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ふたご。 2月15日

 

2016年に作った帆立貝のタベルナーコロ

Atelier LAPIS の筒井先生と生徒さんが

キットで販売して下さったものを制作しました。

その後、お客様からのご注文も頂いて

先日またひとつ完成しました。

古色考察のさいにもご覧に入れた額縁、

左が新しいもの、右が2016年のものです。


 

ふたご。

最近の熱中案件「古色付け」は

以前のものより磨り出しや打ち傷作りは

控えめにして、汚しも減らしました。

ワックスもすこし変えました。

メディチ家はまだまだ遠いけれど・・・

グレーのベールがかかったような金箔

すこし近づけたような。

いかがでしょうか。


▲こちら、新作でございます。

 

▲この2016年の仕上がりの方が好きとの意見が多い・・・

 

とにもかくにも、

この額縁、何度つくってもたのしいです。

先日ひとつご注文いただきましたので

また楽しく制作しております。むふふ。

古色はお客様のお好みで決める予定です。

 

 

美しい道具を使いたい 2 2月13日

 

先日ご覧いただいた彫刻用の木槌

じつは2本作ってもらったのでした。

重いのと軽いの。使い分けができます。

その重い方に金箔を貼ってみました。

祭壇型額縁の作業中ですが、ちょっと遊び。

 

ひとまず金箔を磨いただけですけれど。

わー、かわいーい。

もう完全に自己満足の世界でございます。

ムダな装飾? 

いえいえ、そんなことはありません。


古典技法の額縁制作もそうですが

木彫にもさまざまな道具が使われます。

日々使う道具ですので、徐々に手になじんで

自分の分身のような、手の延長のような

大切なものになっていきます。

 

そんな道具は、できれば美しいものが好ましい。

美しい道具を使えば美しいものが出来る

とは言えません!・・・けれど

美しい道具を手に取った時に感じる

ふとした穏やかで気持ちの良い心が

わたしの手を通して作るものに反映されたら、

と思います。

 

道具もまた美しくあるべき

 

 

祭壇型額縁をつくる8 金箔を置く 2月11日

 

イタリア留学から帰国してすぐ、

日本の額縁制作に携わる方々をお話をしたとき

金箔を貼ることを「箔を置く」と

仰っていたのに驚いたことを思い出します。

ほかの業界でなんと言うか不勉強ですが

絵画の世界では、箔は貼ると言うような。

 

とにもかくにも、祭壇型額縁に「箔置き」です。

 

不規則な形の額縁ですが、作業開始は

いつもの通りに一番高い場所からです。

というわけで、屋根部分から置き始め。

 

egg&dart の彫刻部分や柱のみぞ

そして四角の連なり模様(tooth)には

箔を入れるのが面倒です。

おおきくバーンと置いてから細かく繕うか

小さな箔を形に合せてチマチマと置きすすめるか。

今回、上のegg&dart とtooth にはバーンと置き、

下のegg&dart は小さな箔を置くパターンで

ためしに作業しましたが、好みもあるでしょうけれど

egg&dart には小さな箔をチマチマと

tooth にはバーンと置いて程よく繕う、が良さそう。

ここでもやはり赤ボーロと黄ボーロの

塗り分けが効いてくるのです。

 

こまかい凹凸に箔を入れるには

水の塗り方にコツがあります。

下の写真、まず手前とみぞの中央まで

ひたひたに水を置きます。

みぞ内の向こう側面には塗りません。

 

そして箔を置きます。

すると水に引っ張られるようにして

箔がするするとみぞの中にすべり入ります。

 

みぞの向こう側の棚部分に水を流し込んだら

これで完了です。

この方法ですと、いま置いた部分の水が

ひいて乾いてからでないと

隣のみぞの作業はできません。

 

なかなか面倒な作業ですし

この方法がお勧めという訳でもありません。

いろいろ試して自分に合う方法を

見付けるのが良いようです。

急がば回れ、でございましょう。

 

 

手のひらサイズの小さい絵展 吉祥寺にて 2月09日

 

昨年暮の池袋東武百貨店につづきまして

2月後半に東急吉祥寺店でも

「手のひらサイズの小さい絵展」が

開催されます。

ギルランダイオの少女像模写

そしてクリヴェッリの花の模写

2点を出品いたします。

お近くにお出かけがありましたら

どうぞお立ち寄りくださいますよう

お願いいたします。

東急百貨店 吉祥寺店

 

 

祭壇型額縁をつくる7 ボーロを塗る 2月07日

 

ようやく磨き終えた石膏地に

ボーロ(箔下とのこ)を塗ります。

 

ボーロはとても大切な下地剤です。

これが塗ってあるからこそ箔を水で置ける(貼れる)

そしてメノウで磨けるのですから

古典技法では欠かせません。

 

魚ニカワ1枚を前日の夜に250㏄の水に入れておき

ふやかしたものを翌朝に湯煎でとかします。

この魚ニカワでボーロを溶きます。

 

さて、まず彫刻、つまり凹凸のある部分に

黄色ボーロを塗りましょう。


そして彫刻の凸部分とその他の平らな部分にのみ

赤ボーロを塗ります。

ボーロ層が厚いと金をメノウで磨いた後の

輝きが増しますがコッテリした仕上がりに、

薄いと箔が着きにくいけれどスッキリした

仕上がりになります。

今回は厚めと薄めと塗り分けています。


濡れ色が消えて乾くまで待ちます。

 

なぜ凹部分には黄色ボーロしか塗らないのか?


金箔が貼りにくい凹に金箔と近い色を塗っておけば

金箔を貼りきれなくても目立ちづらい・・・

との理由で、伝統的にこんな風になっています。

そうは言ってもわたしは、金箔の貼り残しは

できる限り繕って仕上げるつもりです。

 

乾かす間にランチにしましょう。

1時間後、すっかり乾いたら金箔を置きます。

気持ち新たに大仕事に取りかかりますぞ!

 

 

桃。 2月04日

 

この早春に仲間入りしましたのは

ピンクのヒヤシンス、満開です。


今回はピンクにしましたが眩しい派手さ。

とても良い香りを放っています。

陽が当たるけれど寒い玄関において

なるべく長く花を咲かせてほしいと思います。

 

初年に手に入れたヒヤシンス青はデルフトブルー、

次の白はパールホワイトと名前がありましたが

今回の鉢に刺さっていたプレートには

ひとこと「桃」。

そうですか、桃ですか、桃色なのですね。

ピーチピンクなどと名乗られるより

いっそ潔くて好感がもてます。

「桃色」ってそういえば最近はすっかり

日常で使わなくなりましたね。

 

名付けて「桃色三姉妹」です。

(名付けずにはおられませんので!)

庭のヒヤ子(青)とそのクローン2つ、

そして真珠三姉妹(白)も無事に発芽して

いそいそと花芽を伸ばしておりますぞ。

その成長ぶりも近々ご紹介いたします。

 

 

サンソヴィーノチャレンジ つづき④ 1月31日

 

もうお忘れかと思いますが、

サンソヴィーノ額縁の制作は 続いております。

「いい加減に終わらせなさい!」との

お声が聞こえてくるようですので

そして今年のKANESEIスローガン

「スピードアップ」に則りまして

迅速に完成させる意気込みでございます。

 

という訳でして、ようやく金箔です。

この額縁は彫刻が入り組んでいますし

箔は部分的に置きますので 面倒な様に感じますが、

箔部分は平らな面が多く帯状ですから

唸らずに箔置きが出来ます。

次回は箔をメノウで磨きあげた

ピカピカの金をご覧にいれます!

完成まであと少しでございます・・・。

 

 

Firenze 2018 tempo calma №4 1月28日

 

フィレンツェは以前にも増して

外国人の姿が増えていたように感じました。

アジアや南米の方々のグループ旅行、

アメリカの若い人たち(おそらく留学生)

EUの方々の個人旅行などなど。

そしてイタリア国内各地からのお客様も。

11月のフィレンツェはオフシーズンと思いきや

美術館も教会も朝から長蛇の列なのです。

それでも夏に比べればずっと短いとか。

▲サンタ・クローチェ教会入場の列。あともう少しなのですが

この日は時間切れで列から退散しました。

 

パオラ曰く、ユーロになってからイタリアは

景気が悪くなる一方とのことですが

こうして旅行者が大幅に増えて街は賑わい

若い人の仕事も増えたように感じたのでした。

古いお店が無くなった場所には今風のレストランや

バール、素敵な土産物店が立ち並んで、

暗くなると立ち寄りがたかった界隈が

オシャレスポットに様変わりして安全になっていたり

土日の夜まで開いているスーパーマーケットが

できていたり(これが一番驚いたけれど!)。

有名な教会はすべて入場料が必要になって、

その代りとてもきれいに整備・管理されて

働く人々も増えていた印象です。

 

そうそう、トラムができていましたし!

大学病院のあるカレッジ(わたし、ここで

親不知を抜いてもらいました・・・)や

もうすぐ空港もトラムでスイーッと

行けるようになるそうです。

 

わたしの思い出の「古き良きフィレンツェ」が

消えてしまった一抹の寂しさはあるものの、

8年ぶりに様変わりしていたフィレンツェは

さらに生き生きとした街になっていたようです。

 

 

道具には合わせて作られた道具がある。 1月24日

 

わたしが日々使っている彫刻刀は

スイスのpfeil社製のシリーズで、

木槌で打って使えるのが特徴です。

 

いままで日本の木槌(キヅチ)、

いわゆるカナヅチと同じ形状で木製のものを

使っていたのですが、ようやく

ヨーロッパで彫刻に使われている

縦型と言うのでしょうか、そんな

木槌を手に入れました。

 

下の写真は左が Atelier LAPIS にある

筒井先生が揃えてくださったpfeil社の木槌、

右は作ってもらったわたしの木槌です。

ずいぶん前からLAPISにあることは知っていました。

「へんな形、使い勝手はどうなんだろう」と

長い間眺めていたのですが、使ってみたら

まぁなんと便利なのでしょうか。

手元を見ずに打ってもきちんと当たるし

木槌の重心が軸の延長上にあるので

振るのが楽なのです。

さっそく「マイ木槌」をお願いしたのでした。

 

なるほどなぁ、ヨーロッパの彫刻刀には

ヨーロッパの木槌が合うのですなぁ。

そして日本の鑿(のみ)にはきっと日本の木槌で

打つのが一番良いようになっているのですね。

彫刻刀(鑿)のおしりの形状や重さそれぞれ

違いがありますから。

合うように作られて何百年も使われているのですから

当然といえば当然なのですけれど。

 

真新しい木槌、これから使い込んで

凹みや艶が出てきてくれるのが楽しみです。

 

 

古色再考 やっぱりそうだった 1月21日

 

ここのところお話しております古色、

つまりアンティーク風の仕上げについて

しつこく考えている・・・といいますか

ふとした時に思い出し続けています。

「もう古色話は飽きました」とおっしゃるのも

重々承知なのですけれども、あとすこし

おつきあいくださいませ。

 

メディチ家所蔵の豪華絢爛な額縁は

500年経っても壊れていないし汚れていない。

金はうつくしく磨き上げて完成されていて

いまもその状態が保たれています。

 

ずいぶん前から気になっていたことに

「古色仕上げは昔からあったのか」なのですが

今回フィレンツェの旅で改めて理解できた気がします。

ルネッサンス時代には金箔をほどこした額縁に

古色仕上げはあり得なかった、ということです。

蝋燭の灯る薄暗がりで輝かすために施す金を、

なぜわざわざ汚したり古く見せる必要がある??

 

▲同じデザインの額縁。左が金そのままの輝き、右が古色つき。

 輝きも色も全く違う。

 

古色仕上げの額縁が作られるようになったのは

せいぜいここ200年くらいなのかもしれません。

建築技術が高くなって窓の大きな家が出来て

室内がとても明るくなった。

教会だけでなく家で絵画を楽しむようになった。

蝋燭からランプ、電灯になって・・・

人々の生活も考え方も好みも、幅が広がった。

そうして額縁装飾の幅も広がった、

ということなのではないでしょうか。

 

そうそう、

かすかにグレーのベールがかかったような

古い金箔の輝きを再現する方法、

ひとつの案を思い浮かべています。

近々にも試してみなければ。

乞うご期待!でございます。

 

 

祭壇型額縁をつくる6 ボローニャ石膏みがき 1月17日

 

ボローニャ石膏を塗り終え

しっかり乾燥させたら、次の作業

石膏を紙やすりで磨きます。

 

これはもう、ひたすらがんばるしかありません。

コツと言えるほどではありませんけれど、

あらゆる方向から確認して

磨き残しを作らないこと、

そのためにランプで斜めの光を当ててみること、

紙やすりは使いやすい物を準備して

ケチらず使うこと。

スクレーパーや金ヤスリ、当て木など

臨機応変に使い分けること。

マスクと髪をおおう物、場合によっては

ゴム手袋なども使って身体を守ること。

 

石膏磨きは古典技法額縁制作で

いちばんハードな作業ですけれども

おろそかにすると必ず後悔します。

「終わりが無い石膏磨きは無い。」

「続ければ終わりは来る。」

と思ってがんばる。

それに尽きます。

 

 

額縁の本 「CORNICI DEI MEDICI la fantasia barocca al servizio del potere」 1月14日

 

この本は先日「古色再考 つづき」で

お話したときに参考にした本です。

メディチ家所蔵の額縁を紹介しています。

現在ピッティ宮殿内にある銀器博物館の一室が

「Sala delle Cornici」(額縁室)

として一般公開されており、その所蔵品が

メインに取り上げられているようです。

 

1500年代初め、コジモ1世からはじまり

1700年代初頭フェルディナンド3世の時代までを

紹介しつつ、額縁と額装されている作品も

同時に見ることができます。

▲ラファエロの女性の肖像。絵は本やネット上で

 何度も観ているけれど額縁を見る機会は少ない。

 

額装された状態と空っぽの額縁。

並べてみると、なるほどなるほど。

▲古い額縁の金の輝きは薄いグレーに感じる。

 

額縁だけ見ると彫刻も全面の金箔も

装飾過多で強烈すぎるように感じても、

作品--大抵は人物画――を額装された

状態でみればすんなりと見られるのです。

美術館などで見慣れている

という理由もあると思いますけれど、

やはり額縁は作品を入れてこそなのだと納得します。

額縁は面白いです。

 

この本を買った古書店が栞を入れてくれました。

8€の割引して頂いた記録も一緒に。

思い出です。

 

「CORNICI DEI MEDICI la fantasia baroccaal servizio del potere」

Marilena Mosco

Mauro Pagliai Editore

2007年発行

 

 

Firenze 2018 tempo calma №3 1月10日

 

フィレンツェの下町にあるパオラの額縁工房は

なんと言いましょうか、片付いていません。

サンプルとして展示されている額縁は

ちょっと傾いていたりするし、

床もカウンターもなにやら物だらけです。

ホコリを被った彫刻サンプルが転がっていたり、

制作途中の木地と書類が一緒に山積みだったり。

それなのに額縁と関係ない物は

一切置いていない不思議。

 

パオラ曰く

「この雰囲気に誘われてお客さんが来るのよ。

窓から眺めて、作業している様子がある方が

通りかかった人も入りやすいからね。

キッチリ片付いているとちょっと堅苦しくて

なかなか入りづらいでしょ。」

とのこと。

なるほど、毎日のお客さんの出入りの様子から

一理あるようです。

まぁ片付けが苦手というのも本当みたいだけど!

パオラのお喋りで親切、暖かな人柄が

お店の雰囲気に表れているのだと思っています。

 

 

古色再考 つづき 1月07日

 

フィレンツェの古書店をめぐって

手に入れた本、1500~1600年代のイタリアの

額縁を集めた額縁本をぱらぱらと眺めていました。

この本はメディチ家所蔵だった額縁を集めていますから

とにかく豪華絢爛、当時の最高の技術と材料で

作られた額縁ばかりが掲載されています。

 

はたと気づきました。

「思ったよりずっとキレイ。」

(ああ、どうか「いまさら?」とは

おっしゃらないでください!)

 

すこしの擦れと、たまに虫食いの小さな穴

木地の接合部分に割れや小さな欠けはあるけれど

金箔はどこまでも、隅々まで美しい。

凹みに汚れがたまっていることもありません。

しいて言えば、金箔の磨いたばかりの輝きに

かすかにグレーのベールがかかったような

印象に「感じる」程度です。

もしかして、修復時に箔を前面貼り直した?

それなら恐らく本に記載されると思いますし・・・

 

 

完成したときから管理・保存され続けたら

500年が過ぎても汚れないし擦れないし、

壊れないのです。

わたしはなにか勘違いしていたかもしれません。

 

この「かすかなグレーのベールがかかったような」

金箔の色味と艶――カサッとしていて

艶消しではないけれどギラギラではない、

反射の色が違う――を再現したい。

どうしたらいいだろう。

わたしが作る額縁とメディチ家所蔵の額縁を

比べて考えるのも図々しい話ではありますが

ここはやはり、理想は高く持ちたいものです。

 

パオラとマッシモの古色とも違う。

「古色付け」とひと言で言い表せないような

微妙で繊細な世界です。

立ち入るのが怖いような、でも立ち入らずにはおられない

そんな気分です。

 

 

荒々しく誓います 1月03日

 

あけましておめでとうございます。

 

とうとうまた新しい年がはじまりました。

ことし1年はどのように過ごすご予定ですか。


2018年末からの体調不良で

我が家の定例行事である鎌倉詣もできず

鼻詰りでボンヤリと作ったお節料理は

なんだか味が濃かったり薄かったり。

2019年のはじまりは釈然としませんが

この不調が2019年の厄落としということにして

シャキッと復活を誓う元旦でございます。

 

今年のお雑煮は奮発して鴨出汁です。

丸餅に輪切り大根、細切りのごぼうと人参

亀甲の里芋と小松菜はいつも通りですが

鴨出汁は濃厚で滋味あふれました。

 

2019年、皆さまに佳き年となりますよう。

KANESEIにも佳き年となりますよう

鼻息も荒々しく、がんばります!

 

 

あけましておめでとうございます 1月01日

 

旧年中はありがとうございました。

新春を迎え皆様のご多幸をお祈り申し上げますと共に

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

2019年 元旦 KANESEI

 

 

古色再考 12月31日

 

フィレンツェ留学時に修業させていただいた

パオラとマッシモのお店が作る額縁の

最大の特徴は古色付け、アンティーク風仕上げです。

フィレンツェには、数は減りましたが

伝統的技法--つまり古典技法――で

額縁を作る工房は今も沢山あります。

そのなかで競争し生き残ってきたパオラとマッシモ。

古色の美しさ、力強さはイタリアのみならず

海外からのお客様からも認められています。

 

わたしが彼等の作る額縁に惹かれたのも

その古色の美しさで、修業中にもさまざまに

技法を教わりました。

そして今もわたしは古色を付けた額縁を

好んで作っているのですが・・・

 

今回のフィレンツェ滞在でパオラから

改めて古色の付け方を教わり、また

彼女の作業を傍らで見つつ過ごしていました。

それで分かったこと。

今までわたしが日本で行ってきた古色付けとは

仕上がりの光と色味が違うのです。

 

汚しに使う材料が思っていたのと違ったこと、

(バリエーションがいろいろあるのです。)

そしてなにより技術の違いが大きいのでした。

今回のフィレンツェ滞在で得た収穫は

たくさんありますが、この「古色について」は

改めて大きな気づきでした。

 

 

擦ってたたいて汚すだけではない。

古色再考のチャンス、活かそうと思います。

 

これにて2018年のKANESEIブログ「diario」を

お終いにいたします。

ブログをご覧くださりありがとうございました。

また額縁や修復の仕事でお世話になりました皆さま

大変ありがとうございました。

来る年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 

2019年は諸々、心身ともにスピードアップを

めざす所存でございます。

 

 2018年12月31日 KANESEI

 

 

 

祭壇型額縁をつくる5 ボローニャ石膏塗り 12月27日

 

すこし間があきましたが、祭壇型額縁です。

 

下ニカワを塗り麻布を貼り込んだ木地に

今日は石膏を塗ります。

まずは石膏液つくりから開始しましょう。

 

前日の夜にふやかしておいた兎ニカワ

(ニカワ1:水10、いつも通り)を

湯煎で温めたらボローニャ石膏を入れます。

今回は300mLのニカワ液ですので

完成する石膏液は500mLほどでしょうか。


まだもう少し、水面ギリギリまでいれます。

石膏がニカワ液に沈んだら、しずかに漉して

石膏液は完成です。

 

麻布部分の石膏を塗るとき、

布目にしっかり石膏液が入っていないと

気泡の原因になります。

筆で塗るだけでなく、指で塗り込みますと

よりしっかり入っていきます。

石膏液はこまめに温め、蒸発した水分を足しながら

温度と濃度を管理します。

 

薄めに3層~4層塗り、今日はここまで。

渦巻き側面など麻布がまだ見えています。

 

いったん乾かして、麻布や彫刻部分の凹凸を

紙やすりを使って整えてからあと少し

2~3層の石膏を塗る予定です。

 

 

床いっぱいの暖かさで Buon Natale! 12月24日

 

メリークリスマス!

 

フィレンツェの老舗薬局

サンタ・マリア・ノヴェッラ薬局にあった

大きなクリスマスツリーです。

幹が見えないほど床いっぱいまで

こんもり茂らせて作られたモミの木は

やわらかく華やかな雰囲気で

お客様を迎えていたのでした。

 

寒波が来ているそうです。

皆さまもどうぞ暖かくして

穏やかなクリスマスをお過ごしください!

 

Firenze 2018 tempo calma №2 12月20日

 

今回の旅の目的は、額縁制作の修業先だった

工房へ行くことでした。

この工房はマッシモ氏とパオラさんご夫婦

ふたりで運営されていたのですが、

紆余曲折があり、現在はパオラさんひとりで

制作から販売まですべてを行っています。

 

工房を訪ねた日、なにせ7年ぶりですし

イタリア語も久しぶりですので緊張気味でしたが、

ドアを開けたとたんに感じた匂い--ニスや溶剤、

木の匂い、古い建物の匂いが入り混じった--

を嗅いで、パオラの笑顔が向こうに見えたとき

すっかり留学当時の気持ちが戻ったのでした。

▲お店のウィンドー。工房手作りの額縁と古い額縁(販売中)と

入り混じって展示されています。

 

工房はほんの少しの変化(物が増えた)はあったけれど

飾ってある見本の額縁の雰囲気も、カウンターの

雑多な雰囲気も、すっかり昔のまま。

▲右に見える入口の奥には作業部屋が続きます。

 

これからしばらく、パオラを手伝いながら

初心に帰って様々教えを乞います。

 

 

Firenze 2018 tempo calma №1 12月17日

 

2018年11月に、かつての留学先である

フィレンツェに行ってまいりました。

頂戴しているご注文をさらにお待ちいただき

Tokyo Conservation室長はじめ

額縁教室の先生、生徒さん方にもご了承いただき

渡伊を叶えることができました。

ここで改めてお礼申し上げます。

 

2011年以来7年ぶりのフィレンツェでしたが

La nostalgia in Italia 2011

とても変化があったところ

昔と変わらず続いているところ

さまざま感じました。

このブログ「diario」で、旅で見てきた

額縁や美術作品などと一緒にご紹介したいと思います。

どうぞお付き合いくださいませ。

 

 

この冬も会えそう 12月13日

 

10月のおわりに、庭の日蔭にぶら下げていた

ヒヤシンス一家の球根

庭のいつもの場所に植えました。

 

下げていた場所が悪かったのか

土からあげた後の処理が悪かったのか

じつは球根にカビが生えてしまっていて

「これはもうだめかもしれないな」と

思いつつも土に植えたのでした。

 

すっかり忘れていた(我ながらひどい!)

ヒヤシンス一家の場所を見たら、今朝

そうです! 芽がでていたのですよ。

 

可愛いことこのうえなし。

みずみずしいちっちゃな緑がピコン。

とはいえ球根は6つあるはずなのです。

今日のところ芽はまだ3つしかでていません。

これが誰(ヒヤ子群か真珠3姉妹か)の芽か

まだ謎、蕾がでてきて判明します。

毎朝しばらくハラハラが続きそうです。

残る3つも芽をだしてくれたら、と願います。

 

 

ピンク色のひらめき 12月10日

 

先日、強烈なピンクと輝く金で

ぎょっとさせてしまいました額縁

その後、淡い色に調整しまして

完成を迎えました。

 

ピンクの上にオフホワイト色を何層も重ねて

ほのかに湧き上がるようなピンクを目指します。

 

ちなみに淡くする前はこんなピンク。

なんど見てもすさまじい色ですが。

 

どの程度の色味にするか、絵を入れて確認し

うむ、程よい色になりました。

純金箔は艶消しにして仕上がりです。

 

当初は赤味の無いクリーム色にするつもりでしたが、

打ち合わせ時にお客様が

「ピンクが合うと思う」とのお話で。

ひとりになってからじっくりと絵を見返して

淡いピンクにすることに決めました。

 

そのぱっとしたひらめき、「ピンクが合う」

に従ってとても良い結果になったと思っています。

 

 

小さい小さい絵展 2018 12月06日

 

そしてとうとう2018年も師走を迎えました。

先人たちが「人生はあっという間」との

言葉をたくさん残していますけれど

いやまったく、その通りでございますね。

 

今年も「小さい小さい絵」展に出品いたします。

テンペラ画模写を4枚準備いたしました。

 

池袋東武百貨店にて12月20日(木)から

12月26日(水)までの1週間です。

お近くにお越しの際に

お立ち寄り頂けましたら幸いです。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

池袋東武百貨店催事場カレンダー

 

祭壇型額縁を作る4 麻布貼りと下ニカワ塗り 12月03日

 

彫刻作業を終え、完成した装飾竿の

egg&dart も本体に取り付けました。

今日はボローニャ石膏を塗る

準備をいたします。

木地に「下ニカワ」といって目止めの

兎ニカワを塗りますが

今回は並行して亀裂防止の麻布も貼ります。

 

この祭壇型額縁の木地は、横から見ると

何層も木材を重ねて土台、柱、装飾を作ってあります。


このまま石膏を塗るとおそらく

木材の境目に亀裂が入ることでしょう。

それを少しでも少なくするために

石膏の前に粗い麻布を兎ニカワで貼ります。

木材が湿度で動いても、石膏に出る影響が

最小限になるように。

たった一枚の麻布、でも威力は絶大です。

 

この麻布ですが、織り目に沿って

切ることが大切です。

貼り込むときも、できるだけ目を整えて。

「なんたる面倒!」ではありますが

そうすることによって麻布の力は

最大限に発揮されるのだそうです。

今回のような下地につかう麻布も

絵画修復で補強に足す麻布も

かならず織り目に沿って切る。

先人の教えに忠実に行きます。

 

 

「額を紡ぐひと」 11月29日

 

ここしばらく、何人かの方から

ある本についてのお話を伺いました。

今年2018年に新潮社から出版された

谷瑞恵さん著「額を紡ぐひと」

という小説についてです。

 

まず、わたしはまだ拝読もしておらず、

読んだ数人の方に伺ったお話からだけの

印象と内容ですので

ブログに書くことで不特定多数の方に

「発表」するのは憚られますが、

KANESEIとこのご本の内容を

リンクして考えておられる方がいらっしゃる

可能性が無きにしも非ず、ということで、

こちらでお話することをお許しください。

 

この「額を紡ぐひと」というご本と

KANESEIは一切関係ございません。

取材もお受けしておりませんし、

主人公の「額装師」の女性とわたしは

経歴、仕事方法、そして広い意味での

額縁、額装に対する考え方も違います。

 

このご本によって額縁と額装に、

そして額縁を作る仕事について

興味を持って下さる方が増えて、

わたしも額縁を仕事とする者として

とても嬉しく思っております。

また「額を紡ぐひと」という小説に対して

批判する意思は一切ありません。

わたしの勝手な思い込みで

お気を悪くする方がいらっしゃいましたら

申し訳ございません。

お許しください。

 

以上、どうぞご理解くださいますよう

お願い申し上げます。

 

 

Mr.Cによる伝技「気泡必殺の術」 11月26日

 

ボローニャ石膏の作業で

気になる失敗のひとつは気泡です。

石膏地に気泡の跡(ピンホール)が残ると

金箔を磨き終えてもブツブツが残ります。

石膏液の気泡を抜くこと、そして

塗った面に上がってくる気泡をいかに消すか、

長い間の悩みの種でした。

 

先日、アメリカで活躍しておられる

金箔師チャールズ・ダグラスさんが

気泡を退治する処方を教えて下さいました。

処方の石膏液をいつもと同じように木地に塗ると

表面がいつもよりツルンと光っているようです。

乾燥後にも気泡が見当たりません。


 

この方法、わたしは初めて知りましたが、

日本でもご存知の方がいらっしゃるみたい。

国内であまり広まっていないということは

秘伝にしたいと思う方がいらっしゃるのかも・・・?

はたまたこの処方に副作用もあるとか??

 

チャールズさんは快く教えてくださいましたが、

それをわたしがブログで発表するのも

どうかと思いますので、悩みましたが

ここでお話するのは自粛いたします。

 

さんざん自慢しておいて方法は秘密だなんて

なんだか意地悪ですよね。

すみません。

長年の悩みが解決できた喜び、お許しください。

 

ぜひチャールズさんのHPもご覧ください。

N.Yやシアトル等で箔教室も開催中です。

CHARLES DOUGLAS GILDING STUDIO

インスタグラムもなさっていますよ。

 

 

地球上で眠るということは。 11月22日

 

ふだん、北北西をまくらに寝ています。

先日とつぜん思い立って

南西をまくらにしてみました。

 

理由はあるのですよ。

わたしの昔からのクセで

右を下に横向きで眠るのですが

左を下にした方が体が楽になる

と聞いたので試してみたくなったのです。

そうすると諸事情で布団の向きを

約90度回転する必要がありました。

こんなときベッドだと大変ですけれど

布団だと簡単です。

 

で、向きを変えてみたのですけれど

寝覚めは変な感じでした。

いつもと同じ部屋、同じ布団のはずなのに

どうにも居心地がよくなくて、

左を下にしなきゃ、という暗示もあってか

夜中に何度も目が覚めました。

 

自分が地球儀に寝転がっている図を想像すると

南西まくらで左が下の寝方ですと

ほぼ逆立ちして更に背中側から朝日を受けるポーズ。

そりゃあ寝心地も変わるかもねぇ

・・・と変な理屈で納得した朝でした。


それなら東まくらなんてどうなるの?

頭から朝日に突っ込んでいく感じ?

まさかね!ばかばかしいと笑いつつも

子どものような疑問がふつふつ。

今夜は南南東を向いて寝てみようと思います。

左を下に、も忘れずに。

明日の朝は逆立ちしながら朝日に向いて目覚めます。

どの方向が一番楽かちょっと楽しみです。

 

 

祭壇型額縁を作る3 渦巻きを彫る 11月19日

 

今日からいよいよ本体を手がけます。

イオニア風の柱、上部の渦巻きを彫りましょう。

トレーシングペーパーで作った下描きを

カーボン紙で写します。いつも通りです。

 

彫り彫り。

となりにモデルの写真を置いて確認します。


もう少し垂直方向に深いですね。

さらに彫りすすめます。

 

さてと。

左右がおおよそ彫れてきたところで

同じ深さ、バランスになっているか確認します。

 

egg&dart も仮留めして見てみます。

ふむ。


もう少し細かい調整が必要ですが、

ひとまず木地はかたちになりました。

 

わたしは木彫を留学時に学びましたので

今も留学当時に買った彫刻刀を使っておりまして、

21本のpfeil社製彫刻刀と

日本の彫刻刀3本でやりくりしています。

でもこれは決して多くない本数です。

道具があれば良いという訳ではないけれど

もっと様々なカーブの彫刻刀があれば!

と思うこともしばしばです。

今後すこしずつ買い足していきたいと思っています。

 

 

サンソヴィーノチャレンジ つづき③ 11月15日

 

サンソヴィーノチャレンジ

地味に続いております。

間があいてしまいましたが先日とうとう

「金箔を貼るか貼らないか問題」に結論をだし、

金箔予定部分に石膏を塗りました。

そしてようやく石膏を磨き始めたのですが。

 

 

結論は「金箔は部分的に貼る」なのでした。

上の写真、白い石膏部分が金箔になる予定。

これまた安易な決着でございます。

ハハハ。

 

安易なうえに石膏層が薄すぎたことが発覚、

さらには石膏塗り忘れ部分も発覚。

なんともかんとも。

「心ここにあらず」が丸わかりですね。

片手間でつくるとこういうことになるよ!

という見本のような途中経過でございます。

ワハハ。

 

・・・笑いごとではありません。

キッチリ修正してバッチリ仕上げます。