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Firenze 2018 tempo calma №16 7月31日

 

2018年の秋にフィレンツェにある

パオラの額縁工房をたずね、

とうとう自分のために1枚の額縁を

注文して帰国しました。

そして額縁が春に届きました。

こちらでもご紹介しようと思います。

 


 

サイズは外側が410×355mm、

内側が230×174mm、木枠巾が95mm。

SMサイズの変形と言ったところです。

工房にあった額縁でいちばん強い印象の

1枚を選びました。

 

▲木地にボローニャ石膏、赤色ボーロ。

金は純金箔ではなく洋箔です。

 

この額縁、新しく作られたのではなく

サンプルとして展示されていたものです。

かれこれ20年近く経っているでしょうか。

古色加工にさらの経年の「本当の古色」がついて

木も石膏も枯れはじめています。

 

新しい額縁を購入するのが本当だけど

わたしはわがままを言って

「この古い額縁が欲しい」とお願いしました。

いま工房には新しく作られた同じデザインの額縁が

(雰囲気も一見同じ、でもよく見ると違う・・・)

サンプルとして飾られているはずです。

 

▲経年で石膏が剥離している。黒い部分には白く傷も。

 

この額縁を見ていると、留学したばかりのころ毎日

ウィンドウからパオラとマッシモの額縁を見て

(しつこく覗き込んでいた怪しい東洋人のわたし)

ああ、こんな額縁を作って生きていきたいと

古典技法で古色を付けた額縁にあこがれたこと

いろいろと思い出し、今と未来を考えます。

 

 

それにしても

この額縁、そこにパオラとマッシモがいるような

まさに「作者そのもの」に感じます。

わたしの額縁にも「わたしそのもの」が

表れているのか・・・

それとも額縁職人としてそれは求められていない?

ううむ。

 

 

いつか必ず行くと決めた。 7月29日

 

いつだったか・・・大学生だったころに

テレビで観た美術館が忘れられなくて

ずっと行きたいと思いつつ、まだ行けていません。

ニューヨークのメトロポリタン美術館分館

クロイスターズです。

中世美術を中心にしたコレクションで

美術館の建物はロマネスクの教会風。

ロマネスク時代の柱を使って回廊が再現されていて

ハドソン川と森の見える丘に建っています。

▲この風景を見ただけで想像が広がります。すてき。

写真は「The Met Cloisters」よりお借りしました。

 

その美術館の館長だった著者ホーヴィング氏が

クロイスターズの宝「ベリ・セント・エドモンズ十字架」を

どのようにして購入にいたったか、の物語。

「謎の十字架」です。

サブタイトルに「メトロポリタン美術館はいかにして

世紀の秘宝を手に入れたかれか」とあります。

この一言につられて読み始めました。

 

もうずいぶん前に出版された本ですので

ご存知の方も多いことと思います。

脚色はあるにしてもノンフィクションの内容で

映画さながらに権謀術数渦巻き、続きが気になって眠れない。

美術館の裏側が垣間見られるという

それはそれは面白い本でした。

▲二段組でぎっしり。でも面白くてどんどん進む。

 

そして西洋美術を学ぶにはあらためて、キリスト教、

旧約・新約聖書を身心で知り理解している必要がある、

日本と西洋諸国との文化の違いを強く感じます。

信仰とは別に、学問として聖書を学びたい

との思いをまた自分の中で再確認しました。

 

美術館エンターテイメントに宗教学、歴史が

プラスされたような、とにかく面白い本です。

読み終わるのが惜しいくらいでした。

機会があればぜひお読みください。

読後にニューヨークに行きたくなること請け合いですぞ。

 

「謎の十字架」

トーマス・ホーヴィング著

田中 靖 訳

株式会社文藝春秋

1986年4月1日第1刷発行

 

 

やさしいななこが出来ました 7月26日

 

nanakoori-3

斜子織りの3色目が完成しました。

今回はあわい辛子色というのでしょうか、

ジャスミンティーをイメージした色です。

 

1つめの赤、2つめのマゼンタよりやわらかく

やさしい雰囲気になりました。

この額縁には笑顔の女性肖像が入る予定です。

 

同じデザインでも色が変わるとこんなに違う。

たとえば黒にしたら硬く強い雰囲気、

茶系、みどり系だと植物のイメージ

パステル調なら、額縁のかたちはシャープだけれど

かわいらしい印象になるのではないでしょうか。

 

これから少しずつ色を変えてさまざまに

作ってみたい nanakoori シリーズです。

 

「works」内「modern」にこちらの額縁をアップいたしました。

どうぞご覧下さい。    

 

 

額縁の作り方 23 型取り 7月24日

 

本日は修復用の型取りday

「プラリペア型取りくん」の登場です。

この型取り方法で、修復に限らず新しい額縁につける

オーナメントを複数つくることもできます。

▲ひとつ43g、だいたい1300円くらいで販売されています。

 

さて、今日は先日作りましたパーツを型取りします。

▲エポキシパテでつくった原型パーツ

 

ドイツの祭壇型額縁のコリント様式柱

土台復元のパーツを4つつくるため、そして

額縁の欠損した装飾を再現するための型取りです。

 

このシリコン粘土は100円ショップ等で売られている

「おゆまる」と似ていますけれど

「型取りくん」は10倍くらいの価格です。

でもこちら「型取りくん」は値段相応といいますか

より細密にとれますし冷えて固まった後も

「おゆまる」より柔軟性があり、

型からの取り外しも安全なように思います。

わたしは場合によって使い分けております。

 

65℃でやわらかくなるシリコン粘土ですので

お湯につけたりドライヤーの温風などで温めます。

わたしは「ちょい鍋」で湯を沸かして浸して

▲右下の団子状は以前に使った型取りくん。

あたためて繰り返し使います。紙の付着物もあたためると取れます。

 

消しゴムのような四角いかたちに整えてから

原型パーツにおしあてて整えます。

気泡や水が入らないように気を付けて。

 

あたたかいうちは透明ですが、冷えると白くなります。

白く冷えれば取り外せますが、わたしは

以前の失敗を踏まえて翌日まで待つことにしています。

 

さて、取れた凹型を使ってパーツ再現。

柱土台には焼石膏、装飾の復元にはエポキシパテや

ボローニャ石膏を使ってつくります。

 

▲左下はエポキシパテ原型、黄色3つは焼石膏で作りました。

 

▲なくなってしまった柱の土台ですが・・・

 

▲むむむ。さらに微調整をくりかえします。

 

焼石膏でつくったパーツは木工用ボンドでは

うまく付かない場合がありますので要注意。

わたしはマルチタイプの接着剤を使っています。

ちなみに、可逆性を求められる修復では

マルチタイプの接着剤は使えません。

 

 

人魚の本当の姿はきっと 7月22日

 

銀座にある日動画廊から

毎年カレンダーを頂戴しておりますが、

ことし2019年7月のページには

レオナール・フジタの「人魚」という

作品が掲載されています。

 

メインには長い髪にヒトデを飾りにして

いたずらっぽく微笑む女性の上半身と

背景にお魚、そして人魚が描かれています。

 

この絵を見るたびに目を引かれるのが

背景の「人魚」のすがた。

 

 

この人魚、ものすごくリアルです。

ディズニーなどとは全く違います。

イワシくらいのサイズ感。

手がヒレになっていて髪は藻のよう。

大人なのか子どもなのかもわからない。

こんな人魚なら現実にいるかもしれない

と思わせるようなすがたです。

かわいいような不気味なような。

 

メインの女性は下半身が描かれていませんから

いわゆる人魚かどうかわかりません。

もしかしたら彼女は人間で、タイトルの「人魚」は

この人魚のことを指しているのかも?

と、思い始めています。

 

 

ななこ、もうひとつ 7月19日

 

nanakoori というなまえで作っている

額縁シリーズがあります。

なまえにある「斜子織」の織り模様を

絵の具で装飾しています。

 

 

いままで赤、マゼンタとつくりましたが

今回は黄色--ジャスミンティーのような

イメージの色--でつくっています。

すこし離れてみてみれば

籐で編んだカゴのような雰囲気にもなりました。

 

ひとマスずつ3本の線を引きます。

印刷したように均一に、濃淡も同じに、とは

しておりませんけれども、

この不揃いな感じを楽しんでいただければと思います。

 

 

行きつく思いはつまり 7月17日

 

もうひたすら独り言のような内容

おまけに長文でございます。

 

 

じぶんで書いたブログをたまに見返してみると

ふだん、自分がどんなことを考えながら

何をしているかが客観的に見えます。

たまに消してしまいたいページもあるけれど

それはもう、そのときのわたしの記録として

恥ずかしながらそのままにしています。

 

ブログで皆さんにお話していないことも考えたり

失意したり慌てたりしておりますが、

それらも含めて、ブログを見返すのはけっこう

大切なことのように思えています。

 

見返してつくづく思うのは、わたしはひとつのことを

ずっと続けて作業することを避けている・・・

というか「出来ない」のではないか?!

 

 

テンペラ模写は何枚も同時進行、

修復の作業をして乾くのを待つ、ということにして

(ほかにも手を入れるべき部分はあるけれど。)

新規作成の額縁デザインの下描きをして、

ちょっと休憩したら気分を変えて

ブログを書いたりメールの整理をしたりして、

「ああ、そうそう、あれもやらなきゃ」と思い出して

修復を待っている額縁の写真を確認しながら

修復計画を練ったり本を調べたり。

そうこうするうちに一日が終わる!というような。

 

この額縁を完成させてから、改めて次の額縁と

きっちりけじめをつけて・・・というふうには

していないのです。

そのつど作業に集中しておりますので

ひとつずつ順番に終える必要がある、とも思いませんが

これって、どうなんだろう。

効率が良いのか悪いのか。散漫な性格の問題か。

ある日は TokyoConservation で修復作業をし、

またある日はAtelier LAPISで講師をし、

まるで行き当たりばったりの流れ者のようです。

 

 

昨日観たテレビで、イタリアの男性が

「ずっと同じことをするのは嫌なんだ。」と

午前中は農作業、午後は海へ出て漁、

ひとりで気ままに、でも真剣に誠実に仕事をしていました。

そして彼の姿勢を見守り信じる家族、友人がいる。

 

この男性の気持ち、良く分かります。

なぜならわたしも同じような生活ですから。

そんな「気まま」言い換えれば「わがまま」と

言える仕事の仕方ができるのはひたすらに

周囲の方々の理解なのです。

 

ありがとうございます。

 

 

人気のあの子はどこにいる? 7月15日

 

またひとつ黄金背景の天使模写の

ご注文をいただき、準備を始めました。

80×70mmくらいの小さな板に

フラ・アンジェリコの受胎告知より

大天使ガブリエルです。

 

▲金箔を貼りました。照明が反射してギンギラギン。

黄金背景テンペラ画は描く前に金箔を貼ります。

絵具で描く部分には黄色いテープでマスキングしています。

これからメノウ棒で磨くところ。

 

この天使を模写するのも何度目になるのか。

愛らしくもりりしい横顔、やさしい微笑み、

とても人気なのもわかります。

フラ・アンジェリコは受胎告知の作品を

何点も描いていますけれど、

この子(大天使ですが)はわたしにとって

特に思い入れもあります。

1450年から1455年に描かれたといいますから

もうすぐ570年ですって。

570年前も今も、人々が惹かれる美しさは

普遍なのでございます。

 

Fra Angelico

Annunciatory Angel, between 1450 and 1455

Institute of Arts, Detroit

 

だけど、まだ実物を見たことがありません!

アメリカ・デトロイトの美術館

告知を受け取るマリア様像とともにあるそう。

デトロイト、遠いけれどこの天使に会いに

いつか行きたいものです。

 

 

額縁の作り方 22 裏も横も 7月12日

 

たいへんに久しぶりになりました

「額縁の作り方」ですが、今日は裏と横のお話。

このカテゴリー「額縁の作り方」は、

額縁に興味を持って下さった方、

額縁ってなにでできているの?

額縁をつくってみようかな?と

思われた方にむけて書いています。

 

額縁はおおくの場合、壁にかけて鑑賞しますので

裏と側面が目に触れることは少ないのです。

でも、特に側面は意識して見られることはなくとも

ふとした時に視界に入り、額縁と作品の印象に

案外と影響しているものです。

それくらい、側面は実は大切。

裏側は・・・そうですね、これはもう

意識と言うか好みと言うか、ですけれども

美しいに越したことはない。

そして様々な額縁を見てきて思うのは

「意識して作られている額縁は大切に扱われる」

ということでしょうか。

 

前置きが長くなってしまいましたが、とにかく

「裏面側面も美しく作りましょう!」でございます。

 

薄い額縁に厚さのある作品を額装する時、

額縁裏に高さを出すために足す部分を「ドロ足」と呼びます。

ドロって何のこと?わたしも知らないのですが。

額縁を横~裏から見て、薄い額縁とドロ足の段差が高いと

少々不安定な印象をうけます。

薄い板に箱枠が取り付けられているような感じ。

かと言ってドロ足を額縁側面ちかくまで幅広にすると

どっちゃりして重苦しい印象になってしまう。

そんな時には三角形の材を付けましょう。

下の写真は Atelier LAPIS のTさん制作中を撮影させて頂きました。

 

▲三角形の材の向きに気を付けて切ったらボンドで貼りつけ。

テープで補助の仮留めをします。

 

▲はみ出した部分は彫刻刀などで荒削りして

 

▲ヤスリで仕上げます。カンナがかけられればなお良し。

 

三角形の材はホームセンターなどで売られています。

材の高さがドロ足より低くてもOK

側面ですからこれで大丈夫です。

サイズに合わせて切って、ボンドで貼ります。

はみ出した部分はおおまかに削り取ってから

隙間があればパテなどできれいに整えて、

ヤスリで仕上げれば完成。

 

この三角材加工は、いわばお化粧みたいなものです。

(補強にもなりますけれども、不可欠ではない。)

壁にかけたときに出来る影の浅さ

手に持った時の安定感

裏から見た時の美しさ

それらを考えた時、意味はあると思います。

 

こんなちょっとした手間を重ねることで

完成度も変わってくるのではないでしょうか。

 

 

Firenze 2018 tempo calma №15 7月10日

 

こちらの本は2015年にもご紹介しましたが

今回のフィレンツェ滞在でもずいぶん活躍しました。

「隠れた珠玉の作品に出会う旅」です。

フィレンツェの歴史的エリア(旧城壁内)の

小さな美術館、小さな教会などにある

25作品が紹介されています。

 

 

バルディーニ美術館ホーン美術館なども

この本で知りました。

 

珠玉の作品、まさにその通りで

「こんなところに(失礼)こんなお宝が!?」と驚きつつも

おおきな美術館のように次から次へと見るのではなく

1つの大切な作品に集中できるというメリットもありました。

 

 

そのうち、12の作品を観に行くことができました。

なんど訪ねても閉まっている教会、

偶然扉があいていて入れたけれど

神父様に追い出されてしまった教会などもあり。

(おそらくミサが始まる時間だったのでしょう。)

ずいぶん制覇したと思っていましたが

半分も見られなかった・・・。むむ。

1日にふたつは観るとしても25件で12日。

なかなか大変です。

 

そしてこの本、フィレンツェ郊外について

23作品も紹介しているのです。

ドナテッロの磔刑像やピサの先にあるロマネスク教会、

フラ・アンジェリコの観ていない作品もあります。

▲画集では見ているけれど、実物はまだ観ていない。

 

不便な場所でなかなか行き辛いところもあるようです。

でもきっと誰もいない空間でその建物、美術作品と

しずかに対峙できるのではないでしょうか。

寒い冬の晴れた日に行きたい。

 

 

今年は明るい乙女に。 7月08日

 

今年も今年とて、小さなテンペラ画模写を

ちんまりと続けています。

いま描いているのはルネッサンス風の女性、

鼓笛隊、そしてインコ2羽。

インコの行先はもうすでに決まっています。

(半年以上お待ち頂いている!)

 

 

いつものように、4枚並べてあっち描いてこっち描いて。

青は青、赤は赤で同時進行なのです。

 

昨年つくったものは背景が暗いうえに額縁も暗くて、

でもモチーフや額縁デザインはメルヘンチックな

「暗黒の乙女風」でしたけれど

今年はもうすこし明るい方向でいきたいものだと

少々反省している次第です。

 

 

再会はいつもハラハラ 7月05日

 

いつも大変にお世話になっているお客様のところで

以前に作ったり修復した額縁に再会するとき

うれしいような、でも実はハラハラするような

複雑な心もちになります。

 

 

とくに、修復ではなく新しく作った額縁が

美しくライティングし展示されていると

大切にして頂いている喜び、安心もあるけれど

経年の変化が大変気がかりになります。

「おお~い、大丈夫か、元気かい??」と

娘を嫁に出した親心とでも言いましょうか。

 

いままでまだ問題がおきたことはありません。

(わたしが知る限りですが・・・。)

でもたまに、夜中にぱっと目が覚めて

「あれは大丈夫だろうか」などと思うこともあるのです。

 

 

お客様にお引き渡ししてそれっきり、

行方も分からなくなる額縁があるなかで

こうして度々様子を確認し、問題があれば

またわたしが--作った本人が--手入れできる

環境にあるのは、これもしあわせなことだと

思っています。

とは言え、わたしの目が黒いうちは

問題が起らないことが何よりいちばん。

 

美しく丈夫で長持ち、そんな額縁を目指します。

 

 

 

隠されていた輝き 7月03日

 

ドイツからはるばるやってきた額縁は

すすけて汚れてくすぼって、悲しそうです。

それら汚れにプラスして、昔々の古色加工の

形跡もあります。

古い額縁は、いまに至るまでに様々な持ち主が

様々な職人に依頼して直したり加工したりしています。

 

今回この額縁は全面に純金箔を貼り直して心機一転、

美しくお色直ししてほしいとのご依頼です。

その第1段作業として、まずは掃除。とにかく掃除。

そしてオリジナルではない塗装--修復箇所の

色つやの違いを隠すためにかけられた古色--も

取り除こうと思います。

 

さて、掃除してみたらなんと。

うつくしく輝く金色がでてきました。

(でもこれは純金箔ではなく、金色箔の色です。)


▲金がピカーッとして、わたしの気分もピカーッとする瞬間。

 

「あなた、本当はこんなに美しかったのね」としみじみ。

 

掃除をしたら欠損や古い修復箇所を整形して、

いよいよ純金箔の貼り直し作業が待っています。

美人さん(額縁)をさらにグレードアップした美人さんに。

途中経過などまたご報告したいと思います。

 

 

Atelier LAPIS(アトリエ ラピス)の様子から 2019年7月 7月01日

 

さぁ2019年も後半に入りましたぞ。

気持ちを入れ替えて、さらに進みます。

 

今日ご紹介するIMさんの額縁は、とはいえ

6月末の様子です。

 

美しい風景画(もちろんIMさん作)用にと

制作し始めた額縁、端先に純金箔をつかって濃茶色に塗装し

さて。なんだかシンプルすぎると思われたIMさん

四隅に金で装飾模様を入れようと思う、のこと。

 

それも悪くない。でも

額縁の印象が過剰になる予感がする・・・とお話しました。

色々とご提案、ご相談の結果、まずは磨り出しをしてみることに。

▲角を木槌でほんのすこしだけ丸くして、スチールウールで磨ります。

 

 

下地に塗った赤茶色がうっすらと見えてきました。

額縁に表情ができはじめています。

慎重なIMさんですので、ひとまずこれでお終い。

茶色一色で少々重かった額縁が、磨り出しによって

柔らかさと軽さが出てきましたよ。

 

もし気が変わったら(変わらないかもしれないけれど)

もう少し磨ったり、端先になにか足したり

当初の計画通り装飾を足してみることもまだ可能です。

迷った時は仮額装して、しばらく眺めて暮らす。

そうすると徐々にアイディアや方向が見えてきます。

 

IMさん、完成したらまたぜひ披露してください!

楽しみにしております。

 

Atelier LAPIS