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小さい小さい絵展 2017 11月30日

 

あれ、ついこの間ようやく秋が始まったのでは?

と思っていたらもう師走間近です。

どうしよう、どうしようと言っていても

時間は過ぎていくものですね。

 

今年の「小さい小さい絵」展は

12月7日木曜日から13日水曜日までの1週間です。

例年と同じく卵黄テンペラの模写を出品いたします。

暮の忙しい時期、息抜きにすこしだけ

お立ち寄り頂けましたら幸いです。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

今年はDMにも載せて頂きました。

タイトルが「カトリーヌ・プレイ・・・」とありますが

「カトリーヌ・レイの時禱書」が本当です。

ミスプリ、失礼いたしました。

 

第23回 小さい小さい絵展

12月7日(木)~12月13日(水)

池袋東武百貨店6階1番地 アートギャラリー

池袋東武百貨店 アクセス

 

 

丸沼芸術の森 ワイエス展へ 11月27日

 

ステンドグラス作家の雅子さんと妹のあっこさんと先日

埼玉県朝霞市にある丸沼芸術の森へ行きました。

アンドリュー・ワイエス生誕100年記念展覧会です。

この施設は郊外にある、広大な丸沼倉庫の

敷地内を通り抜けていく先にあるとか。

手作りの案内看板を頼りにてくてく進みます。

新しいアスファルトも清々しい芸術の森に到着。

先にあるこぢんまりとした美術館に入りましょう。

こちらのコレクションは館長(社長)がワイエスの

作品、思想に感銘を受け、ワイエス本人に会って

直接購入したという水彩、エスキスです。

ワイエスというとわたしはテンペラを使った

精密な描写の印象が強いのですが、

ワイエスが心に浮かんだイメージが失われる前に

素早く描いた水彩画は優しくゆっくり心に入ってきて、

でも深すぎるほど奥深くに染み入るのでした。

 

今年で生誕100年と聞くと

ワイエスが亡くなった時のショックを思い出し、

同時にそれからわたしが過ごした時間を考えました。

時の流れが早い、なんてことは何千年も前に生きた人も

同じように思ったのでしょう。

 

展覧会鑑賞後、グッズショップでお土産を買い

学芸員の方と沢山のお話をさせて頂き(気づいたら1時間も!)

上映ビデオをゆっくり見てから 帰途に付きました。

アットホームな、ワイエス愛に溢れる、 とても素敵な美術館でした。

丸沼芸術の森

*ワイエス展は終了しました。

 

 

Atelier LAPIS(アトリエ ラピス)の様子から 2017年11月 11月23日

 

久しぶりに atelier LAPIS の様子をご紹介します。

HAMさんのフラ・アンジェリコ模写用の天使、

今年1月に完成した額縁の対になっている1枚が完成しました。

制作過程は上のリンク、1月完成額縁のページをご覧ください。


木地や基本のデザイン、工程は前作と同じですが

装飾デザインに変化を付けました。

上下の植物模様、そしてライナーの彫刻も。


1月完成の1枚目は右を向くピンク衣装の天使が入りました。

今回の額縁には左に向く赤い衣装の天使が入ります。

下の写真は赤い天使の模写作業当時の様子ですが

すでに完成して額縁に入るのを今か今かと待っているところ。


 

アトリエでは額縁の古色付けまで終えて

ニスと額装はご自宅でなさることになりました。

額縁に納まった様子、そして2枚が並んだ風景も

いつかこちらでご紹介させていただけたらと思います。

 

HAMさん、2人の天使と額縁の完成おめでとうございます!

 

 

ご馳走と豪族の額縁 11月20日

 

先日から制作していた彫刻額縁サンプルが完成しました。

ようやく3つ目です。

 

木地を彫刻後、予定通り純金箔の水押しにして

すこし強めの古色を付けました。

想像通り派手ですし、なんだかちょっとだけ、

ガハハと笑うオジサン風な気がします。なぜだろう。

 

このデザインはイタリアのエミリア地方で作られた

1600年代の額縁を参考にしています。

エミリア地方といえばボローニャやパルマのある豊かな地。

ボロネーゼソースのパスタやパルマハムを食べながら

赤ワインを飲んでご満悦の地方豪族が、幼い息子の肖像画を描かせて

その絵を入れる額縁が出来たところ・・・なんて。

相変わらず勝手な物語を想像しています。


わたしにとって「イタリア古典技法」らしい額縁が出来上がって

感慨深い気持ちになりました。

フィレンツェの師匠・マッシモ氏に見て頂きたいな。

この次にフィレンツェを訪れるときがあれば持っていこうと思います。

 

「works」内「classical」にこちらの額縁をアップいたしました。

どうぞご覧下さい。

 

 

芸術家の家 作品とインテリアの繋がりが現すもの 11月16日

 

昨年だったか、旅先の美術館で購入した本です。

しばらく放置していたのですが最近改めて手に取りました。


14人の芸術家の家を写真で紹介しています。

いままで知らなかった人もいれば、何度も違う本で観た

モネやモロー、ウィリアム・モリスの家もありました。

 

ぱらぱらと写真を見たり、住まいにしていた芸術家の経歴を読んで

作品を検索して様々観たりしたのですが、

その人の作るものと住む家はとても似通った色調と雰囲気で、

装飾の量と配置も、まるでその人の作品を見ているかのように共通なのでした。

その人の目指すもの、そのもののような家。

当然と言えば当然? いや、でも・・・。

この家に到達するまでの葛藤と苦労もあったことでしょう。

ここまで自分の世界を貫けるのは(あるいは貫いてしまうのは)

様々な面でとても強い人たちなのだろうと思います。

迷いが無いというのか、自信があるというのか

理想と現実が融合できているというのか

なんと表現してよいのかわからないけれど。


画家の家の室内写真には、作品と併せて額縁も沢山載っており

同時に家具や窓枠、壁紙、食器のデザインや時代などからも

とても面白く見ることができます。

 

この人の家は居心地が良さそうだな、または

作品同様にあまり生活感が無い家だな、とか

よくまぁこんな部屋で眠れるものだ!など感想も色々。

住みたいのはスメットやクビーンの家、

どの家も訪ねてみたいけれど、特に訪問したいのは

ミュシャの家とキリコの家、といった感じでした。

その家の主人とじっくり話したり作品を見せてもらったり

出来たらすてきだなぁ、と妄想は広がります。

 

それにしてもキリコ邸にだけはびっくり。

客間、アトリエ、そして寝室。なるほどなぁ。

イメージが変わりました。

 

「芸術家の家 作品の生まれる場所」

文:ジェラール=ジョルジュ・ルメール

写真:ジャン=クロード・アミエル

訳:矢野陽子

西村書店

2012年1月27日第1刷初版発行

 

 

引出しの整理は夜のうちに行われる 11月13日

 

作業の手順、使う材料や方法で悩んでいるときは

たとえば移動中でも友人とおしゃべりしていても

常に頭と心の大きな部分を占めていて

無意識に解決策を考え続けているような状態です。

それは眠っているときも続いています。

 

夜明け近く、半睡半覚のころに

「あれはこうすれば出来るんじゃない?」

「あの本に載っていたはずでは?」

「やっぱりあれはダメ。こっちにすべき」

まるで誰か・・・あるいはもうひとりの自分に

ささやかれたような突然の「ひらめき」があります。

頭の中でピカッと光って、目がパカッと覚める。

「そうだそうだ!解決だ!!」と思ってまたひと眠り。

でも決して忘れていることは無くて

清々しい気分で朝を迎えられるのです。


この不思議。なんでしょうか。

きっと同じ経験をされた方も沢山いらっしゃるでしょう。

頭の中の引出しに覚醒時にも入っていたはずの解決策が

眠っている間にようやく邪魔されずにひとつひとつ開けて探されて、

夜明けとともに整理されて届く・・・といった感じ。

脳は睡眠時に記憶が整理されると聞きます。

わたしの脳みそも必死に頑張っていたのね、と

我ながらちょっと脳がいじらしく思えたりしたのでした。

 

 

額縁の作り方 14 古典技法額縁ができるまで早送り 11月09日

 

古典技法の額縁を作りましょう。

夏にご紹介しました venezia-2 の作業写真でご覧ください。

 

サイズ、デザインを決めて、仕上がりイメージが出来上がったら

木地を組んで、下ニカワとボローニャ石膏を塗って丸1日乾かします。

下はボローニャ石膏をちょうど塗り終わったところ。

乾いたら紙ヤスリでみがきます。

#180、#240、#360、#400を使って美しい表面を作ります。

角の凹みは難しいので慎重にゆっくりいきましょう。

 

模様をカーボン紙で写して

線刻や石膏盛り上げ(パスティリア)の装飾を入れ

魚ニカワで溶いた赤色ボーロを塗ったら箔置き開始!

木地の形によりますが、今回の外流れの木地は右上から

そして内側から箔を置き始めます。

午前中に箔を置いたら夕方前からみがきます。

メノウ棒でピカピカに輝かせましょう。

線刻の中、レリーフの縁も忘れずに。

マスキングした場合は特にテープの縁をきちんと磨きます。

磨り出しをして赤色ボーロを覗かせたら

つや消しにして

ワックスとパウダーで古色をつけて深みを出し

アンティークな雰囲気にしたら完成です。

 

途中、抜けた写真もあってかなり早送りですし

同じ金箔を使った額縁でも仕上げの方法や順番が

違うこともありますけれども・・・

だいたいこんな手順で作っています。

楽しいですよ。

 

 

愛娘を旅立たせる気持ちで 11月06日

 

先日、額縁を入れ替えたら・・・というお話でも

すこしご覧頂きましたが、今年も「小さい絵」展の

準備が整いました。3点あたらしく出品いたします。

すべて卵黄テンペラです。

 

ベノッツォ・ゴッツォリのマギ礼拝堂フレスコ画の

「東方三博士の行列」よりメルキオールの部分模写です。

若かりし頃のロレンツォ・デ・メディチがモデルだとか。

作品サイズは115×75mm。


額縁は市販のものを加工しています。

 

こちらも同じくゴッツォリのマギ礼拝堂のフレスコより

天使の部分模写。55×40mmです。


この額縁も市販品ですが、加工はしていません。

可愛いらしい額縁が見つかりました。

 

そして「カトリーヌ・ブレイの時禱書」より聖母子部分模写です。

こちらは乙女チック本「花と美術の物語」に載っていた作品ですが

この時禱書を検索してみても情報が見つからず。

フランスかベルギーか・・・どの辺りの作品なのでしょう。

微笑むマリア様と、美しい母が自慢げなイエス様の表情が好きです。

作品サイズ120×75mm。


額縁はわたしが作ったものです。

石膏型取りしたオーナメントを取付けました。

 

絵(模写)に限らず額縁ふくめて、自作の物はどうにも

我が娘に思えてしまいます。

愛娘たちを旅に送り出す母の気分になって

画商さんの元へ宅急便で発送いたします。

幸せに暮らしておくれ。

 

 

豊かな気分で作業開始 11月02日

 

ぴかぴか新品!

新しい筆を使い始めるのは とても気持ち良いものです。

なにかこう、豊かな気分になって、心も軽やか。

毛が柔らかくでしなやかで、絵具の含みもバッチリです。

 

先日、買出しでまとめて何本か調達しました。

お手頃価格のものばかりではありますが

普段の額縁製作作業には充分。

作業もはかどりましたよ。

 

筆は消耗品。

分かっていても、なかなか交換時期を見つけられませんが

(捨てるのが可哀想で、もう少し使えそう・・・と思って

使い続けると、結局作業効率が落ちるのです。)

新しい筆を調達すれば交換の良い機会になります。