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Atelier LAPIS(アトリエ ラピス)の様子から 2016年5月 5月30日

 

額縁制作の会社にお勤めのMAさんは

毎日のように額縁制作をなさっていますが、古典技法は初めて。

LAPISでの第1作目の古典技法額縁が完成しました。

MA-2016 (1)

木地にボローニャ石膏、赤色ボーロに純金箔の水押し、メノウ磨き。

石膏盛り上げとグラッフィートの装飾、艶あり仕上げ。

今回は汚しなどの古色仕上げはせず、豪華な仕上げにしました。

 

日々のお仕事での額縁制作とはまた違う古典技法額縁の制作、

今後のお仕事の参考にすこしでもなれたら・・・と思います。

MA-2016 (2)

MAさん、古典技法額縁第1作の完成おめでとうございます。

素晴らしい額縁を作って下さり、ありがとうございました!

 

現在はこの額縁に入れるプレートを制作中です。

8枚のプレートに、それぞれ違う技法の装飾を施して

いわば「技法見本」のような作品になる予定です。

 

 

 

白い 5月27日

 

hana2016 (1)

いただいた野生のマーガレットと

hana2016 (2)

庭のばいかうつぎ。

白い花が沢山です。

 

銀はなに色 5月26日

 

銀箔の水押しによる貼り方は

イタリアに留学してから修復学校の授業で学びました。

ボローニャ石膏地に魚膠で溶いたボーロを塗り箔を置く、という方法。

そして銀箔には大抵の場合、黒いボーロが使われました。

銀の白い輝きに黒い下地の深みが加わる印象です。

一方、硬く暗い印象もまたあるように感じます。

 

日本に帰国後しばらくは銀箔に黒ボーロを当たり前に使っていましたが

しばらくしたある日、日本の古い銀箔額縁を見た時に

赤い下地が使われている事に気付きました。(水押し油貼りに関わらず)

その時は、恐らく日本に額縁が入った時に

金箔の下地に赤ボーロが使われているのを見て、

下地=赤が定着したのだろうな、

やっぱり銀箔には黒ボーロが伝統だな!

などと思っていたのでした。

 

でも、それから何度も日本の古い額縁を見るにつれ、

いや待て、銀箔の下地に赤ボーロは有効ではないか?

むしろわたしは赤ボーロの銀箔の方が好きになっている事に気付きました。


イタリアの乾いた空気と強い光のコントラストに対して

日本の湿度ある空気、障子や薄いカーテン越しに入る光による違い…

というのは簡単ですが、もっと日本人の血の感覚とでも言いましょうか。

赤ボーロの方がよりしっくりくるように感じます。

日本国民に多数決を取ってみたいと思う、まぁ好みの差はあれど。

 

銀箔の下から感じる赤い弁柄色の暖かみ、柔らかさは

シックな黒ボーロでも爽やかな黄色ボーロでもない特別なものです。

納める作品にも影響を与える額縁、

ボーロの色を決めるにも悩ましい日々です。

 

 

出久根 ちせ展  花の音色 Fiore Fiorito 5月23日

 

6月13日の月曜日から開催される

出久根ちせさんの展覧会に、KANESEIの額縁5点を

使って頂くことになりました。

 

わたしが留学していたのと同時期にかけて

フィレンツェに6年間滞在されていた出久根さんの作品は

日本とイタリアのイメージがまさしくミックスされていて

手の込んだミクストメディアの作品です。

d-1

出久根さんとわたし、年齢がちかくて経験も似た部分があって

わたしの勝手な感想ではありますが、

額縁の打ち合わせの時も「感覚が近い人」と感じました。

この作品にはこの額縁、このマット、と阿吽の呼吸で決まったといいましょうか。

出会うべくして出会った、なんて思っております。

 

目黒区恵比寿にあるイタリア輸入家具のお店での開催です。

お近くにおいでの際は、ぜひお立ち寄りくださいませ。

CCF20160521

出久根 ちせ 展

花の音色 Fiore Fiorito

2016年6月13日~7月18日

会場:ABITARE(JR恵比寿駅東口から徒歩8分)

 

 

額縁あそび 5月19日

 

またまた見つけた額縁グッズです。

額縁模様のマスキングテープ。


上野で開催中のカラヴァッジョ展の売り場で見つけました。

額縁模様が延々と印刷されているのですが

箱に貼ってみたら、あら、額縁ですね。


楽しくなって、さらに貼る。

小さなシンプル写真立て(市販品)にも貼る。


こんな額縁でしたが


模様換え。テープの幅ピッタリでした。


四隅を45°にカットするのがひと手間ですが

気軽な遊びでした。

曲面にも上手に貼れば使えそうですよ。

カラヴァッジョ展においでの方、ぜひどうぞ。

 

 

帆立貝のタベルナーコロ その8 5月16日

 

迷った磨り出しに見切りをつけて

グラッフィートを保護するためにニスを塗りました。

そして最後の工程、ワックスのアンティーク仕上げです。

フィレンツェの額縁師匠、マッシモ氏から教わったレシピの

茶色のワックスを塗り、ニセモノホコリ(灰色の粉)をはたきます。

tabernacolo8a

凹の奥までワックスを入れて粉をはたかねばなりません。

(凹部分にもきちんと金が入っていることが前提)

汚れは凹に溜まりますから、その再現です。

塗ってはたいて磨いて、繰り返すこと何回か。

徐々に好みの「汚れ」が出来てきます。

 

そして完成です。

1500年代イタリアで作られた額縁・・・に近づけたでしょうか。

tabernacolo8 (5)

tabernacolo8 (6)

tabernacolo8 (7)

ロンドンにあるオリジナルの額縁のような

虫食い穴も留め切れも作りませんでしたし

オリジナルの金はもっと擦れ輝きは低くなっています。

そして汚れはここまでコッテリしていません。

わたしのタベルナーコロは・・・これで良いでしょう。

右側面には差し込み蓋の入れ口。

tabernacolo8 (2)

左側面。

tabernacolo8 (3)

裏面にはステインで着色してワックスを塗りました。

そして吊金具は昨年つくってもらったものを。

銅の吊金具を真鍮のネジで留めました。

tabernacolo8 (1)

下の写真、オリジナルの吊金具は差し込み式でした。

tabelnacolo8a (2)

はっ 彫刻部分の裏面、丁寧に面取りされている・・・

いま気づきました。後の祭り(3回目)

 

なるほどなるほど。反省多々、収穫もまた多々。

とても良い練習と勉強になった制作でした。

百聞は一見にしかず、一経験にしかず?でございます。

お恥ずかしい部分もそのままご覧頂きましたが

これにて「帆立貝のタベルナーコロ」制作報告終了です。

ながらくお付き合い下さりありがとうございました。

tabernacolo8 (8)

いつかロンドンのV&A美術館で

オリジナル額縁の実物を観たいものです。

いや、観るのが怖いかな・・・

 

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この「帆立貝のタベルナーコロ」額縁の木地キットを

現在 Atelier LAPIS で販売予約受付中です。

ご自分での制作にご興味のある方、ぜひどうぞ。

予約受付は5月いっぱいの予定です。

詳しくは下記のリンクから Atelier LAPIS のサイトをご覧ください。

タベルナクル型額縁のキット

KANESEIではこちらのキットを使って制作しました

完成品のご予約もお受けいたします。

また額縁に納める黄金背景テンペラ画模写も制作いたします。

こちらも5月いっぱいの受注です。

下記のリンクをご覧のうえ、ページ上部右の「ccontact」からご連絡くださいませ。

帆立貝のタベルナーコロ 木地キットと完成品受注のおしらせ

 

 

金継ぎ練習 5月12日

 

最近、わたしは金継ぎ(金繕い)を習い始めましたら

以前よりも繕ってある物に目がいくようになりました。

いつも楽しみに出かける平和島の全国古民具骨董まつりでも

様々な器が繕われており、眺めるだけでも楽しいのです。

そんな中、籠に入れて売られている物を見てビックリ。

割れたり欠けたお皿がガラガラとあって

「金継練習用」と書いてありました。

ふうむ、なかなか商売上手ですな。

…と、つい一枚買ったのでした。

欠けたお皿と欠片のセットです。

このお皿も割れる前の販売価格1/7程度のお値段だとか。

それもそのはず、でしょうか?

欠片を組んでみても大きな一片が足りません。


写真左に写っている本のように

木片で再現しなければなりません。

幸いにもKANESEIでは木片には事欠きませんけれど、

なにせ薄いお皿なので木片も薄く上手に作らねば。

 

以前なら売り物にもならず廃棄されたかもしれないけれど

金継流行りで生き延びられる物たち。

蘇って我が家の食卓で活躍してほしいのです。

 

 

茶色いろいろ 5月09日

 

細めの木枠で作る額縁いろいろ。


いつものように、あっち塗ったらこっち磨いて、

あっちこっちです。


それぞれ違う茶色の仕上げにします。

いろんな色の塗料、オークやチェスナット、オリーブ色

混ぜたり薄めたりしています。

同じ塗料でも木地の種類によっても色が変わります。

これから更ににワックスでまた色の変化を加えたり。

 

楽しい!

仕事が楽しいって幸せなことです。

 

 

帆立貝のタベルナーコロ その7 5月05日

 

またまた久しぶりになってしまった

帆立貝タベルナーコロの制作報告です。

そろそろ完成も間近です。

 

装飾模様を入れ終わり、箔も磨き終わりました。

グラッフィートを保護するためのニスも塗りました。

これで完成、とすることもできます。

この額縁が制作された当時、おそらく完成図は

こんな様子だったのではないでしょうか。

tabernacolo5 (1)

いつも思うことですが、ルネッサンス当時に

すこし時代を経た古びた感じの額縁を好んだ人がいたのか、

それとも磨き上げた金の荘厳な輝きこそ至上だったのか。

アンティーク仕上げ、していたのでしょうか。

長年の疑問なのです。

 

さて、わたしは古びたものが大好き、ですので

この額縁もあえて金の輝きを押さえて時代を感じさせる仕上げにします。

でもグラッフィート部分の磨り出しはしませんでした。

オリジナルはずいぶんと擦れているのですけれども。

箔の部分を叩いて傷をつけて、石膏を割って木地を出したり。

tabernacolo7a (1)

 

上の写真では、あまり磨り出しの結果が見えませんが

tabernacolo7a (2)

角度と場所を変えると凸や角部分にボーロの色がすこし見えています。

もう少し磨ってみようか、どうしようか・・・

迷いつつ今日の作業はここまで。

次は磨り出しに決着をつけて、ワックスで汚しを付けます。

 

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この「帆立貝のタベルナーコロ」額縁の木地キットを

現在 Atelier LAPIS で販売予約受付中です。

ご自分での制作にご興味のある方、ぜひどうぞ。

予約受付は5月いっぱいの予定です。

詳しくは下記のリンクから Atelier LAPIS のサイトをご覧ください。

タベルナクル型額縁のキット

KANESEIではこちらのキットを使って制作しました

完成品のご予約もお受けいたします。

また額縁に納める黄金背景テンペラ画模写も制作いたします。

こちらも5月いっぱいの受注です。

下記のリンクをご覧のうえ、ページ上部右の「ccontact」からご連絡くださいませ。

帆立貝のタベルナーコロ 木地キットと完成品受注のおしらせ

tabernacolo8 (5)

 

 

福の神さま 新たに 5月02日

 

毎年この時期に美しい花を満開にしてくれる

KANESEI作業部屋前にある黄色いモッコウバラは

今年もやっぱり福を運んでくれました。

2012年に「この花はもしかしてKANESEIの福の神様か?!」

と思ったのが始まりで、それ以来毎年のように

モッコウバラの花の時期(大型連休頃)は大忙し、

一年の中でも特に、とても充実した毎日を過ごすことができています。

fuku2016 (1)

卵の黄身の様な優しい黄色、良い香りです。

 

そして今年は小さな福の神様も加わってさらにパワーアップ。

昨年春に深大寺植物園で購入した「斑入白鳥花」の盆栽が

かわいらしい白い花を咲かせています。

小さな体にたくさんの花を咲かせる姿がいじらしい。

fuku2016

モジャコンビの相棒、アイビーは刈り取った枝を水栽培して

いまやどんどん家族(?)分身(?)を増やし、繁栄弥増すばかり。

KANESEIの晩春は植物に福と力をもらって頑張っています。