリア人と

アフリカに対する感覚も違うのかもしれない、

実際イタリアの街にはアフリカ系の人たちも沢山いて

イタリア社会に馴染んでいます。

歴史的にも地理的にももっと近しいんだろうなぁ、と

酔った頭で考えていました。

 

アフリカに行く前に、まずは

南極とニューヨークと北インドに行きたい・・・

二日酔いの翌日に思っていました。

 

技術とセンス 4月04日

 

現在フィレンツェに滞在中の友人が

美しい写真を送ってくれました。

EREDI PAPERONE Bottega d’Arte の

ショーウィンドウに並ぶKANESEI小箱です。

 

 

写真のセンスと技術があると、こうも違うのですな…!

彼女の配偶者の方はフォトグラファーなので

やはりそんな所もお二人は通じているのかもしれません。

 

 

あれ、こんなにカッコいい雰囲気に展示されていたっけ?

 

 

おや、こんな美しい陰影が見えていたかな??

 

 

実物より良く見えている!?

 

 

この小箱たちが良いご縁に恵まれますよう。

もしフィレンツェにお越しがありましたらぜひ

EREDI PAPERONE Bottega d’Arte へお立ち寄りください。

 

EREDI PAPERONE Bottega d’Arte

Via del Proconsoli,26r Firenze

10::00~13:00/14:00~19:00

 

 

お終いのとき 3月14日

 

わたしの額縁師匠パオラとマッシモについては

何度もお話しているのですが、

もう少しお付き合いください。

 

今回のフィレンツェ滞在で一番に連絡したけれど

なかなか会うことが出来なかったパオラ。

週に1~2度、体調の良い午前中だけ動けるとのことで

滞在後半にようやく会いました。

小柄でとても痩せていて身体が強くないパオラは

昨年秋から体調を崩していて

今は酸素ボンベを携帯しつつ吸入する生活になっていました。

昨年暮に夫のマッシモが亡くなり自分の体調も限界

これが潮時なのよ、と工房を閉じることに決めたと話してくれました。

 

▲「CORNICI」額縁。

シャッターが閉まっている時間がほとんどになった。

 

今はとにかく最後の注文額縁をどうにか仕上げること

(これは無理かも・・・と言うけれど古くからのお客様だから待ってくれるはず)。

その後には大量の材料や道具、荷物を片付けること

見本として店舗に掲げていた額縁を売りきること

そして空にした「元工房」店舗を賃貸に出すこと。

 

店にはまだ額縁が沢山かけてあって、

でもところどころ歯が抜けたように額縁が無くなっている壁には

かつてあった額縁の跡がうっすらと残っている。

あの額縁もこの額縁も、わたしを見習いで

受け入れてくれていた頃からあって、いつも眺めていた額縁でした。

なかにはマッシモを手伝ってわたしも制作に参加した額縁もありました。

 

 

現実問題として、この大量の物の仕分け、

業者を呼んだり売ったり捨てたり、事務手続き、

それらは今のパオラには無理なのでは・・・

かといって、わたしが出来ることはほとんど何も無い。

せいぜい荷物運びゴミ捨て掃除程度の肉体労働で

そんなのは最後の最後。

パオラのひとり娘(裁判所勤務)や友人知人がすることであって

わたしが出る幕では無いのだと頭では理解しつつも

でもこの寂しさ心細さはとても辛い。

次にフィレンツェに行った時、それが今年か来年か数年先か

その時にこの工房はもう姿を変えているのだろうと覚悟をしました。

 

店の見本額縁はすでに予約済みのものも沢山あったので

わたしはひとつだけ小さな額縁を買うことにしました。

パオラと、今は亡きマッシモの合作、ふたりの工房の残照。

 

 

ところ変わればお好みも変わる 3月07日

 

さて、今回のイタリア・フィレンツェ滞在の

目的1はマッシモのお墓参りでしたが、

もうひとつの目的は小箱販売継続に向けての諸々でした。

 

昨年2月の滞在時に友人Lに手伝ってもらって

ようやく辿り着いた「KANESEI小箱販売店代理店」の

EREDI PAPERONE へ、納品小箱を担いで行って参りました。

 

フィレンツェ特産工芸品のマーブル紙や革を使った

高級文具店の奥の一角にあるガラスケース、

そこに我が娘たち(小箱)が並んでおりました。

Lが写真に撮って送ってくれていましたが

自分の目で見ると喜びもひとしおでした。

▲お送りしたショップカードも置いてくださっている

 

鍵付きのガラスケースでライトアップされていて

安心安全にキラキラ輝いています。

なんだか授業参観に来た母の気分と言いましょうか。

 

今回は新しく10個の小箱をお預けしました。

20個持って行ったうち、売れ筋10個を

お店の奥様スザンナさんに選んでいただきました。

 

実は箔を使ったものが売れているような気がしていて

今回半分は箔小箱を持って行ったのですが

意外にもスザンナさんが選んだのは色小箱、

それも明るめの色の小箱でした。

そういえばショーウィンドウに残っているのは箔小箱が多い、

そしてホワイトゴールド、錫箔はず~~っと前から残っている。

日本ではというと箔の小箱がメインですし

色小箱もシックな色が人気だったりして。

ところ変わればお好みも変わる。

 

そうかそうか、ふむふむ。

このお店で買って下さるお客様の傾向が半年経って

少しずつ見えてきました。

 

▲素敵なウィンドウを見て、通りがかりで立ち寄って下さる方も。

2月なのに気温20度近くあった日、半そで姿とダウンが共存・・・

 

今までメールでのやり取りばかりでしたが

今回スザンナさんと3日に一度は顔を合わせて

送金についてや税金について手続き諸々やら

打ち合わせをすることが出来ました。やはり手っ取り早い。

そして実際のお店やお客様の様子を見ることが出来て

本当に良かったと思っています。

 

スザンナさんとお互いに人となりも分かって来た安心感も大きい。

(笑顔が素敵でとても優しくて機嫌の良し悪しを表に出さない、

手間も惜しまないキッチリしたスザンナさんでした。

語弊があるけれどイタリア人とは思えない・・・

日本人同士のような感覚で接することが出来ました。)

これからまだまだ長いお付き合いが出来るよう期待しつつ

あわよくば将来的に小さい額縁(写真やハガキサイズ)も

置いてもらえたら良いな、ウヒヒ・・・

などと小さな野望も抱いております。

 

今はとにもかくにも、良い小箱を作ってお届けしたいと思います。

EREDI PAPERONE Bottega d’Arte

Via del Proconsoli,26r Firenze

10::00~13:00/14:00~19:00

 

 

ありがとうはどこからでも 3月04日

 

フィレンツェ滞在から帰国いたしました。

1か月弱の期間、とてもとても充実した盛沢山の時間を過ごしました。

 

出発前のブログ(1月22日)で、わたしの額縁師匠マッシモが

昨年12月に亡くなったとお話しました。

今回の滞在でマッシモの墓前にご挨拶することを

大きな目標にしていたのでしたが、

結局叶えることは出来ませんでした。

 

 

マッシモの妻でわたしのもう一人の師匠である

パオラは現在体調を崩していて、

週に1~2度ほんの少し体調の良い午前中だけ動ける様子です。

すでに工房はほとんど使われておらず

見本として壁に掛けていた沢山の額縁も

「もう作れないから必要ない」とどんどん販売している状態。

そんなパオラに「マッシモのお墓に連れて行ってほしい」とは言えず

墓地の場所もフィレンツェ郊外でバスで行けるものの

「ものすごく広い墓地だから、あなた一人で行っても

お墓の場所が分からないでしょ・・・」と諭されてしまったのでした。

つまり「そんなに必死になって行く必要はないでしょ、

もう亡くなってしまったのだから」と言うことなのかな、と思いました。

 

日本のお墓参りの感覚とイタリアのそれと

大きな違いはないように感じます。そして

「お墓に大切な人の存在を感じるか感じないか」が

人それぞれなのも同じ。

最近のイタリアでは火葬が多く、

散骨(散灰)も増えているのだとか。

 

 

フィレンツェには驚くほど沢山の教会があって

そのどれもに、大切になさっている方々の存在を感じます。

お花、蝋燭の灯、清められた床などなど・・・。

マッシモに「ありがとう」も「さようなら」も言えなかったけれど

手入れの行き届いた教会に立ち寄るたびに

なんとなくマッシモを思っていたので、

きっと伝わっていたであろう

伝わっていてほしいと思っています。