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記念にひとつ 12月21日

 

谷中の箱義桐箱店での展示会が無事終わり

放心状態だったとき、家族に

「なにか記念のものでも買ってみたらぁ・・・?」と言われました。

 

そうですね、せっかくの機会、記念に

何か手元に置いても良いかも・・・と思いました。

そして「これじゃ!」と買いましたのはこちら

 

 

「THE VISCONTI HOURS」

14世紀後半ミラノのジャンガレアッツォ・ヴィスコンティ公の時祷書です。

 

時祷書は、現存するものの中では

もっとも多く存在している中世装飾写本である。

内容はそれぞれ異なっているが、祈祷文や詩編を集成し、

内容に合わせた挿絵をつけて、ローマ・カトリック教会の

キリスト教徒としての信仰・礼拝の手引きとして

編集したものである。Wikipediaより

 

イギリスの古書店から送料含めておおよそ1万円。

安くはない買い物。でも欲しかった!

アトリエLAPISの書架にあって

以前から眺めていたのがようやく念願叶いました。

 

▲1972年ニューヨークで出版

 

▲目次 全編英語・・・

 

この本(写本)の特徴は、なんと言っても色使いでしょうか。

とにかく派手です。クリーム色の羊皮紙に金

そしてピンク・青・水色・緑・紫。

目がちかちかしそうです。

天平時代の色使いを彷彿とさせるような派手さを感じます。

 

 

悪趣味と綺麗のギリギリライン

中には「下品」と表現する方もいらっしゃるようですけれど・・・

 

▲確かにちょっとやりすぎ感は否めない

 

装飾模様の美しさ、大胆さに見とれてはまると出られない

ちょっと中毒性がある感じです。

有名な「ベリー公のいとも華麗なる時祷書」とは

まったく違う趣、確かにあちらの方が華麗だけど・・・

 

▲比較的落ち着いた色使いのページもあります

・・・比較的、だけど。

 

こちらも負けないくらい「思い入れ」たっぷりに描かれております。

受胎告知のシーンは厳かに、シックな色使いなのです。

ジョヴァンニーノ・ディ・グラッシと

ルキーノ・ベルベッロ・ダ・パヴィアという2人が描いたとか。

なんだかこの2人の自慢げな鼻息が感じられる気がします。

とても楽しく描きたいように描いた!と言ったような。

 

こうした「作者本人が楽しく充実した制作時間を持てたのだろう」

と感じられることが大切(わたしの勝手な想像だとしても!)です。

苦しみの中から生まれた作品には感動するけれど

わたしは身近に置くには修行が足りない・・・。

 

▲文章ページのレイアウトも聖書の雰囲気。

 

この本についての詳しい説明は省きますが

現在オリジナルの原本はフィレンツェの

国立中央図書館が所蔵しているとか。

この図書館、留学時の自宅も学校もとても近かった思い出の図書館

なんだか勝手に親近感がわいちゃったりして、

そしてとうとう手元に置くことを決めたのでした。

 

さて、せっかく入手した宝物です

汚さないようにカバーをかけました。

 

 

本体にはモリスデザイン、ケースにはピンクの紙

(頂き物の包装紙。捨てられない性格が発揮されます。)で包みました。

なんたる悪趣味!

でも良いの。強烈なカバーになりましたけれど

このフューシャピンクもモリスの色使いも

この時祷書の中で見覚えがあるのですもの・・・ムフフ。

自己満足満載になりました。

 

 

額縁の本「MARCO BARROCO ESPANOL」 8月08日

 

久しぶりに新しい額縁本を購入して

フガフガ鼻を鳴らし喜んでおります。

スペインのバロック時代の額縁集。

「Marco Barroco Espanol

Estetica y Didactica

Sigloe 16th/17th/18th」

 

▲スペイン語で額縁は Marco

覚えやすい単語です

 

2021年秋にスペイン・アンダルシアにある

アルメリア美術館(Museo de Almeria )にて

スペインバロックの額縁展が開催され

出品額縁がまとめられた本のようです。

(展覧会情報はこちら

同じくヨーロッパの地中海に面した国と言えど

イタリア、フランス、スペインとそれぞれ

異なる文化があるように額縁もまた

違う趣のものが作られていて面白いのです。

 

わたしのイメージでは、スペイン額縁は

大胆で力強い。とくにこのバロック時代は

なんとなく、日本の安土桃山時代の文化に

通じるような「派手・明暗・動き」が

あるように感じています。

(実際時期も重なっているようです。)

 

▲なんでこんなデザインに??面白い!

 

▲これぞわたしのイメージするスペイン額縁

 

▲迷いのない筆さばきはセンスの塊

 

この本には41点の額縁の詳細--正面・裏面

はもちろん斜めからの写真もあるのが特徴。

側面や立体のバランスが見られます――が

スペイン語と英語で解説され、これら額縁を

実際に近現代の絵画作品額装に使った例もある他、

スペインの額縁史、制作の歴史、構造説明など。

 

▲額装例はとても興味深い

 

こんな展覧会が開かれていたんだなぁ、と

行けなかった残念さと羨ましさもありますが

日本でこんな本を手に入れることができる

幸せも感じつつ。

決してお手頃価格ではありませんけれど

「良い買い物をした!」と思える本です。

 

「MARCO BARROCO ESPANOL ESTETICA Y DIDACTICA

siglos XVI-XVII-XVIII」

Jose MANUEL Marin Durban

Cartel,C.B.

P.227

 

 

 

「許可」が出る日を待ちわびて 6月06日

 

我が家の近所の書店の本棚には

「地球の歩き方」コーナーがあります。

ほとんどが去年か一昨年のもの。

行く度に確認するけれど

もう随分長い間この様子です。

それも当然と言えば当然なのだけど寂しい。

 

その中でも

「ローマ」だけ2018~2019年版。

うう~む、人気が無いのかしらローマ。

そんなはずないのだけれどなぁ。

 

 

この本棚がすっかり整えられて

2022~2023版がずらりと並ぶ日を楽しみに。

そしてその日が来た暁には、いよいよ

わたしの旅路計画も立てようと思います。

ここが整えば「行っても良い」と

許可をもらえたような、そんな気持ちになります。

フガフガと鼻息荒く待ちわびています。

 

 

 

裂地爛漫 違う方角からのアプローチ 7月01日

 

少し前のことですが、

いつもお世話になっている方から

素敵な本を頂きました。

以前にも茶箱の本2冊をくださった方です。

わたしの普段のアプローチとは違う方向から

心と意識を刺激するものを紹介してくださいます。

 

京都西陣にある茶道帛紗専門店「北村徳齋帛紗店」の

あつかう裂地を、短い文と美しい写真で紹介しています。

日本オリジナルの模様、中国の模様、さらに

インド、ペルシャ、ポルトガルから伝わった模様など。


額縁のデザインとは全く違うけれど、それでも

モチーフの配置バランスや色の組み合わせは

おおいに勉強になります。

 

お茶の稽古では裂地の名前を覚える必要があって

裂地にたいする興味もどんどん深くなります。

普段の稽古では「鶴岡間道」という落ち着いたチェック柄の

小帛紗を使っていますが、なんだか金襴や緞子、モールの

華やかな小帛紗が欲しくなってしまいました。

こんどいつか京都に行った時に北村徳齋帛紗店に

行ってみようかしらんと思い始めています。

稽古の励みに1枚だけ、ということにして。

この本を眺めながら、どれにするか目移りしています。

呑気でしあわせな悩みですな・・・。

 

「北村徳齋の仕事 裂地爛漫」

北村徳齋

株式会社 淡交社

平成29年9月29日 初版発行

 

 

ザ・コレクター -中世彩飾写本蒐集物語り- 2月01日

 

2019年12月に訪れた上野西洋美術館での展覧会

「ゴシック写本の小宇宙 内藤コレクション展」

内藤裕史氏のコレクションが寄贈された

記念の展覧会でしたが、

そのコレクションの歴史~寄贈までが綴られた

「ザ・コレクター」を読みました。

著者は医師・大学教授であって

写本の収集は興味と趣味ではじめたそうですが

どんどんのめり込む様子、広がり深まる

興味と知識、人脈などがとても面白く

そしてなにより羨ましく思えたのでした。

 

コレクションを高める熱意、財力

時間があることも羨ましいですが、

これだけの質の写本を集めることができたのは

内藤氏の人柄が大切だったように思います。

古書店や骨董店がふたつと無い商品を

引き渡す(売る)のは、金銭のやり取り以外にも

「この人になら」という信頼以上の何か、

感情的な何かが必要な気がしますが

その全てを備えていた内藤氏だからこそ

成し遂げられたコレクションなのでしょう。

なんて幸せなことなのだろう。

公的機関の国立西洋美術館に納まったらもう

それら写本が市場に出ることは恐らくありません。

販売する側(内藤氏にとって友人でもあった

ロンドンやパリの店主たち)としては手詰まりを意味し、

でも作品を愛する身としては嬉しいことでもあり・・・。

複雑な心境を抱えつつも、素直に寄贈の喜びを

内藤氏に伝えていたことが印象に残りました。

コレクターと販売者の理想の形がありました。

 

「ザ・コレクター -中世彩飾写本蒐集物語り-」

内藤 裕史

株式会社新潮社

2017年3月30日発行

 

自覚した欲求 10月01日

 

本棚の整理をしていたら気づきました。

この春、コロナ禍以降に買ったいくつかの本のうち

4冊が旅に関するものでした。

イタリア全国、ローマ、フィレンツェ、そしてパリ。

おまけにすべて「美味しいもの」について!

(もちろん内容はそれだけではないのですけれど)

自分が無意識に何を考えていたか分かってしまった。

外国で美味しいものが食べたい。そうなのだ。

 

もともと年に1度イタリアへ行ければ御の字でしたが

行けないとなるとますます行きたくなるのです。

今年2月に滞在したフィレンツェでの思い出や

おすすめのお店など書き連ねておりますけれど

次はいったいいつ行けるのやら、悶々としております。

いやはや、我ながら欲は尽きないもの。

わたしはこの半年で「待つ」を学んでいるようです。

今さらながら、ですけれどね・・・。

 

 

ワシントン・ナショナル・ギャラリー参百景 9月21日

 

いつもの行きつけの大きな書店の美術コーナーで

じぃいいっとわたしを見つめた美女は

ワシントンにあるナショナルギャラリー所蔵の

レオナルド・ダ・ヴィンチ作

「ジネヴラ・ド・ベンチの肖像」であります。

著者は存じ上げない方だな、と思って開いてみたら

▲ぼんやりとご紹介。ゴッホの女性像に17世紀中部イタリア

(と思う)のサルヴァトーレローザ額縁が。

 

美術館に展示してある状態の作品写真がたくさん!

 

著者の松岡將氏は在ワシントン日本大使館に勤務された方で

美術史研究家等ではいらっしゃらないのでした。

掲載されている写真もすべて松岡氏の撮影によるもの。

なので、内容も写真も、まるで松岡さんのお宅に伺って

懐かしい写真を見せていただきながらお話を聞いているような

親密な懐かしさを感じられるのです。

(写真も一部はピンボケだったり切れていたりするけれど

プロの撮影でなければこうだろうな、といった感じ)

▲セザンヌの作品が16世紀ボローニャ(と思う)の

額縁に入れられている。素敵。

 

15世紀のイタリア絵画からはじまって、もちろん

祭壇型額縁やトンド(円形額縁)も見られますし

18世紀、19世紀絵画に16~17世紀イタリアの

ゴージャスな額縁がつけられていると

なるほどな、そうなのね、と納得してしまう。

 

かねがね美術館のカタログでも展覧会カタログでも

額縁が載っていないのを残念に思っていたのです。

こうして作品と額縁一体になった姿を見られる、

それも遠いワシントンの国立美術館所蔵の宝物の姿を

見ることができるなんて、もう嬉しい限りなのです!

 

額縁の有無、デザインで絵の印象は大きく変わります。

この本の作品写真を眺めながら

「この絵をあの額縁に入れたらどうだろう?」

「この絵と額縁の組み合わせを思いつかないな~」

などと想像を膨らませるのもひとつの楽しみ方です。

 

「ワシントン・ナショナル・ギャラリー参百景」

松岡 將

株式会社 同時代社

2020年7月7日初版第1刷発行

 

 

額縁の本「THE SANSOVINO FRAME」 6月01日

 

ひさしぶりに本のご紹介です。

「THE SANSOVINO FRAME」

ロンドンにあるナショナルギャラリーで2015年に

開催されたサンソヴィーノ額縁展のカタログです。

サンソヴィーノ額縁とは、主にイタリアの

ヴェネツィアで作られて流行した額縁デザインです。

下記にカタログ裏表紙の解説(機械翻訳)を添付します。

「16世紀後半のヴェネツィアでは

これまでに考案された最も独創的な額縁が作成され、

大胆な巻物、グロテスクなマスク、

人物が彫り込まれ装飾されていました。

彫刻家であり建築家でもあるジャコポサンソヴィーノに

ちなんで名付けられたこれらは、華やかで複雑なものから

静かで繊細でシンプルなものまでさまざまです。

ナショナルギャラリーでのサンソヴィーノフレームの

展示に伴うこの本では、作者は30を超える例、

採用された材料と技法およびそれらと図面、

版画、現代的な装飾、家具、木製の天井、

漆喰の丸天井との関係について説明しています。

16世紀のヴェネツィア。

この権威ある研究は、収集と展示の歴史、

そして特別なタイプの家具の理解に貢献します。」

▲裏表紙に上記が書かれています。

▲前半は歴史や解説、後半には展示された額縁の詳細

 

数年前にサンソヴィーノ額縁を作ってみて

その難しさと魅力をおおいに感じました。

▲2019年4月に完成させたサンソヴィーノ風額縁

平面的なリボン状の巻物とウロコ模様が

サンソヴィーノの分かりやすい特徴です。

 

展覧会をご覧になった方々も、きっと

ゴージャスでありながらすっきりと洗練された線、

すこし男性的とも感じられるデザインを楽しまれたでしょう。

こうした「額縁の展覧会」を公立の美術館で開催されるのが

羨ましい限りです。

人々の意識、興味と理解の違いは額縁史の長さの違い。

日本でも額縁に興味を持ってくださる人を増やすため、いつか!

 

この展覧会を見ることは叶いませんでしたが

カタログを眺めつつもうひとつ

ちいさなサンソヴィーノを作る計画を練っています。

 

「THE SANSOVINO FRAME」

The National Gallery

2015年発行

 

Firenze 2018 tempo calma №19 9月27日

 

Giovanni dal Ponte

ジョヴァンニ・ダル・ポンテという画家をご存じですか。

ゴシックとルネッサンスの端境期に

フィレンツェで活躍したそうです。

わたしはこの本を手に取るまで知りませんでした。


▲黒い布表紙。紙カバーがないのが珍しい。

 

フィレンツェのレプッブリカ広場にある書店

「Red」はとても広くて軽食がとれるスペースもあり

街の中心にある素敵な本屋さんです。

フィレンツェでたびたび行く書店のひとつ。

回廊になっている美術書売り場でこの本を見つけました。

画集ですが、どうやら2017年3月まで

アカデミア美術館で開かれていた展覧会カタログのようでした。


▲立ち読みでこの絵を見て、買うことを決めました。

 

ジョヴァンニ・ダル・ポンテ(1385~1438)は

マザッチョが影響を受けた人とありましたが

ほかにもロレンツォ・モナコ、マゾリーノ、

そして我がフラ・アンジェリコも影響されていたとか。


▲若きダル・ポンテ20代の作品。1405年ころ。

 

▲そしてアンジェリコ、こちらも20代前半の作。

1415年頃の作ですから、上の絵の10年後です。

 

アンジェリコはダル・ポンテの10歳下、

会ったこともあったかもしれません。

同時代に生きていたら影響も受けたでしょう。

だけど上の絵を見ると陰影、動きのあるポーズなど

10年という小さな時代の流れを感じます。

 

47歳で亡くなってしまったジョヴァンニ・ダル・ポンテ。

もう少し生きることができたら・・・

もっと影響を受けた画家、弟子もいたかもしれません。

日本であまり知られていない(わたしが不勉強なのですが)

この画家を知ることができて良かったと思っています。

 

 

額縁の本 CorniciXV-XVIIIsecolo 9月06日

 

この夏、ようやく手に入れた新しい額縁本

「CorniciXV-XVIIIsecolo」です。

イタリアを中心に、巻末にスペインのものも含めて

15世紀から18世紀までの額縁が紹介されています。

 

著者のお一人 Fabrizio Canto氏とは

SNSでなんどかやり取りをさせて頂いており

この本のこともずっと気になっていたのですが

ある日Atelier LAPIS の本棚に入っているのを発見。

実物を拝見しても、やはり素晴らしい本で・・・

せっかくなのでCanto氏に連絡をしまして

ローマから直接送って頂いたのでした。

La Cornice Antica di Fabrizio Canto

 

ひとつの額縁に2ページをつかい

イタリア語と英語の解説があり、

裏面の写真もあります。

▲背景が黒いのが素敵。金色が際立ちます。

 

裏面が見えると木地の組み方も分かりますし

吊金具も見えて、とても面白い。

写真も鮮明で細かい技法や彩色のタッチも

ほんとうに良く観察できます。

 

こんな見開きページも。

じぃぃ~~~っと見ていたら1日が終わる。

そんな宝物の本です。

 

「CorniciXV-XVIIIsecolo」

Fabrizio Canto

Mario Mastrapasqua

REALITY BOOK

2015年発行

 

 

いつか必ず行くと決めた。 7月29日

 

いつだったか・・・大学生だったころに

テレビで観た美術館が忘れられなくて

ずっと行きたいと思いつつ、まだ行けていません。

ニューヨークのメトロポリタン美術館分館

クロイスターズです。

中世美術を中心にしたコレクションで

美術館の建物はロマネスクの教会風。

ロマネスク時代の柱を使って回廊が再現されていて

ハドソン川と森の見える丘に建っています。

▲この風景を見ただけで想像が広がります。すてき。

写真は「The Met Cloisters」よりお借りしました。

 

その美術館の館長だった著者ホーヴィング氏が

クロイスターズの宝「ベリ・セント・エドモンズ十字架」を

どのようにして購入にいたったか、の物語。

「謎の十字架」です。

サブタイトルに「メトロポリタン美術館はいかにして

世紀の秘宝を手に入れたかれか」とあります。

この一言につられて読み始めました。

 

もうずいぶん前に出版された本ですので

ご存知の方も多いことと思います。

脚色はあるにしてもノンフィクションの内容で

映画さながらに権謀術数渦巻き、続きが気になって眠れない。

美術館の裏側が垣間見られるという

それはそれは面白い本でした。

▲二段組でぎっしり。でも面白くてどんどん進む。

 

そして西洋美術を学ぶにはあらためて、キリスト教、

旧約・新約聖書を身心で知り理解している必要がある、

日本と西洋諸国との文化の違いを強く感じます。

信仰とは別に、学問として聖書を学びたい

との思いをまた自分の中で再確認しました。

 

美術館エンターテイメントに宗教学、歴史が

プラスされたような、とにかく面白い本です。

読み終わるのが惜しいくらいでした。

機会があればぜひお読みください。

読後にニューヨークに行きたくなること請け合いですぞ。

 

「謎の十字架」

トーマス・ホーヴィング著

田中 靖 訳

株式会社文藝春秋

1986年4月1日第1刷発行

 

 

レオナルドは言ったのか 5月08日

 

ことし2019年は我らがレオナルド・ダ・ヴィンチ

没後500年で、本国イタリアでは

たくさんの展覧会が開かれているようです。

5月2日の命日は大型連休中日

何とはなくレオナルドの画集を見ていました。

 

 

これは大切な友人から頂いた大切な本。

1949年にイギリスで出版されたものです。

いまの画集に比べれば鮮明さには欠けますが

パラフィン紙につつまれていて

紙の色や手ざわり、におい

小口は切り落とされていない手製本の様子が

「正しい本」の姿のように思います。

本好きが作って本好きの手を渡ってきた本

なのです、きっと。

 

▲ページの端が切りそろえて無い。それが良い!

 

レオナルドのデッサン

セリフを言わせたくなるような絵もあります。

感情の発露「わぁ!」「おおお・・・」など聞こえてきそう。

 

▲もの言いたげな人物たち。ルーブル美術館蔵 

 

でも彼の素描からは北斎漫画のような笑いの要素は

ほとんど感じません。

描くものに笑いを入れる必要はないけれど

作者の性格は少なからず表れるもの。

レオナルドは冗談を言ったりふざけたり

したのでしょうかね?

 

▲猫と龍の練習。観察眼は鋭く几帳面に描かれている。

でもまんが的要素は無く猫はあまりかわいくない。

イギリス・ウィンザー ロイヤルライブラリー所蔵

 

レオナルドのくり出すオヤジギャグに

サライがうんざりしていたり・・・

いやいやまさか、想像できません!

こちらの冗談には一緒に楽しく笑ってくれるけれど

自ら冗談やオヤジギャグを言うことはない。

素描を見て、そんな人だったように思います。

 

 

額縁の本 「Italian Renaissance Frames」 5月06日

 

ニューヨークにあるメトロポリタン美術館

所蔵の額縁を集めた英語の本です。

これも昨年フィレンツェの古書店で購入しましたが

鉛筆の書き込みやコーヒーのシミがあったりして

前の持ち主が読み込んだのだと思うと

愛着もわきます。

 


 

モノクロが多いけれど写真も沢山で

祭壇型額縁、サンソヴィーノ、トンド(丸型)

など特徴的な額縁が集められている印象です。

 

この本のとても面白いところは、使われている木材の

記述が断面図としてあるところでしょうか。

おおよそ8種類の材に分類されています。

クルミ、ポプラ、松、トウヒ、梨、モミ、黒檀

そして不明な木材または木材以外の物、だそうです。

この本によりますと、ルネッサンス時代の額縁は

ポプラや松で作られた木地には金箔仕上げ、

細かい彫刻をほどこすにはクルミが多いようです。

 

▲この祭壇型額縁にはトウヒとポプラが使われている。

 

2種類以上の材を組み合わせている額縁も多いのです。

他の本にも、使われているメインとなる材の記述は

もちろんあるのですが、この本のように図で説明してあるのは

ひと目で理解できて興味深いところです。

 

でも、なんだか見たことがある額縁が多いな

と思いきや、それもそのはずですね

Robert Lehman Collection との記載が。

メトロポリタン美術館が出版した本

「Frames in the Robert Lehman Collection」

に載っている額縁と重なっているのでした。

著者のひとりも同じ方です。

今回の本がまず出版されて、その後に改めて

「Frames in the Robert Lehman Collection」

がまとめられたようです。

 

▲右ページの額縁についているプッティの顔に見覚えあり。

 

同じ額縁の解説はどちらも似たような内容ですが

今回の「Italian Renaissance…」では

制作年代が17世紀とされていたものが

「Frames in…」では1620~1630年と

ほぼ特定されていたりと新しい情報もあります。

でもこちらには材の断面図説明はありません。

 

それぞれに特徴がありますので

情報の新しい「Frames in…」があるのなら

今回の「Italian Renaissance…」は要らない

と言い切れません。

どちらも良い。両方あると良い。

そんなところです。

 

「Italian Renaissance Frames」

The Metropolitan Museum of Art

Timothey J.Newbery

George Bisacca

Laurence B.Kanter

全111ページ 

1990年 第1刷発行

 

 

「イタリア美術夜話」修理 4月26日

 

先日、神田の古本まつりに行ってまいりました。

これ以上本を増やすまいと言っていたのは

誰だったっけな・・・と思いつつ。

買おうと手に取った途端に

裏表紙がポロリと外れてしまったのは

三輪福松先生著「イタリア美術夜話」

昭和32年の本でした。

カバーもケースも無くなった300円の古い本。

読み始める前にまず修理でございます。

▲裏表紙にはフィレンツェの地図。まっぷたつ。

額装に使う無酸のテープを貼ってどうにかこうにか。

表は綿テープ、内側は紙テープで丈夫になりました。

▲こうしたテープが家にあるのは便利です。

見栄えもなにもありません。テープで補強のみ。

でも読むのはわたしだけですからまぁいいか。

 

秘蔵の紙で カバーをかけて仕上げ!

と思いつつも、カバーは読むには邪魔ですので先送り。

とにかく読み始める準備は整いました。

また読後に感想などお付き合いください。

 

 

額縁の本「Pandolfini: Cornici antiche e dell’ottocento」 4月15日

 

これは本、ではありますけれども

オークションのカタログです。

昨年のフィレンツェ滞在で訪ねた

古本のお店で見つけることができました。

写真も豊富で、とても良い資料です。


Pandolfini パンドルフィーニとはフィレンツェにある

大手オークションハウスです。

2018年の4月18日に行われたオークションに

かけられた額縁カタログですので、開始価格と

落札予想価格も載っているのが興味深いところ。


予想価格が低い額縁で€700(130円換算で

91.000円)くらい、高い額縁ですと€9000

(1.170.000円)ほどと紹介されています。

ほほう・・・

どんな人が落札したのでしょうか。

 

広大な屋敷の奥にある薄暗い展示室には

膨大な額縁コレクションがあって、

壁一面に新旧問わず素晴らしい額縁が飾ってある。

そこに今日、18世紀の額縁が新たに加えられた。

これから先は門外不出、人目に触れることも無い。

部屋の主は夜な夜な絹のクロスで額縁を磨き

ひとりごとのように額縁に話しかけている。

使用人はみな不気味がってこの部屋には近づかない。

でも主は、これら額縁を作ったいにしえの職人たちの

姿と声を毎夜感じ、聞き続けているのだ。

 

額縁オタク。

妄想してしまう。

この本に掲載された額縁たち

どこから来て、どこへいくのでしょうね?

 

 

額縁の本 「CORNICI DEI MEDICI la fantasia barocca al servizio del potere」 1月14日

 

この本は先日「古色再考 つづき」で

お話したときに参考にした本です。

メディチ家所蔵の額縁を紹介しています。

現在ピッティ宮殿内にある銀器博物館の一室が

「Sala delle Cornici」(額縁室)

として一般公開されており、その所蔵品が

メインに取り上げられているようです。

 

1500年代初め、コジモ1世からはじまり

1700年代初頭フェルディナンド3世の時代までを

紹介しつつ、額縁と額装されている作品も

同時に見ることができます。

▲ラファエロの女性の肖像。絵は本やネット上で

 何度も観ているけれど額縁を見る機会は少ない。

 

額装された状態と空っぽの額縁。

並べてみると、なるほどなるほど。

▲古い額縁の金の輝きは薄いグレーに感じる。

 

額縁だけ見ると彫刻も全面の金箔も

装飾過多で強烈すぎるように感じても、

作品--大抵は人物画――を額装された

状態でみればすんなりと見られるのです。

美術館などで見慣れている

という理由もあると思いますけれど、

やはり額縁は作品を入れてこそなのだと納得します。

額縁は面白いです。

 

この本を買った古書店が栞を入れてくれました。

8€の割引して頂いた記録も一緒に。

思い出です。

 

「CORNICI DEI MEDICI la fantasia baroccaal servizio del potere」

Marilena Mosco

Mauro Pagliai Editore

2007年発行

 

 

「額を紡ぐひと」 11月29日

 

ここしばらく、何人かの方から

ある本についてのお話を伺いました。

今年2018年に新潮社から出版された

谷瑞恵さん著「額を紡ぐひと」

という小説についてです。

 

まず、わたしはまだ拝読もしておらず、

読んだ数人の方に伺ったお話からだけの

印象と内容ですので

ブログに書くことで不特定多数の方に

「発表」するのは憚られますが、

KANESEIとこのご本の内容を

リンクして考えておられる方がいらっしゃる

可能性が無きにしも非ず、ということで、

こちらでお話することをお許しください。

 

この「額を紡ぐひと」というご本と

KANESEIは一切関係ございません。

取材もお受けしておりませんし、

主人公の「額装師」の女性とわたしは

経歴、仕事方法、そして広い意味での

額縁、額装に対する考え方も違います。

 

このご本によって額縁と額装に、

そして額縁を作る仕事について

興味を持って下さる方が増えて、

わたしも額縁を仕事とする者として

とても嬉しく思っております。

また「額を紡ぐひと」という小説に対して

批判する意思は一切ありません。

わたしの勝手な思い込みで

お気を悪くする方がいらっしゃいましたら

申し訳ございません。

お許しください。

 

以上、どうぞご理解くださいますよう

お願い申し上げます。

 

 

しらけて斜めなわたしだけど 9月20日

 

迷信を気にするくせに

斜に構えて「しらけ気質」のわたしは

自己啓発書籍の類は避けていました。

考えてみればそれも

コンプレックスの裏返しなのですけれど。

 

先日の楽しいお酒の席で、尊敬する人から

1冊の本を紹介されました。

「とても良い本だったよ。機会があったら

読んでみてごらん。」と何げない感じで。

著者はわたしも一度だけお会いした方でした。

「なんとなく」の斜めな態度で読み始めました。

 

顔を覚えている人が書いた本を、

尊敬する人が勧めているというだけで、

それだけで素直に頭に入ってくるのですね。

相変わらずわたしは子供っぽい・・・と

つくづく思い至りました。

もっと芯を持って柔軟にならねば。

 

わたしもトビンさんのように

穏やかで気持ちの良い人になりたい、と思います。

 

美を伝える 「修理」の世界へようこそ! 4月30日

 

佐倉市の国立歴史民俗博物館には

全国の国立国立博物館・美術館が

出版している本がずらりと販売されていて、

それはそれは面白いブックショップでした。

 

京都国立博物館の「美を伝える」という

1冊を購入しました。

 

帯にある通り、修理・修復を紹介する内容。

写真が豊富で before&after が一目瞭然!

修理・修復の現場で必ず行うこと、

「調査し修復方針を決める→修復工程記録

→完成写真を撮って報告書をまとめる」

が分かりやすく解説されています。

こつこつとした地道な作業がつづけられ、

ボロボロの宝物が滑らかに鮮やかに修復、

保存されてスッキリ!サッパリ!です。


 

修復に使う道具、材料の説明や


「これからの文化財修理が目ざすもの」

というコラム、修復が必要な理由、

修理の基本は「現状維持修理」、その理由・・・

修理・修復をするうえの基本的なことを

こうして解説し、皆さんに知って頂くのは

とても大切なことですね。

 

この本は中・高生や大学生に読んで欲しい、

そして美術館・博物館の展示への

興味の幅をぐっと広げてもらいたいなぁ

と思いました。

 

「美を伝える

 京都国立博物館文化財保存修理所の現場から」

京都国立博物館編

京都新聞出版センター

2011年7月15日 初版発行

 

 

日本の文様 第一集 4月09日

 

先日ご覧いただいた菊と牡丹の小箱

そして梅と菊、竹模様のツマミにいれた

デザインは、この本から拝借しました。

 

「日本の文様 第一集」文庫本サイズです。

副題が「刺繍図案に見る古典装飾のすべて」

ですので、刺繍技法についての紹介がすこしと

カラー写真が10ページほどありますが

あとはすべて図案集になっています。

 

松竹梅、唐草、御所模様から鳥、蝶などに加え

洋風模様なるもの(ペルシャ風やロココ風)

まで入っているのです。

眺めるだけでも楽しいですし

シンプルな線画なのですぐに利用できます。

 

ずいぶん前から持っていたけれど

ようやく活躍してもらうことができました。

第二集もあるのでしょうか。

つづきも欲しくなりました。

 

「日本の文様 第一集」

-刺繍図案に見る古典装飾のすべて-

著者:紅会

株式会社青幻社

2002年10月1日 初版発行

 

知って驚くたのしみ 3月30日

 

宮本輝著「田園発港行き自転車」を読みました。

宮本輝氏の作品は、高校の国語の教科書で

出会って以来、すべてではありませんが

読み続けています。

 

その「田園発・・・」の中で

『おっしゃった』という言葉が

「仰った」ではなく「仰有った」と書かれていました。

この文章を見たとき、我ながら目が見開きました。

 

「おっしゃった」と言う言葉は日常で使います。

文字として書くとき、またwebで変換する時も

「仰った」となるのが当然と思っていました。

でも今回の「仰有った」で、「おっしゃった」の

本当の、と言いましょうか

本来の言葉の意味がようやく理解できたようです。

目上の人からの「仰せ」が「有った」。

おおせあった。おっしゃった。

そうか・・・!

 

ううむ、なるほど。

すでにご存じの方にとっては「何を今さら」なこと、

「仰せ」の意味を考えれば分かりそうなこと、

そして些細なことかもしれませんけれど

わたしにとっては新知識。

頭の片隅にさっと日が差したような気がしました。

 

新たな疑問も湧きます。

なぜ送り仮名が「仰・った」になったんだろう?

そもそも送り仮名はどうやって作られるのだろう?

 

こうした発見と疑問が自分の日々に

もっと起れば良いのに。

そのためにも、そして楽しみのためにも

読書は生涯続けようと思います。

 

 

ジェイン・オースティン 料理読本 18世紀末のレシピ 3月21日

 

ジェーン・オースティンといえば

わたしは真っ先に「プライドと偏見」を

思い出します。

18世紀末のイギリス、田舎の下級貴族

(というのでしょうか)と上流貴族の話。

・・・ひどいまとめ方ですが

その著者オースティンの時代の

料理についての本です。

この本にでているお料理も、庶民ではなく

使用人を置いて生活する人たちのメニューです。


レシピをみると、当然と言えば当然ですけれど

鮭やヒラメならまずさばくところから、鶏や野鳥も

処理(どのように肉の状態にするか具体的に)

の方法から載っているのです。

ゼリーを作るには鹿の角をけずったもの!を

準備せねばならず、羊や仔牛ももちろん

骨や皮付きの状態から始めなければなりません。

コックの仕事とはどこからなのか?!

調理より食材の準備のほうがメイン?


食事を準備することに費やすエネルギーと情熱が

並々ならぬ量だったのでしょう。

いや、そこまでしないと食事にありつけないというか。

冷蔵庫があって、スーパーマーケットがある、

そしてすぐに火を付けられるコンロがある現代からは

手間も時間も想像を超えています。

 

ちなみにこの本は、18世紀末当時のレシピそのままと

現代用にアレンジしたレシピと両方が載っていて

それを比べるのがとても楽しいのです。

昔のほうが脂濃くて野性的な味付けで

今の人が食べたら胃もたれしそう、

そして卵の汎用性の高さに驚いたり。

なにか作ってみようかな、と思ったけれど

いまのところ読んではひたすら唸る本になっています。

 

「ジェイン・オースティン 料理読本」

著者:マギー・ブラック

   ディアドレ・ル・フェイ

訳者:中尾真理

株式会社晶文社

1998年2月28日発行

 

 

額縁の本 「FRAMES in the Robert Lehman Collection」 2月26日

 

ニューヨークのメトロポリタン美術館には

Lehman Collection という額縁のコレクションがあようで

それらをまとめた額縁の写真と資料集です。


この本もまた atelier LAPIS の本棚にあって

以前から欲しいな欲しいなと思い続けていたもので

遠くはるばるオーストリアの古書店から取り寄せました。

おかげで思ったよりお手頃価格で入手でき一安心。

 

シエナの国際ゴシック時代、まだ板絵と額縁が

合体していた頃の作品からはじまり

イタリア全土の各地、18世紀半ばまでの額縁、

そしてフランス、イギリス、スペイン、北ヨーロッパ

アメリカの19世紀半ばまでの額縁があります。

こうした本にアメリカの額縁が載るのは珍しい。

さすがメトロポリタン美術館にあるコレクションです。

 

モノクロ写真も多いけれど、祭壇型やサンソビーノ、

そしていわゆるミラーフレームなど変形額縁が豊富です。

また、データには額縁の状態、修復の有無などがあって

その情報を読んだ上で写真を見るのも興味深い。

 

天使やプッティ、表情それぞれで可愛らしいのです。

こんな顔の子供、いまも街中にいます。

 

辞書を片手に英語の文章を読もうかなぁと思いきや、

スマホに入れている Google翻訳のアプリを使えば

文字ページを写真にとって一瞬の間に

そこそこ理解可能な日本語に訳されました。

時代は変わりましたな。

 

「FRAMES in the Rbert Lehman Collection」

Timothy Newbery

The Metropolitan Museum of Art

全465ページ

2007年 第1刷発行

 

 

カリグラフィー&写本装飾の魅力  1月22日

 

街の本屋さんでわたしが手に取ったときにはもう

立ち読みしつくされ、すでに古本状態でしたが

そんなことはこの際どうでも良いこと!とばかりに

相変わらず握りしめてレジへ直行した本です。

4年も前に出版されたのに、ようやく出会えました。

つくづく、本は本屋さんで見るのが大切。

 

「カリグラフィー&写本装飾の魅力」という本には

わたしが長年探していた情報が載っていたのです。

金泥の作り方。ジェッソの作り方、羊皮紙の扱い。

お手軽な「箔あかし」の方法は目からうろこが落ち、

そして写本に純金箔を貼る方法!

日本画で使われる日本伝統の金泥の作り方は沢山情報がありますが、

いわゆる西洋の作り方で分かりやすい情報には

なかなかたどり着けませんでした。

写本につかうジェッソ(写本用の石膏下地)の作り方や

そのジェッソを使った箔の貼り方については

以前に「羊皮紙工房」の八木先生にメールで伺ったことは

ありましたが、自習ではどうにも上手くいきませんでした。

 

この本に載っている解説と写真で、とにかく

練習に取り掛かることは出来そうで嬉しい限り。

少々特殊な材料や高価な材料も使いますし

全くの初めてだとひとりでは戸惑いそうですが、

わたしは古典技法の知識でいけるかもしれません。

 

実は、羊皮紙1頭分をイタリアから持って帰っています。

いまだ手つかず巻かれたままに死蔵されていて、

勢いで買ったもののどうしたものかと長年悩んでいました。

(かと言って習いに出るには腰が重すぎて・・・)

 

練習をして、なんとか作業できるようになったら

いよいよイタリアの羊皮紙の出番を迎えられそうです。

まずはこの本を手掛かりにトライするのみ、でございます。

 

追:先日、ateler LAPIS の本棚にあるのを見つけました。

  いつからあったのかな、見るとも見ずのわたし。

  LAPIS の皆さま、ぜひご覧ください。

 

カリグラフィー&写本装飾の魅力

河南 美和子

株式会社マガジンランド

2013年12月9日 第1刷発行

 

 

 

芸術家の家 作品とインテリアの繋がりが現すもの 11月16日

 

昨年だったか、旅先の美術館で購入した本です。

しばらく放置していたのですが最近改めて手に取りました。


14人の芸術家の家を写真で紹介しています。

いままで知らなかった人もいれば、何度も違う本で観た

モネやモロー、ウィリアム・モリスの家もありました。

 

ぱらぱらと写真を見たり、住まいにしていた芸術家の経歴を読んで

作品を検索して様々観たりしたのですが、

その人の作るものと住む家はとても似通った色調と雰囲気で、

装飾の量と配置も、まるでその人の作品を見ているかのように共通なのでした。

その人の目指すもの、そのもののような家。

当然と言えば当然? いや、でも・・・。

この家に到達するまでの葛藤と苦労もあったことでしょう。

ここまで自分の世界を貫けるのは(あるいは貫いてしまうのは)

様々な面でとても強い人たちなのだろうと思います。

迷いが無いというのか、自信があるというのか

理想と現実が融合できているというのか

なんと表現してよいのかわからないけれど。


画家の家の室内写真には、作品と併せて額縁も沢山載っており

同時に家具や窓枠、壁紙、食器のデザインや時代などからも

とても面白く見ることができます。

 

この人の家は居心地が良さそうだな、または

作品同様にあまり生活感が無い家だな、とか

よくまぁこんな部屋で眠れるものだ!など感想も色々。

住みたいのはスメットやクビーンの家、

どの家も訪ねてみたいけれど、特に訪問したいのは

ミュシャの家とキリコの家、といった感じでした。

その家の主人とじっくり話したり作品を見せてもらったり

出来たらすてきだなぁ、と妄想は広がります。

 

それにしてもキリコ邸にだけはびっくり。

客間、アトリエ、そして寝室。なるほどなぁ。

イメージが変わりました。

 

「芸術家の家 作品の生まれる場所」

文:ジェラール=ジョルジュ・ルメール

写真:ジャン=クロード・アミエル

訳:矢野陽子

西村書店

2012年1月27日第1刷初版発行

 

 

乙女! 「花の美術と物語 -ヨーロッパの図像-」 10月12日

 

なんと乙女チック!(死語)とクラクラしつつも

立ち読みからレジへ直行した本です。


どこを開いても必ずかわいい。


唯一可愛くないのは、描いた作者の肖像写真のみ。

「こんなヒゲモジャ(失礼)のおじさんが

こんな可愛らしい作品を生み出すなんて」と驚いてしまいます。

いや、徐々にそのヒゲモジャさえ愛らしく見えてきます。

 

内容は絵画と装飾の美術史で花を追っていきます。

古代エジプトの蓮から始まり、ゴシック写本のバラやスミレ、

ルネッサンス絵画の風景、静物画の登場、

ロココのボタニカルアート、モリスのパターンから

アール・デコ、ヌーヴォー、ウォーホルの版画まで。

まだまだ色々です。


図版以外に文章による解説がしっかりあるので読み応えもありますし

様式スタイル表と年表は分かりやすくまとまっています。

 

どこかに旅行に行って、半日芝生でぼんやり・・・

なんて時間があったら、この本を眺めながら

おいしいお茶(お酒も)を飲みたいなぁ

とウットリと明るい気持ちになって

現実逃避を夢見るような美しい本です。

乙女心炸裂まちがいなし!

 

「花の美術と物語」

解説・監修 海野 弘

株式会社 バイ インターナショナル

2017年8月15日 初版第1刷発行

¥3.200+税

 

羆嵐(くまあらし) 吉村昭 9月21日

 

北海道の奥地、巨大な羆(ひぐま)に襲われた開拓村の人々と

羆を倒す狩人の話。 実話を元になっているとか。

お酒の席で話題に上がり、興味を持った本です。

その席には北海道の旭川と道東港町出身の方 お二人がいて、

冬の厳しさ、地吹雪の怖さ --生と死の境--を聞きました。

 

この「羆嵐」の何が恐ろしいって 寒さの表現

羆の食べたものの跡 (村人の遺体)の様子

人間の心の動きと表情、 暗闇で見えないヒグマの気配など

想像を掻き立てる描写です。

映像で観るより何倍も背筋がゾワッとしました。

お二人から聞いた厳冬の話、そしてなぜか

映画「エクソシスト」の白い息を 思い出しました。

寒さはそれだけで恐怖を煽ります。

 

残暑の時期に真冬の恐怖の描写を読んで

ホラーとは違う恐ろしさを味わいました。

わたし一人では出会わないような本も

紹介されて読むと未知の世界の入り口に 立てて

面白い読書体験が出来ました。

 

 

本を読むときは素裸で 2月23日

 

我ながら紛らわしいタイトルだと思いますが

裸になるのはわたしではありません。

本です。

カバーも帯も、挟まっているものもさっぱりと外して

裸の本にしてから読んだり持ち歩いたりします。

 tohaku

ずれたり折れたりしないよう気遣う必要も無く

これで安心して本の世界に入っていくのです。  

 

ちなみに図書館で借りた本には自分のカバーをかけます・・・。

裸 or 厚着 皆さんはどうなさっていますか?    

 

 

茶箱の本2冊 9月12日

 

いつもお世話になっている方から素敵な本を頂きました。

茶道でつかうお茶箱を沢山紹介した本2冊です。

tyabako (1)

茶箱とは、小さな箱や籠にお茶碗、菓子入れ

布巾やお茶入れ、茶筅と茶杓など

お抹茶を立てるのに必要な道具が入っていて、

いわばお茶のピクニックセットです。

 

それぞれの道具が小さくて、ままごとのようにも見えますが

ひとつひとつ大変に凝っていて驚きます。

著者の堀内明美さんが、それぞれの道具を色々と取り集めて

組み合わせて完成したセットは、写真で見るだけでもため息が出そう。

tyabako (2)

お抹茶用の茶箱とお煎茶用の茶箱の両方が紹介されています。

小さいものがきっちりギュッ入れられた世界はワクワクドキドキです。

秋になったらわたしも我が家の茶箱(母の宝物ですが)を借りて

友人と出かけてみようかな、と思います。

 

「茶箱遊び -匣筥匳-」

堀内明美

株式会社 淡交社

2012年3月14日 第1刷発行

 

「旅する茶箱 -匣筥匳-」

堀内明美

株式会社 淡交社

2015年2月17日 第1刷発行

 

ソナチネの木 8月01日

 

詩はお好きですか。

普段は書店で絵本を手に取ることが減りましたが、

先日一目で何もかもに惚れてしまって

一目散にレジへ向かった本があります。

 

岸田衿子の「ソナチネの木」

sonatine (3)

挿絵は安野光雅ですから、詩集であり絵本でもあり。

sonatine (1)

すべての詩が4行で構成されていて和歌のよう。

鳥 城跡 仔馬 雪の林の奥 昼と夜 音楽 幻の野辺・・・

日常で使う言葉でつづられているけれど、単語一つ一つにはっとさせられて

日本語の美しさと抒情を感じられる。

そしてヨーロッパの古い写本のような挿絵との組み合わせ。

sonatine (4)

あっという間にふたりの夢の世界へ連れて行かれてしまいます。

 

アニメ「赤毛のアン」の主題歌の歌詞を書いた岸田衿子と

「旅の絵本」「天動説の絵本」「ふしぎなえ」の安野光雅

このふたりの作品は、物心つく前から少女のころにかけての

わたしの心を形作る欠かせないものになっています。

大人になって、この「ソナチネの木」がまた新たに加わりました。

 

「ソナチネの木」

岸田衿子 / 安野光雅

青土社

2006年8月10日 第1刷発行

 

 

彫刻の本「CARVING ARCHITECTURAL DETAIL IN WOOD」 6月23日

 

市が尾にあるAtelier LAPIS の本棚には、主宰の筒井先生が

揃えてくださった様々な本があり、生徒さんはもちろん

わたしも随分と参考にしたり活用させていただいています。

その中にある「CARVING ARCHITECTURAL DETAIL IN WOOD」は

月曜コースの生徒さんに人気があり、わたしも1冊手元に置くことにしました。

carving (1)

Atelier LAPIS にある本と表紙が違い、見慣れぬ本。

2011年に改訂版が出たようです。

初版が2000年、それから4版目ですから人気がある本です。

 

それもそのはず、内容は古代建築の様式、名称などから

建築と家具、装飾のつながりと歴史を説明し、

後半には具体的に木を彫刻する方法が解説されています。

下描き図面の作り方、道具、彫る順序、細かい方法など。

carving (3)

LAPIS では写真ばかり(写真が豊富!)見ていましたが、

あらためてじっくり読んでみると、彫刻実習の

授業を受けているようで楽しくワクワクします。

ふだん自分で彫刻をする時になにげなくしていた作業も

こうして順序立てた写真と文章になると再確認にもなりました。

「おや、この道具は便利そう!」というような

ちょっとした文具や留め具が紹介されていたり。

carving (4)

イギリスの本ですからもちろん英語ですけれど

ゆっくりでも読む価値あり!なのです。

 

それにしてもいまさらながらですが

つくづく額縁はヨーロッパ、つまりはギリシャ・ローマの

文化なのだと痛感します。

この内容の日本語の本があったらどんなに嬉しいか!

4版も重ねるほどの需要は日本にはないのかもしれませんが・・・。

額縁や建築、それに繋がる家具、絵画、美術様式、

ヨーロッパと日本の遠さを感じます。

わたしが日本で古典技法の額縁を作ったり

アカンサスの彫刻をするのは、さながら

イギリス人の方がイギリスで漆芸をするようなものでしょうか。

ううむ、本場から遠くとも、額縁作りますよ!

 

「CARVING ARCHITECTURAL DETAIL IN WOOD」

Frederick Wilbur

GMC Publication Ltd

2000年 第1刷発行

 

 

遠足展覧会 プラド美術館展 2月01日

 

市が尾にあるAtelire LAPIS 月曜コースの生徒さんと

第2回遠足展覧会「プラド美術館展」にでかけました。

最終日が近いこともあり、夕方もなかなかの混雑ぶり。

小品をメインに、ベラスケス、エル・グレコ、ゴヤ等

そうそうたる作品群が観られました。

prado2016 (1)

そんな中、私たちがメインに鑑賞したのは額縁。

特にゴシックスタイルの額縁に目を奪われました。

イタリアではあまり見る事ができないデザインばかりで新鮮でもあり、

ため息をつきながら、横から下から斜めから隈なく鑑賞します。

とくに角側面には中折れの金具が取り付けられており

そのデザインのすてきなこと!

繊細さと力強さが両立したカッコイイ額縁でした。

 

2009年にご紹介したスペインの本「Coleccion CANO DE P.E.A」には

今回の展覧会に出品されていた額縁が載っていました。

prado2016 (7)

下の2点、特に葉模様の額縁は10点近くあったのではないでしょうか。

実際本には「プラド美術館で多く使われている額縁のひとつ」とあります。

prado2016 (5)

prado2016 (6)

グラッフィートを施したもの、またベルベット布を貼ったものなど

展覧会で観たものにとても良く似た額縁も載っています。

もしかしたら、あれらもCANO社の額縁だったのかもしれません。

prado2016 (2)

prado2016 (4)

いくら本で観ていても、やはり実物を目の当たりにするのは

全く違うのです。

ご一緒くださった生徒さん方もスペインスタイルの額縁に

興味を持ってくださったようで、新しい扉ができました。

わたしも手の込んだグラッフィート額縁の制作意欲が湧いています。

 

生徒の皆様、ご参加ありがとうございました。

また第3回遠足展覧会、企画したいと思います。

 

 

「西洋製本図鑑」で箔用小箱を夢見る 1月21日

 

暮に行った鎌倉小町通り横の古書店「藝林荘」

(たびたびの登場です)には「西洋製本図鑑」もありました。

数年前の神田古本市で購入したことを思い出し

帰宅後にあらためて開いてみました。

西洋製本図鑑 (2)

これは「本」という物が好きな人、

そして古い技術に興味がある人にはたまらない内容です。

帯には「本場ヨーロッパの本格的な西洋製本技法を

抱負な写真でわかりやすく紹介、フルカラー160頁。

歴史、伝統技法、箔、皮モザイク、修復などが

総合的に紹介される機会は極めて少なく、待望の出版」

といったことが書かれています。

わたしにとっては大興奮の本。

なにせ本の革表紙や小口の金箔押し技法から

古書の修復技法まで載っているのですからね!

鼻息も荒くなります。

西洋製本図鑑 (3)

イタリア留学時代、友人の友人に本(革表紙)の箔押し職人がいました。

当時は一緒に食事をしたりドライブしたりと遊ぶばかりで

作業のことをもっと聞けばよかったと今さら後悔です。

フィレンツェを含めヨーロッパでは今も

こうした豪華本や1点ものの希少な本を製本する仕事が

いわば伝統工芸のひとつとしてしっかり残っているのですね。

西洋製本図鑑 (1)

上は道具紹介のページのひとつ。

右下には箔床(箔盤)と金箔が見えています。

おなじみのメノウ棒やボーロも紹介されています。

そして気になるひとつ「箔用小箱」が紹介されていました。

おそらく箔の束を保存しておくための箱ですが

「金箔がちょうど入る大きさで、内側にサテンが張ってある」

ですって!

古めかしい小箱を開けると、中と蓋にふっくらと

美しいシルクサテンが張ってある。色は何色?

赤とか水色、ピンクも悪くありません。

その中にはキラキラ輝く金箔が厚み豊かに束ねられ

仕舞われているのです。

ロウソクの炎ゆらめく工房の一角で小箱を開ける瞬間を

妄想しはじめたら止まらないのはいつものことでした。

豪華本は無理だけど、箔用小箱、作ってみましょうか。

 

「西洋製本図鑑」

著者 ジュゼップ・カンブラス

訳者 市川恵里

株式会社雄松堂出版

2008年12月1日 初版発行

 

 

 

天使本「ANGELS IN ART」 1月14日

 

昨年暮に訪れた鎌倉小町通りにある「藝林荘」

ひさしぶりに見つけた「天使本」です。

背後の棚から視線を感じて(ような気がして)

振り向いたらこの本が待っていたのでした。

古書店から手ぶらで出るのはなんと難しいことか。

angels in art (1)

古今東西の天使が紹介されています。

angels in art (2)

 

ゴーギャンの、ヤコブと相撲を取る天使と

angels in art (4)

 

扉にあったジョットの天使が印象に残りました。

黄金背景に格子模様が入っているのも斬新。

angels in art (5)

 

寝る前にぼんやりと眺めるのにも良いかもしれません。

「天使がひとり、天使がふたり・・・」と

あっという間に良い夢の中、になりそうです。

angels in art (3)

「ANGELS IN ART」

Nancy Grubb

ARTABRAS

1995年 第1刷発行

 

 

ジヴェルニーの食卓 12月17日

 

池袋東武百貨店での「小さい小さい絵展」は

16日水曜に無事終了いたしました。

ご高覧下さり、またご購入いただきまして

誠にありがとうございました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

10月26日にご紹介した「楽園のカンヴァス」

とても面白かったので、同じく原田マハさん著書の

「ジヴェルニーの食卓」を読むことにしました。

こちらの方が先に出版されていましたし話題にもなりました。

giverny

タイトルの「ジヴェルニーの食卓」はモネの物語、

そしてコート・ダ・ジュールが舞台のマティス「うつくしい墓」

パリのドガの「エトワール」、同じくパリのゴッホ「タンギー爺さん」

4つの短編が納められています。

 

それぞれの物語で中心になる作家とその作品、そして

それらを巡る人たちや場所の描写が美しくて立体的で

目の前に情景が広がるようでした。

どの作家も作品も有名すぎるほど有名なので

気持ちもすぐに物語に入っていくことができます。

4編それぞれ魅力がありますが、短編なので密度が濃く色鮮やかです。

わたしは「うつくしい墓」の主人公マリアの気持ちが

手に取るようにわかって(気がして)引き込まれました。

 

「楽園のカンヴァス」のスリルや謎解きは無いけれど

読後もふと、物語の情景を思い出すことがあるような本です。

機会がありましたらぜひお読みください。

 

「ジヴェルニーの食卓」

著者 原田マハ

株式会社 集英社

2015年6月30日 第1刷発行

 

 

宮下孝晴と行く隠れた珠玉の作品に出会う旅 -フィレンツェ・トスカーナ編 11月05日

 

最後にイタリアへ行ったのは2011年ですので

そんなに昔というわけではありません。

でもいつも頭のどこかに「イタリアに行きたい」

という希望をとどめています。

そしてこの本を書店で見つけてからは

具体的に「いつ行くか?」の計画になりつつあります。

syugyoku (2)

イタリアのフィレンツェに留学していた3年間、

毎日通学で歩いていた道のすぐ横にある教会や小さな邸宅に

こんなに沢山宝物があったなんて。

syugyoku (3)

本で見慣れたあの作品は、てっきりウフィツィ美術館にあると思っていたら

ルネッサンス当時のままに街角の古い教会の薄暗い壁にあって

いまも信仰の対象になっているなんて。

syugyoku (1)

こんなところに、こんな名作が?!

あの通りの奥に美術館があったのですか?!

ジョットもフラ・アンジェリコも、リッピもギルランダイオも・・・

びっくりです。

留学当時は大きな美術館-ウフィツィやピッティ、

アカデミアやバルジェッロなど-に通うだけで頭も心も一杯でしたから

小さな教会を訪ねる余裕がありませんでした。

 

こんどイタリアへ行くなら、フィレンツェだけに1週間は滞在し

この本をガイドに、こころゆくまで歩き回りたいと思います。

計画をたてなくては!

 

「宮下孝晴と行く隠れた珠玉の作品に出会う旅 -フィレンツェ・トスカーナ編」

著者・写真 宮下孝晴

株式会社梧桐書院

2015年8月25日 第1刷発行

 

 

楽園のカンヴァス 10月26日

 

幼い頃に両親に連れられて行った展覧会で、母が

「ハガキを一枚買ってあげる。好きなのを選びなさい。」

と言って買ってもらったのは

アンリ・ルソーの「入市税関」でした。

しばらく壁に貼って、そのあとは折り紙の箱に入れて

いつのまにかどこかに行ってしまいましたけれど。

image253

アンリ・ルソー「入市税関」1900年頃 ロンドン大学コートルード・インスティテュート

 

先日手に取った「楽園のカンヴァス」はルソー作品をめぐる物語で、

あまりに面白くて先が気になって、電車は乗り過ごし

結局夜も眠らず一息に読んでしまったのでした。

小説内の物語ですから、内容の真偽は別として

主人公二人の-つまり著者の原田マハさんの-

ルソーを愛する気持ちや作品の解釈を読みながら

「ああ、そうだったなぁ。」とこのハガキを

買ってもらった時のことを思い出しました。

 

ちょうど Tokyo Conservation のスタジオでも

ルソーと同時代の、きっとルソーと会っていただろう画家の

作品が納められている額縁を修復しており、

すっかりルソーと「楽園のカンヴァス」の物語世界に

心が入り込んでしまった数日間でした。

 

とても面白い物語。おすすめです。

rakuen

「楽園のカンヴァス」

著者 原田マハ

株式会社新潮社

平成26年7月1日 第1刷発行

 

 

イタリアの小さな工房めぐり 9月17日

 

家族が衝動買いで持って帰ってきた本

「イタリアの小さな工房めぐり」をご紹介します。

イタリアには個人経営の手仕事工房が、今も現役で活躍しています。

こうした工房を紹介する本は沢山でていますが

また新しい本が登場し、手に取ったら最後。

我が家の本棚に加わりました。

bottega-italia (2)

紹介されてる工房は、イコン画工房、聖像工房といった

カソリックの国らしい工房、またはオカリナ工房(オカリナは

イタリアが発祥だとか!)やハンドメイド自転車工房

(さすがジーロ・ディ・イタリア開催の国)なども。

そしてもちろん!フィレンツェの額縁工房が登場です。

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紹介されている額縁工房は、このブログでも何度か登場している

老舗額縁工房 MASELLI(マゼッリ)です。

古典技法額縁の作り方の流れが紹介もされていますし、

イタリアの人たちにとって額縁がどんな存在なのか

マゼッリ氏のお話から感じることができます。

 

作業風景の写真の中で、箔を切っている場面がありました。

箔床(箔台)に金箔を直接乗せず、紙を挟んだまま

ナイフを当てています。

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実際の作業時に紙の上で切るとは思えませんし

おそらく説明するためのポーズと思われます。

 

他にもハープ工房、製本工房に鍛冶工房などなど

訊ねてみたい工房が沢山!

紹介されている工房の半分はトスカーナ州ですので、

この本を片手に気ままな旅をしたいなぁ・・・と

夢を広げています。

 

「イタリアの小さな工房めぐり」とんぼの本シリーズ

著者 大矢麻里

株式会社新潮社

2015年6月30日 第1刷発行

 

 

 

ITALIAN RENAISSANCE FRAMES AT THE V&A A TECHINICAL STUDY 7月16日

 

市が尾にある額縁教室 atelier LAPIS の本棚には

筒井先生所蔵の様々な額縁に関する本があり、

生徒さんにご自由に見て頂いています。

和書あり洋書あり、内容は多岐です。

主にあるのはやはり英語とイタリア語。

額縁発祥の地と言われるイタリア、そして豊富なコレクションを持ち

研究の進む英語圏、といったところなのでしょうか。

LAPISでも額縁の歴史を見たり、技法を見たり、そして

これから作る額縁のデザインの参考にしたりと活用されています。

 

その中に、以前から気になっていて「いつか欲しい」と

思い続けていた本が、今回ご紹介するものです。

ロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート美術館所蔵

イタリアのルネッサンス時代に作られた額縁についての内容。

「ITALIAN RENAISSANCE FRAMES AT THE V&A  A TECHINICAL STUDY」

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一般的な額縁の大型本は、いわば正面から撮影された額縁の写真集ですが、

この本はタイトルに「A TECHINICAL STUDY」とあるだけに

調査のデータが豊富です。デザインや技法の説明はもちろん、

木枠の材、構造、装飾に使われた絵具や石膏、ニカワの成分分析、

後年に修復されたり手を加えられた部分について、などなど。

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裏面写真が見られるのは、本当に貴重です!

裏面から額縁構造が良く分かります。

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グラッフィートで装飾された額縁は、顕微鏡によるクロスセクション(断面)写真も。

絵画や彫刻作品のクロスセクションは修復の現場では珍しくありませんが、

額縁で見るのは初めてです。

イギリスでの額縁に対する思いと理解の深さを感じられます。

1作品について、サイズデータ、正面写真、裏面写真、装飾部分拡大写真に

各1ページずつ、そして調査データに4ページなどと、かなり詳しく掲載されています。

面白かったのは、壊れてしまった額縁の復元予想図。

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可愛らしい馬の装飾が施された額縁、変色し右上が壊れていますが

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全面が赤色ボーロに純金箔が施されていたこと、また

1500年代前半に作られたことを考慮してデジタル復元された写真。

技術が進歩すると、こんな写真も見られるのですね。

そうして、額縁にこれだけ情熱をもって研究を続けている人がいることは

嬉しく、またお尻を叩かれつつ励まされる気持ちになります。

 

ずっと欲しい欲しいと思っていたこの本、

新古本が3分の1の価格で売られているのを発見!

とうとう手元に置くことができました。

気長に、でもこつこつと辞書を片手に読まなければ。

なにせとても面白い内容なのですから!

 

データ:「ITALIAN RENAISSANCE FRAMES AT THE V&A  A TECHINICAL STUDY」

著者 CHRISTINE POWELL & ZOE ALLEN

Elsevier Ltd in Association with the Victoria and Albert Museum

2010年 第1刷発行

 

 

待ちきれなくて 「ヨーロッパ アンティーク・カップ銘鑑」 4月23日

 

4月初めに行った「デミタス コスモス」展の図録が売り切れで

でもどうしても欲しくて ネットなどで探してみたのですが

見つからなくて ううーむ

図録が売りに出るまで待ちきれず この古書を買いました。

我ながら気が短い。

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ですがこの本の購入は大正解でした。

磁器の歴史から各国窯元の特徴

形・絵付・模様・装飾 また

コレクターに必要とされる知識など。

「贋作との闘い」「鑑別の方法とその勉強法」の項目もあります。

240ページもあって読み物としてもとても充実しているうえに

なにより掲載作品数と写真が豊富でオールカラー!

なかには「デミタス コスモス」展でも観たのと同じデザインの

デミタスカップもありました。

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ぎゅっと詰まった小さくも奥深い世界です。

 

良い本に巡り合えました。

知識を得るためだけではなくて

想像力をかきたてる本です。

わたしもぎゅっと詰まった額縁が作りたくなりました。

 

「ヨーロッパ アンティーク・カップ銘鑑」

著者 和田泰志

実業之日本社

1996年11月25日 初版第1刷発行

 

 

有元利夫と女神たち 4月13日

 

またもや有元利夫の本のご紹介です。

有元利夫にご興味ない方も どうぞお付き合いくださいませ。

と言いますのも この本には額縁の写真も沢山あるのですから。

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古典技法で額縁を作り 古色仕上げが好きなわたしにとって

有元利夫の作品と彼の作った(選んだ)額縁の組み合わせは

いつまでも興味が尽きません。

どの額縁が有元作なのか 装飾だけが有元なのか

分からない額縁もありますが とにかく

有元自身が選んだであろうことは ほぼ確かなことです。

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黒地に金の装飾模様 カッセッタ額縁。

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額縁自体はシンプルだけどライナーに使われている布が特徴的。 そしてライナーが使われるのもめずらしいことです。

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褐色のボーロに純金箔水押しの額縁。 四隅のフリーハンドによる装飾が可愛らしい。 垂直に入るメノウ磨きの跡は意図したものなのでしょうか。

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この小さな額縁はヨーロッパで買った古いものだとか。 まず額縁ありきで描かれた作品か・・・どうでしょうか。

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シンプルな形の額縁ですが 全面に箔 そして黒で描かれた装飾。 かなり強い古色がつけられています。石膏が割れて木地が見える部分も。

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228×158mmと小品ですが もっと大きな作品に感じます。 赤色ボーロに純金箔の水押し。中央には刻印が押されていますが わざとつけられた傷や虫食い穴と絶妙なバランス。

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こちらも小品。祭壇画のような形が印象的です。 直角に入っている亀裂跡はおそらく刃物で入れた古色の跡です。

有元利夫の額縁を見ていると イタリアの額縁師匠

マッシモ氏の作る額縁を思い出します。

強い古色の入れ方-木地が見えるほど欠損させた石膏地

模様と言うより絵のような装飾デザイン

虫食いの跡や刃物で入れた亀裂の跡―がとても近い感覚です。

今わたしはここまで強い古色を入れた額縁を作る機会は無くて

つい忘れがちでしたが ひさしぶりに有元利夫展で観て

自分の出発点を思い出したような気持ちになっています。

 

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彼の絵の背景 遠くに見える丘陵地帯もまた

わたしの心象風景に繋がっています。

 

「有元利夫と女神たち」

発行 木下健太郎

編集 宮澤壯佳

株式会社美術出版社

1986年12月26日 改訂増補第1刷発行

 

 

有元利夫 絵を描く楽しさ 3月30日

 

先日ご紹介しました小川美術館でに有元利夫展ですが

作品鑑賞はもちろんのこと 額縁鑑賞もとても楽しい展覧会でした。

古典技法の水押しでほどこされた金箔

そしてかなり強めに表現された古色(アンティーク風仕上げ)は

機会があればぜひご覧頂きたいのです。

有元作品に付けられている額縁には 有元自身が作ったものもあり

まさに額縁と作品が一体となって理想の姿になっています。

 

「有元利夫 絵を描く楽しさ」という本をひさしぶりに開いたら

いくつか額縁の写真もみつけられました。

金箔の上にラフに絵具で模様を描いて

虫食いの穴を再現してみたものや

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イタリアのカッセッタ額縁(箱型額縁)のようなスタイルも。

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展覧会で見た限りでは 一番多かったのは上のような

赤または黄茶色のボーロに金箔を押して強い古色を付けたものでした。

 

有元の制作過程の紹介を読んでいると

キャンバスをわざとクシャクシャに折りたたんだり

画面を何度もこすって削って古い雰囲気を出しているとか。

これだけ強い古色をつけた額縁ともしっくりなじむ理由は

「古さ」のバランスなのでしょう。

 

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ご自宅の居間にはルドンや船越安武の作品といっしょに

自作の模写イコンや木彫 オリエンタルなオブジェなども並び

有元の好み 彼のイメージの源などを想像させられます。

 

彼がわたしの作った額縁を見たら なんて言っただろう

気に入ってくれたでしょうか?

それとも苦笑いされるでしょうか?

 

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「有元利夫 絵を描く楽しさ」

著者 有元利夫 有元容子 山崎省三

株式会社新潮社

2006年9月23日発行

 

山下りん 日本のイコンと日本の額縁 3月12日

 

3月8日放送のNHK番組「日曜美術館」は

日本最初のイコン画家山下りんを取り上げていました。

その番組の中で 御茶ノ水のニコライ堂

(正式名は東京復活大聖堂)も登場しました。

ちょうど先日 このニコライ堂を見学したばかりで

またキリスト教美術についての内容でしたので

とても興味深く観ました。

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山下りんはロシア留学から帰国後 このニコライ堂で生活し

アトリエも与えられイコンを描いていたそうです。

先日見学に行った際に購入した小冊子には

りんが描いたイコンを額装してロシア皇太子ニコライに献上したことが

写真とともに掲載されています。

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日本語の文字も描かれているからでしょうか

またイエス様や天使の顔だちもヨーロッパ的ではなくて

イコンと言えどもビザンチン様式の物よりずっと身近に感じます。

そしてこの額縁。

菊や百合 水仙などのとても日本的な図案です。

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この額縁について少し検索してみたのですが

漆による金蒔絵の装飾が施されているそうです。

 

このイコンが描かれ献上されたのは明治24年(1891年)とか。

日本における額縁制作の始まりは明治半ばとされていますから

この額縁は日本で作られた額縁の極々初期のものです。

額縁というよりも「大切な絵を囲む平たい箱」というような認識で

蒔絵職人が作ったもの・・・なのではないでしょうか。

山下りんはロシアで額縁を沢山見ているはずですし

この蒔絵額縁についてアドバイスをしたかもしれません。

 

NHK「日曜美術館」

-祈りのまなざし イコン画家・山下りんと東北-

3月15日の夜に再放送があります。

 

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「日本正教会の歴史 1」

著者 司祭パウエル及川信

日本ハリストス正教会教団 西日本主教教区宗務局

2008年8月28日 初版発行

 

 

修道院のレシピ そしてGratin dauphinois 3月05日

 

頻繁に立ち寄る雑貨店にはちょっとした本のスペースもあって

そこにはいつも様々なジャンルのエッセイや新書がならび

大きな書店ではたどり着けないような面白い本が並んでいます。

先日も本棚を眺めていて「修道院」に惹かれて手に取ったのが

「修道院のレシピ」という本でした。

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後で検索して分かったことですが 2002年の出版当時は話題になったようです。

修道院付属の女子高で使われたレシピ本が和訳されているそうで

かなり分厚い本ですが それがまた学校の教科書風で実用的。

開いてみても料理の完成写真はほとんどなく

ひたすらぎっしりとレシピが並んでいます。その数600近いとか。

ソース 保存食 前菜とスープ 主菜の魚・肉・野菜 副菜 デザート・・・

数えてみようと思いましたが 数えきれませんでした。

(デザートに写真が一枚も無いレシピ本は初めてです!)

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なにせほとんど写真がありませんから 完成図は想像するしかありません。

でもそれがまた想像が膨らんで「読み物」としてじーっと読んでも楽しいのです。

たまに出てくる数少ない写真もまた期待を膨らませます。

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上の写真の左は「野菜のジャルディニエール」と言うそうですが

フランス風ゆで野菜の和え物。

右は「お米のポーチドエッグ添え」でピラフにトマトソース。

なんとも簡単な いわば毎日食べるような家庭料理の紹介です。

そんなものわざわざレシピを見なくても・・・と仰るなかれ。

この本で料理した人たちの感想を検索すると「とにかく驚くくらい美味しい」とか。

「こってりソースの重いごちそうフレンチ」ではありません。

8版も重ねられているのがひそかな人気の証でしょう。

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修道院というと質素で殺生は控えて・・・と思いきや

かなりボリューミーな肉料理も紹介されています。

左はココットで作るローストビーフ 右はブフ・ブルギニヨン。

どれもこれもレシピにはごく簡単な手順があるだけで

火加減やオーブンの温度も無いし調味料の量も「お好みで」とか

「卵1~2個」「小玉ねぎ15個くらい」と曖昧ですけれど

それもまたフランスらしいとでも言いましょうか。

帯には「これ1冊でお嫁に行ける。」とあるほどです。

 

そして作ってみました修道院のグラタン・ドフィノワ。

Gratin dauphinois 薄切りじゃがいものグラタンです。

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じゃがいも 牛乳 卵 そして塩コショウとナツメグ少々。これだけ。

例によってレシピ文は数行 調味料の量もオーブン温度もありませんが

準備は簡単 調理はオーブン任せで忙しい夜にも便利なレシピです。

バターもチーズもクリームも使いませんから食後の片づけも胃袋も楽でした。

そして本当に美味しいのでした。

これは今後も頻繁に作ることになりそうです。

 

「修道院のレシピ フランス・ブルターニュ地方」

企画・構成・写真・イラスト・文 猪本典子

朝日出版社

2002年7月24日 初版第1刷発行

 

 

 

芸術新潮10月号 ウフィツィ美術館ものがたり 9月29日

 

書店ではっと目に留まり ぱらりと中を見たとたんに

「これは買わずばなるまい!」と鼻息あらくなりました。

芸術新潮10月号の “ウフィツィ美術館ものがたり” です。

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イタリアのフィレンツェにある美術の殿堂

ウフィツィ美術館は大変に有名な美術館ですから

興味のある方 また訪れたことのある方も多いことでしょう。

この雑誌に掲載されている美術館内の写真のなにが良いって

所蔵展示作品が額縁つきで紹介されていることです。

展覧会カタログでも美術館のコレクション紹介本でもかならず

額縁は切りとられてしまっているのは仕方がないけれど

つねづね残念にも思っているのですが

こうして美術館全体を紹介する雑誌では

「作品を正しく見せること」に特化する必要がありませんから

額縁もそのままに美術館の雰囲気を伝えてくれています。

 

ボッティチェッリやラファエロ ティツィアーノにカラヴァッジョ等々

彼らの代表作ともいえる絵に付けられている額縁をみて

意外にシンプルなことに驚いたり 当時最高の技術と材料で作られた

額縁の美しさにため息をついたり。

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そして以前に La nostalgia in Italia 2011 のシリーズでご紹介した

フィレンツェの額縁工房 Maselli が載っているのも要チェックです。

http://www.kanesei.net/2013/08/05.html Cornici Maselli

わたしがうっとりと眺めた Maselli のウィンドウにあった額縁は

こんな工房でこの人たちが作っていたのか・・・と納得です。

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芸術新潮10月号の “ウフィツィ美術館ものがたり” おすすめです。

 

 

額縁の本 「PICTURE FRAMING TECHNIQUES」 7月28日

 

ひさしぶりに額縁の本のご紹介です。

先日いただいたのはイギリスの額縁についての本。

Robert Cunning という方の著書ですが

内容はとても多岐にわたっています。

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“テクニック”と題にある通り 木枠の組み方

使う道具 コツ 額縁の部分名称等がありますが

マットテクニックや様々な装飾方法 修復から展示方法まで

ありとあらゆることが解説されています!

外国の額縁制作の本を見ていつも思うことですが

1冊に額縁に関して必要な基礎知識がほぼすべて網羅されていて

それさえ読めばひとまず額縁管理が出来そう・・・なのです。

この本を日本語に訳したらどうだろう と思いつつも

やっぱり日本とヨーロッパでは額縁の歴史も需要も違うからなぁ・・・

などと考えてしまいます。

 

さて なかでも興味深かったのは

マットの装飾に使うマーブル紙の作り方の紹介

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ふるいレシピでの型取りの方法(修復)

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そして楕円形の額縁木地の作り方。

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著者の Cunning氏は 額縁の制作なら

古典技法から新しい材料を使ったものまで

付随するマットのデザイン・制作

箔の上からの彩色や古色の入れ方

べっこうや突板 卵の殻(!)など特殊な材料の使い方

楕円や祭壇型 観音開きなど変わった形の木枠の作り方

そして展示方法の提案から修復まで!

額縁のエキスパート 額縁の生き字引のような方です。

もう20年以上前の本ですが ぎっしり詰まった内容と(英語!)豊富な写真で

いつまでも見ていて飽きず 制作意欲を湧かせてくれる本です。

 

データ : 「The encyclopedia of PICTURE FRAMING TECHNIQUES」

      ROBERT CUNNING

      Quart Publishing plc

      1993年 第1刷発行

 

 

 

 

 

いつ読むのか「草枕」 6月05日

 

先日の午後 部屋の片づけのついでに

避難用バッグの整理もしました。

いつ何時必要になるか分からないバッグですから

たまに点検しておくべきですね。

非常食に入れてあるチョコレートが古くなっていたので出して

ウェットティッシュも新しいものにしました。

 

バッグの中に入れてある様々なもののひとつに

夏目漱石の「草枕」の文庫本がありました。

入れたことも忘れていました。

 

「吾輩は猫である」「坊ちゃん」と「こころ」は何度も読み返しましたが

なぜか「三四郎」は読み終えるのに苦労し「草枕」に至っては

なんどか手に取りつつも結局終わりまでたどり着けず・・・

避難バッグにいれてしまいました。

同じ作家の本でも「好き嫌い」といいますか自分の心や日々のタイミングと

「合う合わない」がはっきりあって不思議だな と思っています。

 

避難バッグに入れてしまった「草枕」

このバッグが必要な時まで読まないのか・・・

なかなか複雑な気持ちです。

避難バッグにはいっそ何度も読み返した「吾輩は猫である」を入れて

「草枕」は心身ともに平和で安全なときにゆっくり読むべき かもしれません。

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おうちで楽しむにほんの習わし 9月30日

 

今年の秋分の日 9月23日は いかがおすごしでしたか?

おはぎは召し上がりましたでしょうか。

 

今日ご紹介する本「おうちで楽しむにほんの習わし」は

日本の昔からある伝統や風習を紹介したものです。

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イラスト入りで「衣・食・書・茶・庭」の5つのカテゴリー。

日本の文化と深いつながりのある樹木についてや庭の造り

季節の行事やお節句 文字や紙 色の名前 織物の知識

そして懐石料理や精進料理 お寿司や天麩羅などなど・・・

普段はあまり気に留めていないようなことも

あらためて日本に生まれて これらの文化の中で育ったことを

感じられると同時に 少し前の人たちが当たり前に知っていた

日本独自の文化・風習ですが わたしは知らないことがまだ沢山あることを

実感させられる そんな興味深い内容です。

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「精進料理を作ろう」では雲片やゴマ豆腐のレシピ

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季節ごとの色目のかさね紹介

 

まだまだ楽しいページが沢山です。

わたしが特に興味深かったのは 着物の手入れと文字のお話。

コラムのような文章とイラストで 気軽にみる事ができます。

秋の夜長にでもぜひどうぞ。

 

データ : 「おうちで楽しむにほんの習わし」

     著者 広田千悦子

     株式会社技術評論社

     2010年1月10日 第1刷発行

 

 

DECORATING WITH PICTURES 7月29日

 

この本もまた先日ご紹介した「Displaying Pictures」同様に

古典技法額縁の教室 Atelier LAPIS の生徒さんから

お借りした本です。

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「この本に載っている額縁をイメージした

小さな額縁を作りたい」とのこと。

先日から教室で さっそく制作を始められています。

 

この本は絵のモチーフ(静物や人物 風景 動物等)の

表すイメージを元に どの部屋にはどんな絵を

どのように飾れば部屋の特徴を表現できるか・・・など

インテリアと合わせて全体的な部屋の装飾を提案しています。

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美術館に納められている名のある作品に付けられた

額縁は大きくて立派で歴史もあり「額縁作品」として

鑑賞するには良いけれど 一般的な家庭には合いません。

この本にはクラシカルな額縁の写真が多いけれど

自宅に飾るイメージを抱きやすい「手頃」で趣もある

様々な額装を施した作品が載っています。

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こちらもやはり英語で書かれていますが

美しい沢山の写真を ぼんやり眺めているだけでも

想像が膨らんで楽しい本です。

 

データ : 「DECORATING WITH PICTURES」

     著者 Stephanie Hoppen

     Ebury Press,London

     1991年第1刷発行

 

 

Displaying Pictures 7月22日

 

先日 古典技法額縁の教室 Atelier LAPIS で

生徒さんがお持ちになった本です。

とても面白く興味深い内容だったので

お願いして貸して頂きました。

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タイトル “Displaying Pictures” のとおり

様々な技法で描かれた作品(油彩や水彩 版画等)に

どのような額装が合うか そして展示の方法を提案しています。

モダンな白いインテリアに 古典的額縁に入った作品を飾ったり

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格子が特徴的なクラシカルな壁に 様々なタイプの額を沢山。

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巻末には簡単ながら額縁の作り方 使う道具 吊金具の選び方

また布貼マットの作り方や額縁に古色を付ける方法

そしてちょっとした修復方法も紹介されています。

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この1冊で 額縁の扱い方がひとまず理解できるような

なかなか優れた内容です。

 

ぱらぱらとページを繰っていると なんだか手放しがたくなって

インターネットの古本屋から取り寄せることにしました。

英語で書かれているのがハードルではありますが

まずは美しい写真を眺めてから 読み進めるつもりです。

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データ : 「Displaying Pictures」

     著者 Caroline Clifton-Mogg , Piers Feetham

     Mitchell Beazley International Ltd

     1988年発行

 

文庫上製本 3月04日

 

おととしの秋にはじめて仕上げた「文庫上製本」はとても楽しい作業で

http://www.kanesei.net/2011/09/22.html

最近もゴソゴソとひとり工作の時間を楽しみました。

文庫本をハードカバーの本に仕立て直す

いわば「文庫本からのお色直し」なのですが

表紙や見返しを好きに選べ 自分だけの大切な本に生まれ変わります。

 

友人にプレゼントしようと思った本は

わたしにとって色々と思い出の詰まった文庫本でしたが

大変残念なことにすでに絶版でした。

仕方なく古本を取り寄せましたが

黄ばんでくたびれた古文庫本を人に差し上げるのも心苦しい・・・

ということで ここぞとばかりにお色直し。

オリジナルのカバーは中表紙(?)に変身です。

 

大切な本の表紙を引き剥がしカバーを切り といった行為は

心が少し痛むのも確かなのです。

プレゼントする友人が喜んでくれることを祈りつつの作業でした。

 

 

 

La nostalgia in Italia 2011 Firenze extra4 11月19日

 

イタリアの郷愁 2011 フィレンツェ 番外4

 

イタリアを旅する楽しみの大きなひとつは

なんといっても食事があると思います。

日本にも沢山の美味しいイタリアンレストランがありますが

旅先での食事は 空気も雰囲気も そして自分の気持ちも

すべてが特別に感じられますから。

そして何より一期一会の貴重な体験です。

 

今回の旅での大ヒットはこの本でした。

その名もズバリ「フィレンツェ美食散歩」です。

春夏秋冬の季節に合わせてのお勧め観光ルートに合わせ

さらにお勧めのレストランやトラットリア バールが

紹介されており もちろん「Trattoria Sostanza」も。

巻末にはお土産の食材 ドライトマトや塩漬けケッパー等を

使った美味しいレシピまで載っています。

現地フィレンツェに住む著者(ご夫妻)ならではです。

 

この本お勧めのお店に3~4軒行きましたが

どこも気取らず旅行者にも入りやすいお店ばかりで

全て大満足という大変うれしいガイドブックでした。

フィレンツェを旅する方にぜひお勧めしたい一冊です。

データ : 「フィレンツェ美食散歩 おいしいもの探しの四季の旅」

著者  池田匡克/池田愛美

    地球の歩き方GEM STONE

    2009年6月 第1刷発行

 

 

額縁の本 「額縁業界のあゆみ」 10月25日

 

古い額縁の修復をしていると

おのずと興味を持ち そして知る必要に迫られるのが

日本の額縁製造の歴史です。

ヨーロッパの額縁の歴史は 中世以来からが

すでにまとめられ 各国の特徴や職人に至るまで

資料も豊富に出版されています。

 

ところが日本は・・・と言うと まだまだ。

日本で本格的に額縁製造が始まったのは明治以降と

歴史があまり長くないことも原因の一つかもしれませんが

これはとても残念なことでもあり わたしのような

仕事をしている人間にとっては困ることもしばしば・・・。

額縁の出自が判ると 中に収められている作品の制作年代の推測

作家についてなど 実に様々なことを理解する手掛かりになります。

 

そんな訳で 現在調査中の額縁に関しての資料を探していたところ

この「額縁業界のあゆみ」(全国額縁組合連合会編)を

お借りすることができました。

昭和61年出版で非売品ですので貴重な本。

日本の額縁業界史など創成期の逸話や戦中戦後の様子

西洋の文化の額縁を日本に取り入れてゆく過程など

読んでいて改めて先人の努力に感銘を受けます。

また具体的にどこの工房がどのような材料を使っていたか

あるいは 神田の額縁職人の前職はじつは豆腐屋だった など

興味深く ちょっと面白い記載もあります。

お返しする期日までじっくり読み返しました。

 

出版からすでに26年が過ぎました。

そろそろ「新・額縁業界のあゆみ」が出ると嬉しいのですが。

古い職人さんにお話を伺えるうちに・・・

データ : 記念誌「額縁業界のあゆみ」

      全国額縁組合連合会記念誌編集委員会

      昭和61年9月24日発行

 

 

GREENE & GREENE 9月13日

 

2011年 LOWY「A CHANGE OF TASTE」展

そして三菱一号館美術館で開催された「バーン=ジョーンズ」展と

アーツ&クラフツに関するお話が続いていますが

今日ご紹介する本もまたアーツ&クラフツ時代の建築家

チャールズ・グリーンとヘンリー・グリーン兄弟の

木造建築の写真集です。

この本はアンティークショップ(相も変わらず)の

本棚で見つけたものですが 嬉しい出会いでした。

額縁と家とインテリアは 歴史もデザインも全てにおいて

連続した流れでつながっています。

歴史的な名建築家の作った家には その家に合わせ同時に作られた

額縁や家具がある場合が多く これを観る機会は貴重です。

 

アメリカのカリフォルニア州にはグリーン兄弟の

それぞれの自宅をはじめ 幾つもの邸宅が残されています。

日本の文化を愛し 大きな影響を受けた兄弟が作った家には

神社や仏閣建築のような木の組み方 欄間のような装飾

浮世絵の影響が感じられるステンドグラス・・・

でも 単なる東洋の模倣ではなく 決定的に新しくオリジナル性豊かです。

飾り金具の使い方 ちょっとしたカーブ

壁や家具に使われる木肌の美しい照りなど眺めていたら

どきどきしながらため息が出てしまいます。

 

 

KANESEIの額縁は古典技法の箔仕上げを中心にしていますが

この本でグリーン兄弟の遺した建築を見て以来

日本の伝統的な木肌を生かす仕上げを

西洋的な額縁に使ってみたい と思っています。

日本画にも洋画にも合うオリジナルの・・・そんな額縁です。

 

データ: 「GREENE & GREENE  MASTERWORKS」

著者 Bruce Smith

写真    Alexander Vertikoff

Chronicle Books , San Francisco

1998年発行

 

 

A CHANGE OF TASTE -LOWYの展覧会から- 8月27日

 

先日お話したニューヨークの額縁店 LOWY から

Tokyo Conservation室長が本を一冊頂いてきました。

「A CHANGE OF TASTE」というタイトルでLOWY で開かれた

アメリカのアーツ&クラフツ時代(1800年代末~1900年代初め)に

アメリカで作られた額縁をメインにした展覧会カタログです。

アメリカのアーツ&クラフツと言えばフランク・ロイド・ライトや

グリーン兄弟など建築家を思い出しますが

この展覧会カタログの最初に登場する額縁作家である

(設計者であり制作は別の職人のようですが)

スタンフォード・ホワイトも建築家だったそうです。

芸術家の友人の為に額縁も手掛けていたとか。

カタログ写真で見るだけでも ヨーロッパの額縁とも違う雰囲気と

超絶技巧とも言える緻密な細工が施された額縁には

驚き感動し ぜひとも実物を近くで見てみたいという

気持ちを強くさせられました。

 

これからヨーロッパ以外の額縁にも

目を向けていかなければ・・・と思います。

 

 

 

額縁の本 小笠原尚司著「額縁への視線」 4月12日

 

先日 atelier du Lapis の額縁教室の生徒さんとお話に

この「額縁への視線」という本が出ました。

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Lapisの本棚に1冊あり わたしも数年前に購入しています。

日本の一般的な書店で手に入る 日本語による額縁の本は

この「額縁への視線」と「額縁と名画」かと思います。

(「額縁の本 ニコラス・ペニー著『額縁と名画』」

http://www.kanesei.net/2009/09/08.html )

「額縁と名画」はイギリスのナショナルギャラリー所蔵品をメインに

イギリス人著者によって書かれている内容であるのに対し

「額縁への視線」は日本で長年額縁制作に携わり

日本での額縁の歴史 国内外マーケット事情 傾向等を深く理解した

著者による内容というのが大きな違いです。

本書には額と額装の歴史やデザインをはじめ

ヨーロッパと日本における額縁と額装の違いの紹介もあり

大変興味深い内容です。

 

実は先日 偶然にも著者の小笠原尚司さんにお会いして

すこしお話をさせて頂く機会がありました。

「額縁はインテリアの一部ですからね」とおっしゃった一言が

とても印象に残っています。

額縁はインテリアであるということ・・・初心に帰りました。

 

データ : 「額縁への視線 額装というデザイン」

著者 小笠原尚司

株式会社八坂書房

2008年7月15日 第1刷 発行

 

 

「手仕事」で夢をかなえる女性たち:ものづくりを生業にした24人の物語 3月22日

 

昨年2011年の11月に 塩沢槙さんにお会いしました。

手作りで製作している女性を取材し 本にまとめられるに当たり

KANESEIも加えてくださったのです。

頂いた名刺には「撮影業 執筆業」とあります。

ご自身で取材し 写真を撮影し 文章にまとめる とのこと。

多才! そしてインタビューも写真撮影時も

わたしや額縁など 対象に心から興味を持って

とても楽しそうなご様子だったのが印象に残っています。

 

その時の本「『手仕事』で夢をかなえる女性たち」が

いよいよ出版され わたしの手元にも送っていただきました。

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わたしが取り留めもなく 考えながら話した内容を

とても美しい文章と写真でまとめてくださっています。

経歴やイタリアでのことなど 今までも何度か

ほかの方が文章にしてくださったことがありますが

書き手(聞き手)によって 受け取り方も

そして表現の仕方も こんなにも違いがあるのだと

新しい驚きと発見もありました。

 

また わたし以外の23人の女性たちも

年齢はさまざまに「ガラス・蝋・金属」「木・草・革」「紙」「糸・布」と

4つのカテゴリーで分けられて登場しています。

(KANESEIは「木・草・革」に登場します)

曖昧な趣味の域ではなく 本当の意味の「仕事」にしている方々。

共感できることも沢山あり 励まされます。

 

書店でお見かけの際は ぜひお手に取っていただけたらと思います。

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データ : 「『手仕事』で夢をかなえる女性たち」

       塩沢 槙(写真・文)

       平成24年3月30日 初版発行

       株式会社 淡交社

 

 

フェルメールの食卓 3月08日

 

ただいま東京・渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムにて

開催中の展覧会「フェルメールからの手紙」展はご覧になりましたか?

今週末こそ行こう!と思いつつ 先送りにしていたら

とうとう来週3月14日までで終わってしまうそうです。

 

以前ご紹介した「クレーの食卓」と同じシリーズで出版されている

「フェルメールの食卓」をご紹介します。

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フェルメールが生きた17世紀オランダと言えば

海運貿易で得た巨万の富で市民が裕福になり

それに伴って文化・美術も黄金時代を迎えています。

フェルメールの作品にもその様子は描かれました。

世界地図のかけられた部屋で優雅に奏でられる音楽。

高価な絹 毛皮 宝石を身に着けた市民女性の姿。

当時 彼らはどんな食卓を囲んでいたのでしょうか。

朝晩は質素で 昼に火を使った料理(肉や魚)を食べたとか。

意外にも手づかみの食事だったそうです。

「17世紀のオランダでは『神から与えられた食べ物は、

人間の手そのもので食べるべきで、道具に頼るべきではない』

という宗教観もあり、フォークは歓迎されなかった」(本文より)

美しいシャンデリアに灯る蝋燭の光と 異国のタペストリー

ヴェネチアから運ばれたワイングラスが並ぶテーブルで

にぎやかに肉を手づかみで食べる人々・・・??

なんとも 不思議なような微笑ましいような風景です。

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下はホワイトアスパラガスのバルサミコソースのページ。
 
ホワイトアスパラガスは わたしにとってオランダらしいメニューです。
 
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データ : 「フェルメールの食卓」
       林 綾野
       株式会社 講談社
       2011年7月15日 第1刷発行
 
 

中世ヨーロッパの服装 Le Costume Europeen 2月20日

 

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この本は書店ではなく雑貨店で手に取りました。

中世の騎士 王侯貴族や裕福な商人 また農民や道化師まで

当時の最新流行ファッションが美しいカラー図版の

文庫本サイズで見ることができます。

オールカラーなのにお手軽価格(¥300)も魅力の一つ。

実在の人物の肖像画を基にした図もあって

彼らのおしゃれに対する情熱も逸話として載っています。

16世紀のダランソン侯爵は豪華な宝石と

珍しい鳥の羽飾りの帽子をかぶって

「優雅な男性の模範となった王子の一人」と紹介されています。

また 17世紀市民の服装では 贅沢品の使用が

減ってきた時代にしゃれた襟飾りやブーツを履いて

「彼らの服装は法令違反であった」など。

服装からも当時の情勢や大きな階級差が見て取れます。

 

下の写真は15世紀の騎士と庶民の服装。

装飾的な図版が美しいページです。

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データ : 「中世ヨーロッパの服装」

       著者 オーギュスト・ラシネ

       株式会社マール社

       2010年4月20日 第1刷発行

 

 

クレーの食卓 12月19日

 

芸術家と食事にまつわる本を見かけると

つい手に取るようになりました。

 

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もともと食べること・料理することに興味があったクレーは

若いころにイタリア旅行をして以来

リゾット(イタリアの米料理)を得意料理としていたそうです。

大切な友人のために作ってごちそうした記録が残っているとか。

クレーの人生は辛い時期が多かったけれど

こうしたエピソードを聞くと 少し心が温まります。

 

下の写真は焼きリンゴのページです。

クレーは 戦争中に従軍先で書いた日記に

「りんごがあったら・・・というのが最大の望み」と

残しているほど リンゴが好きだったそうです。

この写真の リンゴの赤とクロスの灰茶色が

クレーの絵を思わせる配色に感じました。

 
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データ : 「クレーの食卓」
       林 綾野 新藤 信 日本パウル・クレー協会
       株式会社講談社
       2009年3月6日 第1刷発行
 
 

作家の食卓 10月17日

 

先日 美術館のギフトショップで見つけた本です。

「作家の食卓」とある通り 23人の作家が好んだメニューや

行きつけだったレストラン その逸話が載っています。

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石川淳は毎日200gのステーキを3枚欠かさず食べていた!とか

壇一雄は起きたらまずビールを飲む・・・とか

色川武大は一日6食の大食漢だった などなど

その作風とのギャップ(?)に驚くような大家から

森蓉子がつくった「ヨロンどんぶり」なるもののような

「これは美味しそう!」と真似したくなるメニューまで盛り沢山。

下の写真は澁澤龍彦の自宅の食卓風景です。

あま鯛のから揚げが好物だったとか。

写真の料理がおいしそうなのはさることながら

さすが澁澤龍彦の家 家具や装飾品も素敵です。

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データ : 「作家の食卓」

             コロナ・ブックス編集部

             株式会社 平凡社

             2005年7月25日 第1刷発行

 

 

モネ 庭とレシピ 8月29日

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モネの作品と言って思い出すのは 睡蓮やルーアンの聖堂など

明るい色彩で描かれた風景が主な印象ですが

果物やタルト シロップ漬けの桃の瓶などの静物

食卓を囲む家族の風景など 食にまつわる作品も描いています。

食に対する思い入れも人一倍で レシピをまとめた

ノートを6冊も作っていたそうです。

写真で見るあの大きなお腹も納得ですね。

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ジヴェルニーにある 有名なモネの邸宅と美しい庭

そして食にまつわる作品の数々とレシピが載った本です。

モネのプライベートな空間である家とお気に入りの料理など

作品からだけでは分からない モネの人物像も垣間見えます。

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学生時代に1度だけ ジヴェルニーのモネの家を

訪ねる機会がありました。

夏の終わりの暗い雨の日でしたが この黄色い食堂の

あまりに鮮やかな色は とても印象深く覚えています。

何もかもが黄色い食堂で摂る食事・・・どんな気分でしょうか。

そんな部屋でモネが家族と囲んだであろう料理として

きのこを使った一皿が紹介されています。

もうすぐ秋 きのこが美味しい季節です。

さっそく作ってみようと思います。

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データ : 「モネ 庭とレシピ」

著者  林 綾野

株式会社 講談社

2011年1月21日 第1刷発行

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プルーストの花園 8月18日

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わたしがイタリアから帰国して間もないころ

あるカメラマンの方から個展用額縁のご注文をいただきました。

真っ白な額縁で 睡蓮を装飾のモチーフに入れてほしいとのこと。

イメージとして「プルーストの花園」20ページの

「睡蓮(ヒツジグサ)」を見せて下さいました。

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プルーストの書いた「失われた時を求めて」や

「ジャン・サントゥイユ」には様々な植物の描写があって

それら文章の一部に 水彩で描かれた絵が添えてあります。

難解なプルーストの著書を読破するのは・・・

わたしにとっては中々大変な作業ですが

この本で抜粋された美しい風景描写を読んで

少しだけプルーストに近づいたような そんな気分になっています。

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データ : 「プルーストの花園」

著者 マルセル・プルースト

編/画 マルト・スガン=フォント

訳者 鈴木 道彦

1998年10月31日 第1刷発行

株式会社 集英社

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茶室とインテリア 暮らしの空間デザイン 5月02日

 

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帯にある「日本人は、なぜ靴を脱ぐ?!」に

惹かれてこの本を手に取りました。

イタリア生活での最初の時期は 殆んどの時間を

靴を履いて椅子に座る生活を送っていましたが

予想以上に負担になった記憶があります。

ホームステイを終えて友人とのアパート生活を始めてようやく

自室の石の床に大きなマットを敷き ベッドも低くしました。

靴を脱いで床に座り 座卓で物を書き 低い寝床で眠る

日本でのわたしの生活スタイルを再現してようやく

「自分の場所」として落ち着くことが出来ました。

家の外と内での明確な違い 靴を脱ぐ。

心の切り替えスイッチでもあり きっと足の健康の為にも

欠かせない行動になっています。

 

タイトルの通り 日本の伝統的建築・インテリアの文化を

現代と比較し 歴史や機能などを興味深く読むことが出来ます。

茶道文化と日本建築の関係も面白く解説されており 

お茶の稽古がさらに楽しくなりそうです。

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データ : 「茶室とインテリア 暮らしの空間デザイン」      

      著者 内田 繁

      工作社

      2005年9月20日 第1刷発行

      2009年9月20日 第3刷発行

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12の風景画への12の旅 3月03日

 

「12の肖像画による12の物語」と対になる本は

風景画をモチーフに綴られた物語です。

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肖像画の物語とは違い こちらの風景画をモチーフにした物語は

やるせなさ 物悲しさが漂うような情緒溢れた内容。

短い文字数で完成された世界に辻邦夫の力量を感じます。

 

下の写真はカスパー・ダヴィド・フリードリヒ作

「ドレスデンの大猟場」に添えられた『城の装』という物語。

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データ : 十二の風景画への十二の旅

      著者 辻 邦夫

      株式会社文藝春秋

      昭和59年9月15日 初版第一刷

 

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12の肖像画による12の物語 2月17日

 

これぞ究極の“絵本”でしょうか。

ルネッサンスからバロックにかけての時代に描かれた

名だたる画家の有名な肖像画作品をモチーフに

辻邦夫が創作した物語が綴られています。

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それぞれ6ページ程度の短い物語ですが

人間の心の闇のようなものをほんの数ページで表現してあり

どれも謎めいて恐ろしい 不思議な物語です。

読後にすこし考え込んでしまうような・・・。

 

下の写真はダ・ヴィンチ作「美しきフェロニエール」に

添えられた『狂い』という物語のページです。

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データ : 十二の肖像画による十二の物語

      著者 辻 邦夫

      株式会社文藝春秋

      昭和56年12月10日 初版第一刷

 

ギリシア・ラテン引用語辭典 12月16日

 

文字を装飾に使うことが好きで

ラテン語の短い文章を

額縁や小箱の模様として入れています。

今日ご紹介する「ギリシア・ラテン引用語辞典」には

紀元前のローマ皇帝や哲学者の言葉などなど

古いギリシア語ラテン語のさまざまな

文章からの一節が載っています。

1937年の初版のままに 古い仮名遣い。

辞書としても また 読み物としても

大変おもしろい本です。

こちらも古書で手に入れたのですが

裏表紙に「濱崎文庫」の蔵書印が押されていました。

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額縁「HONDANA」には

Artibus ingenuis quaesita est gloria multis.

(高貴なる藝術によりて多くに人々に光榮は獲得せられたり)

Publius Ovidus Naso (オウディウス)詩人 B.C.43 – A.D.17

 

小箱「a0-gotico」には

Artis maxime proprium est creare et gignere.

(創造し生産するは藝術の特質なり)

Marcus Tullius Cicero (キケロ)政治家・哲学者 B.C.106 – B.C.43 

 

データ : ギリシア・ラテン引用語辭典

      編著者 田中秀央 落合太郎

      株式会社岩波書店

      1937年10月30日 第1刷発行

      1979年2月15日  第13刷発行

 

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The Illustrated Book of BIRDS 8月19日

 

先日 親友のお父様の思い出の品として本を頂きました。

「The Illustrated Book of BIRDS」 鳥の図鑑です。

美しいイラストによる鳥の図版がメインですが

鳥の生態や分布図 野生の鳥の保護についてなども。

全文英語ですので なかなか読破はできませんが

写真とは違うイラストによる鳥の絵を眺めたり

冬になると我が家に訪れる鳥の種類を調べたり

ということでも活躍してくれそうです。

 

「どれでも好きな本を」とおっしゃって頂き 

沢山の画集の中から選び取った本が鳥の図鑑とは

わたし自身でも意外でした。

この本をお持ちだった親友のお父様が

書店から大切に持ち帰られた様子を想像します。

ご生前の頃には 楽しく興味深く読んでいらしたのだろうか。

お父様の思い出と共にこの本を大切にしようと思います。

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データ : 「The Illustrated Book of BIRDS」

       著者 Dr.Jiri Felix

                  図版 Kvetoslav Hisek

                  Octopus Books Limited

                 1978年発行 (英語版)

 

 

      

もうひとつの空 8月05日

  

著名な故人の日記は出版されていて 読む機会がありますが

日記には心の奥にある「思い」をさらけ出しているはずです。

他者に読まれることを想定しない日記が出版されるのを

ご本人は草葉の陰でどう思っておられるのか。

でも読まれる目的ではないからこそ書かれているような

様々な「思い」を拝読するわたしにとっては

気持ちを律する機会であり 

慰められ 心強く励まされるのです。

ふと不安になった時には 38歳という若さで夭折した

画家有元利夫の日記を読み返すことにしています。

イタリア留学中にも何度も助けられた本です。

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データ : 「もうひとつの空 -日記と素描-」

      著者 有元利夫

      株式会社 新潮社

      1986年2月22日 第1刷発行

the glory of angels 天使達の栄光 7月15日

 

書店の棚の一番上の隅で 人目に触れず

ひっそりと安売りになっていた本です。

手に取ったら最後 手放せなくなりました。

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表紙は観音開きで凝った作りです。

古今東西(アラブも日本も)の天使の本。

神様が天上におられる世界では

地上と天上を行き来する天使が

翼を持つ必要があった・・・のでしょう。

神様と人間をつなぐ天使は性別も年齢もありません。

美しい女性のようだったり 凛々しい青年の姿だったり。

そして楽しく遊ぶ子供たちの姿で登場することも。

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19世紀イギリスの画家であり詩人 ウィリアム・ブレイクの

夢見るような天使の絵も 綺麗な印刷で見られます。

Amazon などでもお手頃価格で購入できるようですので

ご興味ある方はぜひご覧下さい。

http://www.amazon.co.jp/Glory-Angels-Edward-Lucie-smith/dp/0061787779/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=english-books&qid=1276089751&sr=8-1

データ : 「The Glory of Angels」

      著者 Edward Lucie-Smith

      Collins Design

      2009年発行

額縁の本 「LA CORNICE FIORENTINA E SENESE」 5月31日

 

久しぶりに額縁の本のご紹介です。

こちらの本にはイタリアのトスカーナ州にある街

フィレンツェとシエナで作られた額縁の歴史

そして修復技術について書かれています。

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イタリアの額縁と一口で言っても

地方と時代によってそれぞれの特徴がみられますが

それをフィレンツェとシエナに特化し

さらにサイズや断面図なども挙げてあり

製作方法も一目で理解することが出来ます。

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また 箔や彫刻が施された額縁を修復する方法も

材料・技術・手順を図版とともに説明しています。

修復技術は日進月歩で この本に記載されている方法は

必ずしも今現在使われているとは言えませんが

修復の基本やポイントは今も変わりません。

いままでご紹介した額縁の写真集などに比べ

額縁をより具体的な形として見る為に参考となる一冊です。

データ : 「LA CORNICE FIORENTINA E SENESE

                      storia e tecniche di restauro」

       著者 Renato Baldi 他

       ALINEA editrice s.r.l. Firenze

                  1992年 第1版発行

私のフィレンツェ 12月30日

 

読み終えても またすぐ最初から読み返したくなって

心の奥深くに印象が残るような わたしが感じたことを

その作家と話したいと思うような本に出会う機会は

あまりありませんでした。

でもこの「私のフィレンツェ」は間違いなく

これから先も繰り返し読むことになる本です。

著者の松永伍一氏は詩人であり 文章の美しさは

読んでいて清々しい気持ちになります。

この本は著者が一人でイタリア(主にフィレンツェ)を

旅した時に日本へ書き送った私信を編纂したものです。

美術館で鑑賞した作品の感想 街を歩いた印象から

まつわることに関しての著者の深い考えなどが書かれている

旅行記とも言える本です。

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フィレンツェでの松永伍一氏は旅人として 私は長期滞在者として

街に対して得た最終的な印象は違うとしても

フィレンツェに対する愛情は同じなのかもしれません。

美しい言葉で綴られる情景描写を読むと

少々感傷的な気分になりつつ 記憶が10年前へ

あっという間にさかのぼるようです。

(感想をお伝えすることがいかに難しいことか!)

わたしが長々とお話するより 

フィレンツェにご興味のある方に

ぜひ一度読んでいただきたいとお勧めします。

 

残念ながら 著者の松永伍一氏は昨年2008年3月に

お亡くなりになりました。

この本に出会うのがもっと早ければと悔やまれます。

わたしもまたいつか 一人でフィレンツェを旅する機会があれば

この本を片手に著者の足跡を辿りつつ その考えを

「その場で」感じてみたいと思っています。

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データ : 「私のフィレンツェ」

      著者 松永伍一

      株式会社 講談社

      昭和52年3月15日 第1刷発行

アイルランドの王様の耳はロバの耳 12月28日

 

アイルランドを旅しているときに手に入れた

絵本「Great Irish Legends for children」です。

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昔話が6つあり 巨人や小人の話 勇敢なお姫様のお話などなど

そのひとつに日本でも有名な「王様の耳はロバの耳」がありました。

このお話はグリム童話やイソップ物語のひとつかと

思っていましたが アイルランドの昔話だったようです。

色鮮やかで古典的な雰囲気の絵がとても美しく

簡単な英語(子供向けですので…)で書かれたお話は

大人のわたしが読んでいても愉しい絵本です。

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それにしても おそらくどこの国の昔話にも必ず

小人と巨人のお話はあるものですね。不思議です。

日本で有名な巨人といえば でいだらぼっち。

人間の想像力は国は違えど同じ ということでしょうか。

それとも 昔々には本当に小人も巨人も存在したのかもしれません!

恐いような会ってみたいような・・・

 

データ : 「Great Irish Legends for children」

       著者 Helen Burnford & Eveleen Coyle

       Gill & Macmillan Ltd

                     1994年 第1刷発行

額縁の本 「Repertorio della Cornice Europea」 12月24日

 

今日ご紹介する本「Repertorio della Cornice Europea」は

「ヨーロッパにおける額縁の種類」とでも訳しましょうか

スペインのプラド美術館で買いました。

絵葉書などを売っているお店の一番奥

ガラスケースにひっそりと置かれていました。

スペイン語かと思いきやイタリア語でしたので

悩んだ揚句 スペインの旅の記念として買うことにしました。

お陰でスーツケースの重さがずいぶん増えましたが

思い切って手に入れてよかったと思っています。

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いままでにご覧いただいた額縁の画集(写真集でしょうか)同様

時代ごと国別に額縁の遍歴を見ることが出来ますが

この本は他の本より更に紹介されている額縁数が多いのが特徴です。

 

下の写真は19世紀イタリアのナポリで作られた額縁。

模様はすべて小さな木片で出来ているモザイク額縁です。

100年以上経ってもこんなに美しい状態であり続けるモザイク。

この素晴らしい職人技に改めて敬意を表します。

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データ : 「Repertorio della Cornice Europea」

      著者 Roberto Lodi / Amedeo Montanari

                 edizioni galleria roberto 編

      2003年9月 第1刷発行

もう少し待っていて 12月20日

 

とにかく本が好きです。

ですが同じくらい「読書が好き」な訳でも無い

というのが問題なのであります。

読みたくて 読むべきだと思って手に入れたけれど

(相変わらず古書です。ご覧のとおり。)

本棚にしまったまま時間が過ぎるばかり・・・の本が

いくつかあるのですが この2冊も例外に洩れず。

ホイジンガの「中世の秋」 ヴァザーリの「ルネサンス画人伝」

どちらも絵画史美術史の本として大切に扱われています。

「ルネサンス画人伝」は 手っ取り早く言えば当代きっての

画家たちの人物評論集なようですので(語弊があるかもしれませんが)

あの有名な画家はそんな人物だったのか と言う感じで

彼らをより身近に感じられるような 好奇心くすぐられる内容です。

「中世の秋」に関してはどうやら中々手強そうです。

どちらの内容もヨーロッパの歴史 宗教 地理などを

知っておくとより理解し易いようなので(特に「中世の秋」)

基礎知識をもっと勉強してから読もう・・・と思って今に至ります。

本棚から「いつ読んでくれる?」とひっそり尋ねられているようで

とても気になっている2冊です。

年末恒例 来年の抱負のひとつに「この2冊を読み終える」

を加えたいと思います。

読み終えた方の感想など お聞きかせください。

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愉しき西洋骨董 12月13日

 

この本のタイトルを見ただけで

いかにもKANESEIが好みそうな本だな・・・と思われるでしょうか。

これもまた古書店で見つけました。鎌倉の小町通にあるお店です。

著者の豊福知徳さんは現在ミラノ在住の彫刻家で

彼の素晴らしいコレクションの紹介と

西洋骨董に対する熱い気持ちが綴られています。

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彫刻は勿論 民具や板絵 アフリカの素朴な人形など多岐に渡ります。

イタリア在住の方ならではの収集内容も魅力的です。

その中に古い額縁のコレクションも紹介されていました。

彫刻家から見た額縁について 日本の表具との比較など

著者ならではの考え方も興味深く読みました。

それにしても羨ましいコレクション!

ルネサンス時代の美しい板絵を自宅で楽しめるのです。

実物を拝見できたら素敵だなぁ・・・と思いつつ。

データ : 「愉しき西洋骨董」

      著者 豊福知徳

      株式会社 新潮社

      昭和59年11月25日 第1刷発行

装飾辞典2種 12月10日

 

額縁のデザインを考える時 それまでに貯めてきた

イメージをぱっと生かすことが出来るときもありますが

このようなデザインの本を参考に考えることもあります。

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左の「装飾スタイル辞典」には古代エジプトやギリシアから始まり

最後は1800年代のデザインまで 年代別の古典スタイルを紹介しています。

右の「装飾デザイン辞典」では幾何学模様の展開から

建築 服飾 インテリア 印刷字体などのカテゴリーで様々な

古典デザインを見ることが出来ます。

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上の写真は「装飾デザイン辞典」のフレームページ。

フレーム(枠)と言っても窓枠から額縁 印刷物まで幅広く載っています。

たまに目的も無くぱらぱらと眺めるだけでも楽しい本2冊です。

データ : 「装飾スタイル辞典」

著者 アレクサンダー・シュペルツ 毛利登翻訳

株式会社 東京美術

2001年7月20日 第1刷発行

「装飾デザイン辞典」

著者 フランツ・S・マイヤー 毛利登翻訳

株式会社 東京美術

2000年 2月20日 第1刷発行

その世界を完成させるために 12月07日

 

油絵でも版画でも写真でも・・・

作家が自分の作品を納め保存・鑑賞するために

額縁を自作することがあります。

自分でイメージ通りの額縁を作ることが出来れば

その世界観を完成させるのに一番近い方法です。

 

以前 箱根にあるポーラ美術館を訪ねた時に

藤田嗣治の「姉妹」という作品を観ることが出来ました。

この絵には藤田自作の額縁が付けられています。

読んだ本によると 先に額縁を作り後から絵が描かれたとのこと。

「姉妹」の絵がこの額縁からインスピレーションを受けて

描かれたかは解りませんが とにかく額縁と作品の一体感が

完璧に感じられ 圧倒されたことを思い出します。

額縁を作るわたしにとって あの完成された世界は

嫉妬の対象にさえならないような別世界でした。

 

 でも・・・作家本人ではなく他人である額縁職人が作ることによって

違う感覚で新しく提案できる額縁があるのでは・・・?

自問しつつ今日も額縁を作ります。

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データ : 「藤田嗣治 手しごとの家」

       著者 林 洋子 

       (株)集英社 集英社新書ヴィジュアル版

       2009年11月22日 第1刷発行

額縁の本 「額装の話」 12月06日

 

岡村多聞堂といえば知る人ぞ知る額縁の老舗であり

取り扱う作家の名前に その歴史と格が現れている額縁店です。

この岡村多聞堂のご主人(おそらく先代)が書かれた

「額装の話」という本は古書店で偶然手に取るまで知りませんでした。

自費500部限定出版だったようなので珍しい本なのかと思いきや

ネットで検索すると価格もマチマチに 色々な古書店が扱っているようです。

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梅原龍三郎の序文から始まり 床の間や絵馬についてなど

日本特有の建築や文化に及んで とても面白い解説がされています。

床の間の章の最後に 「床の間はそのまま書画の額縁として

長い歴史を歩んだことに思い到るのであります」とありますが

確かに床の間は空間そのものが 作品を周囲と調和させるための

「額縁」の役割を果たしているのだと 気付きました。

最近 わたしは「日本文化における額縁のあり方」について

色々と考え学ぶ機会を多く得ているのですが

この本もその機会のひとつとなりました。

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データ : 「額装の話」

       著者 多聞堂 岡村辰雄

       岡村多聞堂 自家500部限定版

       昭和30年4月30日 発行

黄金背景卵黄テンペラ 11月22日

 

先日11月18日にお話したテンペラ画について・・・

わたしが描いているテンペラ画は 卵黄テンペラといい

顔料(絵の具の元の粉)を防腐剤を入れた卵黄で溶いています。

油絵の具の乾性油 水彩絵の具のアラビアガム

テンペラではそれらの代わりが卵黄です。

(全卵や卵黄に樹脂 油を入れるテンペラ技法もあります。)

この技法は中世ヨーロッパで主に使われており

油絵の登場で衰退しましたが 現在もテンペラで制作する作家がいます。

わたしは大学時代に卵黄テンペラに出会いました。

そして古典技法額縁制作へ繋がっています。

というのも 木地にボローニャ石膏を塗り金箔を施し磨くという工程は

(わたしのテンペラの場合 この石膏の上に描いています。)

テンペラも古典技法額縁も材料ふくめ同じだからです。

思えば わたしの額縁への道は大学時代に出会ったテンペラが

大きなきっかけのひとつでした。

大学でテンペラ画を描いている頃は まさかこの技法が

卒業後の人生を変え 共に歩んでいくとは思っておらず・・・。

大きなきっかけや変化というのは その後に振り返ったとき

ようやく気づくものなのですね。

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上の写真の本は 数あるテンペラ画技法書のなかで

いちばん分りやすく丁寧だと思っている本です。

特にニスの研究と紹介のページはとても興味深いので

油彩画制作をなさっている方にも読んでいただきたい一冊です。

データ : 「黄金テンペラ技法 イタリア古典絵画の研究と制作」

      著者 紀伊利臣

      誠文堂新光社

      2006年9月1日 第1刷発行

フィレンツェのマエストロたち 11月16日

 

職人を訪ねる本をご紹介するのは これで3冊目になりました。

わたしが知らないだけで きっとまだ沢山の本があるのでしょう。

ヨーロッパの職人の考え方生き方に興味を持つ方が

それだけ多いと言うことの表れですね。

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今日ご紹介する「フィレンツェの職人(マエストロ)たち」では

それぞれの職人の様子を紹介しながらも

フィレンツェの街で暮らす「職人」の歴史と現状も書かれています。

第2次大戦後や1966年の大洪水によって職人工房のあり方も変わったとか。

また職人は決して儲かる仕事ではなく 後継者を探すのも一苦労・・・

というのは日本でもよく耳にすることです。

それでもやはり職人仕事には独特の魅力があり

また地道にコツコツと作業を進める仕事の様子は

人が行う「仕事」としての原点を見るように思います。

 

わたしも「額縁職人」として 地に足を着け生きて行きたい。

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データ : 「フィレンツェの職人(マエストロ)たち」

      著者 朽見行雄 

      JTB日本交通公社出版事業局

      1993年12月1日 第1刷発行

額縁の本 「FRAME WORKS」 11月14日

 

この本をどこの街で購入したか・・・すでに記憶が定かではありません。

どこかヨーロッパの美術館付属の書店だったと思います。

英語で書かれており おもに肖像画の為の額縁が取り上げられています。

西洋の肖像画の歴史の深さにも驚かされました。

日本の一般家庭では 肖像画を居間など団欒の部屋に飾って

それを日々楽しむ習慣はありませんので これもまた文化の違いです。

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ルネサンス時代の額から始まり 最終章では20世紀の額縁まで。

それぞれの時代と地域別に整理されており

額縁だけでなく 中に納められている作品も一緒に写真で見る事が出来ます。

下の写真は巻末の掲載作品でダリのカップルの肖像だそうですが

絵画は風景(ダリの心象風景でしょうか)で額縁が人物の形。

この作品を「肖像画」としているのがダリらしいですね。

それにしても額縁職人さんは一体どんな気持ちと解釈で

この額縁を作ったのか・・・制作秘話など聞いてみたいものです。

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データ : 「Frameworks

                     Form, Function & Ornament in European Portrait Frames 」

      ポール・ミッチェル リン・ロバーツ 著

      (Paul Mitcell & Lynn Roberts)

      Merrell Holberton社

      1996年出版

中世騎士物語 11月05日

 

西洋の時代劇映画や小説がとても好きです。

お姫様と王子様の夢物語では無くて(それも好きですが)

中世の孤独な騎士の物語など とくに飛びついてしまいます。

この児童書3冊も内容はもちろんのこと 装丁と挿絵に惹かれました。

左から「アーサー王物語」「十字軍の騎士」「クオ・ヴァディス」

(「クオ・ヴァディス」は騎士物語ではありません・・・)

淡いベースと指し色の組み合わせや劇画調の絵 紙質の手触りなど

今現在出版されている児童書とは一味違う美しさがあります。

中央の「十字軍の騎士」は昭和29年(1954年)発行ですから

すでに半世紀以上昔の本です。

戦後10年と少しの頃と言えば まだまだ戦争の痛みが

残り続けている時期の出版です。

そしてこの頃の200円はとても高価な児童書だったはず。

当時の小中学生はどんな思いでこれら「西洋騎士物語」を

読んでいたのでしょうか。

とても大切にしていたからこそ 今も美しい状態で

わたしの手元に届いているのだと思うと感慨深い思いです。

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データ : 「十字軍の騎士」

      著者 玉木 五郎

      株式会社 大日本雄弁会講談社

      昭和29年4月20日 第一版発行

      定価 200円

理想の家 11月02日

 

洋書店に置いてあるようなヨーロッパやアメリカの

インテリアを紹介した本を眺めるのが好きです。

もちろん額縁のデザインや家具との相性を考える

参考にもなりますが 単純に美しいインテリアや

庭の様子を見るのも楽しいものです。

椅子とカーペットの色の組み合わせやちょっとした配置など

感心しながら そのお宅に遊びに行ったような気分になります。

一つのテイストで全てが完成されている家には

あまり生活感が無くて 写真で観るには良いけれど

本当は住んで寝食を過すのが大変そう・・・とか

こんな広い浴室にある猫足のバスタブに入ってみたいと思ったり。

いろいろと想像を巡らせつつ眺めています。

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チェンニーノ・チェンニーニ「絵画術の書」 10月30日

 

この本は古典技法を勉強した方々にとっては有名すぎる本で

「いまさら・・・」と思われるかもしれませんが

とても面白い本なので こちらでもご紹介いたします。

 

タイトルがまるで秘密の魔法をこっそり教えるような雰囲気ですが

1300年代後半にイタリアで活動していた画家が

弟子に技法を伝える形で書き残した書物です。

おそらく絵画技法を具体的に綴った最も古い本の一つかと思います。

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なにせ当時は今のようにお店で道具や材料を調達できませんから

技法はもちろんのこと 筆や顔料の作り方から載っています。

特徴的なのが その文章でしょうか。

傍にいる弟子に口伝するように 例えば壁画技法の冒頭では

「大いなる三位一体の名において お前に彩色を手がけさせるとしよう。

それについてお前が習得してゆかねばならぬ方法を教えることにする。」

といった調子なのです。

厳しいけれど手とリ足とリ丁寧に根気良く教えてくれる

生真面目な先生の姿が目に浮かぶようです。

「コップにきれいな水を8分目入れたまえ」

「指2本分の巾で」など 分量や長さは曖昧ですが

ルネッサンス夜明け前の時代 どんな道具を使っていたか

どのように材料を調達していたか 

それらの創意工夫を目の当たりに出来て

当時の画家(職人)のバイタリティに感嘆する思いです。

古典技法に限らず現代に絵を描く方が読まれても

とても興味深い内容だと思います。

ぜひご一読ください。

データ : 「絵画術の書」

       著者 チェンニーノ・チェンニーニ

       辻 茂 編訳  石原靖男 望月一史 訳

       (株)岩波書店

       1991年2月25日 第1版発行

フィレンツェ職人通り 10月27日

 

今日ご紹介する本は いつものように古書店で見つけ

すかさず手に入れたものです。

「また西洋職人の古本話?」と思われるでしょうか(笑)。

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フィレンツェの街の中心には東から西へ向けて

アルノ川が流れていますが 川を挟んだ南側には

中世から今も変わらず職人が多く暮らしています。

この「フィレンツェ職人通り」に登場する職人達も

南側に工房を構えている人たち。

美術製本やマーブル紙 皮細工 金細工やモザイクと言った

フィレンツェ特産のものから 額縁職人の姿もあります。

そして・・・パラパラと見ていたら なんと知った顔の写真が!

わたしが通っていたフィレンツェの修復学校の先生が

家具修復職人として載っているではありませんか。

出版された頃 わたしはこの学校に丁度通っていましたし

先生(フランチェスコと言います)にもお世話になっていました。

修復学校の木工修復科には日本人は私だけでしたし

フランチェスコ先生も一言話して下されば良かったのに・・・

と思いますが 恥かしがりやのフィレンツェ人らしくもあります。

出版から10年になりますが フランチェスコ先生はきっと

白髪が増えたもののお元気で 今日も学生に囲まれておられるでしょう。

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データ : 「フィレンツェ職人通り」

       著者 中嶋浩郎

       NTT出版

       1997年9月29日 第1版発行

ものづくりを仕事にしました。 10月15日

 

2年前のちょうど今日が発売日

2007年10月15日に出版された本です。

田川ミユさんが書かれた「ものづくりを仕事にしました。」

という本にKANESEIも取り上げて頂いております。

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この本の副題「女性クリエイター15人ができるまで」のとおり

15人の女性作家の活動や経歴 考えなどを

カラー写真とともに美しい文章でまとめられています。

わたしKANESEIのページも見て頂きたいのですが

他14人の女性の活動内容など とても興味深い内容です。

なぜ「もの」を作ることを始めたのか?

どのようにして仕事に発展させたのか?

「もの」を作る上での心構えは? などなど

これから「ものづくり」をしたいと思っておられる方の

参考や励ましになれたら と思っています。

もちろん「ものづくり」に興味をお持ちの方々にも。

書店でお見かけの際は ぜひ手にとってご覧下さい。

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データ : 「ものづくりを仕事にしました。」

       著者 田川ミユ

       雷鳥社

       2007年10月15日 第1版発行

天使の食べもの 10月09日

 

先日 「天使の美術と物語」という本を読んでいたら

おもしろい記述がありました。

天使は霊的な存在なので性別も無く肉体も無い。

よって食事は必要ない・・・けれど 実は旧約聖書の詩篇に

天使の食べものが書かれているとか。

天から降り注ぐ奇跡の食べもの。

「外形は琥珀のように白く薄く 一晩置くと痛んでしまうので

毎朝採集したものを食べきれない分は

煮るか焼くかしてパン菓子のようなものにする。

それはこくのあるクリームのような味がしたという。」

焼くとクリーム味のパン菓子。

新鮮な生はどんな味?食べてみたいです。

 

下の写真のような身体の無い天使の群も見かけますが

やっぱり食べるのでしょうか・・・胃は無さそうですが。

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データ : 「天使の美術と物語」

      著者 利倉隆 

      美術出版社

      1999年12月25日 第1版発行

ヨーロッパの職人 9月28日

 

先日 タイトルに惹かれて手に取った古本です。

「ヨーロッパの職人 Craftsmen Of Europe」というタイトルで

カメラマン南川三次朗さんの著書です。

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24人の職人が取り上げられている中 ローマの額縁職人と

フィレンツェの絵画修復職人 ベルギーのパイプオルガン職人が

特に気になり手に取りましたが 本を開いた瞬間から

もう手放せ無くなりました。

カメラマンの著者ならではの美しい写真もさることながら

職人それぞれの言葉 その語る内容に対する著者の考えなど

ゆっくり読んで考えさせらることが沢山ありました。

 

この本では いわゆる名人芸 秘芸のたぐいは取り上げず

皆ヨーロッパの人々が日常生活で接することの出来る品々を作る職人達です。

あとがきに「手作りが注目を浴びる今のブームが去って

結局 未熟な半玄人の”手で作られた”と言うだけの粗悪品だけが

残ってしまうということにならないだろうか」とあります。

これはわたしも常に心の一部で感じていたことです。

手で作られていることがどの程度価値あることなのか?

その「手作りのもの」の商品としての完成度は??

 

未熟な半玄人・・・

いえいえ。わたしもさらに精進いたします。 

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データ : 「ヨーロッパの職人」

     著者 南川三治朗

     (株)朝日ソノラマ 

     昭和55年9月30日 第1版発行

額縁の本 ニコラス・ペニー著「額縁と名画」 9月08日

 

今日ご紹介する本は単行本サイズです。

著者はロンドンのナショナルギャラリーの学芸員の方で

ナショナルギャラリー所蔵の名だたる作家作品の

額縁写真を豊富に掲載し 額縁の歴史 デザイン 技法

絵画との関係 インテリアとしての役割などを簡潔に

読みやすい文章で書かれています。

主にバロック時代までの額縁がメインとされており

近代~現代の額縁に対する考えやスタイルが無いのが

残念なところとも言えますが・・・

額縁修復についても少しですが触れられています。

また古い時代の額縁を後世の画家達がいかに

生かして使っていたかなど面白いお話もあります。

副題にあるとおり「~額縁鑑賞入門」としては最適の構成です。

 

データ : 「額縁と名画 絵画ファンのための額縁鑑賞入門」

      著者 ニコラス・ペニー (古賀敦子訳)

      株式会社八坂書房

      2003年9月10日 第1刷 発行    

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額縁の本 「Coleccion CANO DE P.E.A」 7月14日

 

今日ご紹介する本はスペインで出版された額縁のカタログです。

マドリッドにある額縁会社が出版したもので

副題に ”絵画史におけるスペインの額縁”とあります。

スペイン語と英語の両方で書かれているので

苦労しつつも辛うじて読むことが出来ますが

私はもっぱら美しい写真を眺めてはため息をついています。

カタログと言っても商品カタログというより やはり額縁の歴史を

メインにおいた本と言えると思います。

この本との出合いはフィレンツェ留学中に

スペインから来ていた同級生に借りたのがきっかけでした。

同じヨーロッパと言えどイタリアとスペインの額縁では

細かな部分も含めれば違いが沢山あります。

特にゴシックスタイルの額縁はスペインに豊富に見られます。

昔からゴシックのデザインに興味があった私は

この本に載っている数々のゴシックスタイルの額縁写真に魅了されました。

フィレンツェで通っていた修復の専門学校の修了制作として

この本に載っていたゴシックスタイルの額縁を摸刻したのも思い出です。

日本帰国後にこのスペインの会社へメールしたところ

すぐに実物の本と振込先の手紙が届きました。

入金より先に本が届いたことに驚きつつ大喜びでした。

以来この本も私の「支え」のひとつになりました。

写真はさまざまな伝統装飾技法の紹介ページです。

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額縁の本 漆山俊次著「額縁の世界」 7月12日

 

今日ご紹介する本は大地堂という老舗額縁店の店主の

漆山俊次氏の著書「額縁の世界」です。

この本のことは色々な場面で素晴らしい内容を見聞きしつつも

実物の本とはなかなか出合うことが出来ませんでした。

一度欲しいと思うともう「どうしても欲しい!」という気持ちになり

探し始めて半年後くらいでしょうか

ネットの古本店で見つけたときは飛びつきました。

以来わたしの本棚の特等席に納まっています。

 

以前ご紹介したクラウス・グリム著「額縁の歴史」同様に

写真を豊富に入れつつ額縁の歴史や製造過程

近現代の額縁の傾向と問題点など大変丁寧に書かれています。

製造過程ではヨーロッパでの方法を説明すると同時に

日本での工程との比較もされており具体的です。

特に明治から昭和にかけての巨匠達の作品とともに

その額縁の写真を見ることが出来ることもポイントです。

また著者と関係が深かった日本人の作家達の好みや

ヨーロッパでの見聞などは読み物としても楽しめます。

出版されてから30年以上経つ本ですがまだまだ現役で

著者の考えなどはっとさせられる内容もあります。

国内の額縁制作の歴史についての本では

この本がまず一番に上げられるのではないでしょうか。 

データ : 「額縁の世界」

      著者 漆山俊次

      株式会社 講談社

      昭和50年9月23日 第1刷 発行

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額縁の本 「La cornice italiana」 7月07日

 

以前ご紹介したクラウス・グリムの「額縁の歴史」が和書の「支え」なら

今回の「La cornice italiana」は洋書の「支え」となっている一冊です。

タイトルを訳すと「イタリアの額縁」 とてもボリュームがあります。

イタリアのフィレンツェに留学していた時に購入した本ですが

とても高価な買物なので(当時の3万円程でした)まずは

スポンサーの父にお伺いを立ててから喜び勇んで買った記憶があります。

写真も大きなカラー写真がメインで詳しい解説がぎっしり書かれています。

勿論全てイタリア語ですが イタリアにおける額縁の位置づけや成り立ち

教会や貴族との関係 地方別時代別の傾向 技法の説明と

大変豊富な情報があります。

辞書を片手にじっくり読むのも良し 美しい額縁の写真を眺めるも良し…です。

ちなみに イタリア語で「額縁」は「cornice」コルニーチェ 女性名詞です。

それもあってか私は自分で作る額縁を我が娘のように思っています。

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額縁の本 クラウス・グリム著「額縁の歴史」 6月30日

 

私が額縁を意識し始めたのは大学生の頃でした。

それまで漠然と「作品に付随しているもの」程度に思っていました。

卒業制作の黄金背景テンペラ画の模写がそろそろ完成する頃

「額縁を付けるべきか否か?」でようやく意識が額に向いたのです。

丁度その頃に大学図書館の新着コーナーで見つけたのが

今日ご紹介するクラウス・グリム著「額縁の歴史」です。

ヨーロッパにおける額縁の歴史 問題点 地方別時代別のデザインなど

モノクロではありますが写真も豊富に判り易く解説されています。

1995年出版ですが今はすでに絶版となっており残念です。

図書館などには入っているようなのでご興味のある方は

取り寄せてぜひご覧下さい。

額縁についての一通りを理解しつつ 更に額縁についての

ご興味もふかまるのではと思います。

この本は今も私の手元にあり(後日購入しました)

大切な「支え」になってくれています。

ここ何年かで額縁の歴史などをこの本より上手にまとめた本も

いくつか出版されていますが この本をまず一番にご紹介いたします。

 

データ : 「額縁の歴史 Alte Bilderrahmen」

      著者 クラウス・グリム Claus Grimm (前堀信子訳)

      株式会社リブロポート

      1995年9月4日 第1刷 発行