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サンソヴィーノの双子 強烈・・・ 9月17日

 

金箔を磨き終え、いよいよ箔塗りつぶしで

黒彩色をいたします。ううむ。

 

フィレンツェの師匠パオラは水彩絵の具を使いますが

わたしはアクリルグアッシュのジェットブラックと

カーボンブラックを混ぜたもので彩色します。

金の上は水溶性塗料ははじかれてしまいますので

これまたいつものように Fiele di bue 雄牛の胆汁液

少量絵具に足します。

▲7mmの平筆と0号の細密用の筆を使って彩色します。

 

でも、あれなんだか、えーっと・・・

わたし、こんなに強烈な額縁を作るつもりは

あまりなかったのだけど。

と思うような額縁になりつつあります。

▲金と茶色や黒の組み合わせのサンソヴィーノは

存在するのです。左の額縁を参考にしたのですが。

 

男性的な(わたしのイメージですが)彫刻に

コントラストの強い金と黒となれば

否応なく強い印象になるのは分かっていたけれど

それにしてもこれは強烈。

このサンソヴィーノ額縁が流行したのは16世紀ですが

当時はこんな完成したばかりの真新しいサンソヴィーノ額縁に

肖像画を入れたりしていたのです。

この額縁が引き立て役に回るくらいの肖像画・・・

さまざまな想像が膨らんでしまいます。

▲金も黒も生々しくて目に刺さる派手さ。

 

さて、今回の実験「金塗りつぶし作戦」は

今のところ問題なさそうです。

当然と言えば当然か。

塗りつぶす場合ときっちり分ける場合とでは

ラインのイメージがほんの少し違うけれど、

それを改めて理解できたように思います。

 

あとは古色付けで完成です。

この強烈コントラストでは終えられません・・・。

 

 

Firenze 2020-5 9月14日

 

夕方になるとほぼ毎日通っていたパオラの工房では

もっぱらわたしは力仕事担当でして、石膏磨きや

画材店Zecchi へのお使いで走ったり。

そして模様入れ担当だったマッシモが不在な今、

及ばずながらわたしにバトンが回ってきました。

▲左の額縁が見本。右の額縁に同じ模様を描きます。

 

▲描きました。まだ金も色も生々しい。

 

▲そして翌日行くと古色が施されていた。

 

▲ピンボケすみません。まだ金が黄色い。

これからさらに古色を追加します。

 

そして閉店間近になると、愛犬と散歩中のグスターヴォさんが

あいさつに立ち寄ってくれるのです。

じつはパオラの工房とグスターヴォさん宅は目と鼻の先。

元保護犬のラーラがかわいくてかわいくて仕方がない様子です。

▲とても賢くおとなしいラーラ、眼差しがいじらしい。

 

パオラが「この子(わたしの事。ほぼ母心のパオラ)の様子はどう?

毎日あなたの工房に通っているんでしょう?」と

グスターヴォさんにたずねると

「うん、がんばっているよ。

だけどね、とにかく仕事が遅いよ。遅い!」

と言われてしまったー!反省です。

留学当時にもマッシモに「仕事が遅い」、パオラには

「時間はお金だからね、早くしないとだめよ」と

言われていたのです。いやはや、成長がない。

 

でも、その後にグスターヴォさんとパオラが

「仕事が丁寧で細かいのがきみの良いところだから!」

「丁寧さを生かす仕事の仕方をすれば良いのよ」と

言ってくださったのでした。

ふたりのお師匠様に慰められてしまって

反省しきりな夜でございました・・・。

 

 

サンソヴィーノの双子 自称ジォットの弟子として 9月10日

 

いよいよ箔作業をいたします。

この額縁、オリジナルは全面金箔が貼られていますが

今回はアレンジで金箔と黒色の組み合わせにする計画。

 

どこを金にしてどこを黒にするか検討・決定しまして

ひたすらに箔を貼ります。

ちいさな額縁ですので、使った金箔は4枚+αでした。

▲こちら参考にした額縁は全面金箔。

 

そしていつものように夜なべをしてメノウ磨きです。

必要部分だけ磨いたあと、コットンで強めに拭くと

ボーロに残った余分な箔が取り除けます。

▲とはいえ黒にする予定部分にも箔が残っています。

 

今回の悩み、といいますか以前からの悩み。

金と色の組み合わせのデザインの場合、余分な金をどうするか。

色で金を塗りつぶすか、きちんと取り除いてから色を塗るべきか。

それが問題なのでございます・・・。

以前はボーロを箔部分にだけ塗り、余分な金は取り除き

2手間多く作業をしておりましたけれど、今回は思い切って

もう全面にボーロを塗っちゃって、余分な金は塗りつぶしちゃう!

 

なぜかと言うと。

2018年フィレンツェに行った際に訪れたホーン美術館

ジォットの作品を見たからなのであります。

▲ホーン美術館所蔵ジォット作「聖ステパノ」

 

色々な角度から見ていたら、頭の一部分は箔の上に

描かれているのが分かったのがわたしの大発見でした。

いちいち箔を取り除かず、気にしないで描いてしまう。

そうか、まぁそりゃそうかもね・・・と納得したのでした。

(マスキングテープも紙やすりも売っていない時代)

 

この発見といいますか、ジォットから学びまして

自称ジォットの弟子のわたしとしては箔塗りつぶしに

トライすることを決めました。

 

次回は「ジォット秘儀(?)塗りつぶし大作戦」決行です。

 

 

Firenze 2020-4 9月07日

 

前回は自宅のしがない食事風景ばかりを

お目にかまして恐縮でございましたが

今回から外食編をご覧ください・・・。

 

パオラの工房をちょっとお休みしまして

留学時代の友人Gとアルノ川沿いにあるエノテカへ。

Signorvino Firenze

▲夕方のテラスからの眺め。ポンテ・ヴェッキオのすぐ横なのです。

 

生まれも育ちもフィレンツェの、フィレンツェ人らしいG、

彼はソムリエでありワイン卸売をしていますので

任せておけばおいしいワインに会えるのは間違いなし。

今回はGが双子のパパになったささやかなお祝いとして

ご馳走することにしました。

外食と言いますか、アペリティーヴォ(食前の集い?)です。

▲すっかり落ち着いたお父さんの顔になっていたG

子供がかわいくて仕方がなくて、話すだけで笑顔になる!

 

選んでくれたのはロゼワイン(双子は女の子だから!)

だけど、琥珀色のスッキリとしたおいしいワインでした。

 

このお店の良いところは、とにかく眺めが素晴らしいこと。

便利な場所で観光客が多いけれど、お店の方はフレンドリーで

とても親切ですし、モダンなインテリアで落ち着きます。

▲来たときの青空から徐々に黄昏に変わる空を眺めるだけでしあわせ。

ポンテ・ヴェッキオのお店に明かりが灯るとなんだか切なくなる。

 

2月のテラスは少々寒いけれど、ひざ掛けも貸してくれて

お酒と会話で体もポカポカ、つい長居してしまうのです。

店内ではワイン販売はもちろん、カウンターもあり

ちょっとした休憩にひとりで立ち寄るのも良いかもしれません。

 

 

サンソヴィーノの双子 石膏とボーロ 9月03日

 

サンソヴィーノの双子木地は

ひとつは練習台、もうひとつが本番として

どうにか彫り終わりに到着しました。

▲左が練習台。パテ部分を影に隠して記念撮影・・・

 

まずはパテが痛々しい練習台から石膏作業開始です。

今回使ったのはエポキシパテ木部用で、

彫った材より硬く密度も高いのですが

いままで何度か使った経験によりますと

石膏~箔仕上げの下地に使っても大丈夫なようです。

 

▲真っ白になってパテが隠れて一安心。

 

さて、いつもの辛い石膏磨きはのご報告は割愛しまして

箔の準備、下地のボーロでございます。

今回もまたいろいろと悩みはあります。

まずはどんな色のボーロにするか。

わたしの額縁史先生にご相談したところ

「真っ赤。典型的なヴェネツィアのボーロ色にするように。」

とのことで、普段あまり使わない赤ボーロを

ガサゴソと奥から探し出しました。

わたしが普段使っているシャルボネの赤ボーロより

赤が強いゼッキオリジナルの赤ボーロを使います。

▲ゼッキのボーロにおまじない程度シャルボネボーロを足しました。

あまり意味はないけれど、安心感のためと言いましょうか。

 

いつもより気持ち厚めに塗りました。

見慣れない赤色に塗りあがったサンソヴィーノ。

蛍光灯下で見ると乾いた部分が赤というか

紫がかったピンクに見えます。

▲紫ピンクもこれはこれで可愛らしいような。

 

さて、これで箔の準備ができました。

あとは箔を貼るだけ・・・ではあるのですけれども。

まだ悩みはあるのです。ううむ。

 

 

Firenze 2020-3 8月31日

 

ひとり暮らしの1ヵ月、基本的に毎日自炊です。

なんとなく記録として、食事を写真に撮りました。

その一部をご覧いただこうと思います。

他人の食事内容なんてご興味ない??

まぁそう仰らずに・・・

 

毎日のスケジュールはおおよそ、午前9時から12時まで

グスターヴォさんの工房にて額縁彫刻の修行、

帰宅の途中に美術館や教会に寄り道をする。

そしてアパートに帰ってからお昼ごはん。

お昼過ぎは洗濯したりスーパーマーケットに行くか美術館へ。

夕方5時にパオラの工房へ(午後の開店は4時半だけど

時間ちょうどには開いていないことも多い)。

夜の7時半か8時まで手伝って、帰宅してからお風呂、夕飯。

そんな毎日なのでした。

 

朝ごはんは東京でもフィレンツェでも同じ、

お味噌汁とシリアルとミルクティーです。

違いと言えばフィレンツェではインスタント味噌汁・・・

2月の寒い朝に温かなお味噌汁は欠かせませんのです。

▲前回を踏まえて、赤いランチョンマットと

緑色のお箸を持参いたしました。

 

お昼ごはんはパスタがほとんどでした。

朝出かける前にマカロニを水に漬けて出発。

帰宅したらふやけたマカロニが待っていますので

すかさず着火、すぐにゆだってすぐに食べる!

ついでに野菜もゆでて、大好きなペストジェノヴェーゼで

和えるだけという手抜きランチでございます。

▲芽キャベツが安くて大喜び!

水漬けパスタはイタリア人が聞いたら変な顔をしそうだけど・・・

腹ペコで帰宅するわたしにはとても有効でした。

 

▲たまにイタリア米を炊いて、冷凍サーモンを

塩じゃけにして日本を懐かしむ。

こちらの冷凍サーモンは皮無し。皮がおいしいのに!

 

▲マルタイの棒ラーメンは荷物の必需品。

キャベツとネギだけで十分おいしい。

 

夜はすっかりくたびれて、自分だけのために

料理をする気力は残っておらず・・・さらなる手抜き。

ルッコラや茹で野菜と、アボカドやビーツ、チーズと果物。

イタリアならではのおいしいハムやサラミ!

たま~にお肉かお魚、そして白ワインは何としても!

タブレットで日本のニュース番組を見ながら食べるのでした。

 

▲夜は炭水化物抜き。でもお酒で差し引きゼロ・・・。

 

▲チーズを豚肉で巻いて焼くだけ!のものをスーパーで発見。

とろけるチーズがおいしかった。

 

▲たまにロゼワインにしてみたり。飲まない日はない・・・。

 

▲ニシンのマリネも売っていました。とても塩が効いていた!

 

▲黒いのはビーツ。ゴルゴンゾーラと食べると美味!大好物。

 

▲鳥の手羽は手羽先と手羽元が一緒のまま売っている。

ひとパック10本入り・・・冷凍庫もなく食べきれなかった罪悪感。

 

▲マグロの「タルタル」つまりお刺身もスーパーの隅っこで発見。

マグロでお腹がいっぱいになるしあわせ。

 

と、まぁなんともノンキな食生活を送りました。

振り返るとあまり健康的とは言えませぬ。

途中でちょっと風邪気味になりましたけれど

体調を崩すことなく1ヵ月暮らしました。

 

次回(まだつづく!)は外食編です・・・

 

サンソヴィーノの双子 その後 8月27日

 

先日ご覧いただきましたサンソヴィーノの

双子額縁は、どうにか彫り終わりが近づきました。

とは言え、これはふたつのうちのひとつ。

もうひとつは悲しいかな、練習台の犠牲となって

パテで修正されつつ控えております。

▲だいぶ良い感じ。

 

双子で同時制作と言っても、なぜだか同じにならない。

職人とは同じものを同じように繰り返し作ることが

できなくてはいけないんじゃ・・・と思いつつも

まぁ今回はひとつは練習台、ひとつが本番と考えて

「同じ失敗を繰り返さなければそれでよし」

としようと思っています。

▲下の額縁が「練習台」、パテで補修されているのを

隠しつつの写真撮影・・・

 

さて、練習台のほうはパテを隠して取り繕うために

石膏を塗るほかありませんけれども、

もうひとつはまだ仕上げを決めていません。

どうしたものか。

まだ時間はあるので悩んでみます。楽しい悩み。

 

 

Firenze 2020 -2 8月24日

 

2月初頭からイタリアのフィレンツェへ

彫刻修行に行ってまりました。

もうずいぶん前にお話ししました「弟子入り修行」先

グスターヴォさんの工房です。

 

工房のあるサンタ・レパラータ通りへは

アパートから歩いて15分くらい、

シニョーリア広場を抜けてドゥオーモの前を通り、

サン・ロレンツォ教会の横からさらに北上。

観光名所を眺めつつ早歩きで気持ちが良い通学路です。

日本から持ってきた木地と彫刻刀、そして

お菓子のお土産を担いでいざいざ!

 

初日は朝いちばんで工房にてご挨拶、そして

さっそく翌日から特訓が開始されたのです。

 

▲グスターヴォさんもわたしもまだお互い様子見といった感じ。

そして出だしからびっくりする。

 

何に驚いたかと言えば、まず出だしは三角刀で

アウトラインを取ってしまうということ。

留学時に学校の彫刻の授業で教わったっけ??

いや、これがプロの時短+技術か??

頭はぐるぐる、そして「さぁやってごらん」と言われて

 

・・・ふたりで固まってしまいました。

だって出来ないのですもの! 

大きな三角刀を滑らかなカーブで均一の深さで

彫り進めていくには相当な腕力と握力が必要なのです。

わたし、自慢ではありませんが(いや自慢だけれども)

腕力と握力は女性としてかなりあるのですよ。

なのにまさか出来ないなんて初日から自信喪失。

どうにかカーブを彫れても、最後に止められない、

あまりに力を入れすぎて彫り抜けてしまうのです。

 

前途多難な始まりの日なのであります。

 

continua…

 

飛ぶのじゃ! 8月20日

 

このコロナ禍がはじまって、運動嫌いなわたしの

運動量はますます減る一方

そして身体は重くなる一方。

友人と話すと、みんな散歩をするとかランニングするとか

それぞれ頑張っているのです。

 

わたしもどうにかせねば・・・と思い立って

手に入れたのは縄跳びの縄です。

なにせ続けられるか自分が信用ならないので

高い器具を最初から買うのもナンですし、

あきらめがつく価格の縄跳びでございます。

▲いかに室内でできるか、ひとりでできるかにこだわる。

絨毯の上で縄跳びをする無謀・・・

 

高校生以来の縄跳び、3分飛んで1分休んでを3セット。

縄跳びで疲れた記憶もなく、前飛び後ろ飛び交差飛び

遊んでいた記憶だけだったのにいざ始めてみたら、

ただの前飛びの飛び方も忘れたのか

10回と続かない! 2セットで脚はガクガク

滝のような汗と動悸息切れ・・・

我ながら呆然とします。

そして意外なことに縄を回す二の腕も

パンパンに疲れるのです。

 

ようやく最近はもう少し続けて飛べるように

なりましたけれども、たかが縄跳び、されど縄跳び。

一説によりますとジョギングより負荷があるとか。

もう少しがんばって続けてみようと思います。

ダイエットになって、ふくらはぎと二の腕も

引き締まって、ついでに体力が付けば

などと期待してニヤニヤ飛んでおります・・・。

 

 

Firenze 2020-1 8月17日

 

夜に到着して翌日の午前中、さっそく

額縁師匠パオラの工房へ駆けつけます。

なにせ昨年2019年夏におおきな手術を受けて数か月療養し

いまは諸事情でひとりで工房を続けているパオラ。

心配で居ても立ってもいられないのでした。

 

工房に着いてまず目に入るのはショーウィンドウ。

昔から見慣れた彼らの作った額縁と

フィレンツェ・バロックスタイルの額縁。

▲別名ピッティ・フレーム(と、思います)。

ピッティ宮殿内のパラティーナ美術館に

このタイプの額縁がたくさん展示されています。

 

▲顔を隠して失礼します。

パオラとわたし、工房預かり犬のミルティッロ。

パオラが踏みしめているのはミルティッロのベッド・・・ああ。

 

パオラはすっかり白髪になって痩せているけれど

笑顔と毒舌は相変わらず!

ひとまず笑顔を見て、お店の繁盛ぶりを見て

ホッと胸をなでおろしたのでした。

 

 

そして hori-makuha-3と初心 8月13日

 

先日完成をお披露目しました hori-makuha-2 額縁は

ドローイングを額装してお客様にお届けしました。

そして後日に「もっと古色を強くしてください」

とのご注文により、さらにガシガシと加工をしました。

▲加工後

 

▲先日ご覧いただいた加工前

 

イタリア留学時にパオラとマッシモが経営する

額縁工房に押掛け弟子入りをしたのは

彼らの作る額縁の古色加工に憧れたからでした。

そして帰国してひとりで額縁を作るようになったら

日本では古色加工をした額縁はおもったより

受け入れてもらえない・・・ということが分かって

以来、無意識に強い古色付けは避ける気持ちに

なっていたようです。

 

そして今回「金がほとんど無くなるくらいまで

強い加工をしてください」とのご注文をいただき

ここぞとばかりに叩いて擦って汚してみたわけです。

出来上がった額縁は「そうそう、これこれ!」

と嬉々としてしまうような、初心を思い出すような

仕上がりになりました。

ああ、やっぱり私は古色加工ガシガシの

額縁が好きなのだな~!と再確認いたしました。

こんな額縁を作らせていただけてわたしは幸せです。

 

この額縁は hori-makuha-2 の加工後ですから

同じ額縁ですけれども、あえて今回は

hori-makuha-3 と新たな名前で置くことにします。

「works」内「classical」にこちらの額縁をアップいたしました。

どうぞご覧下さい。

 

 

Firenze 2020 prologo 8月10日

 

今年2020年の2月ひと月の予定でフィレンツェに

滞在した当初、まさかこんな事態(Covid-19)などに

見舞われようとは思いもよらず。

1月時点ですでに中国では大変な状況になっていたけれど

「日本よりイタリアのほうが安全かもしれませんね」

などと会う人には言われていたのです。

その後の世界状況はもうご存じのとおり・・・。

 

そして半年がすぎて8月になった今現在は

イタリアはおろか隣県への外出も考えざるを得ない。

けれども、心と記憶には2月のフィレンツェ滞在が

生き生きと残っていて、今の息苦しさと

先の見えないもどかしさの小さな救いになっています。

忘備録もかねて、少しずつお話を聞いていただければと思います。

▲帰りの飛行機で見たうつくしい朝日。

 

さて、今回は2月3日出国28日帰国という予定でした。

向かうは我が第2の故郷フィレンツェ。

そして滞在先は2018年と同じアパート、中心中の中心です。

勝手知ったる我が街の、勝手知ったる我が家

と言いますと大げさですけれど、荷物の準備にしても

心身の安定にしても、短期間でも以前に「住んだ」部屋は

もうわたしのテリトリー、目覚めの眺めで安心したのでした。

▲ベッドから見上げると、とにかく天井がたかーい・・・

 

今回の目的はふたつ。いえ、みっつ。

1.彫刻師グスターヴォさんに弟子入りして彫刻技術を学ぶ。

2.昨年夏に大手術を受けた額縁師匠パオラに会って笑顔を見る。

3.ローマの「La cornice antica」アンティークフレームギャラリーを訪ねる。

 

時差ボケで早朝に目が覚める(4時!)けれど、

なんだか得した気分にもなったりします。

まずは近所のポンテ・ヴェッキオで街との再会を喜びました。

 

continua…

 

サンソヴィーノの双子 8月06日

 

ロンドンのナショナルギャラリーで2015年に

開催された展覧会のカタログである

「THE SANSOVINO FRAME」掲載の額縁を

摸刻することにいたしました。

▲木地はいつものように千洲額縁さんにお願いしました。

 

ふたつ同時制作しようと思います。

なぜふたつか・・・それはですね、

ほぼ9割がた失敗するであろうと思っているから。

いえ、もちろん失敗はなるべくしないように

必死に考えて計画するわけですけれども

サンソヴィーノスタイルの額縁はとにかく

難しい(わたしにとって)のです。

▲見本の写真より。シンプルに見えますけれど・・・

 

ねじれた帯の流れる角度、渦巻きの角度、

ちょっと外れるとすべて台無しになる・・・という

恐ろしいデザイン(わたしにとって!)です。

だけどチャレンジしたくなってしまう。

ひとつ目で失敗したら、すかさずふたつ目に

取り掛かって・・・という風に作業を進めると

失敗理由も忘れませんし、ひとつ目の

リカバリー方法も見えてくる。

二本立て制作はなかなか良い感じです。

(労力は2倍、いえ3倍4倍ですけれども)

 

 

前にも言いましたが 8月03日

 

額縁制作のさいごの仕事は、作品を額縁に納めること。

金具を取りつけたり裏板を閉じたり

小さなネジを締める作業がおおいのです。

で、使うのはドライバーです。

 

いままで、なぜか家にあったドライバーセット

(パーツが6本とグリップが付属セットの)を

使っており、さして問題はありませんでしたが

先日ホームセンターへ買い出しに行ったさいに

一本売りのドライバーを買ってみました。

 

そうしたら、なんとまぁ使いやすいこと。

いままではガッと握って本気でまわすところを

新しいドライバーは、ちょいとつまんでまわせる感じ。

握りやすい→回しやすい→力が要らない

つまり早くきれいに仕上がるのです。

いやぁ、びっくりしました。

 

▲左が新しいドライバー、右がセットの愛用ドライバー

でも今後は右の出番はほとんど無くなりそう。

 

けっして高い買い物ではないのですよ。

数百円で買えるドライバー、されどドライバー。

いままで何だったの・・・。

ものすごく得した気分になっております!

 

以前にもお話した記憶がありますけれども

道具って本当に大事ですね。

 

 

hori-makuha-2 7月30日

 

あたらしくドローイング用に作っていた

彫刻入り額縁が完成しました。

この額縁「hori-makuha-2」は以前につくった

「hori-makuha-1」を細くおおきくしたもので

イタリアの古い額縁を参考にしています。

 

汚し加工を減らして、巻く葉のツヤ(磨いた金)と

ツヤ消し部分(磨いていない金)のコントラストを

よりはっきりわかるようにしました。

 

若い男性のドローイングを額装して完成です。

 

「works」内「classical」にこちらの額縁をアップいたしました。

どうぞご覧下さい。

 

 

 

夜のお手紙は危険 7月27日

 

「夜に書いた手紙は朝に読み返してから投函すべし」

と昔から言われていますが

ブログもきっと同じですね。

このブログは友人にあてた手紙のような気分で

書きつづけています。

 

夜に書いたブログは日中に書いたブログと

内容が違う気がするのです。

日中には額縁の制作方法とか手順とか

より具体的なことが多い一方で

夜に書くブログは考えていることとか思い出とか。

かく言う今日のブログもご想像通り夜に書いています。

 

夜に書く方が感情を表しやすいのでしょうか。

深夜に気持ちのままにどんどん書き連ねた文章を

朝に冷静に読み返してみたら

「おっと、あぶないあぶない・・・」なんてこと

じつはわたし、結構な頻度であるのです。

だからやっぱり朝に読み返したほうが良さそうです。

 

とても個人的な内容は手紙やメール、ブログではなくて

顔を見ながらお話したいです。

そうは言ってもいまは会うこともためらわれたり

遠くて会いに行くこともままならなかったり。

なので、せめて電話でね。

 

 

hori-16-2 完成 7月23日

 

以前にご覧いただいたちいさな彫りかけ木地

石膏を塗り磨いてボーロを塗って金箔を貼って・・・

無事に仕上げることができました。

▲木地の形は少し違うのです。

 

いつものように、わたしの愛読書である

「Repertorio della cornice europea」掲載の

16世紀末イタリアのピエモンテ州でつくられた

額縁を摸刻しました。

▲本の写真と同寸です。のせるとぴったり。

オリジナルは一回りおおきい。

 

片手に乗るサイズですけれど

細かい彫りで凹凸もあって、箔の作業は

サイズのわりに少々面倒ではありましたが・・・

「小さなモチーフ彫刻の練習」としては

まぁ良い経験になりました。

肖像画とか静物画とか、暗い背景の絵を

入れてみたいような気がしています。

 

「works」内「classical」にこちらの額縁をアップいたしました。

どうぞご覧下さい。

 

 

気の持ちよう 7月20日

 

いまってとても便利な時代で、海外にいる友人とも

会話をするように手軽にメッセージや写真を

送りあうことができるのですね。

 

先日、金箔作業で必死になってキリキリしているときに

イタリアの友人から「おーい、何してるの?」と

気軽なメッセージが届きました。

わたしは「今は金箔作業中だよ~」と返したら

「いいね!金箔仕事はリラックスできるよね」

なんていう返信が来たのでした。

なぬ??金箔作業はリラックスできる???

読み間違えたかと思うほど意外な答えだったのですが

その後も作業をしている間、考えていました。

そうか、わたしがキリキリするような作業内容で

リラックスできる人がいるのだ。

それなら、わたしだってリラックスできるんじゃない??

 

そう思ったら、なんだか気分が楽になりました。

はっと目からうろこが落ちる感じ、そして

肩の力が抜けて血の巡りが良くなるような感じ。

同じことをするなら鼻歌まではいかずとも

気持ちを楽にしたいものです。

結局わたしは金箔作業が好きなのですからね。

 

 

額縁の作り方 29 ほこり大敵 7月16日

 

たいへんに久しぶりの「額縁の作り方」です。

今回はボーロ(箔下とのこ)を塗る前の準備について。

 

ボーロをつかうには、木地に石膏を塗り磨いてある

必要がありまして、この石膏地がないと

ボーロを塗っても箔が付きませんし、

またメノウ磨きも出来ないのです。

たとえば、ボローニャ石膏ではなくアクリルジェッソで

代用しようと思っても、上手くいかないのが不思議なところ。

石膏の硬度、密度、ニカワの有無など関係あるのでしょう。

 

それで、ですね。問題は石膏地は紙やすりで

きれいに磨いておく必要があるのですが

ボーロ以降の作業にはホコリや塵が大敵ということです。

磨き上げた石膏地を、さらにさらに掃除して

石膏粉や紙やすりの屑を極力払っておかないと

箔の仕上がり・・・つまり完成度に影響します。

「たかが石膏の粉でしょ?」と侮るなかれ。

 

磨き終えた石膏地は柔らかい筆で粉を払い、その後は

とにかく乾いたティッシュで拭きまくります。

わたしの経験ですと、ティッシュがいちばん柔らかくて

粉を取り除いてくれるのです。

ウエスやタオルよりきれいになるように思います。

その後、わたしは作業部屋にエアコンプレッサーが

ありますのでさらに風で吹き飛ばすのですが、

お持ちでない場合、カメラなどの精密機器を手入れする

シュコシュコ(名前が分かりません!)で吹き飛ばす!

100円ショップなどでも売っています。

▲これがいわゆるシュコシュコ

 

ちなみに掃除機で吸い取ることも可能ですがその場合、

掃除機の掃除がとても面倒になりますのでお気を付けください。

 

ここで肝心なのは石膏地だけではなくて

裏側や内側もきれいにしておくこと!

木目の中はティッシュでは取れませんから、

筆とシュコシュコを駆使してください。

木目にしつこく入り込んだ石膏紛があとからこっそり

落ちてきて邪魔をしますので、侮れません。

▲ボーロの中にホコリやゴミがあると

ボーロが粉っぽくなって箔の付きが悪くなる。

メノウ磨きのときにメノウが引っかかって箔が傷つく。

金箔を磨いた時にホコリがそのまま凹凸になって現れる。

恐ろしい結果が待っておりますぞ。

 

それからもうひとつ。

ボーロを塗ったら素手では触らないこと。

これはフィレンツェの修復学校で繰り返し言われました。

手の油分がボーロに付くと

箔置きのときの水をはじいてしまいますし

手汗などの水分でホコリが付いてしまうことも。

側面か裏面を持つようにする必要があります。

 

いちいち面倒だな、こんなのある程度で大丈夫でしょ!

・・・とのお気持ち、とてもよく分かります。

だけどひとつの工程を適当にすると、その後がすべて

「ザ・適当」になるのです。

これはわたし自身の教訓でもあるのでございます!

手を抜くべからず・・・。がんばります。

 

 

シルヴァーノのカルトッチョ 8 完成 7月13日

 

シルヴァーノ・ヴェストゥリ氏のカルトッチョ額縁

箔作業も終わりまして、これにて完成です。

箔をどこまで置く(貼る)か

どこまで磨くか磨かないか・・・悩みましたが

貝殻の内側、C字部分の内側、葉の裏側を

磨かずに艶消しで仕上げました。

派手なデザインですので、艶消しがあると

すこし抜け感ができて落ち着くかと思っています。

 

裏にあったパオラの書き込みだけは

記念として残しました。

“A SCARTOCCIO   VESTRI SILVANO”

古色付けはせず、このままで。

ひらひらと薄くて繊細な

カルトッチョらしい表現ができたのでは、と

眺めております。

シルヴァーノさん、いかがでしょうか。

 

 

摸刻の摸刻 7月09日

 

数年前につくった彫刻額縁 hori-makuha-1

のデザインでデッサン用の額縁を、というご注文を

いただきまして、制作中でございます。

 

▲以前つくった額縁を参考にしながら作業します。

 

もともとこの hori-makuha-1 額縁もイタリアの

古い額縁を参考に摸刻した額縁なのですが

今回はその自作の摸刻を参考にするわけでして・・・

摸刻の摸刻といいましょうか。

自分で作ったのに忘れている部分もあったりして

不思議な気分でした。

 

同じデザインをもっと頻繁に作っていれば

そのデザインのための作業が身に付くのでしょうけれど

そんなに機会があるわけでもない場合は

やっぱり見本や参考はある程度必要になるのでした。

 

▲彫り終わりましたらさっそく石膏!

 

この額縁も全面を純金箔で装飾して古色仕上げの予定ですが

以前の hori-makuha-1 より古色は穏やかにしようと思います。

もうすこし繊細な雰囲気の額縁になる予感です。

 

 

シルヴァーノのカルトッチョ 7 箔作業 7月06日

 

黄色ボーロ一色でいこうと決めた

シルヴァーノ・ヴェストゥリ氏のカルトッチョ額縁

ひっぱり続けましたがようやく

いよいよ箔作業の朝です。

 

わたしの黄色ボーロは赤ボーロに比べて粒子が荒いのか

粘りがないのか、カサカサとして箔が付きにくいのです。

なのでまずは念入りに1層新たにボーロを塗りまして

▲ボーロの質は色によるものなのか分かりません・・・

メーカーやロットによっても違うかもしれません。

 

内側からはじめます。

問題は外側の立体的な葉の部分です。

なにせ3Dですし奥に深いので、箔の大きさやら

置き始めの場所やら考えてグズグズしておりますと

あっという間にメノウ磨きのタイミングが来てしまって

箔を置きながら磨きながら同時進行です。

▲一日作業してもここまで。

遅い自覚はありますけれども、なんともはや。

 

でも徐々にコツがわかってきましたよ。

やはり箔は小さめに切った方が小回りが利いて

複雑な凹凸にも置きやすいようです。

 

翌日には箔置きも終えようと思います。

 

 

ふくれた顔で見上げたから 7月02日

 

昨年2019年の・・・いつだったかに

思いついて作りはじめた小さな額縁は

途中でなんだかやる気がなくなって

箱に入れたまま隅っこに置いていました。

 

昨日ひさしぶりに箱を見かけて思い出し

ふたを開けてみたら、額縁がむっとした

ふくれっ面でわたしを見上げたのでした。

(そんな気がしたのでした。)

ひさしぶりに見ても、やっぱりあまり

やる気はおきないのだけれど、あまりにも

いじけた風情だったので再開を決めました。

可愛そうなことをしました。

「ごめんね、仕上げますからご機嫌直してね。」

などと話しかけながら(変ですね、自覚しています)

彫り進めました。

▲この「小さな葉と実の集まり」がすこし・・・鳥肌。

いやいや、こういうデザインなのですよ。

 

デザインの細かさに対して木材が柔らかすぎて

それがやる気の起きない原因だったのです。

まだ仕上がっていませんけれど、なんとか

雰囲気は出てきました。

掃除して整えて、金箔を貼って仕上げるつもりです。

 

 

シルヴァーノのカルトッチョ 6 ボーロの冒険 6月29日

 

シルヴァーノ・ヴェストゥリ氏のカルトッチョ額縁

しつこく続けます。

思い返してみれば、自分が彫った木地以外に

一から石膏を塗って磨いて、と作業をするのは

初めてです。それだけに緊張するといいますか

彫刻した方への敬意をもって作業をしたいと思います。

 

それで・・・問題はボーロの色選び。

前回は黄色ボーロをベースとして4回塗り終えました。

その上に、凸部分に赤か暗赤か茶色か

とにかくもう一色のボーロを塗ろうと思ったわけです。

それが一般的な方法ですのでね。

で、思い出したのは先日得た知識

「フィレンツェでは茶色のボーロが多い」です。

茶色を塗って無難にいくかな。でもなぁ。

 

今回の額縁は、とにかく軽く薄く、を目指しています。

ボーロの色は箔の仕上がり色にも大変影響します。

茶色は重いし、赤だと派手だし、どうしたものか。

それで・・・黄色ボーロのみで箔を置いたらどうだろう、

と思ったのです。

▲前回に塗り終わった黄色ボーロ。

 

愛読書(?)の「Repertorio della cornice europea

をぱらぱらと見ていますと、こんな額縁を発見しました。

▲これもいわゆる「カルトッチョ額縁」と思われます。

 

解説に「preparazione a bolo giallo.」とあります。

「黄色ボーロで金箔下地をつくった」ということ。

それもフィレンツェでつくられた額縁で。

ふむふむ、ならば今回も黄色だけでも良いのではないか?

 

しつこく悩んだ挙句、金箔下地のボーロはこのまま

黄色一色で行くことに決定いたしました。

黄色ボーロで箔置き・・・じつは苦手なのですよ。

だけど、まぁこれも経験、練習です。

 

次回、箔置き開始です。さらにつづきます・・・。

 

 

修復の修復 6月25日

 

18世紀フランスの美しいデッサンが入っている

古い額縁の修復をしています。

欠けたり亀裂が入っている部分に

ウサギニカワを注入して留めて

ボローニャ石膏を足して整形します。

▲いつのとおなじレシピで作った石膏液を

 細い筆で繰り返しのせて欠損を埋めます。

 

上の写真の涙型の彫刻部分、

石膏が欠け落ちて木地が見えています。

以前の修復(修理)で、目立たないように

木地に金色のペイントを塗ったのですね。

今回はこれら「古い修復跡」の修復もします。

石膏で形を整えてボーロを塗って、

周囲と同様に純金で装飾して色合わせをします。

 

修復の修復って、じつは結構あります。

オリジナルに負担をかけないように

できるだけ美しい姿に近づけたいと思います。

 

 

シルヴァーノのカルトッチョ 5 黄色ボーロ 6月22日

 

シルヴァーノ・ヴェストゥリ氏のカルトッチョ額縁

制作を続けます。

ボローニャ石膏を塗り、紙やすりで磨きます。

なにせ薄くと心がけたものですから

ちょっと磨けばすぐに木が出てしまう。

でもこれは仕方なし。

あまり気にしすぎてドツボにはまってはいけません。

端先、葉のなめらかなカーブはきちんと磨き

丸の連なりは表面をかるく研ぐ程度で

隙間をひとつづつ磨いたりしません。

葉の裏側も貝の内側もぬりっぱなしです。

ただ、そうして磨きのメリハリをつける

(手抜きともいう・・・)ためには

正しい濃度の石膏液を適量、適度な厚さで

塗っておく必要があります。

 

つぎは金箔下地のボーロです。

この額縁のように凹凸がはげしいものには

とにもかくにもまず黄色のボーロを塗ります。

▲シャルボネ製の黄色ボーロ、黄色というかオレンジ色

 

これまた薄溶きの黄色ボーロを4回塗って終えます。

▲葉の裏側などにもぬりました。

 

そしてつぎ、黄色の上に塗るボーロは

明るい赤か暗い赤か、はたまた茶色にするか。

そこでふと思い出しました。

またまたつづきます・・・。

 

 

オークションのオンライン見学 6月18日

 

フィレンツェにあるオークションハウスPandolfini では

古い額縁専門のオークションがあります。

▲2018年4月に行われた額縁オークションのカタログ。

これは終わった後の11月に古書店で買いました。

 

今年2020年6月17日の現地時間10時から

額縁専門オークションが開かれましたので

オンラインで見学しました。

▲Pandolfini(パンドルフィーニ)の

インスタグラムよりお借りしました。

美しすぎてうっとり。額縁天国!

 

▲パンドルフィーニのオークションサイト

16日午前10時よりオークション開始です。

 

オークション開催前には実物が公開展示され、

オンラインカタログでは詳細な写真を見ることができます。

不明な点は電話で問い合わせれば答えてくれるとか。

 

▲オンラインカタログで出品作品の詳細を見ます。

 

当日、開始時間にパスワードを入れてログインすると

オークション会場の中継を見ながら入札することができます。

▲中央の女性が進行役。下の画面に入札価格が続々と入る。

入札が終わると木槌で「カン!」と打って落札を知らせる。

 

入札は会場にいるお客さんに加えて電話でする人

そしてオンラインでする人といて3つの方法で進められます。

表示価格より少し安いところから始まって、

人気の額縁は桁が変わるほどの競り合いになって

見ているだけで戦々恐々、ハラハラします。

テレビや映画で見ていた世界なのです。

 

約2時間で総数183枚の額縁が競り落とされました。

欲しいものを落札するには素早い判断と度胸が必要!

慣れと自制心も必要かもしれません。

 

大変に面白い社会見学でした。

いつか現地の会場でも見てみたい。

そして入札してみたい・・・ような怖いような。

 

 

携帯用フォトフレームについてしばし考える 6月15日

 

イタリア・フィレンツェにいる

わたしの額縁師匠パオラとマッシモから

日本の友人へのプレゼントを預かっています。

革でできた額縁。フォトフレームです。

このコロナ禍があともう少し落ち着いたら

お渡しする予定なのです。

 

2月の滞在時、工房で帰国のあいさつをしていたら

パオラが「そうだ!市場で買ったばかりだけど

これを渡してちょうだい!」と急きょ預かったのでした。

なのでまだ手入れもされていない状態です。

▲擦り切れたり傷がついていたり。汚れもあります。

 

左の青はフィレンツェの Pineider製、

右の緑はローマの A.Antinori製、

どちらも老舗、かなり有名店のものです。

(わたしも欲しい・・・でも預かり物。)

眺めていたら修理魂がムラムラ、

もう少し見栄え良くしてさしあげましょう・・・。

まずは固く絞ったウエスでかるく水拭きしてから

絵の具で補彩をしました。

 

▲こちらは濃い緑、もうひとつは深い青

補彩は濃い色のほうが薄い色より難しくありません。

 

そして少しのワックスで磨いて、これでどうでしょう。

まだ傷跡は見えるけれど、まぁぼちぼち。

▲緑にはガラスが入っていましたが荷物で割れてしまい

アクリルに交換しました。青は元から入っていた透明シート。

 

革のフォトフレームは軽くて薄くて丈夫です。

外国の方は長いバカンスに大切な写真を持っていきますよね。

これはきっと携帯用のフレームなのでしょう。

携帯用フォトフレーム・・・わたしも作ってみようかな。

すてきな布袋に入れたりして、良さそう良さそう。

でも、問題は薄さと軽さですね。ふむむ。

 

 

シルヴァーノのカルトッチョ 4 さらに考えた結果 6月11日

 

悩みが尽きないシルヴァーノのカルトッチョ木地です。

いつかこの額縁木地を見本にして摸刻したいと

企んでいるわけですが、それには木地のままが良い。

だけど。

シルヴァーノ氏はこの木地を彫るときに

石膏を塗ってボーロを塗って金箔で仕上げるという

次の作業を考慮していたはずです。

彫りの深さは仕上げによって決まるのですから。

 

ということは、やはりこれは本来の目的通りの

箔仕上げにするのがベストだろう、との結論に至りました。

やれやれ、悩みすぎましたけれど。

 

そうと決まればまずは下ニカワを塗りまして

▲目留めのためにウサギニカワを木地に塗ります。

濡れ色になりました。

 

かなり薄く溶いたボローニャ石膏溶液を

これまた薄く塗り重ねます。

とにかく液溜まりができないように

全体の厚さが均一にムラなくぬれるように

水分の表面張力を利用して塗ります。むずかしい。

▲石膏液の濃度は生クリームくらい。

もちろん泡立てる前の生クリーム。

細めの丸筆を使います。

 

4層塗って終えました。

これ以上でもこれ以下でもない、と思える厚さ

・・・のつもりです。

つぎは恐怖の紙やすり作業です。

 

 

取りもどす 6月08日

 

6月がはじまって、さまざまなことが

再開しました。

市が尾の古典技法教室 Atelier LAPIS も

1日から講座が再開になりました。

 

3,4,5月とお休みしているあいだに

3分の1の生徒さんが退会なさいました。

新幹線通学してくださっていた方

ご病気があった方、都心を通るのが不安な方

退会理由はどれも理解できるものばかりでした。

これからどうなるか・・・再開したいけれど

また休講になるかもしれません。

でもぐるぐる考えていても仕方がありません。

ここ数か月で対応も学びました。

出来る限りの予防をして、いまは前向きに。

そして何よりおだやかに。

日々の感覚を取りもどそうと思っています。