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徹夜明けの天使 1月31日

 

引き続き卵黄テンペラで

フラ・アンジェリコの天使を模写しています。

写真は下色を塗ったところ。

肌の下には緑を塗るのがこの時代のスタイルです。

 

受胎告知の大天使ガブリエル

威厳のある涼やかな表情なのです。

衣装はおおまかに完成間近、肌に影を入れました。

 

順調に描きすすめてきたつもり

が・・・模写天使の顔ときたら

あなたどちら様ですか。 へんな顔!

ニセモノ感満載になってしまいました。

(模写なのでもともとニセモノなのですけれど!)

徹夜明けの天使? 目のクマがひどい。

顔色も緑人間を引きずったままだし

髪もおかしなことになっています。

 

小さな点ひとつで表情が変わります。

足したり引いたり描けば描くほどに

どんどん違う顔になって、

結局一番最初がマシだったりして。

 

数日後、気を取り直して修正をば。

これにてお終いとさせていただきます・・・。

これからニスを塗って額縁に入れます。

額縁のデザインはもう決まっているのです。

フフフ。

 

大丈夫、それはまだここにあるよ 1月29日

 

なにが自分に起こったのか、

いいえ、きっと普通のことなのでしょうけれど

突然に荷物を減らしたい衝動にかられています。

いままで1度の引っ越しと1度の留学による

荷物整理を経験してはいるのですが

子どもの頃のものもそのまま箱に詰めて

押し入れの奥だとかタンスの上に追いやって、

クローゼットも本棚も現在と過去が入り乱れ。

よくあるパターン「要らない物に占領されて

いま必要なものを片づける場所が無い」になっています。

恥ずかしながらわたしは自他ともに認める

「捨てられない」タイプ。

でもそろそろどうにかせねばなりません。

 

もう聞かないCD、読まない本やマンガ

見ないDVDをまとめてみたら段ボールに3箱も。

買取サービスにお願いすることにしました。

二束三文にさえならないかもしれませんが

1度は欲しいと思って買ったもの、

自分でゴミに出すのも忍びないのです。

もしどこかに欲しいと思ってくれる方がいれば

と一縷の望みをかけて(大げさ)送り出します。

大学時代に通学でつかった思い出深いバッグも

2回しか着ていないけれど古くなったワンピースも

諸々たくさん、リサイクルに出す整理をして

お別れの準備ができました。

古い化粧品や空き箱(これぞ無駄中の無駄)も

分別してじゃんじゃん追い出してみたら

思った以上に大きなスペースが空いたようです。

 

でも、本当に二度と使わないもの

--幼稚園時代に集めたガラスのミニチュア動物や

上手に編めたセーター、イタリア語で書かれた

スペインガイドブックとか--は

またもとの暗い場所に押し込めたのでした。

いつか手放せるときが来るかしら。

きっと来ないのだろうなぁ・・・。

 

ひとそれぞれと思いますが、わたしにとって

使わない=必要ない、ではないのですもの。

使わないけれど、それがまだ手元にあるという

安心感のようなもの、とでも言うのでしょうか。

最後まで手放せないのは「思い出」なのですね。

そんな思い出があるのは幸せなことなのだろう

と思っています。

 

 

Atelier LAPIS(アトリエ ラピス)の様子から 2018年1月№2   1月26日

 

今日ご紹介するのはTAさんの彫刻です。

果実や葉を組み合わせた

オーナメントを模刻する練習。

わたしがイタリア留学時に作った物を見本に

アユース材を彫ることにしました。

 

2017年の10月末、見本から

デザイン画を描き起こすことから開始です。

わたしは大雑把に直接木地に

下書きをして彫り始めますが、

こうした正確な図面があると

見本が無い自宅作業も可能ですね。

 

木地は四角柱でしたので

カマボコ形に削り出してから

具体的に掘り進めます。

葉の内側に入り込んだ実を彫るときなど、

彫刻刀を入れる角度を考える必要があります。

木地に対して垂直方向に彫刻刀を進めると

実が小さくなってしまったり

逆に外に開き気味になりますから

頭の中に3D完成図を入れてから 掘り進めましょう。

 

さて、2018年1月になりました。

ふたつ並べて確認中。

ひだりがTAさんの作品、右が見本です。

これから石膏を施して

金箔を貼り磨く計画だそうです。

クリスマスに合う飾りが出来そう!

見本より長い木地でしたので

下部をどうしようかな?と思案中。

リボンを彫るか、茎を彫るか、

はたまた絵を描いてみるか?

これまた楽しい悩みですね。

まずは模刻完了です。

お疲れ様でございました!

 

 

写真と額縁の相乗効果 1月24日

 

2017年のおわりに、フォトグラファーの篠田英美さんの

写真作品とKANESEIの額縁を合わせて

展示する機会をいただきました。

2015年、銀座のギャラリー林での展覧会以来です。

 

前回同様に篠田さんにわたしの額縁3つをお渡しして

篠田さんが額縁に合せて写真を選んで額装するという

ふだんとは逆の方法 --たいていの場合、作品に合わせて

額縁を選んだり制作しますので --で出来上がりました。

 

「maria」

マリア様の白い像が明るい陽に照らされています。

モノクロで白い像がより際立って、暗い色の額縁とも

馴染んで美しい額装になったと思います。

ダークグレーのマットも篠田さんセレクトです。

 

「bar」

南米の夜のバー。

音楽と人のざわめきが聞こえてきそうです。

明るい笑顔と影のコントラスト、人の肌の色が

金色の額縁にぴたりと合っています。

 

「doll」

写真のタイトル「doll」、この赤ちゃんはお人形。

生きているかと見紛うような生々しい人形と

後ろで微笑む女性(人間)の、不思議な写真です。

そして純金箔の底光りするような輝きにかこまれて

まるで舞台装置のような、ただならぬ世界を演出しています。

 

この「doll」と額縁の組み合わせは

明るい自然光で見ても世界観はうすれません。

じっと見ていたいような、部屋には飾りたくないような

何とも言えぬ大好きな作品になりました。

強烈な額縁に、強烈な写真・・・フフフ。

 

 

カリグラフィー&写本装飾の魅力  1月22日

 

街の本屋さんでわたしが手に取ったときにはもう

立ち読みしつくされ、すでに古本状態でしたが

そんなことはこの際どうでも良いこと!とばかりに

相変わらず握りしめてレジへ直行した本です。

4年も前に出版されたのに、ようやく出会えました。

つくづく、本は本屋さんで見るのが大切。

 

「カリグラフィー&写本装飾の魅力」という本には

わたしが長年探していた情報が載っていたのです。

金泥の作り方。ジェッソの作り方、羊皮紙の扱い。

お手軽な「箔あかし」の方法は目からうろこが落ち、

そして写本に純金箔を貼る方法!

日本画で使われる日本伝統の金泥の作り方は沢山情報がありますが、

いわゆる西洋の作り方で分かりやすい情報には

なかなかたどり着けませんでした。

写本につかうジェッソ(写本用の石膏下地)の作り方や

そのジェッソを使った箔の貼り方については

以前に「羊皮紙工房」の八木先生にメールで伺ったことは

ありましたが、自習ではどうにも上手くいきませんでした。

 

この本に載っている解説と写真で、とにかく

練習に取り掛かることは出来そうで嬉しい限り。

少々特殊な材料や高価な材料も使いますし

全くの初めてだとひとりでは戸惑いそうですが、

わたしは古典技法の知識でいけるかもしれません。

 

実は、羊皮紙1頭分をイタリアから持って帰っています。

いまだ手つかず巻かれたままに死蔵されていて、

勢いで買ったもののどうしたものかと長年悩んでいました。

(かと言って習いに出るには腰が重すぎて・・・)

 

練習をして、なんとか作業できるようになったら

いよいよイタリアの羊皮紙の出番を迎えられそうです。

まずはこの本を手掛かりにトライするのみ、でございます。

 

追:先日、ateler LAPIS の本棚にあるのを見つけました。

  いつからあったのかな、見るとも見ずのわたし。

  LAPIS の皆さま、ぜひご覧ください。

 

カリグラフィー&写本装飾の魅力

河南 美和子

株式会社マガジンランド

2013年12月9日 第1刷発行

 

 

 

どこかで会った泣き疲れた目 1月19日

 

2歳になるかならないかの女の子が

新幹線の中で泣いて泣いて泣き疲れ

とうとう呆然と泣き止んだ目を見たとき

知っている人を思い出しました。

 

ポントルモの描いた絵でした。

絶望と疲れで空洞のようになった 落ちくぼんだ目。

ただ違ったのは

ポントルモの描いた目には不安があるけれど

女の子の目には不安はなくて

しっかりとお母さんに抱かれていた事でした。

Jacopo Pontormo “Trasporto di Cristo”

Capprlla Capponi,Chiesa di Santa Felicita,Firenze

 

 

クリヴェッリの花、その意味 1月17日

 

小さいテンペラ画模写をしました。

サイズは6×6cmほどです。

カルロ・クリヴェッリ作の

「聖母子と聖フランチェスコ、

聖セバスティアヌス」から部分です。

小さな画面にぎっしり詰め込まれた感じで

描いていてとても楽しい模写でした。

 

オリジナルはロンドンのナショナルギャラリーに

所蔵されており、175×151cmの大きな板絵です。

模写したのはマリア様の右にある花。

ガラスや白いバラは聖母の処女性を、

赤いバラは愛、キリストの受難を象徴するとか。


Carlo Crivelli “Madonna col Bambino in trono

tra i santi Francesco e Sebastiano” 1491

National Gallery,London

画像はwikipedia からお借りしました。

 

クリヴェッリの模写は初挑戦でした。

ビシィィッとした線が見やすいけれど

それを真似るのはまた難しい・・・という発見。

 

この絵に合わせようと額縁を準備していたのですが

乗せてみたらまったく合わないことが判明しました。

むむう、新たに額縁を準備することにします。

どんな額縁が良いでしょうか?

 

 

歌会始と選ばれた言葉 1月15日

 

2018年の歌会始、お題は「語」でした。

ふーむ、2016年の「人」2017年の「野」より

すこし難しそうなお題です。

 

選ばれた方々の歌が発表されたあと、

アナウンサーが歌の背景などを解説します。

その内容を聞いて、わたしが同じ心境あるいは

光景を見たり感じたとき、どう詠むだろう、

どの言葉をどのように並べるか。

考えます。

「歌」とするからには、普段使いの言葉も良いけれど

もうすこし、なにか・・・。

 

おなじ気持を表すにも、言葉ひとつで

心に響くかどうかが決まってしまうのですね。

分かりきっていることだけれど難しい。

わたしが日々なにげなく使っている言葉も

相手に気持ちよく伝わっているのだろうか。

 

 

皇后さまの御歌は、たったこれだけの言葉から

100倍くらいのことを表現されているような

ふわぁっとした暖かさと思いやりを感じます。

 

日本語は奥深く美しい。

日本語に対する感覚を、もっと大切に

研いでいきたいと思った朝でした。

 

来年のお題は「光」、明るい歌が多くなりそうです。

 

Atelier LAPIS(アトリエ ラピス)の様子から 2018年1月 1月12日

 

昨年12月に完成したOさんの祭壇型額縁です。

 

2016年11月に作業開始の記録があります。

11月7日、組み立てを始めました。

 

12月12日、糸ノコで切りだしたパーツの

形を整えています。

 

3月6日、彫刻をこつこつ進めて

まだまだつづきます。

 

秋になって、ボローニャ石膏塗りと磨き、

そして純金箔の水押しを終えました。

12月に入ってからグラッフィートで装飾を入れて。

 

12月25日クリスマスの日に

吊金具を取り付けて、裏の処理も終わりました。

イニシャルをモノグラムにして入れました。

この額縁を作りたいから入会した、と

お話して下さったOさん、完成おめでとうございます!

長い制作期間も頑張って続けてくださり

ありがとうございました。

新年から、この額縁にあわせて

フィリッポ・リッピの聖母子像をテンペラ模写の予定です。

 

額縁も絵もすべて自分でつくりあげるのは

大きな楽しみです。

 

 

進むとき、眺めるとき 1月10日

 

砂の上の足あと

おおきな歩幅で迷いなく進む足あとは

まっすぐ海へ消えました。

 

海に進む人を陸から眺める人もいる。

わたしはどちらだろう。

進むときもあるし、眺めるときもある。

進むも眺めるも、その良さがある・・・けれど。

小幅でも、今は進まねば。

 

 

ブコの額縁 1月08日

 

先日の銀箔額縁に続いて、これもまた忘れられていた額縁。

おまけに作ったのはもっと以前のことです。

イタリアから帰ってきてまだ数年だったころ、

フィレンツェの額縁師匠マッシモ氏に教わった

古色作り方法を試してみたくて作った額縁です。


額縁のタイトルは「kin-buco-1」と付けました。

穴のことをイタリア語で buco(ブコ) と言います。

(本当なら沢山の穴で複数形 buchi ブキとつけるところですが

ブコのほうが音がかわいいので単数で!)

金箔を水押しで貼り磨き、きれいに仕上げたところに

古色付けで木地に届くほどの穴を石膏地に作りました。

磨り出しや傷作りも強くして、穴にワックスを磨り込んで

かなりボロボロ&コッテリ風味の仕上げです。

トライポフォビアの方はイヤかもしれません。


写真やシンプルな版画作品などを入れても

悪くないかなぁ、と思っているのですが

いかがでしょうか。

 

「works」内「classical」にこちらの額縁をアップいたしました。

どうぞご覧下さい。

 

 

きっと吉報です 1月05日

 

鎌倉の鶴岡八幡宮、若宮側を通った時のこと。

 

おや、草の中にふわふわがひとつ。

なんだろう?

 

リスだ!

 

たたたっと来て、こんにちは。

「なにか良い知らせがあるのかい?」

と聞かれましたので

いいえ、特に無いのだけれど

あなたに会えたのが良い知らせかも。

 

 ・・・と答えたとたんに行ってしまいました。

きっと吉報が届く予感です。

 

 

わき目をふらず正直に 1月03日

 

あけましておめでとうございます。

どのような年末と年始をお過ごしですか。

 

我が家のお正月、今年も例年通り。

それで良いのです。穏やかに。

 

暮にお参りした森戸大明神でひいたおみくじに

「わき目をふらず正直に働いて信心怠らなければ

おのずから幸福が来ます」との一文がありました。

むむ、なるほど。

わき目をふらず正直に。

今年の抱負といたします。

 

皆さまにも心豊かな一年になりますよう!

 

 

あけましておめでとうございます 1月01日

 

 

旧年中はありがとうございました。

新春を迎え皆様のご多幸をお祈り申し上げますと共に

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

平成30年 元旦 KANESEI