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何かが変わった 9月29日

 

ようやく最近、住宅街の空いた道など

マスクを外して歩けるようになりました。

そんな道ですれ違う人が

ひとりきりなのに満面笑顔だったりすると

「あら、あふれる笑顔があるとは

なんて幸せなのだろう。羨ましいなぁ。」

と思います。

 

ずっと以前だったら

「ひとりで笑っちゃって変な人」と

思っていたものです。

でもいつのまにか

ひとりで笑顔の人を見て

わたしも笑顔になってしまうような

心境の変化があったようです。

 

 

なにが変わったのかは我ながら不明です。

年齢でしょうかね?

悪くない変化でございます。

 

 

脱力、ふぃー・・・ 9月26日

 

どうにもこうにも上手く行かなかった

ザクザク材の彫刻額縁は

どうにかこうにか完成に漕ぎつけました。

気が抜けて脱力しております。

オリジナルはイタリア北西部リグーリア州で

16世紀終わりに作られた額縁です。

 

▲いつもの額縁本「Repertorio

della Cornice Europea」134ページ掲載

 

▲木地の形の違いで、模様の順番が違います。

 

何度も放置しそうになり、でも

「今やめたら二度と作業しない確信」

がありましたので、もうやるしかない。

彫刻作業のほとんどを

アトリエLAPISで続けていたのは、

制作を頑張る方々に囲まれていれば

(ひたむきに頑張る生徒さん方には

本当に常々励まされております。)

わたしも挫けず作業できそう・・・

と言う気持ちだったのです。

 

いやはや。

この額縁摸刻の計画を立てた時は

もうちょっと・・・こう・・・

簡単とは言いませんけれど(!)

気持ちを楽に作る期待があったのですが

額縁の神様から「コラー!!」と

一喝された気がします。

「驕るでないぞ、きみぃ。」

 

 

木地仕上げ、つまり

石膏を塗らない彫刻は

刃跡が歴然、ごまかしが効かず

裸に近い感じがしてしまって

なんとも言えない恥ずかしさがある。

取り繕えない分、初心を取り戻す

良い機会になりました。

 

 

「秘密の小箱展」はじまりました 9月24日

 

相変わらず大騒ぎをして準備して

開催に漕ぎつけました

「秘密の小箱展」でございます。

 

台風の近づく金曜日の朝に搬入・展示

そしてお客様をお迎えしました。

 

▲小箱の他にテンペラ画模写、小さい額縁も置いています。

 

友人・知人も早速来てくれました。

緊張している時に知人の笑顔を見られるのは

本当にうれしいことです。

谷中という場所柄、通りがかりで

立ち寄って下さる方々も。

会場ギャラリーの「箱義桐箱店」へ

ご用でいらしたお客様と

思いがけず色々なお話が出来たりと

久しぶりに「初対面の方々と

お話をする楽しさと緊張感」も思い出しました。

 

▲総勢75点の小箱の全員集合

 

毎度のことで自分でも呆れますが

心は浮足立って焦ります。

お化粧もし忘れ(マスクを最大限に

広げて前髪を下して隠しました)

お昼休憩で気が抜けて居眠りして、

なんともトホホな面もあった初日。

本日2日目も台風大接近中ではありますが

昨日よりは落ち着いて店頭に立てそうです。

 

雨が心配ではありますが

お近くにお越しの際はぜひお立ち寄りください。

お待ちしております。

 

▲千駄木駅から徒歩数分です。

 

「秘密の小箱展」

箱義桐箱店 谷中店にて

9月23日(金)~10月2日(日)

10:30~19:00 金曜土曜日曜のみ営業

13時より17時まで在廊いたします。

 

その時が来た 9月22日

 

もう延々とずっと作業を続けて

アトリエLAPISの生徒さんには

「もはやわたしのライフワークです」などと

宣言して苦笑いされていた小箱が

ようやく、やっと、とうとう(しつこい)

完成いたしました。

 

 

いやぁ、続けると終わる時が来るのですね。

永遠に終わらないんじゃないか・・・は

大袈裟ですけれど、途中でもう

投げ出すだろうと諦めかけていました。

 

▲右の銀色の棒(メノウ棒)で点々を入れる。

形状サイズは鉛筆とほぼ同じです。

 

▲ライト付きルーペが役立ちました。

 

展示会が目前になって

「ここで完成させねば永遠に完成しない」と

腹をくくった次第です。

 

茶色ボーロにホワイトゴールドの水押し。

マイクロ点々でダマスク模様を入れました。

 

▲側面にも模様は繋がっています。

ほんのりとボーロの暖色を感じられる。

 

迷いに迷い、中は濃いピンクに。

 

 

改めて眺めても気になる点は多々あって、

でもまぁ一山越えられたような気がします。

記念碑的小箱になりました。

 

明日9月23日より開催の「秘密の小箱展」に

出品いたします。

どうぞお越しくださいませ。

 

 

サクランボと影 9月19日

 

マーシャルのサクランボ模写を

終えた小箱が完成しました。

 

 

サクランボには窓が写っていて

窓の向こうは青空・・・というのが

感じられます。(オリジナルの絵から)

明るい窓と青空、その光でできる

サクランボの影。

 

 

周囲は黒で中は真っ赤にしました。

ちょっと人形劇や紙芝居を思い出しました。

 

 

桐木地にボローニャ石膏、

アクリル絵の具で彩色、艶消し仕上げ。

内側に赤い別珍の布貼り。

 

 

9月23日からの「秘密の小箱展」に出品します。

ぜひお出かけください。

 

有り難や 9月15日

 

小箱にサクランボの絵を

模写しています。

マーシャルの絵はとても可愛いのです。

 

いつもは卵黄テンペラで描きますが

今回はチューブに入ったアクリルガッシュ。

テンペラは、卵黄メディウムを作って

描く都度に顔料と水と混ぜて絵具を作る。

チューブに入ったアクリルガッシュは

そのままパレットに出して水で溶くだけ。

なんたる簡便さ、手軽さ!

 

 

チューブ入りの絵具が販売されたとき

きっと世界中の絵を描く人々にとって

革命的だったことだろうなぁ・・・と

久しぶりにチューブ絵具で絵を描いて

今更ながら有り難味を感じております。

 

 

それは本当なのか? 9月12日

 

「継続は力なり」と思って

続けていることが幾つかあります。

止めるのはすぐだし

一度止めると再開が難しいこともあるし。

 

▲「小さい絵」展のテンペラ模写を始めました。

一枚は黄金背景、一枚は銀背景。

 

そう思って生きてきましたが

やっぱり色々、止め時というか

潮時ってあるのかもしれません。

 

▲メノウで磨いてマスキングを剥がす。

金は傷がついたのでちょっと繕い。

 

いや、「当たり前だろう」と

思われるでしょうけれども

止めるにも勇気が要りますでしょう?

 

▲卵黄メディウムにいつもは米酢を入れますが

今回はイタリアの白ワイン酢を入れたら

部屋中が酢のにおい・・・入れすぎたかも。

 

止めるのは続けるより簡単、と

思っていましたけれど

そうでもないなぁ・・・

 

▲描画に集中せずぐるぐる考えていた。

金の繕いも失敗した。

おまけに蚊に刺されて痒い。

刺されたのは1ヵ所なのに関係ないところまで痒いのはなぜ?

今日はもう作業しても無駄、お終いに。

こんな日もある・・・いや、自業自得?

 

「ひとつ止めれば次が来る」

なんてことも聞きますが

本当ですかね?

実は、止めると決めたときは既に

無意識にでも次を決めているから

なんじゃないか??

 

どうでしょうね。

 

 

ようやく完成、夜空の小箱 9月08日

 

額縁でも小箱でも

作りはじめたけれど途中で迷い始めて

「決まるまで様子見」として放置して

すっかり数年経ってしまうことがあります。

 

それらはいつも作業部屋の片隅の

すぐ目に留まるところに居て(あって)

ああごめんね、まだ決まらないから

もう少し待ってね・・・と言いつつ。

 

この小箱はそうして2年半が過ぎました。

中央の丸い彩色部分、天使かな

紋章かな、どれも釈然としなかったけれど

イタリア・パドヴァにあるスクロヴェーニ礼拝堂

天井画の写真を見ていて「これだぁ!」

と思い立ちまして、星空模様にしました。

ようやく完成、やれやれ一安心です。

出来るときは出来る。果報は寝て待て。

(ちょっと違いますかな?)

 

 

パスティリア(おなじみの)と純金箔

小さな点々打ちを入れて盛沢山な装飾に

純金泥で星を描きました。

けっこう可愛い・・・んじゃないかな。

 

 

家族に見せたところ「いままでで一番好き」と。

「10万円で売りに出そう・・・」と言うので

そんな値段で買ってくれる人は居るかしら

と答えました。そうしましたら

「もちろん売れ残るでしょう。

そうしたらちょうだい・・・フフフ。」

褒められたんだか何だか分からない。

 

 

ともあれ夜空の小箱、いかがでしょうか。

9月23日からの「秘密の小箱展」に

ぜひ実物を見にお出かけください。

 

桐木地小箱にボローニャ石膏

パスティリアでレリーフ、赤ボーロに純金箔、メノウ磨き。

中央にアクリルガッシュと純金泥で彩色

内側にライトグレーの別珍布貼り。

 

「秘密の小箱展」のお知らせ 9月05日

 

以前にも少しお話したのですが

小箱の展示会をいたします。

箱義桐箱店 谷中店にて

「秘密の小箱展」です。

 

 

秘密にしたいのか

見ていただきたいのか

変なタイトルなのですけれど

 

 

KANESEIの小箱は

大きなものは入らないけれど、

あなたの「秘密」を入れたら

大切に守りますよ・・・

というイメージなのです。

 

フォトグラファーの篠田英美さんに

これらの素敵な写真を撮って頂きました。

そして沢山の方に助けていただき

励ましていただき

ようやく漕ぎ着けました。

初・KANESEI小箱個展・・・

浮足立っておりますが

どうぞよろしくお願い申し上げます。

箱義桐箱店

 

DMハガキ、お送りいたします。

ご希望の方は私までご住所をお知らせください。

 

 

モッコウバラの教訓 9月01日

 

我が工房自慢の黄色モッコウバラ、

先日どうも葉が少ないし茶色いと気づきました。

やや、水やりが足りなかったか?と

早速バケツで水を運びましたら、なんと。

 

間近で見たら物凄い数の・・・

うう、書くのも恐ろしい・・・

2センチほどの毛虫がぎっっっっしり。

 

▲ちょっと息継ぎで夏の雲。

黒い物体はトーマス転炉の展示。

 

覚悟を決めて、家中の殺虫スプレーを

かき集めまして(キン〇ョールとか

フマ〇ラーとか、蚊用に準備したけれど)

煙幕になるくらい吹き付けたのです。

こちらまで眩暈がしそうでした。

 

黙々とスプレーしまくったわたしですが

心の中ではギャー!ウワワー!!と

叫びまくりでした。

 

▲思い出すのも凄まじいので更に息継ぎ。

また別の日の晩夏の青空とトーマス転炉。

 

ひとしきり後、地面には蠢きが無数に。

それを見ながらふと「小野妹子」を

思い出していましたら、いやに静かな

風が吹き抜けた夕方でした。

オノノイモコ・・・

イモコ・・・イモ・・・イモ・・・

 

ごめんね。

なにか罰を受けそうです。

教訓として・・・

大切な木ならマメにチェックするべし。

スプレーは効く。備えあれば患いなし。