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三つ子は踊る 6月27日

 

「FIORE-2」デザインの額縁3点を制作中です。

木枠が完成したので記念撮影をしました。

これからガラスと作品を入れて額装し

お届けの準備を整えます。

fiore-2b

3つとも同時期に同じ気持ちで作っているのですが

少しずつそれぞれに特徴があります。

それが機械で画一的に作る額縁との大きな違いです。

「手作りの特徴」と言ってしまえばそれまでですが

不安定さをいかに減らしつつ でも「揺れ」は残し

KANESEIの額縁を選んでくださるお客様に

納得していただけるレベルの額縁を安定して作るか・・・。

これがわたしの目下の そして永遠の課題です。

 

さて この3つ子の額縁。

制作中は地味な外見(?)だと思っていましたが

完成してみたら なんだか楽しげに踊る女の子3人に見える・・・のは

わたしのひいき目ですね。ハイ。

fiore-2a

 

 

貴婦人と一角獣 6月24日

 

いま 六本木の国立新美術館で特別展

「貴婦人と一角獣」展が開催されています。

開始前からチラシを眺め 駅のポスターを眺め

心待ちにしていた展覧会です。

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この展覧会のメインは 6枚1組のタピスリー。

15世紀末に作られたとされるこれらタピスリーについては

わたしが説明するまでもないことなので省きますが

展覧会場の広い部屋に揃って展示されており

美しさも厳かさも そして迫力を堪能するためにも

とても配慮されています。

タピスリーに囲まれてうっとり至福の時間を過ごせました。

 

今回の展覧会で一角獣をはじめてじっくり観ました。

あの想像上の生き物はいままで「角の生えた馬」の形と

思い込んでいたのですが 違うのですね。

蹄が割れて顎髭があって 大きい白ヤギのような?

もちろん想像上の生き物ですから理由は必要ありませんが

でも「なぜヤギを原型にしたのだろう」という

単純な疑問が湧きました。

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一角獣には善悪両方の寓意があるそうです。

そこから「ヤギであること」の理由も見えて来るのでしょうか。

とても気になります。

 

貴婦人と一角獣展

東京・新国立美術館 7月15日まで

大阪・国立国際美術館 7月27日~10月20日

http://www.lady-unicorn.jp/

 

 

 

La nostalgia in Italia 2011 Firenze -Mi manca la dolce!- 6月20日

 

イタリアの郷愁 2011 フィレンツェ -甘いものが食べたい!-

 

フィレンツェはローマやミラノに比べると

小さな街ですので 散策はほぼすべて歩きです。

歩いて回るからこそ 目的地への途中での発見が沢山あり

気になる路地の寄り道も気の向くまま です。

そして心躍る興奮のぶん エネルギー消費も増えまして・・・

つまり甘いものが食べたくなるのです。

 

わたしの額縁師匠マッシモ氏の工房から歩いて数分のところに

ベッカリア広場があります。

映画館があって 留学当時何度か通った場所です。

ここに可愛らしいケーキ店ができていました。

「DOLCI E DOLCEZZE」というお店。

ミントグリーンと金の配色も女性好みの可愛らしさ。

ドゥオーモ広場にあったような伝統的なお菓子屋さんとは一味違う

日本でも見かけるようなシンプルなケーキが並びます。

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イタリア語で「甘い」を “dolce”と言いますが

ケーキなど甘いものを指す言葉でもあります。

店名を訳してみればそのまま「ケーキとお菓子」。

 

店内のカウンターには タルトレットがぎっしり並びます。

目移りしてひとつを選ぶのが一苦労・・・

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このお店の一押しは レモンのタルトだとか。

午後には売り切れてしまう人気商品だそうです。

同行した人が選んだので ひとくちお味見。

エッセンスなど使わない レモン本来のさわやかさでした。

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悩んだ挙句 わたしは木イチゴのタルトにしました。

なぜこれを選んだか?・・・見かけの可愛らしさです!

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これまた木いちごの甘酸っぱさとカスタードクリームが絶妙。

本当はひとつと言わずいくつでも という気分でしたが

じつはまだ午前中でしたので 我慢我慢。

ちなみにこのお店の素敵なところは タルトと一緒に

スプマンテ(白の発泡ワイン)の組み合わせをお勧めしてくれるところ。

まだお日様が真上を通る前から ケーキとワインでほろ酔いのご機嫌

益々散策が楽しくなったのでした。

dolci e dolcezze : http://www.mercurioviareggio.com/dolci&dolcezze.htm

 

 

くちなしの花の香り 6月17日

 

先日 雨がまだ降っていないカラ梅雨の頃に

駅からの帰り道では そこかしこのお庭から

くちなしの花の甘い香りが漂っていました。

香りのある花は 形が見えなくても確かな存在感があって

「ああ 今年もこの花の季節がやってきた」と強く思います。

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くちなしの花で毎年思い出すのは 映画「旅情」です。

1955年公開の キャサリン・ヘプバーン主演作品。

舞台は初夏 くちなしの花の季節のヴェネツィアです。

この映画でふたりの男女が出会って 初めてのデートのシーン

そして最後の別れと旅立ちのシーンで

男性から女性へ くちなしの花が贈られるのです。

(正確にはラストシーンでは渡せないけれど。)

男性が女性へ贈る花と言えばバラをイメージしますが

小枝に一輪咲いたくちなしの花を贈るシーンが新鮮で

「ちょっとした贈り物」の感じがとても印象的でした。

 

この「旅情」は 大学時代にイタリア語の教授が

紹介して下さったのですが

「ヴェネツィアを舞台にした映画は沢山ありますが

『旅情』が一番ヴェネツィアらしい雰囲気が表現されています」

と話しておられたのが知るきっかけでした。

映画の中の明るい初夏の日差しと輝く海 賑やかな広場や明るい人々

そしてロマンチックで切ない物語・・・

わたしにとって今も 繰り返し観る映画のひとつです。

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匙の額 6月13日

 

先日ご覧に入れたバースプーン用の変形額が完成し

http://www.kanesei.net/2013/05/20.html

無事にお届けしてまいりました。

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上の写真 額縁を横断する白い帯3本は

図らずも写ってしまった天井の模様ですが

バースプーンと交差して なんだか十字架風になって

ドラキュラ的雰囲気を演出していたりして。

 

スワロフスキーとブラックダイヤモンド そしてシルバー

一番美しく見えるバックを考えました。

当初は白い薄手のシルク布 または臙脂色や深緑

色々検討しましたが 最終的に黒のベルベットに決定しました。

無難と言えば無難ですけれど・・・スプーンの白い輝きが

黒いベルベットで引き立ち際立たせられたかな と思います。

長方形の額縁では 細長くてバランスがとり辛いスプーン用額縁も

変形六角形にすることで 安定させることができました。

 

横から見ると 本当に棺のよう。

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こちらの額縁は 浅草にあるバー用品とグラスのお店

「グラスファクトリー 創吉」さんでご覧いただけます。

もちろん この美しいバースプーンもご購入いただけます。

どうぞお立ち寄りください。

創吉: http://sokichi.co.jp/

 

 

夏の予感 6月10日

 

梅雨入りの宣言がありましたが

真夏のような空から 雨が降る様子はありません。

 

今年の緑のカーテン ゴーヤも日差しを浴びて

すくすくと育っています。

夕方に庭中に水をまいて 土のにおいをかぎました。

ゴーヤの鮮やかな緑の葉に水滴が乗って涼しそう。

 

このまま夏になってしまう?

入道雲が見えるようになるのも間近なのでしょうか。

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La nostalgia in Italia 2011 Firenze -Extra 7 La cartolina Misteriosa- 6月06日

 

イタリアの郷愁 2011 フィレンツェ -番外7 不思議絵葉書-

 

何度かご紹介している「不思議絵葉書」シリーズですが

今回のイタリア旅行で見つけた一枚は

フィレンツェのサンタ・マリア・ノヴェッラ教会所蔵

十字架磔刑の木彫写真でした。

 

細密に彫られた木彫象に さらに彩色をほどこし

イエス様がうけた拷問の傷跡 滴る血が

あまりに生々しく 痛々しい。

執拗なまでの傷の表現に対して

イエス様の表情は 穏やかです。

そして 煌々と当たる照明の反射でなお一層

印象を強くしています。

 

ほかの「不思議絵葉書」同様に

静まり返った深夜に物音ひとつせず

ここだけが真空の異空間のような・・・

 

やはり誰宛にも投函せず 持ち帰りました。

 

s.m.no-crocifisso

Basilica di Santa Maria Novella

Crocifisso in legno dipinto di Cultura Anglosassone

sec.XIII‐XIV

 

ターナーでげす。 6月03日

 

夏目漱石の「坊ちゃん」のなかで

赤シャツが美しい景色を見て「ターナーのようだ」と言うと

ごますりの野太鼓が「まったくターナーでげす。」

と答える・・・といったワンシーンがあります。

漱石はターナーの絵がとても好きだったそうですから

自分の作品中でも美しい風景をターナーの作品になぞらえて

登場させたのだろう・・・と思います。

 

ターナーは19世紀イギリスの画家で

漱石が言うとおり 美しい風景画で有名です。

霞がかかったような独特の空気と反射して輝く光が描かれて

絵の前に立つと 心に解放感がふわぁっと広がるような気がします。

 

そんな素晴らしい絵を描いた画家ターナーですが

わたしは「坊ちゃん」を読んで以来 ターナーと聞くと

反射的に「ターナーでげす。」のセリフが浮かぶようになりました。

漱石もターナーも不本意かもしれませんけれど

この「ターナーでげす。」の一言で とても親近感が湧くのです。

 

そんな訳で ターナー展でげす。

見逃せません。

turner

ターナー展 http://www.turner2013-14.jp/

夏目漱石の美術世界展 http://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2013/soseki/soseki_ja.htm