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やっぱりやめた。 11月29日

 

隙間時間で作っている小箱です。

金箔をメノウで磨いてから

卵黄テンペラ絵具数色で彩色しました。

 

そして放置すること数か月・・・

なんだかな、なにか違うような。

イメージしていたより「乙女度」が高い。

思い切って絵具を削り落として

装飾をやり直すことにしました。

 

▲金箔の上に白、緑、紫、ピンクでふっくら彩色して

 七宝風にしたかったのですが、取り除きます。

 

金箔がしっかり磨いてあれば

テンペラ絵具はポリポリと除くことができます。

「やっぱりやめた」が可能なのです。

いわばグラッフィート技法と同じこと。

今回は割りばしのお尻で削り(こすり)ました。

 

さて、すっかり金色に戻ったところで

刻印を打ってみようかな、と思います。

もう少しルネッサンス風味にする予定です。

 

 

額縁の作り方 27 ミッショーネで箔置き 11月27日

 

前回ミッチャクロンで下地を整えて

アクリル絵の具の赤色ボーロ色(赤茶)を塗った

ドイツの祭壇型額縁に純金箔を貼ります。

▲赤茶を塗って乾いたところ。金箔作業の準備ができました。

 

この額縁は、もともと金色ではありましたが

洋箔(純金箔の代用品)が使われており、さらに

部分的に塗装で金色に塗られ、緑青色の古色が付けられて、

何度か修理された形跡もありました。

今回は欠損部分を再成形して形の復元からはじまり、

純金箔を全面に貼り直してから改めて古色を付けて完成。

そんな計画です。

 

今回のような額縁にはミッショーネ、つまり

接着剤で箔を貼り付ける方法しかありません。

日本では「ニス貼り」(ニスを接着剤にして箔を貼る)

とも言うようです。

検討した結果、わたしは使い慣れた糊で安全に進めることにして

フィレンツェの画材店「ZECCHI」(ゼッキ)が販売している

「missione all’acqua」を使いました。

白い水性の接着剤で、乾くと透明になります。

酢酸ビニール系(木工用ボンド)と近い雰囲気ですが

もっとさらりとした感触です。

 


▲左上に見える白いボトルが接着剤です。

 

この糊を筆で塗って、透明になってしばらくしたら

箔を置き、やさしく押さえます。

糊の乾き具合が難しくて、生乾きでも乾きすぎでもダメ。

触ってみて「乾く寸前」くらいがベストなのです。

 


さぁ、全面に貼れました。

目も眩むコガネイロでございます。

ミッショーネは金箔をメノウ棒で磨くことはご法度。

剥がれてしまいますからね。

ミッショーネの糊が乾いたら次は古色付けです。

 

 

ヒヤ子始動2019 11月25日

 

11月はじめの頃のおはなし。

長らく「夏眠」していたヒヤシンスの球根

我が家のヒヤシンス軍団をようやく植えました。

ヒヤ子とその仲間たち10球です。

ヒヤ子オリジナルと分球3つ、桃色3つ、真珠姉妹3つ。

最初はデルフトブルーのヒヤ子1球からはじまった

わたしのヒヤシンス栽培ですが、いつのまにか

こんな大所帯になっております。

 

庭のいつもの一角を耕して、たい肥を混ぜて。

3色ある球根を色ごとに並べるか・・・と思いましたが

ターシャ・テューダー風に混色でランダムに植えました。

▲いやまぁ、適当に並べたと言うほうが正しいのです。

 

おそらく桃色が一番、そして白、最後に青と順番に

成長し花を咲かせてくれるであろう、と思っています。

▲ふんわかと土をかぶせましたが、ここは通り道横。

 踏まれちゃうと困ります!・・・ので

 

▲割れた植木鉢を差し込んで境界を作りました。

 

ヒヤシンス栽培、楽しいですよ。

今なら来春に間に合う!おススメです。

 

それにしても

恐れていたミミズやらダンゴムシには土を掘り返しても

出会いませんでした。不思議。

きっとここで冬眠をはじめていると思っていたのだけど。

出会わなかったのはお互いに幸運でした!

 

 

kirikami にわかに 11月22日

 

2015年に銀座のギャラリー林さんで行った

写真とKANESEI額縁の展覧会(もう4年前!)に

出品しました kirikami と名付けた円形額縁があります。

 

たたんだ紙の角を△や〇に切って広げた模様から

このタイトルを付けました。

 

切紙の模様を額縁上に表現する方法を試行錯誤して

ぐるぐる・・・という記憶ばかり強いのですが

4年たった今、にわかに人気(?)上昇中です。

「この額縁のデザインで」または

「これと同じ額縁に鏡を入れて」などの

お問い合わせをいただいております。

いままでなしのつぶてでしたのに。

不思議ですが、そんなこともあるのですね。

 

さてそんな訳で、ただいま四角い kirikamiシリーズ

制作真っ最中でございます。

 

幅広マスキングテープを貼って、模様を転写します。

▲4年前の型紙を参考に四角の模様下描きをつくりました。

 

そして模様を切り抜きます。

以前、マスキングテープはお手頃価格のものやら

100円ショップのものを使ったこともあります。

でもマスキングテープは良いものを使うのが一番。

とくに切り抜く場合は差が顕著です。

いやまぁ当たり前なのですけれど、品質が完成の良し悪しに

とても影響するのがマスキングテープ、とつくづく思います。

 

 

模様の切り抜きを終え、端先の加工もして

(端先の加工、危うく忘れるところでした!)

日が暮れたので今日の作業はおしまいです。

 

 

小さなかわいこちゃん7 完成 11月20日

 

長らくご覧いただきました小さい祭壇型額縁が

ようやく完成を迎えました。

なにせ小さいものが好きですので

いつもに増して楽しく作ることができました。

 

▲台座の彫刻部分にも点刻印をいれました。

 

以前にもお話しましたが、予定と装飾方法を変えたので

模様が繊細な印象になりました。

彫刻部分がちょっと重く感じられたので

バランスをとるために台座にも点刻印を入れました。

すこし軽やかになったと思います。

 

いつまでも「かわいこちゃん」などと

親ばか名前で呼ぶわけにもいきませんので

tabernacolo-mini-1 と命名いたします。

tabernacolo とはイタリア語で祭壇型額縁。

なぜ次に英語 mini が来るのかといわれますと

わかりやすいでしょうということで。ハハハ。

 

「works」内「classical」にこちらの額縁をアップいたしました。

どうぞご覧下さい。

 

 

顔料の製作者とアンジェリコのお好みと。 11月18日

 

先日のテレビ番組で、アドリア海で見つかった沈没船について

いつ、どこの港から出てどこへ向かい、

誰のどんな荷物を積んで誰に送っていたのか

調査する様子を観ました。

その船はルネッサンス時代、ヴェネツィアの総督が

トルコのスルタンの求めに応じて送ったガラスと

その他贈り物を積んでいた船でした。

海中調査し、膨大な資料から探り出し明らかになっていく様子は

とても面白かった!

 

その沈没船の積み荷に顔料もありました。

赤い顔料の辰砂、白い顔料の鉛白でした。

当時ヴェネツィア産の顔料は品質が良いことで

有名だったそうな。

昨年秋にフィレンツェのサン・マルコ美術館の

写本室で観たルネッサンス時代に使われた顔料紹介でも

赤は辰砂、白は鉛白が展示されていたことを思い出しました。


この沈没船はフラ・アンジェリコの生きた時代の100年も後だし

フィレンツェとヴェネツィアは当時ちがう国であったから

可能性はとても低いと思うけれど、想像が膨らんでしまう。

フラ・アンジェリコはヴェネツィア産の顔料を

好んでいたかもしれない、なんて。

どんな人がどんな場所で、どんな道具で

あの顔料を作っていたのかな、その生活はどんなかな、とか。

ヤマザキマリさんが物語にしてくれたら

とてもとても面白そう!と思ったりしております。

 

 

ひとまず使わずに。 11月15日

 

先日、お財布の整理をしていたら

やや?

 

 

平成31年の500円硬貨であります。

ピカピカと美しく財布の中でも目立って輝いています。

これって珍しいのではないかしらん?と思って

小銭入れから別のポケットに入れておきました。

使用済みですけれどきれいですし

ひとまず使わずに、記念に取っておくことにいたします。

 

平成31年。

令和の時代になって、もうずいぶん経ったような気がしてしまいます。

数十年後、忘れたころに引き出しの奥からこの硬貨を見つけ出して

あの頃は・・・などと思い出すのに使うかもしれません。

 

 

小さなかわいこちゃん6 11月13日

 

メノウ棒での点刻印が終わりまして。

さぁ!お愉しみの古色付けでございます。

 

▲夜なべ仕事の翌朝、装飾が完成しました。

 

▲まだ金の色が新しくて生々しいのです。

 

木槌でのキズ作りはせず、磨り出しのみをして。

今回は彫刻の凹凸に加えて点刻印もありますので

ゆるめに溶いたワックスを筆で塗ることにしました。

 

筆で塗ったとしても、筆跡が残ったら台無し!

筆につけるワックス量を調整し、塗り方も

伸ばしたり叩いたりこすったり工夫します。

▲凹や点にも擦りこんで輝きを残さない。

 

ワックスが乾いたら乾拭きして、完成です。

 

 

額縁の作り方 26 ミッチャクロン 11月11日

 

夏に「型取り方法」でご覧いただいた

ドイツ製祭壇型額縁のコリント様式柱の土台。

無事に取り付けまして、金箔の貼り直しをいたします。

 

この額縁はそんなに古いものではありませんので

木材と石膏のみではなく、部分的にプラスチックの装飾や

金属製ライナーも取り付けられていて複雑です。

 

ひたすら掃除をした後はアルコールで脱脂して

「ミッチャクロン」(プライマー)を吹き付けました。


▲庭の一角でスプレーします。

部分的に色が違うのは欠損部分を再成形したところ。

 

プライマーがあれば、複数の材を使った土台も

均一になって上に塗装することができます。

 

ミッチャクロン(わかりやすい商品名)はとても便利。

まさしく下地と上塗装を密着させてくれます。

ホームセンターやネット通販で容易に手に入ります。

ミッチャクロンがあれば、大体のものの塗装ができる

といっても過言ではないでしょう・・・たぶん。

ミッチャクロン塗布前にはかならず

最初にしっかり脱脂しておくことと、

乾くまで時間がかかるけど待つ。

わたしはこのふたつに気を付けています。

 

今回は純金箔をミッショーネ(箔用糊を塗って貼る)で

全面に施す計画です。

まずはミッチャクロンが乾いたところで

赤色ボーロ風のアクリル絵の具を全面に塗って下地作り。

 

色が整うときれい。

さて、この後はいよいよ箔仕事ですぞ。

いつもと違う方法での箔仕事、そわそわします。

 

 

もしも我が家にあったなら 11月08日

 

展覧会などで素敵な作品を見たとき

ああ、これがわたしのものだったらどんなに幸せだろう、

朝から晩まで手に取ってじっと見たい

なんて勝手なことを想像しています。

 

先日のニュースで、フランスのお宅のキッチンで

チマブーエのテンペラ画が発見されたと聞きました。

わたしが想像した生活を送った人が現実にいたのです。

専門家が見に来るまで、そのお宅では大切に

でも「普通に」毎日チマブーエの作品を眺めて、

なんならチマブーエの作品の前で料理をし食事をし、

絵は油やら煙やらにさらされていたわけです。

 

でももう、この絵は今後二度と一般家庭に置かれることはなく

管理された空間でこれからの長きにわたる時間を

過ごすことが決まりました。

極端な変化だけど、こんなことも現実にあるのですね。

 

このチマブーエの絵にもし心があったら(ありえないけれど)

もしかしたらこのままキッチンで、毎日親しみを持って

愛でられながらの生活を望んでいたかもしれない

などと妄想してしまう。

けれど作品はその価値を認められ、保存修復され、

安全な場所で管理されつつ多くの人に見てもらうのが

誰にとっても良いということなのでしょう。

 

 

「実際に自分の手元にあったら」は想像して

楽しむだけのほうが良さそうです。

泥棒も怖いですしね。

 

 

「teatro」 11月06日

 

先日ご覧いただいた新商品を使った額縁

予定通り茶色にして古色を付けて完成しました。

この額縁に納めるのはイギリスのアンティーク版画で

かわいらしい犬の図なのですが、

ご依頼くださったお客様のワンちゃんそっくりとか。

この子の名前がコリーちゃんというそうなので

額縁も勝手にコリーちゃん(仮)と呼んでおりました。

そろそろ命名しなければ、つらつらと考えて。

 

ぼんやりと眺めていたら

古めかしい劇場の舞台にかかっている幕のように見えてきました。

この額縁の名前は「teatro」にします。

いかがでしょうか。

 

何はともあれ、額縁もかわいらしく完成して

にんまり喜んでおります。

 

「works」内「classical」にこちらの額縁をアップいたしました。

どうぞご覧下さい。

 

 

小さなかわいこちゃん5&額縁の作り方 11月04日

 

小さな祭壇型額縁、点の装飾が完成しました。

古色を付けますけれど、ここで裏の処理をば。

 

この木地は合板を土台にして組み上げてあります。

合板?ベニヤ??チープ・・・と思われるでしょうか。

でも最近の合板はとても良く美しくできております。

反ったり割れたりが少なく丈夫ですし。

 

さて、裏面と裏板に色を塗ります。

金を使った額縁には、わたしはターナーが出している

「生壁色」というアクリルグアッシュを使います。

イエローオーカーより赤みが少なく、くすんでいて

金との相性が良いように思っています。

絵が接する部分には何も塗りません。

この色以外にも、クリーム色も違和感なくなじみます。

茶色ステイン着色の額縁には裏にもステインを塗ります。

額縁と似た色、もしくはインテリアと似た色が無難です。

 

この絵具が乾いたら、いよいよ仕上げ。

古色付けでございます。

 

 

美しい種、のようなもの 11月01日

 

銀座のギャラリー林さんから

展覧会のお知らせをいただきました。

「plant collecting- 空想植物標本」

 

▲写真はギャラリー林さんよりお借りしました。

 

漆、螺鈿、蒔絵でつくられた美しい種のような、

空想で作られた植物標本だそうです。

指先サイズから、大きくても手のひらに乗るサイズまで。

ものすごく手が込んでいることがわかります。

 

 

かわいい、かわいい!

小さいもの好きには堪りません・・・。

標本(作品)に添えられている文章も

まるで図鑑の解説のようだそうです。

これもじっと読んでみたい。

 

銀座へお出かけの際には

ぜひお立ち寄りください。

 

plant collecting- 空想植物標本

2019・11・1~11・7

ギャラリー林

中央区銀座7-7-16

11:00~18:00 会期中無休