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ちいさいもの好き 2 4月20日

 

マカロンを食べ終わった

ラデュレの小箱。


中にはオーナメントを入れています。

小さい箱に小さいものがガサゴソと。


骨董市で買い集めたふるいもの、そして

フィレンツェのマッシモ氏に頂いたものも。

石膏で型取りして、額縁や小箱装飾に使います。

 

花型もありますよ。


ぜんぶ同じじゃないか、ですって?

いやいや、細部も厚さも違うのですよ。

 

使う目的で買いはじめましたが

眺めるだけで楽しい気分。

いつのまにかコレクションになっていました。

ニヤニヤが止まりません。

笑ってないで作りなさい、ですって?

はい、そうします。

 

 

太古の思い出との別れ方 4月18日

 

1月末にお話しした「物を減らしたい欲求」

低音でドヨドヨと、わたしの中で続いています。

服や本といった比較的整理しやすいものは済み

(第一回整理。本当はまだあるのです、きっと。)

「開かずの引出し」に着手しようと思いました。

 

この引出し、とても便利な場所にあるけれど

いままで全く活用していませんでした。

そっと開けて、唸って、そっと閉じる。

何故かと言えば、それは「思い出だけ」しか

詰まっていないと分かっているから。

 

連絡先も分からなくなった

学生時代の友人と撮った写真、

ものすごく古い手帳、

頂いたまま箱に入ったお土産品、

従兄と一緒につくった夏休み実験の結晶、

そうです、要らない物だけです。

 

もう何年も開けずに済んだ引出しの中身、

えいやとひっくり返して

中身を見ないで捨ててしまえば

楽なのは分かっていますけれど。

必死で整理して、結局どうにもならない

いくつかの物がまた引出しの奥に戻されました。

 

いったい皆さん、こういった物は

どう扱っていらっしゃるのでしょうか。

「捨てる」に気持ちを持っていくには

わたしはどうしたら良いのでしょう。

「だんしゃり」の本でも読めばいいのでしょうか。

それとも開き直ってあきらめる?

なぜ捨てられないのか理解に苦しむと

思われる方が沢山いらっしゃるのも

わかっているのですけれど。

 

わたしの「太古の品々」を目の前に

ぼんやりしゃがみこんでしまうのでした。

 

 

フラ・アンジェリコの後ろ姿を追って 4月16日

 

4月11日の夕方、九段にある

イタリア文化会館での講演「アートと科学:

広帯域の電磁波で観たフラアンジェリコの壁画

を聴講しました。


講師の福永先生は、電磁波についても

分かりやすく解説してくださいましたが、

この電磁波調査がいかに修復に役立つか、

なによりワクワクするような、ジオットや

フラ・アンジェリコがどのような手順と材料で

テンペラ画やフレスコ画を制作したのか?

というお話を聞けました。

 

サン・マルコ修道院の至宝「受胎告知」の

フレスコ画について、

・マリア様のクリーム色の衣は、当初は

 コチニールの赤い顔料で塗られていた。

・1960年代の修復時にはすでに赤が失われていた。

・天使の翼の顔料はすべて土系の顔料である。

・漆喰の最後の層(ジョルナータ)は0.5mm程

 の厚さで作られている。

・湿式法の上に乾式法で草花や赤褐色の

 アウトラインが描き加えられている。

・建物奥の天井付近に当初は鳩が描かれていた。

などなど、他にもジオットのテンペラ画についても

気づけば体を乗り出して聞いていました。

やー。

とても面白かったです!

 

サン・マルコ修道院の狭い廊下に足場を組んで、

黒い僧服の腕をまくったフラ・アンジェリコと弟子、

そして左官職人がせっせと作業している後姿、

並んでいる道具や筆、匂いや音まで

想像できたような気がします。

 

画像はwikipedia からお借りしました

 

こうして今まで大切に大切に

調査し、修復し、保存されてきました。

あらためて保存修復の大切さと面白さを

思い返す、興奮冷めやらぬ夜でした。

Aちゃん、知らせてくださってありがとう!

 

 

額縁の作り方 15 彫刻木地に石膏を塗る 4月13日

 

先日ご覧いただいた彫刻木地

ボローニャ石膏を塗りました。


今回のように彫刻で凹凸がある場合

平面やちょっとした曲面に塗るときとは

すこし勝手が違います。

いつものように塗ると凹部分に石膏液が溜り

彫刻を美しく表現するのがなかなか難しい。

ではどのようにするか?

今回ご紹介する塗り方も、わたし個人の

経験からのお話ですので、参考程度にお聞きください。

 

少々薄い石膏液を作るところから始めます。

いつものニカワ液(水10:兎膠1)に

石膏をふり入れて石膏液を作りますが

いつもの石膏液よりも6~8%程度石膏を減らします。

そして出来上がった石膏液を60℃程度

「けっこう熱いな」と思うくらいまで

湯煎で温めます。

 

ちなみに兎膠は70℃以上になると

煮えて接着力が無くなってしまいますから

ご注意ください。

 

そして温まった石膏液に、筆にひとすくいの

ぬるま湯を足して下からゆっくり混ぜましょう。

これを下ニカワを塗った木地に、丸筆を使って

手早く丁寧に塗っていきます。

凹みに液溜りができないように。

塗り残しがないように。

凹も凸も、できるだけ厚さが同じになるように。

いつもより薄い層を3~4回塗り重ねます。

KANESEI石膏塗りのスローガン

注意深く丁寧に、でも手早く!!

これに尽きます。

 

石膏を上手に塗ることができれば

その分、つらい石膏磨きの労力も減ります。

がんばりましょう!

 

 

真珠姉妹と花の数 4月11日

 

ヒヤシンスの「ヒヤ子」は、すでにこちらで

何年も前からお付き合いいただいていますが

先日、白いヒヤシンスの鉢植えを買いました。

ホワイトパールという品種。

名付けて(名付けなくても良いのだけれど)

真珠3姉妹です。

 

 

お店に並んでいた時から蕾はすでに伸びていて

もう他にはヒヤシンスの鉢はありませんでした。

これも何かのご縁と連れて帰ったところ、

我が家でちょうど咲き始めてくれました。

 

ですがこの3姉妹、どうも花数が少ない。

そして横からおおきな第2花の蕾がすでに

にょっきり伸びています。

こういう品種なのでしょうか。

 

なにはともあれ、可憐な真珠姉妹です。

部屋を良い香りで満たしてくれています。

わたしはご飯(液肥や水)をせっせと差し入れ、

花の期間の球根も健康に過ごしてもらいましょう。

初夏にヒヤ子の球根を掘り上げるとき

3姉妹の球根も取り出そうと思います。

また来年すてきな花を咲かせてほしい。

 

 

我が家にヒヤ子のほかにもヒヤシンスが増えたので

カテゴリー「ヒヤ子」は今日からひとまず

「ヒヤシンス」にします。

 

 

日本の文様 第一集 4月09日

 

先日ご覧いただいた菊と牡丹の小箱

そして梅と菊、竹模様のツマミにいれた

デザインは、この本から拝借しました。

 

「日本の文様 第一集」文庫本サイズです。

副題が「刺繍図案に見る古典装飾のすべて」

ですので、刺繍技法についての紹介がすこしと

カラー写真が10ページほどありますが

あとはすべて図案集になっています。

 

松竹梅、唐草、御所模様から鳥、蝶などに加え

洋風模様なるもの(ペルシャ風やロココ風)

まで入っているのです。

眺めるだけでも楽しいですし

シンプルな線画なのですぐに利用できます。

 

ずいぶん前から持っていたけれど

ようやく活躍してもらうことができました。

第二集もあるのでしょうか。

つづきも欲しくなりました。

 

「日本の文様 第一集」

-刺繍図案に見る古典装飾のすべて-

著者:紅会

株式会社青幻社

2002年10月1日 初版発行

 

余白の美、その対極 4月06日

 

最近、合間にすこしずつガサゴソと

彫り進めていたアユース材の小さな額縁、

そろそろ木地作業終了です。

 

今回のデザインはイタリアの額縁本

“REPERTORIO DELLA CORNICE EUROPEA”

に載っている15世紀末ボローニャの額縁を

参考に作りはじめました。

まずは簡単なところから着手。

隙間時間に作りましたので

ここまで2カ月弱かかってしまいました。

木地の形が違うので、彫り進めながら

すこしずつデザイン変更をしていきました。

仕上げに部分的にペーパーをかけます。

 

調え終わり、本と並べてみたらずいぶん違う。

オリジナルも全面細かく彫ってありますが

自分の額縁を改めてみてみると

ちょっとやり過ぎちゃった?

詰め込み過ぎた・・・ような気がしています。

見本にした額縁は平たい箱額、

わたしの木地は高さのある外流れ型ですから

オリジナルより主張が出たのかもしれません。

 

「小さくぎっしり」が好きなので

まぁ、これはこれで。

石膏をかければもう少し落ち着くだろう

と思っています。

 

 

ちいさいもの好き 4月04日

 

先日ご覧いただいた和柄の引出しツマミは

ほかのツマミ一族とともに小箱に納まりました。

 

わたしの宝物、タンブリッジウェアの小箱

 

こっそり開けると

 

ツマミのサンプルが12個。

数年前にもご紹介したのですけれど

また見て頂きたくて登場させました。

和柄ツマミで箱も満席です。

小さい箱に小さいものがぎっしり。

ニヤニヤしながら眺めています。

 

 

和洋折衷ツマミ 4月02日

 

ひさしぶりにツマミを作りました。

ツマミ、お酒の肴ではありません

引出しの取っ手のツマミです。

転がってしまうので箱にいれて

写真を撮りました。

 

木地にボローニャ石膏、赤色ボーロ、

そして純金箔の水押し、メノウ磨き。

梅と菊、竹の線刻模様が入っています。

艶消し仕上げです。

このデザインは着物の模様集本から採りました。

 

明治時代の和洋折衷のお屋敷にある

奥さまの小箪笥についている・・・というイメージ。

いかがでしょうか。

 

「works」ページ内「other」にアップいたしました。

どうぞご覧下さい。

 

 

知って驚くたのしみ 3月30日

 

宮本輝著「田園発港行き自転車」を読みました。

宮本輝氏の作品は、高校の国語の教科書で

出会って以来、すべてではありませんが

読み続けています。

 

その「田園発・・・」の中で

『おっしゃった』という言葉が

「仰った」ではなく「仰有った」と書かれていました。

この文章を見たとき、我ながら目が見開きました。

 

「おっしゃった」と言う言葉は日常で使います。

文字として書くとき、またwebで変換する時も

「仰った」となるのが当然と思っていました。

でも今回の「仰有った」で、「おっしゃった」の

本当の、と言いましょうか

本来の言葉の意味がようやく理解できたようです。

目上の人からの「仰せ」が「有った」。

おおせあった。おっしゃった。

そうか・・・!

 

ううむ、なるほど。

すでにご存じの方にとっては「何を今さら」なこと、

「仰せ」の意味を考えれば分かりそうなこと、

そして些細なことかもしれませんけれど

わたしにとっては新知識。

頭の片隅にさっと日が差したような気がしました。

 

新たな疑問も湧きます。

なぜ送り仮名が「仰・った」になったんだろう?

そもそも送り仮名はどうやって作られるのだろう?

 

こうした発見と疑問が自分の日々に

もっと起れば良いのに。

そのためにも、そして楽しみのためにも

読書は生涯続けようと思います。

 

 

Atelier LAPIS(アトリエ ラピス)の様子から 2018年3月№2 3月28日

 

LAPIS自慢の桜の借景が楽しい

春がやって来ました。


そして、約2年半をかけて制作したMAさんの

額縁と古典技法見本板8枚が完成しました。


額縁制作会社にお勤めで日々額縁木地を

作っておられるMAさんですので、

手先はとても器用、そして根気と集中力は

さすがです。

 

はじめて古典技法で、2015年の秋から

まずは額縁つくりから開始しました。


そして様々な技法を小さな1枚の板に作って

いわば「古典技法サンプル」が完成しました。

一通りの技法を経験して、好きな技法も見つかりました。

 

卵黄テンペラでクリヴェッリの部分模写、

大理石模様のフォーフィニッシュ、

水性モルデンテ(箔用糊)でミッショーネ、

卵黄テンペラでグラッフィート。

箔の上に絵具を塗って、絵具層を削って模様を描きます。

などなど8種類すべて違う見本板を作りました。

 

長い時間がかかり完成した姿を見て

達成感は言わずもがな、ですね。

お勤め先の社長もとてもお喜びだそうで

しばらく会社に飾られるとか。

 

MAさん、すばらしい作品を完成させてくださり

ありがとうございました。

今回見つかったお好きな技法を駆使して

素敵な古典技法額縁をぜひ制作してください!

 

古典技法の額縁制作と箔の技法

卵黄テンペラ画教室

Atelier LAPIS

 

 

類人猿の歩み 3月26日

 

朝起きて、ぼんやりと立ちあがったら

腰にぴきっとした小さな衝撃があって

それから30分後にはもうイダダダダ・・・

これはいわゆるぎっくり腰。

背筋を伸ばすと痛い。

腰を丸めるのも痛い。

一番楽な姿勢は、膝を曲げて前傾姿勢

両手は横に垂らして足は肩幅に開いて。

スクワットの途中のような体勢でした。

自分の歩く姿を鏡で見たら、

あら、これって図鑑で見たんじゃない?

猿から人間になる途中、類人猿の姿でした。

 

このまましばらく「常にスクワット状態」の

体勢で過ごしたら、脚と腹筋が鍛えられるかも?

ぎっくり腰が治ったらお腹周りが引き締まって

階段昇りが楽になっていたりして??

なんて呑気なことを考えています・・・。

日頃の運動不足を痛感。

 

ある日突然やってくるぎっくり腰

皆さまもどうぞお気を付けください。

 

 

 

トッポジージョの穴 3月23日

 

金箔を水押しで貼り終えたら小さな穴や破れを繕います。

わたしは「つくろい」と言いますが

つまり小さな箔片で穴うめをします。

箔板に数ミリ角の箔片をたくさん切って準備し、

左手には水用の筆、右手には箔を運ぶ筆を持つと

両手使いで「穴に水を置き箔を乗せる」 という

一連の流れがスムーズに進みます。

イタリア留学時代、額縁師匠マッシモ氏にある朝

“Allora,fai ai topi.”と言われました。

「ネズミをしなさい」?

しばし考えて「金箔の繕いをしなさい」と気づきました。

Topo とはイタリア語でネズミの意味です。

トッポジージョはネズミのジージョなのです。

日本で言う虫食い穴のことをイタリアでは

小ネズミ達がかじった穴と呼ぶのでしょうね。

トッポジージョがクネクネしながら

金箔額縁をかじっている絵を思い浮かべたら

ひとりニヤニヤしてしまいました。

 

 

ジェイン・オースティン 料理読本 18世紀末のレシピ 3月21日

 

ジェーン・オースティンといえば

わたしは真っ先に「プライドと偏見」を

思い出します。

18世紀末のイギリス、田舎の下級貴族

(というのでしょうか)と上流貴族の話。

・・・ひどいまとめ方ですが

その著者オースティンの時代の

料理についての本です。

この本にでているお料理も、庶民ではなく

使用人を置いて生活する人たちのメニューです。


レシピをみると、当然と言えば当然ですけれど

鮭やヒラメならまずさばくところから、鶏や野鳥も

処理(どのように肉の状態にするか具体的に)

の方法から載っているのです。

ゼリーを作るには鹿の角をけずったもの!を

準備せねばならず、羊や仔牛ももちろん

骨や皮付きの状態から始めなければなりません。

コックの仕事とはどこからなのか?!

調理より食材の準備のほうがメイン?


食事を準備することに費やすエネルギーと情熱が

並々ならぬ量だったのでしょう。

いや、そこまでしないと食事にありつけないというか。

冷蔵庫があって、スーパーマーケットがある、

そしてすぐに火を付けられるコンロがある現代からは

手間も時間も想像を超えています。

 

ちなみにこの本は、18世紀末当時のレシピそのままと

現代用にアレンジしたレシピと両方が載っていて

それを比べるのがとても楽しいのです。

昔のほうが脂濃くて野性的な味付けで

今の人が食べたら胃もたれしそう、

そして卵の汎用性の高さに驚いたり。

なにか作ってみようかな、と思ったけれど

いまのところ読んではひたすら唸る本になっています。

 

「ジェイン・オースティン 料理読本」

著者:マギー・ブラック

   ディアドレ・ル・フェイ

訳者:中尾真理

株式会社晶文社

1998年2月28日発行

 

 

額縁の作り方 番外 避けて通れぬ刃物研ぎ 3月19日

 

週末に、まとめて刃物研ぎ。

今日は彫刻刀を12本研ぎました。

 

atelier LAPIS の生徒さんの中にも

最近は彫刻刀をご自分で揃える方が

増えてきました。

自分の彫刻刀を持つからには

手入れも自分でしたいもの。

でも「研いでも余計に切れなくなる」

なんてお話もちらほら聞きます。

切れない刃物は怪我につながりますから

これはよろしくない。

 

そうですね、彫刻刀ふくめ刃物を

砥石で研ぐには練習が必要です。

研いでも切れない理由は、

刃物を砥石に当てる角度が合っていない

また前後させるときに角度がぶれてしまうこと。

恐々やって、必要な力が伝わっていないかもしれません。

砥石も粗いものから極細かいものまであるので

粗、中、細と3種類はあると良いでしょう。

刃こぼれしていないなら中と細があれば大丈夫。

 

彫刻刀を持ったらわきを締めて、ゆっくりと。

すこし研いだら刃先を良く見て

どの部分が砥石に当たっていたか確認します。

なるべく一定のスピードと力加減で

少しずつあてる場所をずらしていきます。

(これはわたしのやり方ですけれど。)

 

・・・と言うは易し。

でも練習すればきっと出来るようになります。

最初は上手くいかなくても、

砥石に当たる刃物をよく見て観察して

すこしずつ動きを改善させましょう。

自分の道具を上手に手入れできると

ちょっとした達成感も湧いて、

制作ももっとスムーズにはかどり、

そして楽しくなりますよ。

 

 

何も無いところへ 3月16日

 

KANESEIのブログ”diario”を始めたばかりの頃から

「何も無い」というカテゴリーを作っています。

何も無いところに行くのが好き、という理由で。

 

正確には何も無くはないのですが。

人工物がほとんど無いところ

荒涼とした開けたところ

地平線がみえるところ。

最近はあまりたどり着けていません。

 

いま一番行きたいのは北海道の野付半島

「トドワラ」と「ナラワラ」です。

きっと非日常の風景がある遠いところ。


写真は「北海道ファンマガジン」からお借りしました。

 

できれば晩秋、冬の来る直前に行きたいのです。

そこに「さわやかな空気」や「鳥のさえずり」

「美しい青空」は要りません。

花々も、そして他の人間も無いほうが望ましい。

寒風吹きすさぶ荒地にひとり立って目を見開けば

飛んでいくような解放感を味わえるでしょう。

 

わたしが「何も無いところ」に惹かれるのは

現実逃避と解放感、そして幸せの再確認

そんなところなのだろうと思っています。

 

 

Atelier LAPIS(アトリエ ラピス)の様子から 2018年3月№1 3月14日

 

このところLAPISの生徒さんの間で

古典技法の箔作業では欠かせない道具である

箔板(箔盤、箔床、箔台、色々な呼び名。

金箔等を切るクッション状の台です。)

を作ることが流行っています。

作っている生徒さんの様子を見て

他の皆さんも作りたい!となるようです。

これはとても嬉しいことです。

制作は自分の世界にこもりがちになるもの。

おおいに他の人からの影響を受けて

興味の幅を広げて頂きたい、

LAPISを切磋琢磨する場にして頂きたい!

と思っています。

 

さて、今回はNAKさんの箔板です。

こちらで紹介する箔板作りは3回目(3人目)。

そして完成した箔板も、本当にそれぞれです。

十人十色とはこのことですね。

NAKさんの選んだ革は、とてもやわらかくて

鮮やかなピンク色。テープは淡い若草色。

下の写真は太鼓鋲の打ち始めです。

金の太鼓鋲もきらりと輝いています。

まずは四隅を打ってから等間隔に打ちます。

太鼓鋲は金にする?銀にする?

迷った結果、両方!

NAKさんが現在制作中の額縁も

サーモンピンクと金の組み合わせですから

やはりお好みが表れているのです。

 

MAさんは職人風でハンサムな板

ISHさんはクラシカルで優雅な板

そしてNAKさんは明るく華やかな色の板。

いやぁ、どれもこれも素敵!

美しい道具は見ていて心躍ります。

 

わたしも新しくて美しい箔板が欲しくなりました。

わたしの箔板は、学生時代に

有森正先生に教わって自作したものです。

当時、何も考えずに選んだのは

紺色に黒いテープ。・・・なんと地味なこと。

実用一辺倒だけれど健気に働く箔板ちゃん、

ずいぶんと味が出て(汚れて擦り切れて)きました。

でも使い慣れた相棒はまだまだ活躍してくれそうです。

新しい箔板を作ってお払い箱にするのも

かわいそうですし、どうしたものか。

欲しいけれど必要ない。

でも作りたい。むむう。

もうしばらく悩むことにします。

 

箔板の製作にご興味をお持ちの方がいらっしゃれば

ぜひAtelier LAPISへいらして下さい。

 

 

手のひらサイズのミニアチュール展 3月12日

 

2月に完成をご覧いただいた

「クリヴェッリの花」のテンペラ模写と

昨年暮にご覧いただいた

「ゴッツォリの天使」テンペラ模写2点を

東急デパート吉祥寺店で開催されます

「手のひらサイズのミニアチュール展」に

出品いたします。

 

カルロ・クリヴェッリ作

「聖母子と聖フランチェスコ、

聖セバスティアヌス」から卵黄テンペラ部分模写

サイズは60×60mm(額縁含まず)

 

ゴッツォリ作マギ礼拝堂のフレスコより天使

卵黄テンペラ模写。55×40mm(額縁含まず)です。

 

30数名の作家による日本画、水彩、アクリル画

そしてテンペラ画と様々な技法で描かれた

小さな作品展です。

ぜひお立ち寄りください。

よろしくお願い申し上げます。

 

手のひらサイズのミニアチュール展

2018年3月15日(木)~21日(水)

東急百貨店吉祥寺店 8階美術工芸品売場

 

 

ヒヤ子の2018年 分裂騒動 3月09日

 

なんと、このブログ「diario」でヒヤ子を

ご紹介するのも今年で5回目になりました。

これを機に「ヒヤ子観察日記」カテゴリーも作りました。

 

2014年にデルフトブルーのヒヤシンスの

球根を水栽培したのが始まり。

翌年からは地植えになって

健気に毎年春に真っ青な花を咲かせています。

名付けてヒヤ子さん。

2017年の花は2本になるはずだったのに

合体したままの形で成長、開花して

その後に小さな第2花を咲かせてくれたのでした。

 

寒かったこの冬、ヒヤ子の発芽も遅く

なかなか成長しませんでしたが、

ひな祭りを過ぎていっきに伸びました。

ある朝にじっくり見てみると

あれ、なんだかおかしいぞ、葉っぱが多いぞ。

 

昨年同様に平べったい第1花の蕾があって

(きっと今年も2本合体型なのでしょう)

その横にすでに二つの小さなつぼみが!

 

なんと。これはもしや・・・

すでに球根が分裂しているのかもしれません。

園芸にも球根にもまったく無知なわたし、

球根がどのように越夏して成長するのか

調べてみたところ、ヒヤシンスの球根は

「花が終わったら掘り起こして日陰で乾燥」

させねばならないことを知りました。

 

幸いにも我が家のヒヤ子は庭の地植えで

肥料も与えていたので、なんとか今まで

毎年花を咲かせてくれていました。

でも地下での姿はどうなっていることやら!

球根が巨大化しているのか、

すでに分裂が始まっているのか。

ヒヤ子クローン化!・・・でしょうか。

 

ひとまず花が終わるのを待って

掘り起こしたらまたご報告させてください。

(ヒヤ子の成長にどうかお付き合いください!)

ううむ、ヒヤ子は健気に生きている。

 

 

菊と牡丹と金と紫 3月07日

 

先日ごらんいただいた制作中の小箱が

完成しましたのでご覧ください。

 

サイズは75×48×23mmで手のひらサイズ

金箔を艶消し仕上げにして

箱のなかは紫色にしてみました。

 

お茶の席で、もしかしてもしかしたら

お香合として使えないかな・・・

などと淡い期待を抱きつつ。

 

何かの折に外国の方にプレゼントできたら

それもまた、とても嬉しいです。

西洋の古典技法で作った

日本伝統模様入りの小箱。

金色と紫色の組み合わせは日本で珍しくありませんが

西洋ではあまり見かけることが無いように思います。

気に入って頂けますでしょうか。

 

 

「works」ページ内「other」にアップいたしました。

どうぞご覧下さい。

 

格子窓の風景 出られない 3月05日

 

木の格子窓の向こうに金属の格子。

木の窓を内側に開けても

外に出られない。

この窓は日本だけれど日本ではないところ。

 

そういえばイタリアの外に向いた窓も

木の格子の外に金属の格子が入っていました。

(多くは1階の部屋だけれど)

 

外から入れないけれど

わたしも出られない。

閉じ込められて叫びだしてしまいそう。

なので、二重格子の窓の部屋には住みませんでした。

 

 

丸と四角 金箔きらきら 3月02日

 

丸いものと四角いものを同時進行で

作っています。

小箱と引出しのツマミです。

 

木地はどちらも市販のもの。

今回はKANESEIにはめずらしく

和風の模様を入れることにしました。

デザインは「日本の模様 第一集」青幻社より。

石膏を塗り磨いた小箱とツマミに模様を転写したら

ニードルで線刻します。

 

赤色ボーロを塗って純金箔を水押ししたら

メノウ棒で磨きつつ、線刻のラインも

細いメノウでなぞり磨きます。

 

磨き終わりました。

金箔がきらきら。

和柄初挑戦でしたが、新鮮な気分です。

完成後、またご覧頂きたいと思います。

 

 

逃げる月と去る月 2月28日

 

2018年が始まったのはいつでしたっけ?

クリスマスとお正月が終わったのは

つい先日だったでしょう?

それがもう2月は終わりですって!

 

亡くなってしまった明治生まれの祖父が

「昔から2月は逃げる、3月は去るというのだ。

お正月から2月、そして3月は

それくらい早く過ぎ去ってしまう。」

と言っていたそうです。

 

2月はもう逃げてしまったので

3月が去ってしまわないうちに

心の準備をしなくては。

いや、心の準備をする準備、だったりして。

何の心の準備か、ですって?

それはまぁ・・・ほら、色々です。

皆さまもどうぞ有意義な3月を!

 

 

額縁の本 「FRAMES in the Robert Lehman Collection」 2月26日

 

ニューヨークのメトロポリタン美術館には

Lehman Collection という額縁のコレクションがあようで

それらをまとめた額縁の写真と資料集です。


この本もまた atelier LAPIS の本棚にあって

以前から欲しいな欲しいなと思い続けていたもので

遠くはるばるオーストリアの古書店から取り寄せました。

おかげで思ったよりお手頃価格で入手でき一安心。

 

シエナの国際ゴシック時代、まだ板絵と額縁が

合体していた頃の作品からはじまり

イタリア全土の各地、18世紀半ばまでの額縁、

そしてフランス、イギリス、スペイン、北ヨーロッパ

アメリカの19世紀半ばまでの額縁があります。

こうした本にアメリカの額縁が載るのは珍しい。

さすがメトロポリタン美術館にあるコレクションです。

 

モノクロ写真も多いけれど、祭壇型やサンソビーノ、

そしていわゆるミラーフレームなど変形額縁が豊富です。

また、データには額縁の状態、修復の有無などがあって

その情報を読んだ上で写真を見るのも興味深い。

 

天使やプッティ、表情それぞれで可愛らしいのです。

こんな顔の子供、いまも街中にいます。

 

辞書を片手に英語の文章を読もうかなぁと思いきや、

スマホに入れている Google翻訳のアプリを使えば

文字ページを写真にとって一瞬の間に

そこそこ理解可能な日本語に訳されました。

時代は変わりましたな。

 

「FRAMES in the Rbert Lehman Collection」

Timothy Newbery

The Metropolitan Museum of Art

全465ページ

2007年 第1刷発行

 

 

額縁 雨にも負けず風にも負けず 2月23日

 

東名高速下り、海老名サービスエリアにて。

 

コーヒーでも買おうと歩いていたら、おやっ!

たくさんの額縁が待ちかまえていてビックリ。


サイズもデザインもさまざま

鏡入り、海や花火のうつくしい写真入り

おもしろいディスプレイです。


最初はだれも目を向けていなかったけれど

わたしが通路の真ん中で(ご迷惑でした・・・)

写真を撮っていたらだんだんと足を止めて

ディスプレイに目を向ける人たちが出てきました。

さぁさぁ、額縁を見て楽しんでくださいな。

 

でもこのディスプレイ、屋外なのです。

白い壁と青空が見えて地中海的な雰囲気ですが

わたしは屋内、額縁が屋外。

逆はあってもこのパターンは初めてです。

厳しい環境でも大丈夫なのかな?

雪が積もったら、それも美しいかもしれません。

がんばれ額縁!

 

 

時刻はいつもおなじだった 2月21日

 

瀬戸内海の島にある母方の古い家の座敷には

古い時計がかかっています。

見るたびにかわいいなぁと思って

つい写真を撮ります。

でもなぜかいつも、かならずピンボケ。

 

2010年にも撮ったけれどやはりなぜか、

さらにピンボケです。

 

わたしの撮影が下手?

ええ、それはわかっていますけれども

デジタルカメラのオート機能で撮っていますのに。

もしかしてオバケの仕業?

でもまぁそのオバケもわたしのご先祖様でしょうから

怖くもなんともありませぬ。

 

それよりも時計の針はいつも1時34分を指していたことに

いまさら気づいたことのほうが怖いです。

そういえば振り子は止まったままでした。

 

 

ちいさな額縁 angelo-3 2月19日

 

ちいさな額縁が完成しました。

 

全面に金箔を貼り、刻印で模様を入れました。

磨り出しをして艶消し仕上げです。

今回はワックスのアンティーク仕上げには

していません。

 

先日模写したフラ・アンジェリコの受胎告知からの

テンペラ部分模写をいれます。

 

両手のひらに乗るくらいの小さな額縁ですが

このくらいのサイズは座り込んでじっくりと

コーヒーなど片手に作れますので

冬の寒い時期にちょうど良い制作でした。

 

「works」内「classical」にこちらの額縁をアップいたしました。

どうぞご覧下さい。

 

 

古典技法額縁の未来 2月16日

 

あとしばらくしたらコンピューターや機械が

人間に代わって多くの仕事をするようになるのですって。

 

古典技法額縁はどうだろう?

機械でもきっと作れるようになる。

「手仕上げ風」の揺れや趣もつけられるでしょう。

でもプログラムを作ってまで大量生産する物でもなし。

AIロボットがつくる古典技法額縁ってなんだか

とても「上手」で、きっちりと正確なものになりそう。

そしてクローンのような古典技法額縁が

無人の部屋で喜びも無く生まれたりして?

 

だけど

「機械じゃなくて人間が作った額縁」が

欲しいと思って下さる方もきっといる。きっと。

 

古典技法額縁にとってかわるものが登場しなければ

あるいは額縁自体が消滅しなければ

細々ながらも需要はあるのではないかな

少なくともわたしが生きている間は・・・

 

と、楽観的に考えている今日です。

明日はだれにも分からないけれど。

AIロボットが、作る「たのしさ」と「つらさ」

そして「よろこび」を知ったとき

いよいよ人間が危ういのかも知れません。

 

 

Atelier LAPIS(アトリエ ラピス)の様子から 2018年2月 2月14日

 

昨年2017年12月にご紹介したMAさんの箔板作り

(箔床、箔台、箔盤、呼び名色々・・・)を

ISHさんもチャレンジです。

材料、手順はMAさんのトピックをご覧頂くとして

今回は前回ご紹介しなかった裏の処理を。

 

ガンタッカーで革を板裏に打ち付けたら

四隅に余った革をハサミでカットします。

革が重なると箔板を机に置いた時に不安定ですし

見栄えも良くありませんから、

ていねいにカットしましょう。


ちなみに、タッカーを板裏ではなくて板の側面に

打てば良いじゃない?その方が裏がきれいでしょう?

とのご意見もあるでしょう。

上手に打てれば側面でももちろんOKです。

ただ、体重をかけてタッカーを打ち込むので

少々難しいこと、そして側面には太鼓鋲も打つので

それらを考慮して、側面ではなく裏をお勧めします。

 

今回は少々毛足のながい革でした。

こんな時は紙やすりをくるくると円を描くように

しっかりかけましょう。

そしてベビーパウダーもしっかり叩き込んで。

さて、仕上げです。

側面にはダークレッドのリボンを巻いて

すてきなデザインの太鼓鋲2種を交互に打ちます。


完成品はルネッサンス時代の豪華な椅子や

馬具を思わせるような雰囲気になりました。

ダークブルーとダークレッド、そして真鍮。

手作りならではの遊び心ある美しい道具ができました。

ISHさん、この箔板をつかっての箔作業を

わたしも楽しみにしております!

 

 

座れない椅子 茫然と佇む 2月12日

 

瀬戸内海の島の古い家に行った時のお話のつづき。

明るい場所に置かれた骨組みだけになっているけれど

美しい椅子を見たあとで

裏の崩れかけた蔵の入り口に行ってみたら

またもや座れない椅子に出会ったのでした。

 

まるでわたしが入ってきたことに驚いて

茫然とした表情で見返してきたように感じました。

それくらい、ながいながい時間を暗い陰ですごしていて

自分が何だったのかも忘れてしまったような椅子でした。