top » diario

diario

コンスタブル展と額縁の謎 4月12日

 

三菱一号館美術館で開催中の展覧会

「コンスタブル展」に行きました。

なんと・・・展覧会は1年以上ぶり。

我ながら信じられませんけれども。

 

さて。

この展覧会ではもちろん19世紀イギリスの

美しい風景を描いたコンスタブル作品を

ぼんや~り観て心を洗うのが目的ですが

実はもうひとつ。

額縁にある謎があって、実物が見たかったのです。

▲最後の部屋にあった撮影可の作品

「虹が立つハムステッド・ヒース」

1836年 カンヴァス テート美術館所蔵

 

この額縁はおそらく19世紀のオリジナル。

上部をご覧ください。

スライド式の仕組みと突起があります。

これは一体なんだ・・・?

▲本展では厚い無反射ガラスが入っていました。

 

先日、京都の「ガクブチのヤマモト」さんの

インスタグラムにこの謎があったのです。

山本さんが「これは一体なんだ??」と。

その後、わたしもどうしても気になって

イタリアの額縁史先生に尋ねました。

先生がさらにロンドンのナショナルギャラリー

額縁部門の方に問い合わせてくださり

とうとう謎が解けたのでした。

「額縁の表からガラスを出し入れできる仕組み」

なのですって。

当時のロンドンは産業革命真っ只中で

大気汚染もひどかったとか。

(おそらく石炭の煤でしょうか)

ヨーロッパでは今も昔も一般的には

油彩額縁にガラスは入れないのですけれど

当時は室内に飾る油彩画も煤で汚れるほど

大気汚染がひどかったから、だそうです。

 

なるほど・・・。理由は分かりました。

だけど、具体的にどのような仕組みで??

実物を見ましたけれど、その仕組みは

想像するしかありません。

ガラスのサイズはおそらく、

左右は額縁窓と同寸法で、上下の寸法が

5~10mm程度大きいのではないでしょうか。

で、下のカカリ内側にサンがあって

ガラスを表から差し込んで、

上の金具をスライドさせて留める、と。

そんな風に想像します。

突起は引っ張る取っ手なのか、

はたまた押してガラスを動かすのか

これは謎なままです。

 

▲展覧会見学後に外に出ましたら

コンスタブル的な空と雲が。

 

いつか実際にガラスの出し入れを

しているところを見学したい。

額縁の仕組みをじっくり見たい。

などと夢見ています。

いつかきっと実現したいです。

 

テート美術館所蔵 コンスタブル展

三菱一号館美術館 5月30日まで