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久しぶりに再開 6月24日

 

ここしばらく、グスターヴォさんに

教わったヴェネト額縁の

仕上げの小さな部分以外

彫刻から距離をとっていたのですが

久しぶりに「そろそろ良いだろう」と

再開いたしました。

 

 

半年以上本格的な彫刻から

離れていたので感覚が変!

あれ、どうするんだっけ・・・

とは大げさですけれど

腕慣らしが必要でした。

 

えーっと、ううむ、んん??

などと言いつつ。

 

やっぱり木槌を振り上げて

ガシガシと彫り進めるのは

楽しいのです。

 

 

これはなかなかよろしい額縁が

完成する予感です。

 

 

ようやく手に入れた 6月21日

 

成城学園前のアンティークショップ

atticさんにおじゃましましたら

ずっと前からほしかったガラス小箱が。

我ながらどれだけ小箱が好きなんだ?!

・・・と思いつつ。

 

 

このタイプの小箱は

「ヴィトリン」とか「ベベル」なんて

名前で呼ばれるそうですが

分厚いガラスを面取りして組んだ

美しいガラス小箱です。

骨董市などでたまに見つけると

数万円もして「ぎゃー」と逃げるのを

くり返しておりましたが

attic にあったものはなんと数千円!

それもそのはずリプロダクトなのですって。

でもそんなの構いません。

ガラスに程よく傷があって

佇まいもエレガントですもの。

アンティーク・骨董ではなくて

「古いもの」で十分でございます。

嬉々として連れ帰りました。

 

底の内張が黒い布で・・・それだけが

なんだかなポイントでしたので

水色の布貼りボードを仕込むことに。

▲黒い布底だと内部がとても暗い。

 

▲厚紙に青い布を貼って

箱底に両面テープで留めてしまう。

 

一番上の写真は仕込み後に

グスターヴォの左手を入れたところです。

イタリアの教会にある聖遺物風・・・

またもや家族に「こわい!」と叫ばれ

やめました。

 

 

気づけば窒息寸前 6月17日

 

小箱も少しずつ作っております。

 

ヨーロッパの古典技法を使った

小箱ではありますが

日本の模様を使ったものも

作りたい・・・と思いまして

天平時代のデザインを。

東大寺三月堂の仏様にある模様を

参考にしました。

▲天平時代の模様は地中海世界のものが

 シルクロードを通って日本にやってきたそうですから、

 バランスが洋風、アラブ風にも感じられる。

 

桐の小箱に下地を施し

ボローニャ石膏を塗り磨き

模様を線彫りしてから

アクリルグアッシュで彩色。

 

なにせ細かい模様なので

神経を使います。

▲この後にバックの色を塗ります。

 

じぃぃぃぃ~っと描き続け

はたと気づくとものすごい頭痛。

びっくりした!

呼吸をほとんど忘れておりましたよ。

窒息して酸欠になっていたのでした。

やれやれ。

いくら楽しくても息はしましょう。

 

 

Firenze 2020-21 6月14日

 

先日のパラティーナ美術館でのお話のつづき。

 

ラファエロなどの有名どころも

当然ですけれども画集で見るのとは

色の深みも迫力もなにもかも

別世界の美しさなのです。

▲ラファエロ「小椅子の聖母」目がくらむ。

 

▲いわゆる「カルトッチョ」額縁。

 これもフィレンツェらしい額縁です。

 絵と合ってるのかな・・・というのは

 余計なお世話ですか。

 

それにしてもこの美術館の派手さ。

赤い壁に保存状態の良い金の額縁

そこに絵画の発するエネルギーが加わり

なんと言いましょうか

心身ともに体調が良くないと吹き飛ばされます。

 

ある大広間にたどりつきましたら、あれ⁈

空っぽの額縁があるではありませんか。

これは確か、カラヴァッジョの作品の

額縁だったような記憶です。

この後3月、ローマでカラヴァッジョの

大回顧展が開催予定だったはず。

記憶はあやふやです。

いやぁ、こう言っては何ですが

空の額縁は絵が無いから額縁に集中できて

わたしなどには悪くなかったりして。

絵を見たかった方には残念ですけれど。

 

そして思い出しました。

数日前にボーボリ庭園から見えた様子

ピッティ宮殿の裏側の作業が見えたのですが

なにやら大きな作品を運び出していました。

なるほどね~ここからこんな風にして

作品の搬入出をしているのか!と

写真を撮ったのですが、おそらくは

この額縁に入っていた作品がちょうど

運び出されるシーンだったのかな、と

思いました。

 

この絵、もう今は自宅(つまりこの額縁)に

帰ってきて、のんびりと高いところから

眺めて暮らしているのでしょう。

ようやく美術館も再開しましたから

お客さんが戻ってきて、絵も額縁も

喜んでいるに違いありません。

 

 

もう寝なさい。 6月10日

 

どうもわたしは日ごろ

ひとりで作業しているからか

はたまた根っからの性格なのか

煮詰まりがちで、

そんなときは大抵作業も

上手く進まなかったり

失敗したりします。

・・・いえ、そんな頻繁に

失敗しているわけでは

ありませんけれども。

 

眉間にしわを寄せつつ家族に

「失敗した」などとブーブー訴えて

気を紛らわそうとしていると母は

「まぁ、そんなときは一晩寝るのねぇ」

とノンキな口調で言うのでした。

 

結局その日は手直しの準備だけして

違う作業をして一晩寝ました。

翌朝見ても、やっぱり失敗は失敗で

小人が夜中にこっそり直してくれているわけもなく。

でもまぁ、昨日思ったほど深刻でもないし

失敗の理由の整理がついたので直せるし

「もう同じ失敗は繰り返さない」と思えたし

一晩寝たことで煮詰まりも消えました。

 

分かってはいたことだけれど

寝ちゃって仕切り直しって

改めてわたしには効果的なのです。

この年齢になってもやっぱりまだ

母には助けられているのだわ・・・と

苦笑いの朝なのでした。

 

 

ヴェネト額縁はひとまず 6月07日

 

2020年2月にフィレンツェにて

木彫職人グスターヴォさんの

工房に通って制作した額縁木地は

帰国後に追加工をして

先日無事に完成しました。

勝手に呼んでいた名前

グスターヴォ額縁改め

ヴェネト額縁でございます。

 

 

なんたる派手。

額縁の中に見えている写真は

参考にしたオリジナル額縁

18世紀イタリア・ヴェネト州で作られたもの。

Roberto Lodi 著

Repertorio della cornici europea P.270掲載

 

▲技術的に足りないのはもちろん、葉の向きとか

 いろいろとオリジナルとは違う部分もあります。

 

すぐにアンティーク加工をしようと

企んでいたのですけれど、

完成してみたらなんだかこれも悪くない。

もう少し眺めて楽しんで

具体的にどうするか検討しようと思います。

 

実は完成前日に、ふと遠くから

離れて眺めてみたら気が付きました。

左下角、対で葉が足りない。

え、今気づくってどういうこと。

彫って、塗って、磨いて、

また塗って、貼って磨いて・・・

ここまでの作業中に一度も気づかなかった。

ちょっと自分が信じられないのですが。

 

そういえばフィレンツェで作業中に

わたしが「あ!間違えて彫りすぎた!」

と叫んだ時にグスターヴォさんは

「そんなのは後からリカバリーできる」

と確かにおっしゃったのでした・・・。

これを今、書いていて思い出しました。

 

ハハハ・・・もうリカバリー不可。

でもまぁ、それもまた思い出

と言うことにしよう・・・

 

 

 

Firenze 2020-20 6月03日

 

さあ、満を持してやってきました

ピッティ宮殿内のパラティーナ美術館です。

日曜の午前は不定期な休館でがっかりでしたが

おかげでボーボリ庭園を独り占めできたので

それはそれで良かったとして。

この日も朝いちばんで乗り込みました。

 

入り口で荷物と身体検査をうけて入館。

(飛行機搭乗前のような感じ)

オーディオガイドを借りようと思ったら

一時的に休止中とのこと。

あら残念~でしたが、今思えば

コロナ感染拡大が確認されつつあり

蔓延防止措置が始まっていたのかもしれません。

 

まずはとにかく、拝見いたしましょう!

▲絵画も見ますが目が行くのは額縁

 

いわゆる「フィレンツェ・バロック」の

額縁がそこかしこに。

 

この美術館は後期ルネッサンス~バロックの

作品がメインで、ラファエロが有名どころ。

実はわたし、この時代の作品にも額縁にも

長らく興味があまり持てず

留学中もほとんど近寄らない美術館でした。

 

ですが2018年にこの本

「CORNICI DEI MEDICI 」を手に入れて

ひたすら眺めているうちに

どうにもこうにも実物が見たくなってしまった!

という訳です。

 

ものすごく独断的な表現ですが

彫刻模様のエッジが際立っていて

ニュルニュルした感じがして

むやみやたらに入り組んじゃって

ちょっと爬虫類や昆虫っぽいし

好きになれない・・・と思っていたのは

過去の話になりました。

▲でも昆虫風味はぬぐえない・・・

 

大変失礼いたしました。

やはり年月を経ると自分の経験が増えるぶん

好みも感覚も変われば変わるものですね。

 

うう~む!

これはいつかきっと、わたしも

ひとつ作ってみなければなるまいよ!と

志をひたすら高くしたのでした・・・。

達成はいつになるやら、ですけれど。

 

 

額縁の作り方 34 金の繕いには 5月31日

 

久しぶりに「額縁の作り方」の

本当に額縁です。

小箱ではなく・・・。

 

さて、古典技法による額縁の

最大の特徴は箔の水押しと言えるでしょう。

日本の伝統的な方法

漆やニカワを糊にして貼り付けるのに対して

ヨーロッパの古典技法では

石膏下地にボーロと呼ばれる

箔の下地材を塗り、その上に

水を塗って箔を押し付ける。

そしてメノウ石で磨き圧着させる

(ものすごく簡単な説明ですが。)

と言うような手順です。

 

凹凸のある彫刻などに

古典技法で箔を貼るのは

どうしても箔に亀裂ができて

破れた部分の「つくろい作業」が

必要になります。避けて通れません。

 

ある程度の繕いは、小さく切った箔を

細い筆を使って穴埋めするのですが、

細かく沢山で「どうにもこうにも」な場合は

金泥を使います。

 

わたしは京都の堀金箔紛さんで買った

「純金泥鉄鉢入」を使っています。

筆もこの金泥専用の面相筆を準備します。

この金泥を使う方法は、わたしはずっと以前に

鎌倉にある「井上箔山堂」の井上さんより

教えていただきました。

なにより素晴らしいのは

この金泥はボーロの上に塗って乾けば

メノウ磨きができるということ。

ただ、平らな面や目立つ場所では

やはり見分けがついてしまうので要注意。

凹凸の凹の影、点のように小さい部分

などには大変おススメです。

 

 

Firenze2020-19 5月27日

 

念願のモスカルディ訪問

そのつづきです。

 

地図を確認しつつでしたが

わたしひとりではちょっと

たどり着けない・・・というか

薄暗い路地で入る勇気がない

というような雰囲気の場所に

突如モスカルディらしい

赤いショーウィンドウがありました。

 

中は倉庫のように広く雑然として

お店と言うより、まさに工房でした。

アルノ川沿いにあったエレガントな

お店の雰囲気とは様変わりしていて

一抹の不安。

ここがあのモスカルディ・・・??

 

だけど雑然とした部屋には

目が爛々とするような額縁の数々。

「ああ、これ、これが見たかったの!」

と叫びたくなるような額縁でした。

どの額縁も、古くても50~60年前のもの。

うう~、あるところにはあるのだ。

これがフィレンツェなんだなぁ・・・

と感慨深くなっていたら

奥の段ボール箱を抱えてきた

モスカルディさん(ご当主40代くらい)。

箱の中には無造作にこんな宝物が!

彫刻された額縁木地です。

ご覧ください、この繊細な仕事を。

▲どれも30~40センチほど。かわいいにも程がある。

 

モスカルディさんいわく

「60年前くらいのサンプルだね。

今はもうこんな職人はいないから・・・」とのこと。

 

着色もされていない木地からは

彫った職人の息遣いや視線のリアルさと、

だけどその職人はもうこの世にいないという

寂しさと不安が感じられるのでした。

 

 

分かっているからきっと 5月24日

 

読んでいる本の

登場人物のセリフで

「期待しない。

期待すると自分が壊れてしまうから。」

とか

「焦らないで。」とか

 

糸井重里さんの言う

「落ち着け」とか

 

時計の針がちくたく進む音が

頭の中に響くような毎日の中で

こうして目に飛び込んでくる言葉は

「自分にいま必要な言葉」

「無意識に求めている言葉」

なんだろうな、と思っています。

 

 

ヨーロッパやアメリカでは

着々と再開が準備されて

イタリアのラジオからは

ヴァカンス旅行の広告が流れて

じゃあわたしたちは?

と考え込んでしまう。

 

期待しないで焦らないで落ち着いて。

それともうひとつあるとすれば

「でも希望は失わないで」です。

 

 

ムスカ大佐化する夜 5月20日

 

グスターヴォ額縁は

いい加減に呼び名を変えなければ・・・

箔を貼り、メノウで磨きました。

 

なんと言いましょうか、

箔作業って一投入魂!という

集中力もをもって作業しますので

はたと気づいた時には

箔貼り中の写真を撮ることも

忘れておりました・・・。

 

まだ箔の繕いがありますけれど

とりあえず、磨き上げまして

一息ついたところでございます。

 

▲四辺中央の平坦な部分には

 箔を2枚重ねで貼りました。

 重厚感が加わります。

 

そして、四隅の彫刻部分には

点の刻印が入るのです。

▲点をひとつひとつ打ちます。

 とんとんとん・・・こつこつこつ

 永遠に終わらない気がする作業

 

いやはや本当に、純金の輝きは

目によろしくありません。

相変わらずムスカ大佐風に

「目が、目がぁぁ~!」と叫びつつ

夕刻には無事に打ち終えました。

 

 

花は小さくとも 5月17日

 

ことし初のバラが咲きました。

手入れもほとんどされずに

けなげに植木鉢で生きているバラは

花がとても小さいけれど

薫り高いのです。

数日後にはもううつむいてきていたので

切り花にして近くに置くことにしました。

記念写真を撮りましょう。

左向きが良い?

それとも右向き?

はい、右に向きたいですね。

ではブロマイドを。

まだ蕾がいくつか枝にあります。

この切り花とお別れしても

また会えるでしょう。

 

Firenze 2020-18 5月13日

 

久しぶりですが

相変わらずのペースで

2020年2月のフィレンツェ滞在記を

ご紹介させてください。

 

わたしが留学していたころ、

ヴェッキオ橋とサンタ・トリニタ橋のあいだ

アルノ川沿いアッチャイウオーリ通りに

それはそれは美しくて高級な額縁店が

あったのでした。

 

2011年に行ったとき、たしかにありました。

あいにく営業時間外だったので

外から見ただけだったのですが。

2011年滞在記:モスカルディ

 

▲こんな繊細な額縁を作るお店でした。2011年撮影

 

だけど2018年に何往復もしたけれど見つからず

お店の名前も忘れてしまっていて

結局「あのお店はもうないんだ」と

ショックと寂しさを受けてあきらめました。

 

それが今回、パオラと偶然に

そのお店の話になって

「ああ、モスカルディでしょ。

川沿いのお店は売って引っ越したのよ」

とのこと。

そして後日に知人と話していたら

「ああ、モスカルディなら

ちょうど行く予定だから一緒に行く?」

と言うではありませんか!

 

いつものように鼻息荒く付いていくことに。

だけど新しいお店は以前とすっかり

様変わりしていたのでした。

 

つづく・・・

Cornici Moscardi

 

 

気が抜けた~ 5月10日

 

4月末に大きな仕事が終わって

どっと気が抜けたゴールデンウィーク

だったのですが、

せっかく心身に余裕ができたのだから

自分の作業も進めよう、と思って

石膏を磨いて放置していた

グスターヴォ額縁の

2020年2月にフィレンツェで

木彫師グスターヴォさんに

教わりながら作ったので

こんな呼び名になってしまった・・・

作業を再開いたしました。

作業部屋の冷蔵庫には

いつもニカワや石膏液は

準備してありますので

黄色ボーロと赤色ボーロを

湯煎した魚ニカワでちゃちゃちゃと

溶きまして、ベベベと塗りました。

今回は黄色も赤も厚めです。

クラシカルで重厚な雰囲気に

仕上げる予定でおります!

 

 

それは君が考える必要ないよ 5月06日

 

またしても小箱の話・・・

なのですけれど

「ああ、そうだなぁ」と

つくづく思ったことの話。

 

小箱を作りはじめたころ

昔から額縁でお世話になっている方に

「いまこんなものを作っております・・・」

と相談に乗って頂いたことがあります。

とはいえ、仕事ついでに気軽に

「見てみて~ちょっとかわいいでしょ」

なんて感じでもあったのですが。

 

▲小箱の内側には布を貼っています。

大切なものを入れてもできるだけ安全なように。

 

この小箱たちを売り出すにあたって

形もサイズもさまざまだけど

いったい何を入れるために売るか?

どうやって買っていただく??

おすすめの使い方はあるかな???

・・・と考えていたのですが

その方いわく

「入れるものを君が考える必要はないよ。

買った人が入れたいものを入れるのだから。

思いもよらない素敵な使い方をする人が

いるはずだよ。」

 

目からうろこが落ちました。

そりゃそうだ。

空の箱を売るのですから

入れる物を指定する必要は全くない。

 

▲こんな長細い小箱ですが

なにか素敵なものを入れていただきたいのです。

 

とかく視野が狭くなるわたしです。

この頂いたひとことで、なんだか

こころがぽわ~んと軽くなりました。

 

 

ブラックレター装飾 5月03日

 

装飾に文字を入れるのが大好きなのは

もうずっと昔から変わりません。

それも、ゴシック体が好きです。

日本のフォント・ゴシックもありますが

「ブラックレター」の方を指しています。

ラテン語の慣用句などを探し出して

小箱に描きこんでいます。

身近な言語だと文章の意味を強調しすぎて

意味深な小箱になってしまうのですが

ラテン語ですと、パッと目に入っても

ひとまず文字装飾に見えますし

中世の雰囲気が好きなので

ラテン語を選んでおります。

(でもこれはわたしの感覚です。

分かる方が見れば意味深かも・・・)

今回の小箱、なかなか好きな感じに

仕上がりつつあります。

小箱作り、つくづく楽しいです。

 

 

楽しい迷走 4月29日

 

あいかわらず小箱は作っております。

 

デザインやイメージは大まかに決めて

作りはじめるのですけれど

具体的になってくると途中で

「なにか違う」になって

その都度デザインを変更したりします。

鉛筆で模様を書き入れてみたりして。

▲格子模様をパスティリアで入れたけれど

釈然としなくて模様を試してみた図。

 

ご注文品ではないからこその迷走。

成り行き任せと言いましょうか。

でも思いがけない楽しい結果に

なることもあるのです。

おや、失敗か?と思っていても

案外と気に入ってくださる方もいたり。

楽しみつつ迷走しております。

 

 

大切な「よしはる彫刻刀」 4月26日

 

石膏を塗り終わり、乾いたら

石膏の凹凸を整えるために

紙やすりで磨くのですが、

今回のような彫りが細かい場合は

彫刻刀などで再度彫り起こすこともあります。

リカットと呼ばれる作業です。

▲こちらまだ石膏を塗っております。

 

特にこの額縁、オリジナルは

17世紀ヴェネト地方(ヴェネチアがある場所)

で作られたのですが、それはそれは

キリリとシャープなラインなのです。

デザインが曲線と花々でロマンチックですが

シャープなラインで引き締まっていて

それを再現したいのでございます。

上の写真、リカットに使っているのは

小学校時代に図工で使った学童用彫刻刀。

物持ちが良いにも程がありますな。

裏側にはマジックでデカデカと

名前が書きこまれております。

おそらく4年生で買ってもらったのでしょう。

 

石膏を削ると彫刻刀が傷むので

リカットには専用の彫刻刀が便利です。

学童用ですので切れすぎず丈夫ですから。

 

思えばこの「よしはる彫刻刀」で

ずいぶんいろんなものを作りました。

図工では自分の肖像浮彫りや木版画、

中学生になってからは消しゴムはんこ、

高校の美術クラブでは壁掛け木彫時計・・・

そして今も現役なのですもの

わたしの長い長い仲間です。

 

ネット検索してみたら、この「よしはる」は

いまも同じデザインで販売されていました。

ただ箱は紙からプラスチックに変更。

この部分に時の流れを感じました・・・。

 

 

ワックス実験悲喜こもごも 4月22日

 

ずいぶん前、2017年に

完成させました彫刻の額縁

市が尾のAtelier LAPIS に飾らせて頂いたり

サンプルとして手元に置いていましたが

どうも・・・なんだか気に入らない。

4年経って感覚や好みが変わったのかも

しれません。

▲以前の状態。汚しが不自然なのです。

 

気に入らないなら変えてしまえば良いじゃない?

なにせ自分で作って自分で持っている

額縁なのですから、遠慮は必要ありません。

 

まずはスチールウールで磨ります。

同時に以前に付けた古色のワックスや

パウダーも取り除いてしまいましょう。

 

そして改めて褐色のワックスを塗ります。

このワックスは最近手に入れたもので

今までのワックスと少し違います。

今までは留学時代に教わったレシピで

調合していたワックスなのですが

今回の新しいワックスは市販品。

実験もかねて使ってみることにしました。

▲黄色味が抑えられ、濡れた感じ。

 

ふうむ。

今までより褐色が強いイメージです。

そしてなんだか・・・日本の他工房の製品の

色とツヤに似ているような?

言ってしまうと「日本製っぽい」ような。

 

以前に「KANESEIの金は色が軽い」と

言われたことがあるのです。

他製品より黄色味が勝っていて重厚感が無いと。

いろいろと謎が解明されてきました。

 

今までの自作ワックスも

今回の市販ワックスも

一長一短あるのです。

まだ調整が必要だけれど

使い分けることができそう。

手持ちの札が増えましたよ・・・フフフ。

 

 

黄色いお花のお家 4月19日

 

わたしの記憶によりますと

モッコウバラの満開時(東京)は

5月の大型連休ごろなのですが

今年2021は4月18日現在すでに

満開~終わりに差し掛かっています。

思えば昨年2020年も「今年は

満開が早い」と書いておりました

そんな昨年よりさらに早い今年

どうしちゃったのでしょうね。

桜も早ければモッコウバラも早い。

いつもモッコウバラが咲くころは

わたしの額縁作業がなぜか

一年で一番忙しいことが多いのですが

今年は「命がけ」(大袈裟ですが)な

最終局面を迎えて、我ながら

寝ても覚めてもその額縁ばかり

考えている状態になっています。

 

納品は間近、制作は順調ですし

こうした場面も人生には必要ですから

いっそのこと楽しんでしまえ!

(実際は難しくとも)と

張りきって咲き乱れるモッコウバラに

今年も励まされております。

作業部屋の側壁に植えてあるので

道行く親子の会話が聞こえます。

「わー、今年も綺麗ね~」とお母さん

「きいろいおはなのおうちだ!」と

幼稚園くらいの子供の声。

たまらなく嬉しく、和みました。

 

どうにもこうにも。 4月15日

 

先日に外側に木枠を取り付けて

縁彫刻をしていた額縁ですが

まぁ・・・こんな感じで。

思ったようにはなかなかいきませんが

目の前に「ドツボ」(いつまでたっても

終えられない心境)が見えてきたので

これはこれとして、次に進みます。

 

 

グスターヴォさんとの会話中の

メモ書きが木地に残っています。

「stracantone」三角刀

「tiglio」シナノキ

「spigolo」エッジ、縁

 

この3つの言葉、留学中には

知っていたはずなのに、もうすっかり

頭の中から消えていたのでした。

石膏を塗ると消えてしまう。

もう2度と忘れないように。

 

 

コンスタブル展と額縁の謎 4月12日

 

三菱一号館美術館で開催中の展覧会

「コンスタブル展」に行きました。

なんと・・・展覧会は1年以上ぶり。

我ながら信じられませんけれども。

 

さて。

この展覧会ではもちろん19世紀イギリスの

美しい風景を描いたコンスタブル作品を

ぼんや~り観て心を洗うのが目的ですが

実はもうひとつ。

額縁にある謎があって、実物が見たかったのです。

▲最後の部屋にあった撮影可の作品

「虹が立つハムステッド・ヒース」

1836年 カンヴァス テート美術館所蔵

 

この額縁はおそらく19世紀のオリジナル。

上部をご覧ください。

スライド式の仕組みと突起があります。

これは一体なんだ・・・?

▲本展では厚い無反射ガラスが入っていました。

 

先日、京都の「ガクブチのヤマモト」さんの

インスタグラムにこの謎があったのです。

山本さんが「これは一体なんだ??」と。

その後、わたしもどうしても気になって

イタリアの額縁史先生に尋ねました。

先生がさらにロンドンのナショナルギャラリー

額縁部門の方に問い合わせてくださり

とうとう謎が解けたのでした。

「額縁の表からガラスを出し入れできる仕組み」

なのですって。

当時のロンドンは産業革命真っ只中で

大気汚染もひどかったとか。

(おそらく石炭の煤でしょうか)

ヨーロッパでは今も昔も一般的には

油彩額縁にガラスは入れないのですけれど

当時は室内に飾る油彩画も煤で汚れるほど

大気汚染がひどかったから、だそうです。

 

なるほど・・・。理由は分かりました。

だけど、具体的にどのような仕組みで??

実物を見ましたけれど、その仕組みは

想像するしかありません。

ガラスのサイズはおそらく、

左右は額縁窓と同寸法で、上下の寸法が

5~10mm程度大きいのではないでしょうか。

で、下のカカリ内側にサンがあって

ガラスを表から差し込んで、

上の金具をスライドさせて留める、と。

そんな風に想像します。

突起は引っ張る取っ手なのか、

はたまた押してガラスを動かすのか

これは謎なままです。

 

▲展覧会見学後に外に出ましたら

コンスタブル的な空と雲が。

 

いつか実際にガラスの出し入れを

しているところを見学したい。

額縁の仕組みをじっくり見たい。

などと夢見ています。

いつかきっと実現したいです。

 

テート美術館所蔵 コンスタブル展

三菱一号館美術館 5月30日まで

 

花を見て思う 4月08日

 

あっという間に咲いた桜は、やっぱり

あっという間に散って

もうつつじが満開になっていたりして。

庭のライラックを摘んで生けたら

部屋が日差しで暖かすぎたのか

これもあっという間にしおれました。

 

 

なんだか・・・早すぎる!と思うも

コロナ禍は一向に終わる様子もなくて

じりじりと焦げそうな気持になります。

 

早く去ってほしいものは去らず

待ってほしいものは待ってくれない。

ままなりませんね。

 

 

・・・などと愚痴を言っていても

わたしの時間は待ってくれないのでした。

 

するべきこと、できることをするのみ

でございますね。

 

 

シリーズ「豆」 4月05日

 

小箱といっても形さまざまに

作っておりますけれど

その中でも特に小さな箱

豆のような小箱があります。

「豆」シリーズでございます。

 

 

左上から時計回りに

・パスティリア(石膏盛り上げ)に

 ホワイトゴールド箔の水押し

 メノウ磨き

・パスティリア(石膏盛り上げ)に

 純金箔の水押し、メノウ磨き

・純金箔水押しにアクリル彩色

 イニシャルKモノグラム

・イタリアのオーナメント

 アクリル彩色、古色仕上げ

・イタリアのアンティークから型取り

 オーナメント、アクリル彩色

・イタリアのオーナメント

 アクリル彩色、古色仕上げ

 

 

サイズは

外側:35×35×23mm(オーナメント含まず)

内側:22×20×15mm

指輪なら斜めに入る感じです。

 

いかがでしょうか。

なにかに使っていただけますか?

 

「works」ページ内「other」にアップいたしました。

ページ内下部です。スクロールしてください。

どうぞご覧下さい。

 

 

Firenze 2020-17 4月01日

 

フィレンツェには大小沢山の

公立・私立の美術館があって

まだまだ知らない行ったことのない

美術館・博物館があるのですけれど

結局いつも決まったお気に入りの

美術館にばかり行っているようです。

 

せっかくなのにもったいない?

すぐに来られる場所ではないから

他のところも見てみよう・・・と

出発前には思うのですけれど

同じ美術館の同じ展示品でも

その時々の天気や自分の気持ちで

印象が変わるものですから

やっぱり2度3度と通うのです。

 

さて、そんな訳でして今回も

大好きなホーン美術館へ行きました。

2018年のホーン美術館訪問はこちら

この美術館はわりと大きな交差点にあって

車やバスが行きかうのですが

中庭は驚くほど静かです。

 

▲真っ青な空が中庭から見上げられる。

 

▲その足元は雨上がりの水に映る空

 

▲フィレンツェ独特のオフホワイトと

グレーの組み合わせ。

このシンプルな美しさはローマのバロックを

観た後はますます心に沁みます。

 

まずジョットの「聖ステパノ」に会います。

相変わらず爽やかで素敵な笑顔です。

▲画集などでは見られない角度で観察。

 

▲うろ覚えの記憶では、たしかこの

青緑色のボーロの色が特殊で、

ジョット作品と認定できたと書いてあった。

・・・だったような。記憶力が無さすぎです。

 

2階のちいさな道具の部屋へ。

▲階段踊り場から中庭の装飾壁が見られる。

右にはテラコッタで作った雨どいが。

フィレンツェの屋根瓦や床タイルとおなじテラコッタです。

ちなみにテラコッタとはイタリア語で terra-cotta

「焼いた土」の意です。

 

この時ちょうど美術館学芸員さんの

無料ガイドツアーが行われており

飛び入り参加させてくださいました。

前回からの謎、この美しい道具は何ですか?

答えはなんと、金箔を磨く道具。

つまりわたしが今も使っているメノウ棒と

同様に使われていた物なのです。

(解説によると写本用だとか。)

なんとまぁ。象牙でできた磨き道具。

美しいにも程があるではありませんか。

・・・ほ、ほしい!

こんな美しい道具を作ったのはどんな人?

これを使ったのはどんな細密画家?

そしてそれはどんな写本??

その写本はいまどこに???

想像に想像が重なって

ますますこの道具に引き込まれるのでした。

 

これだから「好きな美術館通い」は

止められないのでございます。

幸せな時間でした。

 

 

完成に向けて準備しよう 3月29日

 

このブログで2020 Firenze として

昨年のフィレンツェ滞在記を

話し続けておりますが、

あの旅は額縁彫刻修行でした。

グスターヴォさんの工房に通い

必死で作った額縁は

ひとまず彫刻を完成させて帰国しました。

 

ですが、じつはまだ外側に一周

縁彫刻があるのです。

作業の合間に完成させましょう!

 

▲持ち帰った彫刻木地と参考にした本の写真

 

いつもいつもお世話になっている

千洲額縁さんにお願いして

ジェロトンの細い棹を送って頂き、

外周に取り付けました。

▲ボンドで貼り付けてから彫ります。

 

上の写真、金属の輪(というかC字型)

で固定していますが

この金具もグスターヴォさんから

お土産で分けていただきました。

バネの利いたC をぐいっと開いて

はめると思いの外しっかり固定します。

▲C をあてた部分には小さな穴ができるけれど・・・

 

留学先の修復学校でも使っており

日本で探したのですが見つかりません。

それもそのはず、職人さんが自作するとか。

古いベッドのスプリングなのですって。

これまたアイディアですね。

 

 

やっぱり似て非なる 3月25日

 

同じサイズ、同じデザインで

装飾技法を変えた小箱を

作ってみました。

 

グラッフィート装飾と

純金箔の上に卵黄テンペラを塗り

模様に沿って絵具を掻き落とし

下の金箔を見せる方法

パスティリア装飾です。

石膏盛り上げ。ボローニャ石膏地に

ボローニャ石膏液を垂らし描きして

レリーフ状も模様を作る方法

左のパスティリアには

錫箔を貼りました。

同じサイズの小箱だけど

錫のほうが大きく見えるような。

面白い。

 

似て非なるふたつです。

兄弟というか、いとこくらい?

 

春っぽく 3月22日

 

バラの絵のための額縁が完成しました。

 

ピンク色のバラ2輪が大きく描かれた

F3号の油彩作品のために作りました。

純金とクリーム色、装飾部分は

少しトーンを落としたベージュです。

 

 

艶消しにしたので穏やかな雰囲気。

春っぽいな、と思っています。

いかがでしょうか。

 

「works」内「classical」にこちらの額縁をアップいたしました。

どうぞご覧下さい。

 

 

Firenze 2020-16 3月18日

 

朝一番で乗り込んだピッティ宮殿の

パラティーナ美術館ですが

日曜日なのになんと休館!

受付の女性に

「今日だけ休みなのよ~残念ね」と

慰められてしまい・・・さて。

せっかくなのでピッティ宮殿のお庭

ボーボリ庭園へ参りましょう。

 

なにせ日曜の朝一番でしたので

わたしひとりの貸し切り状態。

聞こえるのは鳥の声と風の音、

そして砂利道を歩く自分の足音のみ。

それはそれは素晴らしい朝でした。

 

▲人っ子一人おらず、現実離れした雰囲気で

ついうっかりメディチの奥様気分になってしまう。

この庭はわたくしのもの。ホホホ・・・

 

▲けっこうな山坂がある庭園なのです。

 

▲ロマンチックな小道の先にある建物。

こんなところに住んでみたい。

 

▲本当に誰もいない。ちょっと不安になるくらい。

 

▲かの有名な(?)ヴァザーリの回廊の終着点。

 

▲「TI AMO」(あなたを愛している)

こんな落書きは世界共通ですな。

 

▲丘の上には素敵な建物。

以前はカフェテラスだったけれど今は閉まっていて残念。

 

▲そして振り返ると街が一望できる。

 

今年2021年のいま、トスカーナ州は

コロナの感染状況による措置により

オレンジゾーン(部分的にレッド)

半ロックダウン状態だそうで、

美術館、博物館などは閉鎖されているとか。

この春の一番美しいときに

誰も訪れることのないボーボリ庭園は、

きっと2020年2月におわりに

わたしが行ったときとおなじように

朝だけではなくて午後も夕日の時間もずっと

鳥のさえずりと木々を揺らす風の音だけが

響いているのだろうなぁ、と

寂しく美しい様子を想像しています。

 

つぎにイタリアへ行けるとき、

どんな季節であっても

(寒風でも真夏のカンカン照りでも)

また人がいない朝一番で乗り込んで

ボーボリを鳥といっしょに

ひとり占めするのだ!

だってきっとわたしだけではなくて

ボーボリの森に帰りたがっている人は

沢山いるはずですから!

・・・と、今から作戦を練っております。

 

うう~、イタリアに行きたい。

 

額縁の作り方 33 錫箔を貼る 比べると 3月15日

 

先日お話しました錫箔ですが

とても使いやすい箔でした。

 

銀箔ともホワイトゴールドとも

ちがう深い色です。

比較してみました。

上の写真は左が今回作った錫箔箱

右はホワイトゴールド箔の箱です。

ホワイトゴールドとは、金に

パラジウムや銀などを混ぜた合金だそうです。

 

ホワイトゴールドは反射が白く

繊細で華やかな輝きな印象、

錫は輝きは少ないけれど

暗い色で重厚感がある。

錫はよりひんやりしています。

同じようで全く違う箔の色です。

 

海外の額縁工房では

銀箔ではなくホワイトゴールド箔を

使うことが多いようです。

錆びないからでしょうかね、やはり。

ちなみにイタリアの額縁史の先生に

伝統的に錫箔をに使うことはないのか

聞いてみましたが

「無い。金箔か銀箔のみ。」

とのお答でした。

錫は古くからある金属ですのに

なぜ使われなかったのでしょうね。

 

いろいろ比較して楽しみました。

ほかの箔も試してみたい!