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小さなかわいこちゃん6 11月13日

 

メノウ棒での点刻印が終わりまして。

さぁ!お愉しみの古色付けでございます。

 

▲夜なべ仕事の翌朝、装飾が完成しました。

 

▲まだ金の色が新しくて生々しいのです。

 

木槌でのキズ作りはせず、磨り出しのみをして。

今回は彫刻の凹凸に加えて点刻印もありますので

ゆるめに溶いたワックスを筆で塗ることにしました。

 

筆で塗ったとしても、筆跡が残ったら台無し!

筆につけるワックス量を調整し、塗り方も

伸ばしたり叩いたりこすったり工夫します。

▲凹や点にも擦りこんで輝きを残さない。

 

ワックスが乾いたら乾拭きして、完成です。

 

 

額縁の作り方 26 ミッチャクロン 11月11日

 

夏に「型取り方法」でご覧いただいた

ドイツ製祭壇型額縁のコリント様式柱の土台。

無事に取り付けまして、金箔の貼り直しをいたします。

 

この額縁はそんなに古いものではありませんので

木材と石膏のみではなく、部分的にプラスチックの装飾や

金属製ライナーも取り付けられていて複雑です。

 

ひたすら掃除をした後はアルコールで脱脂して

「ミッチャクロン」(プライマー)を吹き付けました。


▲庭の一角でスプレーします。

部分的に色が違うのは欠損部分を再成形したところ。

 

プライマーがあれば、複数の材を使った土台も

均一になって上に塗装することができます。

 

ミッチャクロン(わかりやすい商品名)はとても便利。

まさしく下地と上塗装を密着させてくれます。

ホームセンターやネット通販で容易に手に入ります。

ミッチャクロンがあれば、大体のものの塗装ができる

といっても過言ではないでしょう・・・たぶん。

ミッチャクロン塗布前にはかならず

最初にしっかり脱脂しておくことと、

乾くまで時間がかかるけど待つ。

わたしはこのふたつに気を付けています。

 

今回は純金箔をミッショーネ(箔用糊を塗って貼る)で

全面に施す計画です。

まずはミッチャクロンが乾いたところで

赤色ボーロ風のアクリル絵の具を全面に塗って下地作り。

 

色が整うときれい。

さて、この後はいよいよ箔仕事ですぞ。

いつもと違う方法での箔仕事、そわそわします。

 

 

もしも我が家にあったなら 11月08日

 

展覧会などで素敵な作品を見たとき

ああ、これがわたしのものだったらどんなに幸せだろう、

朝から晩まで手に取ってじっと見たい

なんて勝手なことを想像しています。

 

先日のニュースで、フランスのお宅のキッチンで

チマブーエのテンペラ画が発見されたと聞きました。

わたしが想像した生活を送った人が現実にいたのです。

専門家が見に来るまで、そのお宅では大切に

でも「普通に」毎日チマブーエの作品を眺めて、

なんならチマブーエの作品の前で料理をし食事をし、

絵は油やら煙やらにさらされていたわけです。

 

でももう、この絵は今後二度と一般家庭に置かれることはなく

管理された空間でこれからの長きにわたる時間を

過ごすことが決まりました。

極端な変化だけど、こんなことも現実にあるのですね。

 

このチマブーエの絵にもし心があったら(ありえないけれど)

もしかしたらこのままキッチンで、毎日親しみを持って

愛でられながらの生活を望んでいたかもしれない

などと妄想してしまう。

けれど作品はその価値を認められ、保存修復され、

安全な場所で管理されつつ多くの人に見てもらうのが

誰にとっても良いということなのでしょう。

 

 

「実際に自分の手元にあったら」は想像して

楽しむだけのほうが良さそうです。

泥棒も怖いですしね。

 

 

「teatro」 11月06日

 

先日ご覧いただいた新商品を使った額縁

予定通り茶色にして古色を付けて完成しました。

この額縁に納めるのはイギリスのアンティーク版画で

かわいらしい犬の図なのですが、

ご依頼くださったお客様のワンちゃんそっくりとか。

この子の名前がコリーちゃんというそうなので

額縁も勝手にコリーちゃん(仮)と呼んでおりました。

そろそろ命名しなければ、つらつらと考えて。

 

ぼんやりと眺めていたら

古めかしい劇場の舞台にかかっている幕のように見えてきました。

この額縁の名前は「teatro」にします。

いかがでしょうか。

 

何はともあれ、額縁もかわいらしく完成して

にんまり喜んでおります。

 

「works」内「classical」にこちらの額縁をアップいたしました。

どうぞご覧下さい。

 

 

小さなかわいこちゃん5&額縁の作り方 11月04日

 

小さな祭壇型額縁、点の装飾が完成しました。

古色を付けますけれど、ここで裏の処理をば。

 

この木地は合板を土台にして組み上げてあります。

合板?ベニヤ??チープ・・・と思われるでしょうか。

でも最近の合板はとても良く美しくできております。

反ったり割れたりが少なく丈夫ですし。

 

さて、裏面と裏板に色を塗ります。

金を使った額縁には、わたしはターナーが出している

「生壁色」というアクリルグアッシュを使います。

イエローオーカーより赤みが少なく、くすんでいて

金との相性が良いように思っています。

絵が接する部分には何も塗りません。

この色以外にも、クリーム色も違和感なくなじみます。

茶色ステイン着色の額縁には裏にもステインを塗ります。

額縁と似た色、もしくはインテリアと似た色が無難です。

 

この絵具が乾いたら、いよいよ仕上げ。

古色付けでございます。

 

 

美しい種、のようなもの 11月01日

 

銀座のギャラリー林さんから

展覧会のお知らせをいただきました。

「plant collecting- 空想植物標本」

 

▲写真はギャラリー林さんよりお借りしました。

 

漆、螺鈿、蒔絵でつくられた美しい種のような、

空想で作られた植物標本だそうです。

指先サイズから、大きくても手のひらに乗るサイズまで。

ものすごく手が込んでいることがわかります。

 

 

かわいい、かわいい!

小さいもの好きには堪りません・・・。

標本(作品)に添えられている文章も

まるで図鑑の解説のようだそうです。

これもじっと読んでみたい。

 

銀座へお出かけの際には

ぜひお立ち寄りください。

 

plant collecting- 空想植物標本

2019・11・1~11・7

ギャラリー林

中央区銀座7-7-16

11:00~18:00 会期中無休

 

 

5mmの空間をつくる 10月30日

 

銀座6丁目にある「画廊るたん」のオーナーは

大学の大先輩でして

わたしが額縁を作り始めたころから

仕事を下さり応援してくださり・・・

とてもお世話になっております。

その画廊るたん所蔵の作品を額装させていただきました。

佐野ぬい先生の版画です。

 

この額縁は、オーナーとわたしとふたり一緒に

デザインを考えて作った思い入れのある額縁です。

銀箔艶消しで細い枠、変哲もないのですが

 

側面は木地仕上げです。(写真が悪くてすみません。)

 

一般的な版画の額縁はマットとガラスが接していますが

この額縁ではオーナーのアイディアで

マットとアクリルガラスの間にはスペースを作っています。

ほんの5mm厚の空間がつくる趣と影ができました。

 

シンプルなだけに珍しくもないデザインです。

何気ないことばかりですけれど、こうした

ちょっとしたことが作るうえでの楽しみですし

見る方が気づいてくださるとうれしい。

 

こちらの作品は画廊るたんでご覧いただけます。

お近くにお越しの際はどうぞお立ち寄りください。

 

 

Firenze 2018 tempo calma №20 10月28日

 

サン・マルコ美術館にはフラ・アンジェリコ作品以外にも

もちろんほかの作家の作品もありますし

古い遺構の装飾なども展示されています。

ギルランダイオの最後の晩餐図もあります。

 

だけどわたしにとってここは「フラ・アンジェリコ美術館」。

2階の写本室(図書室でしょうか)には写本展示もあり

フレスコ画やテンペラ画とは違う美しさが堪能できます。

その薄暗い部屋の一番奥に、画材紹介がされていました。

 

▲写本室入り口。柱列がうつくしい。そして誰もいない。

 

おそらくルネッサンス時代に使われていた画材紹介で

顔料、膠、筆と樹脂など。

 

顔料は9色ありました。

黒=ワインブラック(葡萄の種などを炭化・粉末にしたもの)

白=鉛白(塩基性炭酸鉛)

青=ウルトラマリン(貴石ラピスラズリの粉末)

黄=イエローオーカー(天然土系顔料)

 =ローシェンナ(天然土系顔料)

茶=鉛丹(四酸化三鉛)

 =バーントシェンナ(天然土系顔料)

緑=テルベルト(天然土系顔料)

赤=辰砂(硫化水銀)

 =レッドラック(カイガラムシ由来の染料)

 

あとはアラビアガムの樹脂、クローブの枝、金粉。

樟脳、板状にした魚ニカワ。

クローブの枝と樟脳は何に使ったのかわかりませんでした。

 

これらを使ってフラ・アンジェリコもここで描いたのだなぁ、

などと考えると感慨深い気持ちになります。

映画「薔薇の名前」ではショーン・コネリー扮する修道士

「バスカヴィルのウィリアム」が写本の謎を解きますが、

その映画では1300年代の修道士が写本を描いていた

北イタリアの修道院にある写本室や様子が再現されていて、

とても興味深く面白いのです。

 

▲サン・マルコの写本室。

 窓は小さくて、当時はもっとずっと薄暗かったと思われます。

 

きっとアンジェリコたちサン・マルコ修道院の修道士たちも

あの映画とあまり変わらない環境で、上の写真のような

道具と材料で写本やテンペラ画を描いては祈る、

そんな生活をしていたのでしょう。

 

▲写本室正面の窓からは中庭が見下ろせる。

 アンジェリコも見たであろう風景です。

 

どんなことを考えながら描いていたのかなぁ・・・。

日が暮れて暗くなってきたら、その日の仕事は終わり。

きっとこの窓の前で深呼吸などしたのではないでしょうか。

 

 

小さなかわいこちゃん4 10月25日

 

久しぶりになりました「小さなかわいこちゃん」

小さい祭壇型額縁であります。

金を貼り磨き、いよいよ装飾をします。

 

▲装飾模様の下描きを作りました。

 

当初の予定では、金の上にテンペラ絵具を塗り

絵具をかき落として金を出す「グラッフィート」で

ルネッサンス風模様を入れるのでしたが、

ご注文くださったお客様が「せっかく金だし

やはり全面金で仕上げてほしい」とのお話。

合点承知でございます!ということで

細いメノウ棒で点を打って模様にします。

 

カーボン紙で模様を転写して、点を打つ。

磨かれた金の上のカーボンはティッシュで拭えば

すぐに落とすことができます。

その代わり手で触っても落ちてしまいますから

狭い範囲を転写して打って、また転写して、と

繰り返すほうが安全です。

 

この技法、なんでしょうか。やはり刻印でしょうか。

メノウによる点刻印、とでもさせていただきます。

 

この極細のメノウ棒は大変便利です。

額縁やテンペラ画用ではなくポーセレン用。

陶器の絵付けで使うために作られたメノウ棒です。

東急ハンズで購入しました。おすすめです。

落とすとすぐに折れますので扱いは要注意。

 

てんてん、てんてん、てんてんてん・・・

ひたすらに点々打ち。

今宵もまた「♪か~さんは~夜なべ~をして~」と

歌いながら夜なべ点々作業です。

 

 

あの記憶を失いたくない 10月23日

 

毎年この時期、秋がはじまると

今年は行こうかな、と迷うけれど

結局行かずに冬を迎えてしまう場所があります。

 

何年も前に行った湖は細い山道を登って行った先にあって、

夏はバーベキューや水遊び、釣りを楽しむ人で

かなりにぎわう場所のようでしたが

わたしたちが行った11月のはじめは誰もいなくて

駐車場はガラガラ、お店も閉まっていました。

 

とてもよく晴れた風の強い日でした。

澄み切ったつめたい空気、

ひざ丈の草がザーザーとたなびき、水面もさざ波だって

ちぎれた雲が飛んでいきます。

青空が湖面に映るけれど、もっと青く深い。

色と匂いと空気の冷たさがどれも強いのです。

あまりに美しすぎる、と言いましょうか。

今ここと、夢あるいは死後の世界の境のような

この世ならぬ場所のような現実味のない感じで

呆然と眺めました。

 

美しさの記憶が鮮明で強すぎて、

もう一度行きたいけれど、

あの時とすこしでも違ったら夢から覚めてしまう、

あの記憶が丸ごと失われてしまうかもしれない、

そんな恐怖もあって、それ以来行っていません。

憧れは憧れのままに、

美しい記憶がひとつでもあるなら、壊さないように

大切にしたほうが良いのかもしないけれど。

やっぱりいつか行きたい、と思っています。

 

 

 

額縁用じゃなくても額縁に。 10月21日

 

いつもお世話になっている額縁材メーカーさんから

新しいカタログが届いて、新商品にわくわくしつつ

さっそく新商品木地を使った額縁を作っています。

 

 

アユース材の薄い木地に丸〇とフリルのような

ちょっとした彫刻をしました。

この木地、メーカーさんのお話によると

額縁用ではなくて建材(内装)用として作ったとのこと。

どおりでドロ足(裏側にある、絵を入れる枠)がありません。

 

▲だいぶ薄くて華奢な木地なのです。

 

▲裏。ぺらっと薄くて、いわゆる額縁の形ではありません。

ドロ足がないので薄板を組んであるだけ、といった趣き。

 

たしかに額縁と建築は切っても切れない仲です。

額縁は元はといえば窓枠や扉枠から派生していますから。

建築の様式はそのまま額縁の様式に通じます。

2016年2月に完成した「hori-acanthus-1」額縁は

内装メーカーの棹木地を使って作ったのでした。

この時もやはりドロ足を作りました。

 

さて、このままではただの四角い木・・・ですので

ドロ足を取り付けます。

▲10×25mmの材を組んで取り付けます。

 

これから濃い茶色に染めて、ワックスで古色を足して

かわいらしい犬の版画を納める予定です。

新しいデザインの額縁を作る楽しさ、格別です。

 

 

平らは良い。 10月18日

 

つめ込み過ぎているわたしの本棚は

棚板がすこしずつたわんでいましたが

とうとう本を取り出すにも戻すにも

おおきな労力が必要なほどになったので

棚板を交換をすることにしました。

 

家族に相談したら、奥から長ーい

板が登場しました。

なんと、祖母が使っていたという

着物の洗い張り用の板ですって。

もう何十年も物置で眠っていた板。

反りも無く面取りされて美しいままです。

これを切って、ダボ用のミゾをルーターで入れて

(すべて家族がしてくれた作業です・・・)

無事に棚板2枚を交換することができました。


本が平らに並んでいるってすばらしい。

すっと取ってさっと戻せるってすばらしい。


 

本体に合わせて茶色に塗ることも考えましたが

祖母が使っていた当時のままにしています。

おばあちゃん、ありがとう。

 

 

額縁の作り方 25 差し箱の向き 10月16日

 

本日は番外といいますか余談といいますか。

額縁を保存するための箱「差し箱」の向きについて。

 

額縁を黄袋(黄色い布の袋)に入れてから

差し込み式の箱に収納する場合、

画面はどちらに向けるのか。

Atelier LAPIS の生徒さんにも質問されましたし

疑問に思われるお客さまも多い様子です。


▲こちら差し箱と黄袋。

一般的に段ボール製ですが、布を貼ったタトウ箱もあります。

 

昔、いろいろな方に質問しましたが諸説あって

結論として向きに決まりは無かったのです。

その中でわたしがしっくりきた答えは

『紐具のある面に画面をむけて収納』でした。

 

随分前に、あるギャラリーオーナーにお聞きした時

「じゃあ差し箱を壁に立てかけて置いてごらん」

と言われて、わたしは紐具面を表に置きました。

「ね、自然に置くとその向きでしょう、だから

絵の表もおなじだよ。」とのお話でした。


▲箱の紐金具がついている面と額縁の表を合わせる。

そして紐をくるくる巻き付けて閉じる。

わたしはこの向きで入れていますが

反対向きに入れるほうが安全という方もいらして、

どちらが正しいかはそれぞれ。

▲裏側には何もありません。

 

蓋を閉じる前に黄袋のくちの処理もします。

黄袋に入れて箱に入れて、蓋をしますけれど

黄袋のくちをきちんと畳んだほうが

蓋はきちんと閉じます。

そして次に開けたときも美しい。

たまに黄袋がグチャッとつっ込まれた額縁に会いますが

ものがなしい気分になります。

いちいち細かいですか?

でもこうした小さなことって、案外と人の目に

留まっているものですから

気を付けるに越したことはありません。

▲黄袋を畳まないと額縁も箱内で不安定になる。

 

ちなみに!どちら向きに箱に入れたとしても!

差し箱に入れた作品を何枚も立てかけるとき。

たとえば棚に収納したり、搬入搬出のときなど。

画面はかならず中合わせにしてください。

A、B、C、Dと箱に入った作品4枚があったなら

A表とB表、B背中とC背中、そしてC表とD表。

「前へならえ」(すべて同じ向き)ではありません。

これ、昔々に「前へならえ」で並べてしまい

こっぴどく怒られた思い出があります・・・。

 

 

ヒヤ子よ、目覚めてしまったのか 10月14日

 

初夏に土から掘りあげてからずっと

日の当たらない風の通り道で眠っていた

ヒヤシンスの球根軍団ですが、ふと見たら。

 

 

なんと・・・根が出始めているではありませんか。

こんなこと初めてです。

目が覚めちゃったのかい??

まだ秋が始まったばかりですよ。

土に植えるのはまだ先の予定ですよ!

 

ちなみに、根が出始めているのはヒヤ子のみ。

クローンを数々生み出した生命力、この強さ。

根にも表れているのでしょうか。

あやかりたい。分けてほしい。

 

いや、それにしてもどうしたものでしょう。

もう植えるサインということでしょうか?

植えたほうが良いのでしょうか??

思春期の娘に「はやくしてよ!」と睨まれている母・・・

のような気分であります。オロオロ。

 

 

その作者はいったい誰 10月11日

 

Lawrence Alma-Tadema

ローレンス・アルマ=タデマ

イギリス・ヴィクトリア朝時代の画家で 

古代ギリシャ・ローマや古代エジプト等歴史を

テーマにした写実の作品を残しています。(wikipediaより)

特に古代ローマの神殿や美しい女性の髪、服などの描写は

引き込まれるような魅力にあふれています。

The Roses of Heliogabalus” 

Sir Lawrence AlmaTadema 1888

見よ、このバラの花びらの描写を・・・!

 

そのアルマ=タデマ作品には祭壇型額縁が多く使われていて

折々に彼の額縁について調べています。

すでに先月のお話なのですけれど、

東京で観られる場所はないかな、と探したところ

八王子にある東京富士美術館が1点所蔵しており

常設展で公開中、それも9月16日まで!

最終日間近に大いそぎで行ってまいりました。

 

古代ローマのスタジオ」という作品です。

絵の詳しい解説は上記リンクをご覧いただくとして

額縁はやはり金の祭壇型額縁がつけられていました。

額縁写真をご紹介できないのが残念ですが

作品が板絵ということもあるけれど、額縁の薄さに驚き。

薄いというだけで繊細さが倍増している印象です。

ボーロは赤色、金に褐色の古色加工がされている可能性。

彫刻の装飾もegg&dart , lambstongue など帯状にシンプルで

柱頭だけ細かい渦巻のイオニア式装飾がある・・・。

とにかく繊細で、石膏層が薄く硬質な美しさ。

装飾的なのに無駄が一切ないというか。

ぜひ” Alma-Tadema frame”で検索してみてください。

素晴らしい額縁がいろいろと登場します。

 

アルマ=タデマは自分で額縁のデザインをしたそうですが

これだけの額縁を作る職人さん、一体どんな方だったのだろう。

富士美術館の額縁は比較的シンプルですが

もっと大きく凝った額縁がたくさんありますから。

なにせ超絶技巧の装飾で、一瞬目が点になります。

完璧主義という彼の人柄が額縁からも感じられるのです。

トーマス・モーという説もあり、でも彼は指物師だから

装飾はできなかったのではないか、という反論もあり。

Sir Lawrence AlmaTadema

Sir がある通り、1899年に騎士の称号を得ました。

温かな人柄、完璧主義者、そして堅実なビジネスマンでもあったとか。

 

ロンドンには数々の額縁工房がありましたから

きっとそのうちのどこか、という有力な説もあって

いやぁもうアルマ=タデマの額縁研究だけで

充実した論文になりそうです。

 

額縁は歴史も材料技法もすべて面白いです。

そして作るのも修復するのも面白いのです。

額縁の海は広すぎて深すぎて、いやはや。

 

 

額縁の作り方 24 線刻で模様を入れる 10月09日

 

このKANESEIブログで一番ご覧いただいているのが

「額縁の作り方」なのは、やはりそうなのかな

という気持ちでおります。

額縁にご興味を持ってくださる方が

おひとりでも増えれば!と願いつつ。

今日の「額縁の作り方」は線刻です。

 

細い線で入っている模様は線刻で入れています。

 

ボローニャ石膏を塗り磨いたら模様を下描き。

そして線で模様を彫るように入れます。

わたしが使っているのは、エッチングのニードルと

ドライバーセットに入っている千枚通しです。

細い線はニードル、太い線は千枚通しと使い分けて。

▲釘を加工した道具を作っても可。先端が円錐形であることが大事。

穴あけのキリのような角錐形ではなくて円錐形がベストです。

 

今回は模写作品を入れる額縁にとりつける

ライナーにタイトルと名前を線刻しました。

 

ヴィクトリア時代やラファエル前派のころ

額縁に文字を装飾することが流行しました。

当時の額縁にある美しくそろって凹んでいる文字は

おそらく刻印(金属の活字(文字型)を打つ)

で入れてあるのではないかなぁと思っています。

これはわたしの想像です。まだ調べていません。

▲ひとまず細く入れてから、すこしずつ太くしたり修正したり。

 

さて今回は小さな文字を線刻で入れねばなりません。

活字は持っておりませんので・・・。

文字を装飾に入れるのは昔から大好きですが

じつは文字の線刻ははじめてでして。

ちょっと練習したりしたのですけれど、

結局のところ定規を使ったりするよりも

息をつめて丁寧にフリーハンドで刻むのが

比較的きれいにできることがわかりました。

とはいえ、文字線刻に関しては改善の余地大いにあり。

 

ニードルの線がきれいに出なくなったら

紙やすりでニードル先端を磨いて整えます。

この技法は線の美しさが命です。

 

 

飽きるまで迷えばよろしい。 10月07日

 

「決まらない」だの「思いつかない」だの

ぶーぶー愚痴を言っておりましたが

(失礼いたしました。反省。)

ガタガタと日々過ごしているあいだに

どうやら通り過ぎたようです。

 

駄々をこねていた子供があるとき唐突に

「もう『迷う遊び』に飽きました。」に至って、

霧が晴れて、という感じ。

迷い期は辛いけれど、終わりが来ると知っている。

 

迷ったり悩んだりするのも、考えてみれば

迷ったり悩んだりする余裕(時間)が

あるのですからね・・・。

本人は必死だけど、俯瞰で観ればまだ甘い、

そんなものなんだろうと思います。

 

 

追い詰められたり諦めたりした訳ではなくて。

飽きるまで迷って、霧が晴れて、また迷って

それを繰り返しながら生きています。

きっと死ぬまで続くんだろうなぁ。

 

 

記録の方法と記憶のゆくえ 10月04日

 

気づけばそれなりの数の額縁を作りました。

 

デザイン画の形で記録保存してきましたけれど

きちんと統一したデータで残すべき、であります。

いや、今さらなのですけれども。

何年も前のと同じサイズと仕様の額縁を作ってほしい

なんてご依頼も当然あるわけですし。

 

ひとりで考えてひとりで作っているから

今まで済んでいただけで、これは良くないでしょう。

いや、今後もひとりの予定ですけれど、それはさておき。

 

記録の方法を模索中です。

いやほんと、今さらなのです・・・。

記憶はどんどん薄れていくのです。

 

 

明るい乙女の嫁入り支度。 10月02日

 

6月にご覧いただいた小さなテンペラ画模写

チューリップも含めて3点すべて額縁に納まりました。

 

昨年は暗い背景絵に黒い額縁ですっかり

根暗な乙女に迷走しておりました。

今年はちょっと反省いたしまして。


▲青空とお花と鼓笛隊、どうです、明るいでしょう!

 

▲のんきそうな鼓笛隊と

 

▲ルネッサンス時代の貴婦人です。

 

これら3点は、今年も今年とて暮の12月に行われる

「小さい絵」展に出品するべく準備しております。

気分は相変わらず「娘を嫁がせる母」でございます・・・。

 

「小さい絵」展の詳細は、またお知らせさせてください。

 

 

なんとドロ足とは! 9月30日

 

先日「額縁の作り方 22 」で

ドロ足のお話をしましたが、わたしは

「ドロ足」の名前の由来はわからないままでした。

ドロ足とは額縁の裏側に取り付ける材木で、

額縁が作品に対して高さ(厚さ)が低い場合

足す部分を指します。

▲金色の額縁本体より一段高くなっているところがドロ足。

この額縁は裏にグレーの紙を貼っています。

 

Atelier LAPIS で「ドロ足とはなんぞや」と話していたとき

MAさんがぽつりと「ドロ足って、昔は泥の木を

使って作ったのが最初だからって聞きましたよ」

と話してくださったのです。

さすがMAさん!額縁制作会社にお勤めなので

こうしたことにもお詳しいのです。

生徒さん方と「へぇぇ~~!!」が止まりませんでした。

 

泥の木について調べてみたら

日本に古くからあるヤナギ科の木で別名ドロヤナギ

成長が早いけれどあまり良い材ではないとのこと。

昔はマッチの軸木になっていたのですって。

(そういえばガサガサして折れやすい木だった記憶。)

現在はランバーコアの芯に使われることもあるそうです。

家具や建材には使えないけれど安価だから

裏側の高さ調整に使っていたということでしょうか。

 

え、じゃあもし泥の木とは違う材木を使う習慣だったら

たとえば「杉足」とか「桐足」なんて呼ばれていた

可能性があるということ??

 

現在は「ドロ足」の名称だけが残っていて

市販の額縁でも実際に泥の木を使うことはほとんどないでしょう。

とにもかくにも、ドロ足の名称由来が謎だったのは

わたしが単に「泥の木」を知らなかったから、に尽きますな。

ご存じの方にとっては「何をいまさら」ですしね。

大男が泥んこの足でドスドス歩く風景が(やめてほしい!)

いつも頭に思い浮かんでいたわたしです。

ドロ足はドロノキ・・・なるほど。

ひとつ学びました。

 

 

Firenze 2018 tempo calma №19 9月27日

 

Giovanni dal Ponte

ジョヴァンニ・ダル・ポンテという画家をご存じですか。

ゴシックとルネッサンスの端境期に

フィレンツェで活躍したそうです。

わたしはこの本を手に取るまで知りませんでした。


▲黒い布表紙。紙カバーがないのが珍しい。

 

フィレンツェのレプッブリカ広場にある書店

「Red」はとても広くて軽食がとれるスペースもあり

街の中心にある素敵な本屋さんです。

フィレンツェでたびたび行く書店のひとつ。

回廊になっている美術書売り場でこの本を見つけました。

画集ですが、どうやら2017年3月まで

アカデミア美術館で開かれていた展覧会カタログのようでした。


▲立ち読みでこの絵を見て、買うことを決めました。

 

ジョヴァンニ・ダル・ポンテ(1385~1438)は

マザッチョが影響を受けた人とありましたが

ほかにもロレンツォ・モナコ、マゾリーノ、

そして我がフラ・アンジェリコも影響されていたとか。


▲若きダル・ポンテ20代の作品。1405年ころ。

 

▲そしてアンジェリコ、こちらも20代前半の作。

1415年頃の作ですから、上の絵の10年後です。

 

アンジェリコはダル・ポンテの10歳下、

会ったこともあったかもしれません。

同時代に生きていたら影響も受けたでしょう。

だけど上の絵を見ると陰影、動きのあるポーズなど

10年という小さな時代の流れを感じます。

 

47歳で亡くなってしまったジョヴァンニ・ダル・ポンテ。

もう少し生きることができたら・・・

もっと影響を受けた画家、弟子もいたかもしれません。

日本であまり知られていない(わたしが不勉強なのですが)

この画家を知ることができて良かったと思っています。

 

 

足りないもの 9月25日

 

最近「決まらない」ことが多い。

なにを見ても何を考えてもピンと来ません。

レストランでのメニューも、額縁のデザインも。

ううーむ。なぜじゃ。

 

 

インプット不足と決断力不足。

ひらめき、自信の不足もありそう。

それだけではなくて、なにか、こう・・・

瞬発力とでもいうのでしょうか。

重く足踏みしている気分です。

 

以前にもあった「この感じ」ですから、きっと脱出します。

ちょっと落ち着いて、深呼吸などして

それからお風呂にゆっくり入ろうかと思います。

 

おすすめの脱出方法がありましたら教えてください。

 

 

荻太郎先生「バレリーナ」の額装 9月23日

 

大学時代の先輩からいただいたご注文は

荻太郎先生の版画作品の額装、

frido-1 のデザインです。

 

荻太郎先生のゼミ員だった先輩の

思い出がたくさん詰まった作品を

額装させていただけるのはとても光栄です。

作品が納められた額縁の様子は

あまりご紹介できず、空っぽの額縁ばかりですが

今回は先輩に許可をいただいて、額装した姿を

こちらでご覧いただこうと思います。

 

 

ガラスをいれてしまうと反射が写ってしまい

せっかくの作品を正面から撮影できず。すみません。

 

荻先生はいつもお好みのデザインが決まっていて

額縁からも先生を感じられるのですが

今回は先輩がKANESEI額縁シリーズから

選んでくだいました。

荻先生の作品を見慣れている方には

ちょっとびっくりかもしれません。


荻先生の代表テーマのバレリーナ。

凛としたほほえみ、涼しい色使い。

額縁には艶消し純銀箔の明るい白さと

下地に使った赤ボーロの微かな温かみで

なかなか良い雰囲気に仕上がったと思います。

 

いかがでしょうか。

荻先生に見ていただくことが叶わないのが残念。

お許しいただけたか気になります。

厳しくも思いやりのある先生のご意見を

伺いたかったと思っています。

 

 

バルディーニの額縁 9月20日

 

ようやくここまで来ました

バルディーニ美術館所蔵額縁の摸刻

まだざくざく彫りですけれども。

Atelier LAPIS の講師時間にガサゴソと

作業しておりますが、生徒さん方にも

制作風景を見ていただけるのは良いかな

と思っております。

▲額縁の中に額縁。右横に木片を置き忘れて撮影。

 

だけどこの額縁。

四角い木地から曲線形を切り出す必要がありまして

・・・大変でした。

 

ちょっと分厚い木地なのです。

自宅の電動卓上糸鋸では対応できなくて

結局、手引きのノコギリで切り出し

ヤスリで仕上げるという、まったくもって

木地作りから「古典技法」になってしまいました。

気分だけはいにしえの職人。

いや、このありさまじゃ万年見習いですな。

断面はお見苦しくて披露できませんけれど

これから何とか整えます、はい。

 

ともあれ、部分的に荒くでも彫ってみると

なんとなくイメージが見えてきたように思います。

かわいい予感。

いかがでしょうか。

 

 

そうして決めたのは 9月18日

 

迷いに迷い、悩みに悩んだ(おおげさ)

チューリップ模写の額装ですが、

けっきょくベージュの別珍に納まりました。

▲額縁木枠は購入しました。

 

無難といえば無難であります。

でもまぁ、花びらの紫と補色の黄色系で

コントラストありつつもまとまったかしらん・・・

と思っております。

お部屋もぱっと明るくなります。

いかがでしょうか。

 

 

Firenze 2018 tempo calma №18 9月16日

 

フィレンツェについてから2週間が過ぎて

ようやく行ったサン・マルコ美術館です。

敬愛するフラ・アンジェリコの美術館

すぐにでも来たかったけれど、

なんだか勇気というか、フラ・アンジェリコの

作品に対峙する気持ちを整えないと行けない

という少々緊張の心持になっていたのでした。

 

さて、気持ちを落ち着けて、でもわくわくしながら

朝一番で向かったサン・マルコ美術館は

まだ誰もお客さんがいなくてひとりじめ。

階段下から見上げる受胎告知もひとりじめ。

2018年春に聞いたイタリア文化会館での講演

「アートと科学:広帯域の電磁波で観たフラアンジェリコの壁画」は

この受胎告知図がテーマでした。

天使の翼はすべて土系の顔料で描かれていた、など

その時に知ったさまざまなことを思い出しつつ見学です。

 

そしてマリア様の衣装、今は真っ白のワンピースに

青いガウンを着ているようなお姿だけど、

アンジェリコは白ではなくて赤に描いた、ということ。

たしかに白と青の服をまとうマリア様はめずらしい。

伝統的に赤と青の衣装と「決まって」いるのですから。

 

画面に近づいて見てみれば、確かに確かに。

フレスコの亀裂に赤い顔料が残っているのが確認できます。

そうなんだ、やっぱり赤だったんだ。

 

おそらく後世の修復時に赤い顔料が取れてしまう事故が

あったのではないか・・・とのお話でしたけれど、

一体何が起こったのでしょうか。

いやまったく、その時の修復家の心情いかばかりか!

(想像するだけで身の毛がよだつ。)

そして、事故であったならなぜ補彩で赤を再現しなかったのか。

いろいろと考えてしまいました。

 

だけど、こう言っては何ですが、

白い衣装とマリア様の表情がよく合って

赤い衣装より無垢なイメージを表現できているような。

・・・いや、これは単に好みの問題ですか。

そしてもう、わたしにとってこの絵は

「これ以外にはありえない」と思い込むほど見慣れて、

そして憧れているということなのだ、と思っています。

 

 

小さなかわいこちゃん3 やっぱりちまちま 9月13日

 

小さな祭壇型額縁をつくっています。

木地を彫って、ボローニャ石膏を塗り磨き、

ようやく金箔作業です。

 

以前に「祭壇型額縁をつくる」でご紹介した額縁は

これよりもうんと大きな額縁でしたけれども

大きくても小さくても、作業手順は同じでございます。

 

今回の小さな祭壇型額縁もまた、黄色ボーロを3層塗って

赤色ボーロを2層塗りました。

今回は少々厚めのボーロです。

ボーロの層が厚いと金がしっとりと仕上がり、

薄いボーロだとさっぱりシャープな雰囲気に。

デザインやお好みで試してみてください。

 

黄色と赤のボーロを塗る場合には

凹に赤を塗らないように注意します。


▲やはりボーロの色は独特で美しいのです。

 

金箔は、大きく切った箔片をばーんと置いてから

凹をこまかく繕うか、最初から小さな箔片を置くか。

わたしは額縁が大きかろうが小さかろうが

彫刻の凹凸には、結局小さく切ってちまちまと

箔を置くほうが上手くきれいに仕上がるようです。

これは作業する人それぞれ好みや得意があるでしょう。

磨り出しの仕上がりにも影響がありますから大切です。

 

さて、箔を置いたらその日のうちにメノウで磨きます。

▲め、目が!目が・・・! 反射光が眩しく刺さります。

 

なんだかお仏壇かお神輿かといった風情ですが

これからまだまだ装飾作業が続きます。

イタリアのルネッサンス風に仕上がる予定。

乞うご期待であります!

 

 

どうするどうする? 9月11日

 

ただいま悩んでおります。

どの色の布にしましょうか・・・。

 

 

数年前に完成したのに、むき出しでおいていた

チューリップのテンペラ模写、満を持して(?)

額縁におさめようと思うのですが、

バックの布の色が決まりませぬ。

 

ベージュは明るいけれど金と色が近いのです。

 

モスグリーンはシックだけど強すぎるでしょうか。

 

となると、この茶色がかったグレーかな。

でもちょっとぼやけていますか?

 

この絵が展示される「小さい絵」展は

12月ですので、冬使用の別珍で考えたいのです。

グレーかベージュか。

いまのところ2択まで絞られました・・・。

 

でも、白のモアレですっきりと!も良さそう。

どうしよう??

なんだかもう何が何だか分からなくなって

決まらない・・・そんな時は後日に持ち越し。

新たな気持ちで見直せばあっさり決まるものです。

 

どれがお好みですか?

 

 

吊金具の美 9月09日

 

先日ご紹介しました額縁本「CorniciXV-XVIIIsecolo」の

中央あたりには、吊金具を集めた写真が

掲載されておりまして、これが素敵なのです。

▲額縁本「CorniciXV-XVIIIsecolo」より

 

昨秋のフィレンツェ滞在で買った金具2種と

パオラが使っている金具、そして

KANESEIオリジナルで作ってもらった銅と真鍮2種と

形がそっくり同じような金具も載っています。

フィレンツェで--パオレッティさんのお店で--

買った2種とパオラの金具はどちらも鉄。

本に載っている古い金具も鉄ですので錆びています。

ちなみに日本で今使われている吊金具のほとんどは

錆びないステンレスです。

鉄とステンレス、だいぶお値段もちがいますが

腐食した鉄は額縁を安全に保持できませんからね。

 

▲上の2種がパオレッティさんで買ったもの、

下左がパオラのもの、その隣2つはKANESEIオリジナル。

 

だから日本が良くてイタリアがダメという話ではなく、

湿度の違い、習慣の違いなどあります。

そして恐らくですけれども、イタリアでも美術館等では

ステンレスの吊金具も使われているのではないでしょうか。

どの金属製の吊金具を使おうと、定期点検は

必要不可欠です、という前提でのお話です。

 

だけど美しさに限って言えば、まぁわたしの好みですが

ステンレスより鉄の金具の方が断然美しい!と思います。

錆びた鉄と古色の付いた額縁の組み合わせ、

力強さと物語を秘めていると思いませんか。

▲額縁本「CorniciXV-XVIIIsecolo」より

 

錆びた鉄の吊金具は装飾としてつけて、

裏からステンレスのしっかりした金具で保持する・・・

なんて本末転倒な吊金具の使い方も考えてしまいます。

 

KANESEIオリジナルの吊金具2種

小さい方を真鍮、大きい方を銅で作ってもらっています。

ステンレスの無機質なイメージは無くて

鉄より劣化スピードが遅い(と思っていますが)ので

実用も兼ねた「見せ金具」としてはとても気に入っております。

繰り返しますけれど、どの金属の吊金具を使おうと

定期点検は必要不可欠でございます!

 

 

額縁の本 CorniciXV-XVIIIsecolo 9月06日

 

この夏、ようやく手に入れた新しい額縁本

「CorniciXV-XVIIIsecolo」です。

イタリアを中心に、巻末にスペインのものも含めて

15世紀から18世紀までの額縁が紹介されています。

 

著者のお一人 Fabrizio Canto氏とは

SNSでなんどかやり取りをさせて頂いており

この本のこともずっと気になっていたのですが

ある日Atelier LAPIS の本棚に入っているのを発見。

実物を拝見しても、やはり素晴らしい本で・・・

せっかくなのでCanto氏に連絡をしまして

ローマから直接送って頂いたのでした。

La Cornice Antica di Fabrizio Canto

 

ひとつの額縁に2ページをつかい

イタリア語と英語の解説があり、

裏面の写真もあります。

▲背景が黒いのが素敵。金色が際立ちます。

 

裏面が見えると木地の組み方も分かりますし

吊金具も見えて、とても面白い。

写真も鮮明で細かい技法や彩色のタッチも

ほんとうに良く観察できます。

 

こんな見開きページも。

じぃぃ~~~っと見ていたら1日が終わる。

そんな宝物の本です。

 

「CorniciXV-XVIIIsecolo」

Fabrizio Canto

Mario Mastrapasqua

REALITY BOOK

2015年発行