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酸化してしまわないうちに 3月28日

 

以前(2011年)にご覧いただいたトピック

「額縁の簡単なリモデル」の続きをご紹介します。

ずいぶんと時間が空いてしまいました。

http://www.kanesei.net/2011/05/30.html

 

さて 額装してから40年以上経つ作品2点ですが

(額裏に1971年販売の記載がありました。)

裏板の色を見ても分かる通り 酸化が進んでいます。

埃や虫の侵入を防ぐための 紫の紙テープも酸化し弱っています。

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額縁を開けてみると 額装の様子は下の写真のようになっていました。

右上から順に 裏板 クッション用?波状紙 そして

マットに張り付けられた作品です。

これらにプラスしてガラスが入っていました。

作品を張り付けている紙テープは おそらく

額装用の無酸のテープで さすが劣化せず

接着材の状態も問題が無い様子です。

が・・・ テープをはがして作品を外してみると

マット裏にはくっきりと 酸化の跡が見られました。

内側が一段白く見えますが ここは作品があった部分。

ということは この茶色く変色させた劣化成分が

作品の裏にしっかり移ってしまっています。

おそらく 裏に当ててあった波状紙の影響でしょう。

 

これを防ぐためには 無酸のマットで作品を裏表から

しっかりと挟んでガードすることが大切です。

また マットや裏板は消耗品と考えて

定期的に交換することも必要な処置と思います。

 

次回はマット交換後の様子をご紹介します。

 

 

La nostalgia in Italia 2011 Firenze -Duomo1- 3月25日

 

イタリアの郷愁 2011 フィレンツェ -ドゥオーモ 1-

 

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わたしが初めてフィレンツェを訪れたのは19歳の冬でした。

その頃はボッティチェッリの絵が大好きで

(勿論今も好きですが もっとずっと好きだった頃です)

彼が生まれ育ち絵を描いた街に行けると 心から喜びました。

いざフィレンツェに着き 遠くにこの大聖堂の円蓋が見え始め

いよいよ暗い路地の向こうに 明るく輝く大理石のモザイク壁が見えたとき

あまりの喜びと興奮で 心臓が壊れてしまうのではないかと思いました。

大げさですね。

でも当時の若い心を持ったわたしにとっては

フィレンツェに ドゥオーモに来る事ができたのは大きな感動でした。

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この大聖堂にも ボッティチェッリが来たのだ

ボッティチェッリもレオナルド・ダ・ヴィンチも実在したのだ・・・

そんな風に ドゥオーモのどこを見ても嬉しくドキドキしたものです。

 

いまもその時の感動は覚えていて ドゥオーモに来る毎に

くりかえし思い出し この街とのご縁への感謝の気持ちになります。

そして あの頃のみずみずしい心が遠くなった代わりに

今のわたしが得たものがあることに 改めて気づきます。

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フィレンツェを象徴する人 ロレンツォ・デ・メディチ(1449~1492)の詩

Quantebella giovinezza

che si fugge tuttavia,

chi vuol esser lieto sia

del doman non v’ecertezza

若さとはなんと素晴らしいことだろう

しかしその時間はすぐに過ぎ去る

楽しみなさい

明日に確かなことはなにも無い

 

(上の日本語はわたしの意訳です)

ルネッサンス時代からいまも 人が感じることは変わりないのですね。

 

 

 

 

 

 

今のうちにできること 3月21日

 

庭の沈丁花の花は 朝の早い時間と

夕暮れの始まりの頃に 特別良い香りを放っているようです。

本当かどうかはわかりません。

わたしの気持ちが穏やかな時間だったのかもしれません。

沈丁花の甘い香りを楽しめるのは今だけ。

今のうちに胸いっぱい吸って 今年の香りを記憶しましょう。

春も深まると じきに暖かさが暑さにかわって

オーブンを使う料理も気が向かなくなります。

今のうちにスコーンを焼いておきましょう。

focaccina

でもなんだか 謎のゲンコツ団子が焼きあがりました。

味は見かけほど悪くないのですよ 味は。

・・・。

オーブンを使うのが快適な今のうちに もう一度

今度はバターとミルクを増やして焼いてみようと思います。

 

 

 

新しいツマミ2種 3月18日

 

ひさしぶりに引出用のつまみを2つ作りました。

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左は純金箔の装飾と深緑の着色

右は同じく純金箔の装飾と木地部分を茶色に着色。

どちらも艶あり仕上げで アンティーク風にはしていません。

 

左のつまみを作っている最中は 深緑色は渋いし

(写真の色よりもう少しモスグリーンに近い色です。)

地味な仕上がりになるかと思いきや やはり金箔と艶の力で

想像以上に華やかな強い印象に仕上がりました。

DSC_5539

つまみの後ろはネジ式になっていて3mm径の規格サイズ。

ドライバー1本で簡単に付け替えが可能です。

もちろんご注文に応じてお好きな色でお作りいたします。

一般に市販されているつまみに使われている金色は

塗料がほとんどで 純金を使ったものはあまり見かけません。

毎日身近で使う家具に 小さな変化を加えてみませんか?

 

* 「works」内「other」にこちらのつまみ2点をアップいたしました。

どうぞご覧下さい。

 

 

 

欲しいのはどっち? 3月14日

 

小箱が好きです。

 

以前「LADURE`Eが好き」でもお話しましたが

お菓子が入っている小箱も好きです。

食べ終わっても箱を捨てることができません。

最近はLADURE`Eに対する情熱(?)も冷め気味で

小箱の数は かろうじて増えていませんでしたが

ついつい・・・DEMELのチョコレートを買ってしまいました。

欲しいのはお菓子? それとも箱?

それは聞かないでください・・・。

 

 

La nostalgia in Italia 2011 Firenze -Solo un po’ di cielo- 3月11日

 

イタリアの郷愁 2011 フィレンツェ -少しだけの空-

 

フィレンツェの旧市街は おそらく1400年代後半の

ロレンツォ・デ・メディチの時代辺りに完成され

それ以降 今に至るまで 建物も道も大きな変化は無いのでしょう。

それがフィレンツェをフィレンツェたらしめている魅力。

ルネッサンス時代の様子を想像するのも難しくありません。

現代の車やバスで通るには不便な細い道も

歩いたり馬に乗っての移動には適していたのだ・・・と感じます。

 

ルネッサンス時代から変わらない

建て込んだ路地や細い道からは 空がとても細く見えます。

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クリーム色やベージュのしっくい壁

灰色の石造りの屋敷塀に イタリアらしい濃い青空が映えます。

 

そして向こうにはドゥオーモ 正式には

サンタ・マリア・デル・フィオーレ「花の聖母寺院」の

大円蓋が 屋根の隙間から見えてきました。

いよいよです。

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金の装飾額縁の修復 3月07日

 

イギリスの18世紀の画家が描いた水彩画が

納められていた額縁の修復をしました。

とても繊細な装飾が施されていますが

その繊細さゆえ 壊れやすかった面も。

以前にも何度か修復された痕跡がありました。

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極薄にかけられている石膏(恐らくムードン)下地が

鱗のようにめくれ剥がれ落ち

凸部分の装飾も欠けていました。

まずは慎重に汚れを取り除き 剥落止めをし

欠損部分を丁寧に整形していきます。

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小さな部分写真のみのご紹介で残念ですが

整形後に補彩をして 完成しました。

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今回修復した部分は 新しい欠損部分もあれば

以前修復された箇所が また壊れてしまっていたりと様々でした。

そうした古い修復箇所を観察することで

経過と再破損の原因を探る事ができたのも良い経験になりました。

 

この修復で1年でも長く額縁の寿命が延びることを祈ります。

長い間 大切にされていた額縁を修復することができて

わたしも幸せでした。

 

 

文庫上製本 3月04日

 

おととしの秋にはじめて仕上げた「文庫上製本」はとても楽しい作業で

http://www.kanesei.net/2011/09/22.html

最近もゴソゴソとひとり工作の時間を楽しみました。

文庫本をハードカバーの本に仕立て直す

いわば「文庫本からのお色直し」なのですが

表紙や見返しを好きに選べ 自分だけの大切な本に生まれ変わります。

 

友人にプレゼントしようと思った本は

わたしにとって色々と思い出の詰まった文庫本でしたが

大変残念なことにすでに絶版でした。

仕方なく古本を取り寄せましたが

黄ばんでくたびれた古文庫本を人に差し上げるのも心苦しい・・・

ということで ここぞとばかりにお色直し。

オリジナルのカバーは中表紙(?)に変身です。

 

大切な本の表紙を引き剥がしカバーを切り といった行為は

心が少し痛むのも確かなのです。

プレゼントする友人が喜んでくれることを祈りつつの作業でした。