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冬は早く来るから 8月20日

 

味を占めて、というのもなんですが

前回なんだか可愛らしくできあがったので

額縁を買い足しました。

 

前回と同じサイズのもの

同じデザインで楕円形のもの、

ひと回り大きいデザイン違い、

それぞれにまたテンペラ画を入れて

暮の「小さい小さい絵」展に出品予定です。


このままでは使えませんので、

裏側にいろいろと細工を施します。

「お色直し」をして色を変えたり

ワックスで汚しを付けるかもしれません。

それは入れる絵に合わせて、おいおいに。

 

とはいえ

夏真っ盛りと思っていたけれど、

案外と冬は早く来ます。

すでに日が短くなって空が高いです。

あまりノンビリしている時間はありません。

早いところ絵を描きすすめなくては。

 

 

新旧の良いところでひとり遊び 8月17日

 

卵黄テンペラで模写をしています。

ギルランダイオの若い女性の肖像。

 

以前は見本となる原画をカラーコピーで

サイズさまざま準備しましたが

最近はタブレットひとつです。

印刷物より細部がとても良く見えますし

拡大も思いのままに。

なんと便利な時代になったことか。


ルネサンス時代の古い技法で描くために

21世紀の道具を使うのです。

わたしにとってはまさに新旧の良いとこ取り。

 

ギルランダイオ、そして

レオナルド・ダ・ヴィンチに

500年後の現代を案内できたら・・・

きっと驚き楽しむのだろうなぁ。

レオナルドは最新流行の服を身に着けて

PCもすぐに使いこなしてしまうだろうな。

ギルランダイオは、きっと若い芸術家とも

古い職人とも様々な話をして目を輝かせそう。

などと勝手に妄想しながら描いています。

楽しいひとり遊びの時間。

 

 

決断しようそうしよう 8月15日

 

「物を減らそうキャンペーン」開催中の

わたしですが、なぜか骨董市には

行ってしまうのでした。ううむ。

でも

以前は「わぁかわいい」というだけで

衝動買いしていた古い絵葉書やら

ガラスの小瓶とか空き缶、ボタン、

何かの破片(!)、端切れなど

謎小物の誘惑には負けませんでしたよ。

昔に買った謎小物は今も手元にありますが

「かわいいけど、結局どうするのこれ。」

という状態で意味なく並んでおります。

 

もっと身軽になりたいのです。

近々には、段ボールもうひと箱くらい

本を手放したいと思います。

昨夏は嬉々として着ていたのに

今年は釈然としない服とかありますし。

要るような要らないような微妙な書類や

旅先でもらったパンフレット類、

見返すことも無い古い記録ノートも

いっそ古紙回収に出してしまおう。

 

後悔するかどうか、手放さないと分からない。

決断の夏、です。

 

 

風にご注意 8月13日

 

箔仕事の大敵は風です。

なにせ金箔は鼻息でも 飛んでしまいますから。

真夏の箔置きとなりますと

当然ながら扇風機はもっての外、

エアコンも止めねばならない訳でして、

でも金箔に水分はこれまた大敵ですので

汗を滴らせる訳にもいきません。

 

部屋と自分を強烈に冷やしてから エアコンを止め、

ささっと箔置き。

湧き出す汗とジリジリ上がる室温に

耐えられなくなったら

箔を隠してからエアコンをつけて・・・

普段の倍の時間をかけてしまう。

どうしたものか。

秋が恋しい日々でございます。

 

 

残暑お見舞い申し上げます 8月10日

 

言われなくても分かっているし

もう聞き飽きたわけですが

暑いです。

 

先日の夕方、車で外出時に首都高速の

トンネル内で渋滞になりました。

ダッシュボートに表示された外気温は

40度ですって。

繰り返しますがトンネル内です。

上を見ると水のミストが噴きだされていて

すこしでも涼しく快適に、という

心遣いが感じられます。

窓から手を出してみたら・・・

なんと言うのでしょう、手だけ入浴というか。

ミストサウナは大好きですけれど、トンネルですし。

さすがのミストも敵わない暑さなのですね。

気温40度の湿度100%、いやはや

オートバイの皆様の御苦労いかばかりか。

 

被災地の方、ボランティアの方をはじめ

どうぞ皆様、ご自愛のうえお過ごしください。

 

 

Atelier LAPIS(アトリエ ラピス)の様子から 2018年8月 №1 8月08日

 

遠くから通って下さっているIMさんは

油彩古典技法のプロフェッショナルで

いらっしゃいますが、ご自身の作品額装のために

月に1度アトリエに来て下さっています。

 

緻密で、そして追求の集中力には

わたしも尊敬の念を抱いているIMさんが

丹精込めた額縁が完成しました。


ここまでの完成度、脱帽です。

ボローニャ石膏を塗り磨く作業をはじめ、

レリーフの高さ、刻印の正確さ、箔の輝き

どれだけの労力と時間を費やされたことか。

お家でも地道に急がず少しずつ進められた成果。

疲れたら無理に続けない、潔く中断することが

均一に仕上げるには重要、とのお話です。


当初は古色を付ける予定でしたが

あまりの完成度の高さから

お引止めしてしまいました。

古色加工は後からでも可能ですのでね・・・。

最近は生徒さんの技術が大変向上し

古色加工が惜しくなるばかりです。

 

自分の手で自分のために、

心と技術と時間を最大限に費やすこと。

いつも同じ精神で作業を進めること。

出来るようでなかなか難しいことです。

わたしも生徒さん方も大変感化された作品でした。

IMさん、心のお手本を見せてくださって

ありがとうございました。

 

 

先人の教えに忠実に 8月06日

 

額縁の四角い形は

4本の棒状の木材を組んで作りますので

角をボンド等で接着する必要があります。

(他の補強ももちろんしますが。)

 

その接合部分にボローニャ石膏など

下地剤を塗り乾かすと、多くの場合

亀裂が入ってしまうのです。

留め切れ、と呼ばれています。

 

材木は湿度で伸縮しますし

ニカワ液も石膏液も水性ですから

乾くときのスピード、水分濃度、

木材の乾燥度やクセで

ひび割れが出るのは仕方がない。

だけど。

これはとても困ることが多いのです。

一旦ひび割れた石膏は、亀裂を埋めても

(エポキシパテ等で埋めても)

最後には線状の跡が浮き上がってきてしまう。

シンプルな額縁ほど目立ちますからね。


フィレンツェ留学先の修復学校で、

また古典技法の伝統技法書で、

接合部には目の粗い麻布をニカワで木地に

貼る、と教えられました。

 

そうは言っても

麻布を貼るとその分だけ厚みが出るので

美的に微妙・・・と思っておりました。

接着剤を変えてみたり、和紙を貼ったり

色々試したこともありました。

 

今回ひさしぶりに麻布を使ってみて

その丈夫さに改めて驚きつつ、

頼もしさを再確認した次第です。

ちいさな麻布が木地と石膏をがっちり繋ぎ、

細くて大きい不安定な額縁も亀裂皆無。

 

結局のところ麻布に勝るものなし。

基本に戻るって大切です・・・。

右往左往せず、今後は麻布を使うべし!

 

 

夏の金継ぎ大会開催中 その2 8月03日

 

大会報告その1でお話した

蒔絵みがきです。

 

数日前、薄く塗った漆に金粉を撒いて

2日間ほど室(むろ)で乾かしてから

最後に「堅め」の生漆を塗って

1日室入れ。

翌日に鯛牙で磨きます。

古典技法額縁のメノウ磨き同様に

とてもワクワクする作業ですよ。

 

岡晋吾さんのお皿が欠けていましたが


エポキシパテで欠けを埋め

本漆で蒔絵。

磨き終えて完成です。

金が入って、ワンポイントアクセント。

これはこれで可愛らしい。

今夜のお食事から使えます。

 

わたしはお手頃な漆を使っています。

マニキュアのような筆付き小ビンに入っており

ほんの少し出すことができて便利です。


室も、ご覧に入れるのが申し訳無いような

超簡易室、段ボール箱にタオルをしいて

ビニール袋で覆っています。

漆専用の部屋も無く、手頃な材料ばかり

ですけれど、いまのところ十分。

「平成最後の夏・金継ぎ大会」は

まだつづきます。

 

 

ドアの向こうの親子は誰 8月01日

 

なんども繰り返してみる悪夢。

夢の中で「ああ、またこの夢が来た」と

思いながらも抜け出すことができない。

皆さんもいくつかあるのではないでしょうか。

 

わたしの悪夢の話

聞いて下さいますか。

 

場所は以前に住んでいた古いマンション、

廊下の突き当りにある自宅のドア。

夢の中でわたしは子供に戻っています。

深夜、静かな家の中は薄暗い蛍光灯がひとつ。

家族は出かけていて一人で不安です。

鉄の玄関ドアの下部にある新聞受けの

ちいさな扉から人が覗きこんでいるのが見える。

 

わたしはそっと近づき覗き窓から外を見ると

うす暗いマンションの廊下で、

幼い男の子、小学生の女の子

そしてそのお母さん3人が

ドアのすぐ前に立っています。

覗き窓から3人と目が合います。

ドアの蝶つがいはいつの間にか壊れていて、

わたしは内側から必死でドアノブを引っ張っている。

ドアの向こうからそのお母さんの声が聞こえました。

「殺したのはお前だ」

 

 

いったいわたしは誰を殺したのでしょうか。

深夜の廊下に立つ3人は、誰なのでしょう。

 

余りの恐怖に、目が覚めてからも

しばらく茫然と暗い部屋を見詰めてしまいます。

この悪夢がなぜ繰り返されるのかも

いまだにわかりません。

 

 

Atelier LAPIS(アトリエ ラピス)の様子から 2018年7月№1 7月30日

 

久しぶりになりましたatelier LAPIS 生徒さんの

完成作品ご紹介です。

MIさんの模写と額縁、とうとう完成しました。

 

真鍮プレートをカットして書き込んだ

タグプレートを取付けます。

狭いスペースで滑るので慎重に。

 

さぁ、出来上がりです。

このプレートの存在で作品がぱしっと絞まりました。

 

美しく磨き上げた金箔は、あまりに美しく

古色を付けるのを中止するほどです。

模写もぐんぐん上達しました。

 

金箔の永遠の輝きとメディチ家の食卓を飾った

フルーツの模写を、どうぞ大切に楽しんでください!

MIさん、すばらしい作品を完成させてくださり

ありがとうございました。

 

atelier LAPIS

 

 

メール不具合のお知らせ 7月28日

 

KANESEIホームページにございます

「contact」からのメール送信について、

7月25日あたりから不具合がございました。

発覚が遅れ失礼いたしました。

 

お送りくださったメールがキャンセルされてしまった、

またはKANESEIからの返信が無いという方が

いらっしゃいましたら、大変恐縮ですが下記のアドレス

hrk830kanesei@gmail.com

再度こちらへお送り下さいますようお願い申し上げます。

 

 2018年7月28日 KANESEI

 

 

チューリップを箱に入れよう・・・かな? 7月27日

 

まるい板に黄金背景テンペラで

満開のチューリップを模写をしました。

天気が良くて乾燥している日を狙って

ニスを塗って、完成です。

 

ちいさな板の側面にも箔を貼りたい、

そんな時には持ち手の棒を取付けます。

 

真上からの照明で金箔を撮影するのは

難しいです・・・。

 

さて、どんな額縁に入れましょうか。

透明アクリルのボックスなど

シンプルな箱に納めてしまうのも

側面が見られて良さそうです。

でもやっぱり・・・

クラシカルな額縁に入れた方が無難でしょうか。

迷います!

 

 

夏の金継ぎ大会開催中 その1 7月25日

 

予定外にまるっと時間が空いたので

溜まっていた壊れ皿をひきずりだして

「平成最後の夏・金継ぎ大会」を

ひとりで開催しております。

「大会」と銘打ちつつも、

1日の作業時間はたったの30~40分程度。

薄く塗っては室入れ、そして待つ・・・

漆仕事は待ち時間が長~~いのです。

 

今回は日用使いの食器を簡易金継ぎで流れ作業。

本来は漆で作った接着剤や練り物で

繋いだり欠けを埋めるのですが

耐水性接着剤とエポキシパテで代用し

仕上げに本漆と純金粉を使います。

がっちり接着できて、表面は本漆なので

食器としての使用も安全ですから

違いを理解して、こだわりがないならば

この方法が一番合理的じゃないでしょうか・・・

賛否あると思いますけれども。

 

さて、下の2点は金の蒔絵をせずに

黒漆で完了にしようと思っております。

気が向いたら改めて蒔けばよし。

毎日使うような食器ですから

皿洗いも気兼ねなくしたいですしね。

 

今日は夕方になったら、きのう他のお皿に蒔いた金を

磨こうと思います。

これが楽しい作業なのです。ふふふ・・・。

やはりわたしは金を使う作業が好です。

 

 

頭の中がいっぱいだったころ 7月23日

 

この夏、古いフロッピーディスクに入れていた

自作額縁写真を引きずり出して保存し直し、

ディスク71枚を処分しました。

 

それらディスクから蘇ってきた写真は

かれこれもう20年近く前に撮影したものです。

額縁写真の中には、ギャーと叫んで

逃げたくなるような気分にさせるものもあり。

それもわたしKANESEIの歴史です・・・。

 

下の写真はフィレンツェ留学時代に

修復学校の木工授業で作った額縁です。

大学で模写したフラ・アンジェリコの天使図を

留学に持って行き、フィレンツェで額装しました。

いま見ると模写も額縁もつたない限りです。

 

まだ額縁師匠マッシモ氏に出会う前の留学1年目。

クラスメートは小箱などを作る横で

わたしはひとりで額縁を作って、修復学校では

「なんだか変わった-つまり面倒くさい-

留学生がいるぞ~」と先生方に思われていた

ような気がします。

材はジェロトンです。

学校の材木室から節穴のある材を選んで

(右中央部と下部に穴があります)

虫食い風にしようと思ったのでした。

デザインはその頃好きだったロマネスク風の

アーチを乗せることにしました。

ただのぶ厚い板だった材木を必死で切りだし、

ホゾを作って木を組んで、彫り、磨き、塗装し、

わざわざ日本から持ってきた絵を納めて。

 

これ以来、先生方は「コヤツの頭の中は

額縁ばっかりだな!」とご理解くださって、

様々なことを教えていただきました。

わたしが若く、ひたむきだったころの額縁です。

 

 

古いもの、古い魂 7月20日

 

わたしは両親の影響があってか

昔から古いものが好きです。

今では骨董市に行ったり、

出先で骨董店や古書店を見つけると

ついつい立ち寄ります。

このブログ「diario」にも

「古いもの」というカテゴリーを作っています。

そんなわけで、我が家には家具、食器、

道具や本、アクセサリーなど

新しいものより古いものが多くなりました。

 

だけど古いものって、当然ながら

わたしの前に持ち主がいたということですよね?

中学の時にわたしが着ていた古着のダッフルコートに

友人が「でも、古いものって、怖くない?」

と遠慮がちに言いました。

深く考えず「古いもの」を受け入れてきたけれど

そうか、前の持ち主ってどんな人だったのだろう。

なぜ手放すことになったのだろう。

大切にしていたのかな。

手放したくなかったのに、やむを得ず手放した?

それとも、亡くなったから・・・?

 

「古いもの」に宿った「古い魂」があるならば。

霊とか気とか、念とか怨とか・・・

それはとても、とても恐ろしいことですね。

あるいは悲しいこと、寂しいこと、でしょうか。

わたしのものなのに、なぜおまえがもつのだ・・・?

そのような思いでしょうか。

 

古いものだからこその魅力も抗いがたい。

「古い魂」が辛く思わないように

大切にすればきっと許してくれるでしょう。

 

霊感も無く、妄想好きなわたしです。

今後もあまり深く考えずに。

 

 

おつとめ品の花ひらく 7月18日

 

今年のお正月に「おつとめ品」で

安売りされていた百合根。

卵とじにしたり煮物にいれたり

茶わん蒸しの具としてもおいしい食材です。


これを、何を思ったのか家族が

庭の日当たりの良い場所に埋めました。

いや、正確には植えました。

もったいない事をしちゃって・・・

と思っていたのですが。


5月ごろにはにょきにょきと

猛スピードで背を伸ばし始めました。

最初は信じられなかったのですが

なんとこの夏に花を咲かせました。

咲いた花は百合でした。

いや、当たり前ですけれどね。

百合根でしたからね。


食用の百合根は鑑賞用の百合とは違う種類で、

食用の根はすでに死んでいると思い込んでいましたし、

更にはおつとめ品でくたびれた根だったし・・・

いやはや、わたし驚きました。

 

こんなに立派な花を咲かせるのに

いつも食べちゃってごめんね、と思いつつも

じゃがいもだってにんじんだって

土に植えれば芽をだし花を咲かせるんだものねぇ・・・

と、なんだか感慨深い気持ちになったのでした。

植物の命よ、ありがとう。

 

 

サンソヴィーノチャレンジ つづき② 7月16日

 

相変わらず隙間時間に彫り進めた

サンソヴィーノ額縁はひとまず

彫り終わりましたが、さて。

次なる装飾をどう進めるか。


正統派サンソヴィーノ額縁は

全面に石膏を塗り、金箔または

金箔と褐色の組み合わせで装飾されて

かなり豪華できらびやかなものが多いのです。

 

金と黒は前回の額縁と同じになるし

褐色の彩色はあまり好みでない。

全面金箔はちょっと強烈だし(お財布にも強烈)

白木の状態ですでにコッテリ派手派手。

これを金箔仕上げにしたら・・・ううむ。

ここは邪道に木地仕上げにしちゃおうか

などと企んでおります。

 

どうでしょう、イタリアの皆さんに

いやがられるでしょうか。

せっかくなのだから、ここははやり

正統派を追った方が良いか。

・・・まだしばらく悩み考えてみます。

 

 

さよなら東宝日曜大工センターパパ 7月13日

 

東宝日曜大工センター ご存知ですか。

幼い頃には父に連れられて行き

額縁の仕事を始めてからは自ら行き

散々お世話になったホームセンターは

2010年に閉店、今はもうありませんが、

 いまだにどのホームセンターも

つい大工センターと呼んでしまう。

隣には東宝映画撮影所があって

大工センターで庭の掃除用具を買う

芸能人などよく見かけたり

ちいさな売店でソフトクリームを食べたのも

良い思い出です。

カナヅチ振り上げるお父さんの

イラストバッグには 紙テープを入れていて

使うたびに思い出す大工センター。

そろそろこのバッグもお払い箱、

懐かしの大工センターの記憶も

バッグと共に擦り切れて 消えてゆく。

 

 

額縁の作り方 21 気の強い娘から妖艶なマダムに変身 7月11日

 

しばらく時間が空きましたが

いよいよ仕上げです。

ピカピカの金と塗りたての黒。

これも悪くは無いでしょうけれど

わたしはアンティークな雰囲気が好きなので

今回もいつものように古色仕上げにします。

手順は、①打ち出し②磨り出し③汚し付け

で完成とします。

 

まず、木槌で打って傷を付けます。

角や凸を打ちますが、強弱をつけて

打ち跡が並ばないようランダムに打ちます。

石膏が割れて白くなっても木地が少々見えても

それはそれで良しとします。

掛け替えや移動のときに

落としたりぶつけた感じをイメージ。

 

つづいて磨り出しをします。

スチールウールで少しずつ様子を見ながら

凸部分を狙って箔の上も絵具の上も磨ります。

箔下のボーロの赤や黒の下色の赤を

ほんのりと見せます。

これまた昔々に歴代のメイドさんが

何年も長い間、季節の変わり目の拭き掃除で

徐々に下地が見えてきた・・・そんな感じ。

下の写真、金の下にうっすら赤が見えています。

 

さて、最後に汚しを付けましょう。

わたしはフィレンツェの師匠マッシモ氏に

教わったレシピでワックスを調合しています。

このレシピはここでお知らせできませんが

様々な茶色の塗料を工房それぞれで作っています。

日本では手に入りやすいブライワックス

という商品を使う方もいらっしゃるようです。

 

ワックスを筆やウエスで付け、乾き始めたころに

灰色のパウダーをはたきます。「にせものホコリ」です。

これもわたしは調合して作っていますが、

最近は「ホコリ」として販売しているお店も

あるそうですので、お試しください。

ホコリをはたいた表面を手のひらで擦ったり

ウエスで拭きこんで、さぁ完成です。

 

額縁のデザインや時代、額装する作品、

飾るお部屋や家具の雰囲気、

それらを考慮し、お好みで調整しましょう。

 

下の写真は古色を付ける前と付けた後。

金の反射が落ち着いて、黒に艶が出ました。

いかがでしょうか。


パーティー好きで熱気みなぎる気の強い娘から

酸いも甘いも噛み分けた妖艶なマダムに変身・・・

そんなイメージです。

 

完成した様子はこちらでもご覧ください。

 

 

ちゅーちゅーたこかいな 7月09日

 

「ちゅーちゅーたこかいな」

 

二の四の六の八の十

「にのしのろのやのとう」

と同じように、二つずつ数えるときの

数え歌のようなもの。

6月の大歌舞伎劇中で中村芝翫さんが

小判を数えるときのセリフにあって

とてもとても久しぶりに聞きました。

 

幼い頃に祖母とおはじきを数えた時のことが

突然に鮮明に思い出されて、なんだか

ホンワカと涙が出そうになりました。

しわしわで骨ばって、かさかさに乾いていて

いつも暖かかったおばあちゃんの手の

(なにせ冬でも半袖で過ごすような人でした。)

感触や声が蘇って来ました。

わたしのおばあちゃん。

 

 

サンソヴィーノチャレンジ つづき① 7月06日

 

作っていますサンソヴィーノ

なにせ彫りが深いので

木づちをふりまわして

右腕が鍛えられた気がします。


いつものことですが、木地の形が

(自分で設計したのに)そもそも違うので

オリジナルよりロールの高さが足りませんが

そこはまぁ、可能な範囲で善処ということで。

 

いや、それにしても難しい・・・

 

 

夜の深みにはまらないように 7月04日

 

「物を減らそうキャンペーン」は

地道にゴソゴソと続けています。

すこしずつ、でも確実に減っています。

 

先日はFD(フロッピーディスク)を処分しました。

KANESEI初期の額縁写真が主ですが

プライベートの写真記録もいくつかあり、

捨てるに捨てられずにいました。

この度ようやくFDドライブを買って整理。

ディスクその数71枚・・・。

読み取りに時間がかかるし

4分の1の写真データはすでに劣化して

読み取り不能になっていました。

でもとにかく、これでひとつ区切りを

付けることができた気分です。

71枚のFDよ、ありがとう。

 

助け出せた写真や記録はまだ

きちんと見ることができていません。

なんだか怖くて。

写真って心に深く響くものですね。

夜に見ると深みにはまりそうなので

天気の良い午後にでも見ることにします。

 

 

銀白の額縁 7月02日

 

この額縁を作ったのはいつだったか・・・

忘れられていた額縁第2弾からしばらくぶり、

忘れられていた額縁第3弾です。

おそらく第2弾のブコの額縁と近い頃だと思います。

 

「works」ページにある venezia-1 を作って

デザインを少し変えて銀箔にして・・・

という感じで作った記憶。

名前は「銀白」とつけていました。

銀箔のうえに白をベールのようにかけて

銀の輝きがソフトになっています。

半艶消し、古色はつけませんでした。


お客様のもとに渡り、もはや見ることも叶いませんが

こうして写真で振り返っても可愛らしい額縁だったな

などと親バカ気分で思い出しています。

 

「works」内「classical」にこちらの額縁をアップいたしました。

どうぞご覧下さい。

 

 

ダダーンと。 6月29日

 

大きな肉塊を焼くとか

大量の野菜を刻むとか

ダダーン!と料理をしたくなるときがあります。

血が騒ぐというか、暴れたくなるというか。

そんな時は心の中ではロッキーのテーマが

流れているものです。

 

これも発散のひとつですね。

そうしてスッキリしたらご飯が出来ている。

こんな方法で発散できるのですから、

なかなか良いと思います。

冷えたビールがあればなおのこと良し。

 

 

風呂上りの笑顔 6月27日

 

ずいぶん昔、TokyoConservation のスタジオで

油彩画のクリーニングをしたとき、

ほとんど汚れていないように見えた作品がありました。

クリーニングは必要ないんじゃないかな、

なんだか無駄な作業をしているような気がするな、

などと思いながらも手を動かしていたのです。

すると主任に「汚れていないような気がしても

終わったら見てごらん、風呂上りみたいに

こざっぱり良い感じになっているはずだよ。」

と言われました。


一通りクリーニングが終わって、

離れた場所から改めて絵を見てみたら

主任の話してくれた通り、まさに風呂上り。

歴然とした違いは無いけれど、すっきりと

色つやが良くなって、ぴっかりしていたのです。

やるべきことには理由があるのですね。

 

額縁に入っていても絵はやはり汚れます。

今回、伯母の額縁修復とともに

油彩画のクリーニングもしました。


絵は風呂上りのようにすっきりと笑顔になって

服(額縁)も洗い立てのようにさっぱりとして

昔から知っている伯母の家の応接間の

いつもの場所に納まってくれるでしょう。

 

 

サンソヴィーノチャレンジ 6月25日

 

16世紀後半にイタリア・ヴェネト州で

「サンソヴィーノ」スタイルという

額縁が流行しました。

ヤコポ・サンソヴィーノという

建築家・彫刻家から採った名前だとか。

ほどけたロールケーキのような渦巻きや

うろこの模様などが特徴的なデザインです。


そのサンソヴィーノ額縁を

作ってみようと思っています。

鼻息荒く準備を始めましたが、

簡略化したとはいえ

下描きを進めれば進めるほど

写真を見れば見るほど

重なりが複雑で渦巻きがぐるぐるで

不安も渦巻いてまいりました。


KANESEI風味のサンソヴィーノになっても

とにかく途中で投げ出さずに

完成させたいと思います。

むむむ・・・挑戦です。

 

 

ランチにバジルペーストを。 6月22日

 

庭のプランターに植えたバジリコ(バジル)が

茂りすぎて森化してきたので、

一株ばっさり収穫しました。


ザルに山盛り一杯。

これは Pesto di basilico バジルペーストを

作らずばなるまい!

空きビンに入れていた松の実と

チューブのすりおろしにんにく

生協のお手頃バージンオリーブオイルで

レシピも無く鼻歌まじりで作ったら

あら、けっこう美味しくできた?

でも片手ひとすくい程にしかなりませんでした。

あんなにあると思ったのにね!

 

自分の忘備として適当レシピ

バジリコ:大きいザルいっぱい

松の実:10粒くらい

にんにく:小さじ1/3

オイル:大さじ3くらい

塩:小さじ1と1/2

松の実はもっともっと増やして良いかも。

きれいな緑色、無添加ですから

塩はちょっと多めにしました。

 

パスタにするのもおいしいですけど、

トーストに塗るのと、ゆでたてホカホカの

タマゴやじゃがいもにつけるのが好きです。

 

それにしてもバジリコの花ってシソそっくり。

さすが同じシソ科なのです。

白身魚のカルパッチョに花を添えたら

おいしいかもしれませんね?

 

 

3年越しの待ちぼうけに終止符 6月20日

 

吊金具が痛んでいて、ある日突然

落下して壊れてしまった額縁。

額縁の大切な仕事のひとつである

「作品を守る」を果たしたとはいえ

装飾は失われ、木枠も歪みました。

 

幸い原形をとどめている部分も多いので

型取りをして装飾を再現します。

今回は箔は使わず、アクリル絵具と

古色ワックス、「ゴールドフィンガー」の

アンティークゴールド色で補彩しました。

写真は上が作業中、下が修復後です。



危険で重いガラスはアクリルに交換予定。

吊金具と紐も錆びにくい丈夫なものを付けます。

これでまた絵を守り、引き立てて

健やかに過ごしてくれることでしょう。

 

 

実はこの額縁、2015年晩冬にお話しした

「点検してください2」に登場した額縁です。

伯母から預かったまま、甘えていたら

3年も過ぎていました!

薄情な姪ですね。すみません。

祖父から伯母へ伝わった大切な作品、

早々にお届けしようと思います。

 

 

天使の誘惑に負けて夢を見る 6月18日

 

久しぶりに銀座の山野楽器2階にいったら

ついうっかりワゴンセールを覗き込んでしまう。

先日、必死になってCDを売りとばしたのに

また増やすのかい?!と思いつつも

結局レジに向かってしまうのでした。

だってジャケットがゴッツォリの天使なのですもの。


ここのところようやく雑貨と服の誘惑は

ぐぬぬ・・・とかわせるようになったけれど

CDショップと書店は克服ならず、わたしの鬼門です。

立ち入らないようにしていたのに

まんまと自分に負けてしまいました。

 

音楽も文章もデータが主流の昨今ですが

「手に持つ実感」「貸し借りできる」ということは

やはり抗いがたい魅力だと思うのですよね。

そんなわたしは古いのでしょう。

お婆さんになったら益々時代に取り残されていそう。

変な詐欺に引っかかったりしないようにせねば!

と今から自戒を込めて考えている次第です。

 

一方で、優秀で親切なロボットアシスタントが

ひとりに1台付いていてくれるから大丈夫、

というくらいずっと進んでいると良いなぁ

なんて夢も見ていたりします。

いまのところはAIBOが欲しいのですが、

これもまた夢のひとつ。

 

 

修復に度胸は必要ですか? 6月13日

 

先日、知人との会話で

「修復には度胸が必要でしょう?」

と言われました。

 

そうですね、修復処置をすべき額縁は

自分が作ったものではなく、多くの場合は

自分の持ち物でもない古いもの。

「代わりの物」は存在しません。

それに刃物を入れたり液体を塗ったり

様々手を入れなくてはいけない。

 

「さぁ始めるぞ」と言うとき、最初の一手には、

あるいはちいさな度胸が要るかもしれません。

でも、着手する前には念入りに調査し、

計画を立て、シミュレーションもして、

脳内リハーサルもしてしばらく考えて・・・

「うむ、よ~し!」となって始めます。

必要な処置を身心で理解できていれば

「恐怖」はそれだけ減るはずですから

度胸ではなくて安心を持って始められる。

 

そうは言っても、修復対象の額縁は

ひとつとして同じものは無い訳で、

予想外のことがおこる可能性もあります。

それを受け止めるのも「度胸」

冷静に処置するのも「度胸」

 

でもそれは

「覚悟」と言い換えることができる

かもしれません。