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楽しい迷走 4月29日

 

あいかわらず小箱は作っております。

 

デザインやイメージは大まかに決めて

作りはじめるのですけれど

具体的になってくると途中で

「なにか違う」になって

その都度デザインを変更したりします。

鉛筆で模様を書き入れてみたりして。

▲格子模様をパスティリアで入れたけれど

釈然としなくて模様を試してみた図。

 

ご注文品ではないからこその迷走。

成り行き任せと言いましょうか。

でも思いがけない楽しい結果に

なることもあるのです。

おや、失敗か?と思っていても

案外と気に入ってくださる方もいたり。

楽しみつつ迷走しております。

 

 

大切な「よしはる彫刻刀」 4月26日

 

石膏を塗り終わり、乾いたら

石膏の凹凸を整えるために

紙やすりで磨くのですが、

今回のような彫りが細かい場合は

彫刻刀などで再度彫り起こすこともあります。

リカットと呼ばれる作業です。

▲こちらまだ石膏を塗っております。

 

特にこの額縁、オリジナルは

17世紀ヴェネト地方(ヴェネチアがある場所)

で作られたのですが、それはそれは

キリリとシャープなラインなのです。

デザインが曲線と花々でロマンチックですが

シャープなラインで引き締まっていて

それを再現したいのでございます。

上の写真、リカットに使っているのは

小学校時代に図工で使った学童用彫刻刀。

物持ちが良いにも程がありますな。

裏側にはマジックでデカデカと

名前が書きこまれております。

おそらく4年生で買ってもらったのでしょう。

 

石膏を削ると彫刻刀が傷むので

リカットには専用の彫刻刀が便利です。

学童用ですので切れすぎず丈夫ですから。

 

思えばこの「よしはる彫刻刀」で

ずいぶんいろんなものを作りました。

図工では自分の肖像浮彫りや木版画、

中学生になってからは消しゴムはんこ、

高校の美術クラブでは壁掛け木彫時計・・・

そして今も現役なのですもの

わたしの長い長い仲間です。

 

ネット検索してみたら、この「よしはる」は

いまも同じデザインで販売されていました。

ただ箱は紙からプラスチックに変更。

この部分に時の流れを感じました・・・。

 

 

ワックス実験悲喜こもごも 4月22日

 

ずいぶん前、2017年に

完成させました彫刻の額縁

市が尾のAtelier LAPIS に飾らせて頂いたり

サンプルとして手元に置いていましたが

どうも・・・なんだか気に入らない。

4年経って感覚や好みが変わったのかも

しれません。

▲以前の状態。汚しが不自然なのです。

 

気に入らないなら変えてしまえば良いじゃない?

なにせ自分で作って自分で持っている

額縁なのですから、遠慮は必要ありません。

 

まずはスチールウールで磨ります。

同時に以前に付けた古色のワックスや

パウダーも取り除いてしまいましょう。

 

そして改めて褐色のワックスを塗ります。

このワックスは最近手に入れたもので

今までのワックスと少し違います。

今までは留学時代に教わったレシピで

調合していたワックスなのですが

今回の新しいワックスは市販品。

実験もかねて使ってみることにしました。

▲黄色味が抑えられ、濡れた感じ。

 

ふうむ。

今までより褐色が強いイメージです。

そしてなんだか・・・日本の他工房の製品の

色とツヤに似ているような?

言ってしまうと「日本製っぽい」ような。

 

以前に「KANESEIの金は色が軽い」と

言われたことがあるのです。

他製品より黄色味が勝っていて重厚感が無いと。

いろいろと謎が解明されてきました。

 

今までの自作ワックスも

今回の市販ワックスも

一長一短あるのです。

まだ調整が必要だけれど

使い分けることができそう。

手持ちの札が増えましたよ・・・フフフ。

 

 

黄色いお花のお家 4月19日

 

わたしの記憶によりますと

モッコウバラの満開時(東京)は

5月の大型連休ごろなのですが

今年2021は4月18日現在すでに

満開~終わりに差し掛かっています。

思えば昨年2020年も「今年は

満開が早い」と書いておりました

そんな昨年よりさらに早い今年

どうしちゃったのでしょうね。

桜も早ければモッコウバラも早い。

いつもモッコウバラが咲くころは

わたしの額縁作業がなぜか

一年で一番忙しいことが多いのですが

今年は「命がけ」(大袈裟ですが)な

最終局面を迎えて、我ながら

寝ても覚めてもその額縁ばかり

考えている状態になっています。

 

納品は間近、制作は順調ですし

こうした場面も人生には必要ですから

いっそのこと楽しんでしまえ!

(実際は難しくとも)と

張りきって咲き乱れるモッコウバラに

今年も励まされております。

作業部屋の側壁に植えてあるので

道行く親子の会話が聞こえます。

「わー、今年も綺麗ね~」とお母さん

「きいろいおはなのおうちだ!」と

幼稚園くらいの子供の声。

たまらなく嬉しく、和みました。

 

どうにもこうにも。 4月15日

 

先日に外側に木枠を取り付けて

縁彫刻をしていた額縁ですが

まぁ・・・こんな感じで。

思ったようにはなかなかいきませんが

目の前に「ドツボ」(いつまでたっても

終えられない心境)が見えてきたので

これはこれとして、次に進みます。

 

 

グスターヴォさんとの会話中の

メモ書きが木地に残っています。

「stracantone」三角刀

「tiglio」シナノキ

「spigolo」エッジ、縁

 

この3つの言葉、留学中には

知っていたはずなのに、もうすっかり

頭の中から消えていたのでした。

石膏を塗ると消えてしまう。

もう2度と忘れないように。

 

 

コンスタブル展と額縁の謎 4月12日

 

三菱一号館美術館で開催中の展覧会

「コンスタブル展」に行きました。

なんと・・・展覧会は1年以上ぶり。

我ながら信じられませんけれども。

 

さて。

この展覧会ではもちろん19世紀イギリスの

美しい風景を描いたコンスタブル作品を

ぼんや~り観て心を洗うのが目的ですが

実はもうひとつ。

額縁にある謎があって、実物が見たかったのです。

▲最後の部屋にあった撮影可の作品

「虹が立つハムステッド・ヒース」

1836年 カンヴァス テート美術館所蔵

 

この額縁はおそらく19世紀のオリジナル。

上部をご覧ください。

スライド式の仕組みと突起があります。

これは一体なんだ・・・?

▲本展では厚い無反射ガラスが入っていました。

 

先日、京都の「ガクブチのヤマモト」さんの

インスタグラムにこの謎があったのです。

山本さんが「これは一体なんだ??」と。

その後、わたしもどうしても気になって

イタリアの額縁史先生に尋ねました。

先生がさらにロンドンのナショナルギャラリー

額縁部門の方に問い合わせてくださり

とうとう謎が解けたのでした。

「額縁の表からガラスを出し入れできる仕組み」

なのですって。

当時のロンドンは産業革命真っ只中で

大気汚染もひどかったとか。

(おそらく石炭の煤でしょうか)

ヨーロッパでは今も昔も一般的には

油彩額縁にガラスは入れないのですけれど

当時は室内に飾る油彩画も煤で汚れるほど

大気汚染がひどかったから、だそうです。

 

なるほど・・・。理由は分かりました。

だけど、具体的にどのような仕組みで??

実物を見ましたけれど、その仕組みは

想像するしかありません。

ガラスのサイズはおそらく、

左右は額縁窓と同寸法で、上下の寸法が

5~10mm程度大きいのではないでしょうか。

で、下のカカリ内側にサンがあって

ガラスを表から差し込んで、

上の金具をスライドさせて留める、と。

そんな風に想像します。

突起は引っ張る取っ手なのか、

はたまた押してガラスを動かすのか

これは謎なままです。

 

▲展覧会見学後に外に出ましたら

コンスタブル的な空と雲が。

 

いつか実際にガラスの出し入れを

しているところを見学したい。

額縁の仕組みをじっくり見たい。

などと夢見ています。

いつかきっと実現したいです。

 

テート美術館所蔵 コンスタブル展

三菱一号館美術館 5月30日まで

 

花を見て思う 4月08日

 

あっという間に咲いた桜は、やっぱり

あっという間に散って

もうつつじが満開になっていたりして。

庭のライラックを摘んで生けたら

部屋が日差しで暖かすぎたのか

これもあっという間にしおれました。

 

 

なんだか・・・早すぎる!と思うも

コロナ禍は一向に終わる様子もなくて

じりじりと焦げそうな気持になります。

 

早く去ってほしいものは去らず

待ってほしいものは待ってくれない。

ままなりませんね。

 

 

・・・などと愚痴を言っていても

わたしの時間は待ってくれないのでした。

 

するべきこと、できることをするのみ

でございますね。

 

 

シリーズ「豆」 4月05日

 

小箱といっても形さまざまに

作っておりますけれど

その中でも特に小さな箱

豆のような小箱があります。

「豆」シリーズでございます。

 

 

左上から時計回りに

・パスティリア(石膏盛り上げ)に

 ホワイトゴールド箔の水押し

 メノウ磨き

・パスティリア(石膏盛り上げ)に

 純金箔の水押し、メノウ磨き

・純金箔水押しにアクリル彩色

 イニシャルKモノグラム

・イタリアのオーナメント

 アクリル彩色、古色仕上げ

・イタリアのアンティークから型取り

 オーナメント、アクリル彩色

・イタリアのオーナメント

 アクリル彩色、古色仕上げ

 

 

サイズは

外側:35×35×23mm(オーナメント含まず)

内側:22×20×15mm

指輪なら斜めに入る感じです。

 

いかがでしょうか。

なにかに使っていただけますか?

 

「works」ページ内「other」にアップいたしました。

ページ内下部です。スクロールしてください。

どうぞご覧下さい。

 

 

Firenze 2020-17 4月01日

 

フィレンツェには大小沢山の

公立・私立の美術館があって

まだまだ知らない行ったことのない

美術館・博物館があるのですけれど

結局いつも決まったお気に入りの

美術館にばかり行っているようです。

 

せっかくなのにもったいない?

すぐに来られる場所ではないから

他のところも見てみよう・・・と

出発前には思うのですけれど

同じ美術館の同じ展示品でも

その時々の天気や自分の気持ちで

印象が変わるものですから

やっぱり2度3度と通うのです。

 

さて、そんな訳でして今回も

大好きなホーン美術館へ行きました。

2018年のホーン美術館訪問はこちら

この美術館はわりと大きな交差点にあって

車やバスが行きかうのですが

中庭は驚くほど静かです。

 

▲真っ青な空が中庭から見上げられる。

 

▲その足元は雨上がりの水に映る空

 

▲フィレンツェ独特のオフホワイトと

グレーの組み合わせ。

このシンプルな美しさはローマのバロックを

観た後はますます心に沁みます。

 

まずジョットの「聖ステパノ」に会います。

相変わらず爽やかで素敵な笑顔です。

▲画集などでは見られない角度で観察。

 

▲うろ覚えの記憶では、たしかこの

青緑色のボーロの色が特殊で、

ジョット作品と認定できたと書いてあった。

・・・だったような。記憶力が無さすぎです。

 

2階のちいさな道具の部屋へ。

▲階段踊り場から中庭の装飾壁が見られる。

右にはテラコッタで作った雨どいが。

フィレンツェの屋根瓦や床タイルとおなじテラコッタです。

ちなみにテラコッタとはイタリア語で terra-cotta

「焼いた土」の意です。

 

この時ちょうど美術館学芸員さんの

無料ガイドツアーが行われており

飛び入り参加させてくださいました。

前回からの謎、この美しい道具は何ですか?

答えはなんと、金箔を磨く道具。

つまりわたしが今も使っているメノウ棒と

同様に使われていた物なのです。

(解説によると写本用だとか。)

なんとまぁ。象牙でできた磨き道具。

美しいにも程があるではありませんか。

・・・ほ、ほしい!

こんな美しい道具を作ったのはどんな人?

これを使ったのはどんな細密画家?

そしてそれはどんな写本??

その写本はいまどこに???

想像に想像が重なって

ますますこの道具に引き込まれるのでした。

 

これだから「好きな美術館通い」は

止められないのでございます。

幸せな時間でした。