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これはアリかもしれませんよ 1月30日

 

KANESEIでは、ふだん型取りには 石膏を使っています。

硬さと密度がベストかな、というのがその理由。

ですが、以前から額縁の装飾に紙粘土を使う、という

お話を聞くことがあって気になっていました。

でも・・・小学生時代に触っていた紙粘土の感触、

繊維っぽいパサパサ、ガサゴソした印象がぬぐえず

ちょっと躊躇していたのも事実なのですけれど。

 

先日、atelier LAPIS の生徒さんが型取りをしてみたい

とのこと、ここで思い出したのが紙粘土でした。

昔よりずっと良い紙粘土があるし、実際に紙粘土で

額縁の装飾を型取りした経験がある生徒さんもいらっしゃる。

じゃあ紙粘土が手軽なので試してみましょう!

トライしてみました。

丸いオーナメントからシリコン粘土で雌型をつくって、

紙粘土を詰めてそっと抜きます。

nendo

良い感じですね!模様も繊細に再現されています。

成功のカギは、石粉配合の高級紙粘土を奮発すること

(子どもの工作用より良いもの。)

空気が入らないようにきっちり型につめること、

型から取り出すタイミング、でしょうか。

 

今回は丸い形なので問題ありませんでしたが、

細長い形だと、もしかしたら乾燥する間にゆがむかもしれません。

ともあれ、高級紙粘土での型取りは石膏より手軽ですし

精度も遜色ないようですから、これは良いかもしれません。

半乾きの時だったら曲線部分にもフレキシブルに貼れるかも。

型取りに限らず、装飾模様に粘土で作ったものを接着し、

ボローニャ石膏を薄くかければ箔の水押しだってできるかも??

実験継続が必要ですが可能性大、面白そうです!

 

 

 

3年後にやっと 1月26日


ちらかった机から失礼いたします・・・。

2013年、まだ金継ぎの勉強をしていなかった頃に

「なんちゃって金継ぎ風」で欠けを継いだ

わたしの大切なマグカップですが

昨年ようやく本金継ぎをすることができました。

magu

高価なものではなくても、こうして手入れをしていけたら

このマグカップ氏も喜んでくれているのではないかなぁ

と想像しつつ、使っています。




古いガラスの趣 1月23日

 

修復でお預かりした額縁は、ガラス磨きも大切な工程です。

汚れていないつもりの内側も案外と曇っていますから、

ガラスを磨いただけでも小ざっぱりとします。

 

先日修復が終わった額縁には、額縁完成と同時に入れられた

おそらく1800年代のものと思われるガラスが入っていたのでした。

gara2

写真の下部に見える2つの点のような気泡もちらほら。

すこし青味がかっていて、表面に緩やかな波が見えました。

古いガラスは柔軟性も失われて割れやすいですし、

作品鑑賞には邪魔な青色と気泡ではあるのですが、

この揺らぎのあるガラスが作品に乗ったときの雰囲気は

なんと言うのでしょうか・・・柔らかで上品で

なににも換え難いものに感じられるのでした。

 

ガラスは重くて割れると危険、紫外線も通してしまうこと等から

古いガラスはアクリルに交換されることが多くなりましたが、

展示する環境を整え、理解していれば、

オリジナルのままの形で鑑賞するのも決して悪くない、と思うのです。

そういえばフィレンツェの額縁工房でも、わざわざ

古いガラスを探して入れる、なんてこともあったなぁ・・・

と思い出していました。

 

Atelier LAPIS(アトリエ ラピス)の様子から 2017年1月№2 1月19日

 

Iさんの額縁は2016年最後のレッスンで

かけこみ完成しました。

月に一度いらっしゃるIさんですので

ゆっくりペースではありますが、確実に

額縁制作の技術は進歩しています。

 

木地にボローニャ石膏をぬり磨き、

アクリルグアッシュで濃いピンクに彩色してから

刻印をひとつひとつ打ち込みました。

ishia

刻印が終わったら、上にクリーム色をうっすらかけて

刻印の点に色が残るように拭き仕上げました。

ishib

中に納めた作品は、他のお教室で制作なさったモザイク。

ishic

石のピンクやグレーベージュと色味がぴったり。

そして黒と辛子色がぴりりと効いています。

うう~む、かわいい!優しい雰囲気で素敵です。

 

LAPISの生徒さんそれぞれに心のこもった作品を

作りつづけて下さり、わたしはそのつど

おこがましいことですが「教える喜び」を噛みしめています。

(指導と言うより、伴走している感覚。)

生徒さんそれぞれにおおきな個性があって、

完成した瞬間にわたしが感じる感動もまたそれぞれです。

今回はIさんの作品(刺繍やモザイク)を納めた喜びに加えて

「世界を完結できた」喜び、その瞬間に立ち会えた喜び、

お手伝いできた喜び、そしてわたしの経験にもなっている喜び・・・

様々な嬉しい気持ちでいっぱいです。

Iさん、ありがとうございます。

次はお父様への贈り物の額縁制作とのこと。

わたしもお手伝いできることを楽しみにしています。

 

 

 

文字装飾 1月16日

 

文字を額縁の装飾に入れるのが好きです。

ほとんどの場合はラテン語の慣用句を選んでいます。

イタリア留学先の Palazzo Spinelli (修復専門学校)の

終了制作で作ったスペインゴシックスタイルの額縁が始まりでした。

 

今までは自分の為の創作額縁にラテン語装飾を入れていましたが

とうとうご注文を頂いて、嬉々として文字を描いています。

いつかカリグラフィーも勉強してみたい。

moji

そういえば昔、もじもじくんってありましたね。

とんねるずの。

あれも好きでした。

 

紙ペーパー? 1月12日

 

紙やすり、あるいはサンドペーパー。

額縁制作に限らず、木工には欠かせません。

KANESEIでは180番から600番くらいまで

常時5~6種類の紙やすりを準備しています。

 

先日、紙やすりのパッケージを見ていて

ちょっと面白くなってしまいました。

「紙ペーパー」ですって。

紙紙?ペーパーペーパー?

「紙ペーパー」が通じるのは紙やすり業界ならでは。

pepa

紙やすり=サンドペーパー→略してペーパー。

そして「布ペーパー」なるものも存在します。

つぶつぶ(サンド)が紙についているのがサンドペーパー。

布についている(主に耐水)が布ペーパーと呼ばれるもの。

でもこれって「布製サンドペーパー」ですよね。

あるいは「サンドクロス」とか?

・・・なんだか良く分からなくなってきました。

 

私を含めて職人・作家は紙やすりで研ぐことを

「ペーパーをかける」なんていうのですが、

「紙をかける」ってなんじゃい??

そんな紛らわしいこと言わないで「ヤスリをかける」と

言えばいいじゃない?と思いますけれども、

ただ「ヤスリ」だと棒状の金ヤスリの場合もある・・・

「紙やすりをかける」なんてまどろっこしい!

よって「紙ペーパー」なる言葉が出現したのですね。

何気なく使っているけれど、考えたら可笑しな言葉!

 

 

Atelier LAPIS(アトリエ ラピス)の様子から 2017年1月 No.1 1月09日

 

2017年のAtelier LAPIS 月曜コースは

遅めの16日スタートとさせて頂き、まだ始まっていないのですが

今日は昨年暮に完成したHAMさんの作品をご紹介いたします。

 

しばらく前に完成していたフラ・アンジェリコの模写を

納める額縁制作は、2016年の夏に始まりました。

わたしの写真記録が途切れ途切れになっており申し訳ありません。

木地は、シンプルな四角いものから糸ノコやヤスリを使って

上下にアーチ、左右にくびれを作りました。

そしてボローニャ石膏の塗り、磨き。

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デザインを下描きし、石膏の盛上げで装飾しました。

マスキングをして、赤色ボーロに金箔を水押ししています。

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メノウで隅々までしっかり磨いてから

マスキングをはがし、余分な箔をコットンで除きます。

マスキングテープをはがすのはなかなか楽しい作業です。

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気づけばに冬なりました。次の作業、着色です。

アクリル絵具で茶色に塗り、さらにステインをかけて

金箔にもすこし着色します。

落ち着いた色味になりました。

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HAMさんはライナーにも凝りました。

細かい彫刻を施して、こちらも金箔の水押しです。

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さぁ、いよいよ額縁に作品を納めましょう!

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ていねいに描かれた天使が、こちらも手塩にかけて作った

オリジナルの額縁に納まっています。

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ルネッサンス時代の作品がアール・ヌーヴォー風の額縁に

不思議とぴったり馴染んでいます。

作者が同じだから、なのでしょうね。

 

HAMさんは、対になっているもうひとつ、

赤い衣装の天使の模写も完成させておられます。

新年からはこちらの額縁制作も始めつつ、

リナイウォーリ祭壇画から楽奏の天使模写も始まる予定。

今年も精力的に制作なさるHAMさん、応援しております!

 

鎌倉へ それでもやっぱり 1月05日

 

2016年12月29日もまた、鎌倉の八幡様へお参りに行きました。

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長らく工事が続いていた若宮大路の段蔓が完成して

真っ白な石灯籠とお正月準備の日の丸が並んで美しい風景です。

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今年はまだ初詣客用の整備が準備中で

「謹賀新年」(「新春」だったかな?)の看板や

参道の屋台準備もあまり出ていませんでした。

でもお参りする人たちの笑顔にはもう

新年を迎える嬉しさが感じられます。

 

小町通りの様子は・・・

派手な居酒屋と謎な雑貨店、鎌倉に関係の無い食品店が目立ち、

薄いレンタル着物を着た子供たち(大学生くらいでしょうか)が

はしゃぎながらクレープ、コロッケを食べ歩く道になっていました。

レストラン「コアンドル」は早々に連休に入っているし

昨年に天使の本を買った古書店「藝林荘」は閉店の片づけ中。

もうダメかもしれない。

鎌倉に来るのが辛いかもしれない。

 

いつもの古い骨董店の静かな店内でお店の方とおしゃべりして、

「なかむら庵」でおそばを頂いて、なんとか元気を回復しました。

 

最後に行った由比ヶ浜は、強風でした。

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頭を下げないと前に進めません。

寒風で耳が痛い。飛んでくる砂で頬が痛い。

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藝林荘閉店のショックを引きずっていましたが

それはそれ。終わりが来るのも仕方のないこと。

「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり

沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらわす」

鎌倉で平家物語の冒頭を思い出しました。

・・・ちょっと大げさですね。

 

帰りの車窓。

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岬の向こうに見えるのは、もしかして?!

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いつも変わらず美しい、富士山の姿。

そうしてやっぱり、また2017年の暮にも鎌倉に、

由比ヶ浜に来る、と決めました。

 

 

 

受注休止のおしらせ 1月02日

 

いつもありがとうございます。

2016年からたくさんのご注文を頂き、

額縁の制作、修復の完成までにお時間を頂くことが多くなりました。

この度、しばらくの間ですが受注を休止させて頂きます。

KANESEIをお選びいただきながらお断りすることが心苦しく、

申し訳がございません。

再開は2018年春を予定しております。

また、KANESEI特製吊金具のご注文は続けてお受けいたします。  

現在すでに頂いております見積ご依頼やご相談は

引き続き誠心誠意対応させて頂きます。

どうぞよろしくお願い申し上げます。  

 2017年1月 KANESEI  

 

 

つよい心で 1月02日

 

あけましておめでとうございます。

東京は良いお天気、穏やかなお正月を迎えました。

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ことしもいつも通りの元旦の食卓です。

お年玉も頂いてしまいました。

もう頂く年齢ではありませんけれども、頂ける間は

ありがたく頂戴いたします、父上様。

 

わたしにとって2016年は、仕事上で変化のある年でした。

精神面で、いままでのようでは進めない。

色々な意味で、もっと強い覚悟がないと越えられない

というようなシーンが増えました。

KANESEIとして額縁の制作、修復を始めて、

こうした局面を迎えるのが遅すぎた感もありますが

「とにかくここまで来た」というささやかな感慨もまたあります。

2017年は2016年の流れに乗って、心を強くもって

恐れずに進みたいと思います。

 

2017gantan-2

具だくさんのお雑煮で英気を養うお正月です。

 

 

あけましておめでとうございます 1月01日

 

nenga2017

 

旧年中はありがとうございました。

新春を迎え皆様のご多幸をお祈り申し上げますと共に

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

平成29年 元旦 KANESEI