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錫の色 11月30日

 

イタリア留学中に衝動買いした錫のポットが

いまは玄関の棚に飾ってあります。

なんとなく、中世の松明が掲げられた薄暗いお城の

大広間で髭モジャの領主が錫のジョッキで

土俗的なお酒をあおっている・・・そんな雰囲気が

わたしが勝手にイメージする錫でした。

suzu

先日おおきな画材店に行った時、新しい塗料が並んでおり、

金色銀色に混ざって錫色がありました。

これは買わずばなるまい!と購入して使ってみたのが

今回の額縁です。

錫の色。

銀ともステンレスとも鉄とも違う。

プラチナを柔らかくしたような、そんな輝きです。

クラシカルな額縁ですが、今回は我ながら珍しく

ワックスのアンティーク仕上げにはしませんでした。

「額縁とポートレート」展でギャラリーウィンドウに置いた

いわば「展覧会の顔」であった教会の写真のために作った額縁。

いかがでしょうか。

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「works」内「classical」にこちらの額縁をアップいたしました。

どうぞご覧下さい。右から2、上から6です。

 

 

あると便利 指サック 11月26日

 

古典技法にかぎらず額縁制作での大きな作業に

下地磨きがあります。

胡粉地でもアクリルジェッソ地でもボローニャ石膏地でも

ヤスリをかけて表面を平らに整えねばなりません。

 

イタリア留学時に、額縁に初めてボローニャ石膏を塗った時

平らな板とちがってなんて塗りにくいんだろう、そして

なんて磨くのが大変なんだろう!と驚きました。

師匠のマッシモ氏曰く「石膏塗りが一番難しいよ」と。

「石膏塗り制すもの古典技法制す」は大げさですが

自分の制作、そして atelier LAPIS の生徒さんを見て

石膏塗りの難しさと大切さを痛感します。

まず木地がきちんと組んであり(当然ですが隙間やズレは

無いように)、適量の下ニカワが塗られていて、そして

正しい濃度で適温のボローニャ石膏がムラなく適量塗ってある。

・・・という前提条件が整っていれば、磨きの労力は

ずいぶんと楽になります。

 

さて、そんなふうにして塗った石膏をいざ紙やすりで磨くとき

一番酷使されるのは利き手の親指ではないでしょうか。

アカギレになったり爪が割れたり指の皮膚も擦れて赤くなったり。

でも指サックを使うようになって、ずいぶん楽になりました。

そして作業効率もアップ!

ゴムのグリップで紙やすりも滑らずしっかり磨けるようです。

文房具店で売っている事務用の指サック、お勧めです。

yubi

 

 

 

ウィンドウの中の額縁 11月23日

 

銀座の高級ブティックD&Gのウィンドウで目を引いた

額縁のディスプレーがありました。

ギャラリー林への道すがら、毎日眺めていました。

2015-11-04 10.45.56

2015-11-04 10.45.36-1

イタリアのブランドなので、額縁もイタリア風?

2パターンのディスプレーがありました。

どちらのパターンも内容や向きを変えて

同じ額縁5種が使われているようです。

どれどれ、と近寄ってじっくり見てみます。

 

2015-11-04 10.46.59a

写真では分かり辛いですが、これらの額縁はどうやら

まるっと型取りしたような、いわば簡易的な額縁でした。

もちろんガラス等グレージングも無し。

よく見ると装飾細工や塗装がつぶれたり粗かったり。

でも期間限定のウィンドウディスプレーですから

形取りの額縁の方が軽くて量産もできます。

コストも全く違うでしょう。

 

なるほど。いやはや。

遠目には「本物」と見紛うような良くできた額縁でした。

どんな人がどんな方法で作ったのでしょうか。

樹脂なのかな、発泡スチロールの固いような材なのかな、

金の塗装や古色の出し方はどうしているのかな、

展示が終わったら処分してしまうのかな・・・

欲しいな・・・と、思ったりして。

 

小さい小さい絵展 2015 11月19日

 

そして今年もまた暮を前にして

「小さい小さい絵」展の出品準備をしています。

毎年11月は、小さい絵の仕上げをして額を作って

箱に詰めて届ける、わたしのルーティン

-五郎丸選手にあやかって!-です。

2015-11-14 14.26.23

上の左から時計回りに

ポーケよりギリシャの踊り手

ポーケより小姓

オズボーンよりセジロアカゲラ

オズボーンよりベニヒワ

 

昨年出品しました4点に加えて上の4点、

あわせて8点を出品、展示即売いたします。

池袋にお越しの際にはどうぞお立ち寄りくださいませ。

 

「第21回 小さい小さい絵展」

12月3日(木)~12月16日(水)

池袋 東武百貨店6F1番地 美術画廊内 絵画サロン

 

3つの正方形 七五三の写真フレーム 11月16日

 

ついこの間生まれたと思っていた友人Aさんの愛息Sくん。

あっという間に七五三を迎えました。

素直で元気、それがなによりです。

 

ご家族で撮影した記念写真3枚を入れる額縁のご相談をいただきました。

壁にかけるのではなくて、出窓に並べたいとのこと。

ひとつの額縁に3枚入れるか、それぞれ独立させるか・・・

写真の縦横もあるのでバランスがなかなか難しい。

結果、正方形の額縁3枚に写真をそれぞれ納める形に。

額縁は蝶番で繋がっていますので自立します。

飾られるお宅はイギリスのアンティーク家具が並ぶインテリアなので

額縁もインテリアにあわせて木地にワックスでシンプルにして

マットに少し装飾を加えました。

気が向いたらマットごと3枚の並べ替えも可能です。

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Sくん、そしてお母さんのAさんとご家族のみなさま

七五三おめでとうございます。

大切な記念写真の額縁を作らせていただき

ありがとうございました。

 

幸せな家族の風景。

感慨深いです。

 

 

Atelier LAPIS(アトリエ ラピス)の様子から 2015年10月 11月12日

 

いつの間にか立冬を迎えましたが、atelier LAPIS では

先月の10月、また新しい作品が完成しました。

IWさんの銀箔額縁です。

 

夏前から構想を練り始め、デザインをまとめ、

木地作りを開始して・・・こつこつと5か月。

ボローニャ石膏地に線刻と盛り上げでモダンなデザインを入れて

全面に銀箔を水押しで貼りました。

線刻の細かい部分も細いメノウで磨き上げます。

定規で引く線とフリーハンドで引く線で変化を付け、

盛り上げもあえて揺れを残して「ふわふわした」趣にしています。

s-2015-08-31 12.20.48

磨きも終わりました。

これで完成!でも良いのですが、もう一工夫。

s-2015-09-14 11.17.49

銀の腐食液を使って部分的に変色させます。

腐食液の濃度調整も難しいところ。

今回は真っ黒にせず、少し薄めに・・・が目標です。

そして更にもう一工夫して、ニスの塗り分けで

艶ありの部分と艶消しの部分をつくります。

細い筆で慎重に。

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そうして完成した額縁、すでにひとつの作品です。

額縁としてもつかえるオブジェのよう。

s-2015-10-19 16.20.34

光の角度で艶あり部分がキラキラと光ります。

これぞまさにIWさんのオリジナル額縁、世界に一つしか無いデザイン。

制作の様子を毎週拝見するわたしもワクワクしました。

素晴らしい額縁を作って下さりありがとうございました。

 

続けていきます 11月09日

 

銀座7丁目のギャラリー林で開催いたしました

「額縁とポートレート」展が終わって

ようやく普段の生活と気持ちに戻ったようです。

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会場の雰囲気を写真でご紹介させてください。

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たった数日前まで開催していたのですけれど

すでに夢のようです。

 

さて・・・

またいつも通りに、いいえ以前より精力的に

額縁を追いかけましょう。

「行動は積極的に、計画は柔軟に

しかも何も期待しないこと」は続きます。

 

「額縁とポートレート」終了いたしました 11月06日

 

10月29日から銀座7丁目のギャラリー林で開催いたしました

わたしと篠田英美さんの展覧会「額縁とポートレート」は

昨日11月5日に無事終了を迎えました。

お忙しいところご来場くださり、ありがとうございました。

在廊しておらずお目にかかれなかった皆さまには失礼いたしました。

この場でお礼を申し上げます。

はがき

今年のお正月に篠田さんから届い年賀状に

「二人展をしましょう」というお誘いがありました。

いつもなら「まぁそのうちに・・・」などと言って

お茶を濁していたであろうわたしですが、

ちょうど年頭に2015年の自分の抱負

-“行動は積極的に、計画は柔軟に、しかも

何も期待しないこと” ピルチャーの本の一説から-

を決めたところでしたので、すぐに篠田さんと

準備を始めたのでした。

そしてギャラリーオーナーの林さんご夫妻はじめ

沢山の方々のご支援をいただいて、初めて自分の展覧会を

開催させて頂くことができました。

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春先から出品の額縁を作りはじめ、この半年は

あっという間に過ぎていきました。

そして10月の目の回るような日々と、

開催してからの嬉しく楽しい1週間は夢のようでした。

皆さまから様々なご意見を頂き、また励まして頂き、

心がとても豊かになりました。

すべてがスムーズで、あっという間に開催日を迎えることが

できたのは本当に幸せなことだったと思っています。

銀座という分不相応な場所で開催できましたのも

ひとえに林さんのご支援とご理解のお蔭です。

いまは無事に終了した安心感と解放感、そして

日常に戻るための心の整理の時間に浸っております。

 

額縁を前面にだした展覧会・・・有りか無しか。

これは今後も折々に考えていくつもりです。

そして皆さまにご意見を頂くためにも

少しずつですが精進し、またいつか

今回のような展覧会を開催したいと思います。

その時にはまたどうぞご高覧くださいますよう

お願い申し上げます。

ありがとうございました。

 

 

宮下孝晴と行く隠れた珠玉の作品に出会う旅 -フィレンツェ・トスカーナ編 11月05日

 

最後にイタリアへ行ったのは2011年ですので

そんなに昔というわけではありません。

でもいつも頭のどこかに「イタリアに行きたい」

という希望をとどめています。

そしてこの本を書店で見つけてからは

具体的に「いつ行くか?」の計画になりつつあります。

syugyoku (2)

イタリアのフィレンツェに留学していた3年間、

毎日通学で歩いていた道のすぐ横にある教会や小さな邸宅に

こんなに沢山宝物があったなんて。

syugyoku (3)

本で見慣れたあの作品は、てっきりウフィツィ美術館にあると思っていたら

ルネッサンス当時のままに街角の古い教会の薄暗い壁にあって

いまも信仰の対象になっているなんて。

syugyoku (1)

こんなところに、こんな名作が?!

あの通りの奥に美術館があったのですか?!

ジョットもフラ・アンジェリコも、リッピもギルランダイオも・・・

びっくりです。

留学当時は大きな美術館-ウフィツィやピッティ、

アカデミアやバルジェッロなど-に通うだけで頭も心も一杯でしたから

小さな教会を訪ねる余裕がありませんでした。

 

こんどイタリアへ行くなら、フィレンツェだけに1週間は滞在し

この本をガイドに、こころゆくまで歩き回りたいと思います。

計画をたてなくては!

 

「宮下孝晴と行く隠れた珠玉の作品に出会う旅 -フィレンツェ・トスカーナ編」

著者・写真 宮下孝晴

株式会社梧桐書院

2015年8月25日 第1刷発行

 

 

リッカルディ宮殿の石垣 11月02日

 

細い筋模様がはいっている木地にすこし彫刻を加えて

シンプルな木地仕上げの額縁をつくりました。

ギャラリー林でただいま開催中の

「額縁とポートレート」展に出品しております。

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さて、いつものように名前を付けねば。

それにしてもこの模様、どこかでみたような?

盛り上がった四角が組み合わされている。

フィレンツェのリッカルディ宮殿の石垣(石壁)のようです。

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この額縁の名前は「ishigaki-1」に決めました。

 

「works」内「modern」にこちらの額縁をアップいたしました。

どうぞご覧下さい。