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格子窓の風景 旧東ドイツから 9月30日

 

ベルリンに住む友人の家を訪ねたことがあります。

彼女の住むアパートは旧東ドイツ側にありました。

この窓からの風景を眺めて滞在した数日間

思い出話 将来のこと・・・取り留めの無い会話

楽しかった記憶が蘇ります。

友人は既にこのアパートから引越しました。

今は他の誰かがこの窓からの風景を眺めているのですね。

 

またいつか友人を訪ねてベルリンへ行きたいと思っています。

その時はまた新しい格子窓からの風景が見られるはずです。

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考える・・・ 9月29日

 

ガラス越しに彼(あるいは彼女)と対面したのは

晴れた日の午後でした。

わたし達観察者のとても近くに自ら来て座っているのに

まるで一人きりの空間に居るような様子です。

自分の前で何が起ころうと 興味の目で覗かれようと

慣れているのか まるでお構いなしに佇んでいました。

実はわたし達の方が観察されているのか

こんな境遇の自分を哀れんでいるのか・・・

なにかとても大切なことを考えているような表情が

印象に残っています。

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ヨーロッパの職人 9月28日

 

先日 タイトルに惹かれて手に取った古本です。

「ヨーロッパの職人 Craftsmen Of Europe」というタイトルで

カメラマン南川三次朗さんの著書です。

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24人の職人が取り上げられている中 ローマの額縁職人と

フィレンツェの絵画修復職人 ベルギーのパイプオルガン職人が

特に気になり手に取りましたが 本を開いた瞬間から

もう手放せ無くなりました。

カメラマンの著者ならではの美しい写真もさることながら

職人それぞれの言葉 その語る内容に対する著者の考えなど

ゆっくり読んで考えさせらることが沢山ありました。

 

この本では いわゆる名人芸 秘芸のたぐいは取り上げず

皆ヨーロッパの人々が日常生活で接することの出来る品々を作る職人達です。

あとがきに「手作りが注目を浴びる今のブームが去って

結局 未熟な半玄人の”手で作られた”と言うだけの粗悪品だけが

残ってしまうということにならないだろうか」とあります。

これはわたしも常に心の一部で感じていたことです。

手で作られていることがどの程度価値あることなのか?

その「手作りのもの」の商品としての完成度は??

 

未熟な半玄人・・・

いえいえ。わたしもさらに精進いたします。 

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データ : 「ヨーロッパの職人」

     著者 南川三治朗

     (株)朝日ソノラマ 

     昭和55年9月30日 第1版発行

「works」の額縁 TEAK 9月27日

 

 今日も引き続き「works」に掲載している額縁をご紹介いたします。

「modern」のトップ TEAK です。

 

一時期 額縁の角を丸くするのに凝った(大げさですが)ことがあります。

この TEAK もその時期に作りました。

先日ご覧いただいた frido も同時期の物なので角が丸いのです。

名前のとおりチーク材を寄木にして作ったのですが

シンプルながらもなかなか楽しい額縁になったと思っています。

写真を入れても良さそうです。

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4.3.2.1 9月26日

 

良く晴れた日の夕方の風景です。

4本の木

3艘の漁船

2人連れの親子

1つの海

とても穏やかです。

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何も無い そしてまた 9月25日

 

これはどこだったか・・・またもや何も無い風景です。

ヨーロッパ大陸の平野 見渡す限りの畑です。

ひたすら平な地平線に雲が接する風景は

日本ではなかなか見ることが出来ません。

農閑期だったのかどこまでも土が広がり

遠くに4本の木だけが見えていました。

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「何も無い」の思い出も4つ目になりました。

「works」の額縁 frido 9月24日

 

今日お話したい額縁は frido です。

この額縁はハガキサイズの小さなもので

ドイツの友人夫婦に長男が誕生したときのお祝いとして作りました。

この子の名前が Frido Serafin と言います。

今はもう満3歳になってベルリンで元気に成長しています。

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実は・・・ 9月23日

 

あいかわらず行かずにはいられない骨董市で見つけた

ちいさなフランス製の額縁です。

中に入れられる物はちょっと変形で縦長ですね。

まだ合いそうな絵(写真でしょうか)は見つかりません。

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この額縁は木製で丁寧にブドウの模様が彫られている・・・

と思われるでしょう?

ところが。

実は裏を見たら一目瞭然ですが 樹脂製でした。

小さな額縁をまるごと型取りして量産されたのだと思いますが

色といい彫の感じといい あやうく騙されるところでした。

この額縁にしてみれば騙すつもりは無かったかもしれませんけれど…。

 

なににせよ(樹脂にせよ)可愛らしい年代物には変わりありません。

新たな出会い 歌舞伎 9月22日

 

先日 「歌舞伎座さよなら公演九月大歌舞伎」へ行きました。

歌舞伎観劇は2度目ですが歌舞伎座は始めてです。

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わたしにとって歌舞伎は「良く知らないけれど分っている」ような

曖昧な知識の文化でした。イメージとして定着してしまったような?

興味が無いわけではないけれど 優先順位はそれほど高くない。

ところが今回の歌舞伎観劇はなんというか…発見の連続でした。

今までの歌舞伎に対するイメージといえば

浮世絵で観るような様式美に終始して セリフが難しく

劇のあらすじを知らないと内容を理解するのが大変

というような ネガティブに近いものでした。

改めて大きく反省です。

今回の演目が「勧進帳」と「八百屋お七」という有名なものだった

のもポイントの一つではありますが

舞台の色 音 声 そして劇場全体を包む雰囲気や空気

すべてが楽しく華やかで懐かしくて どこかはかなげ。

とかく西洋の美術と文化にばかり目が行っていて

日本文化に対する気持ちを疎かにしていたかもしれない?

言葉で表すのが難しいのですが 大げさに言えば

「目からウロコが落ちた」でしょうか。

 歌舞伎との新たな出会いでした。

 

わたしが尊敬する一人の人の言葉に

「先入観を持たずに心と頭をオープンにして置くことが大切」があります。

額縁を作るうえでも 日々の生活のうえでも

この言葉を心がけることで 一体いくつの新しい発見があることか!

先入観で閉ざしていた為に失ったことの多さに気付くと愕然とします。

心と頭をオープンに。

難しいですが実践したいと思っています。

「works」の額縁 fiore 9月21日

 

こちらKANESEIサイト内の「works」で

既にいくつか額縁をご覧いただいていますが

これらの額縁のお話をはじめようと思います。

 

まずは「classical」ラインのトップ fiore です。

イタリア語で「fiore」とは花のこと。

この額縁の四隅に花を彫刻しました。

わたしとしては百合の花のイメージなのですが・・・いかがでしょうか。

そして百合の花はフィレンツェ市のシンボルということもあり

KANESEIの額縁モチーフとして登場してもらうことにしたのです。

この額縁はいくつも作っており 思い入れもひとしおです。

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散歩中に金木犀が放つ香りに気付き周囲をキョロキョロ眺めています。

あんなに華やかな香りなのに花はとても小さくて。

この香りをかぐと本格的な秋を感じます。

 

格子窓の風景 日差しの中で 9月20日

 

天高馬肥の季節になりました。 

 

以前訪れた洋館の居間です。

午後の暖かな日差しが差し込むソファーで

ゆっくり本を読んだら・・・

気持ちよすぎて眠ってしまいそうです。

窓の向こうの森から鳥の声も聞こえます。

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家族の肖像のために 9月19日

 

旅先でなにげなく撮った笑顔の写真がとても上手にできて

引き伸ばして部屋に飾ろうと思い作った額縁です。

スナップ写真の額縁はあまり装飾的ではない方が合うようですね。

とはいえ わたしはやはりデコラティブな額縁が好きなので

シンプルながらも四隅に金の装飾を入れることにしました。

この額縁に入れている人物写真の背景は森なので

細く濃色の木地とのバランスも取れました。

 

思い出の写真 記念の写真 大切な人の写真・・・

KANESEIの額縁に入れて身近に飾って楽しんでいただきたいと思っています。

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* 本日「works」内 「classical」にこちらの額縁をアップいたしました。

      どうぞご覧下さい。(左から4点目です。)

なぜここに? 9月18日

 

スペインを車で旅したときに通りかかった町です。

あまりに不思議な風景で立ち止まりました。

急斜面の上に日を浴びて立つ教会

下の白い町から教会へ行くには一苦労でしょう。

なぜこんな場所に町を作ったのでしょうか。

防衛のため?それとも教会を高いところに作るために?

 

後姿は友人です。

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布の額装   9月17日

 

額縁に入れて飾ることが出来るのは

絵や写真ばかりではありません。

こんな可愛らしい布の額はいかがでしょうか。

こちらは目白にある布と玩具のお店「LUNCO」さんで

見つけた古いハギレの一部です。

額縁に入れて飾れば世界にひとつだけの美術品として

お部屋を明るくしてくれます。

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「LUNCO」には端切れのほかにもアンティークの着物

帯や和装小物 玩具などワクワクするような品揃えです。

有名なお店なのでご存知の方も多いと思いますが・・・

目白の駅からすぐ。ぜひおはこび下さい。

 布と玩具 LUNCO http://www.lunco.net/

格子窓の風景 バロック音楽とともに 9月16日

 

洋風の格子の入った窓が好きです。

何気ない風景も 格子で四角く分割されると

物語が生まれてきそうな気がします。

こんなさわやかな青空を格子窓越しに眺めれば

バロック音楽でも聞こえてきそうな雰囲気ではありませんか?

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古典技法額縁の作り方 番外 ZECCHI 9月15日

 

古典技法額縁の制作方法はヨーロッパ伝来です。

なので材料の中には日本では手に入り難いものもあります。

先日 フィレンツェから一時帰国する友人にお願いして

ドゥオーモ近くにある古典技法の材料が豊富に揃っているお店

「zecchi」(ゼッキ)からこの魚の膠を買ってきていただきました。

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「冷静と情熱の間」という映画をご存知でしょうか?

この映画の絵画修復師の主人公(竹ノ内豊さん演じた)が

自転車に乗って買物に行っていたのもこのzecchiです。

懐かしい包み紙を開けてみましょう。

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魚の膠といっても見た目は食用の板ゼラチンと変わりません。

古典技法額縁の制作で ボローニャ石膏を溶くにはウサギ膠

そして箔の作業にはこの魚の膠が欠かせません。

ウサギ膠より固着力は弱いですがサラリとしているのが特徴です。

箔の作業にウサギ膠を薄めに溶いて使うこともあるようですが

私はもっぱら魚膠を愛用しています。

 

zecchi はインターネットからの通販も受け付けています。

日本ではとても高価なメノウ棒やラピスラズリの顔料 金箔

羊皮紙や古典技法の材料も購入できると思います。

日本語は残念ながらありませんが英語もありますので

ご興味のある方はぜひ覗いて見てください。

http://www.zecchi.it/

やっぱりラデュレが好き 9月14日

 

以前「ラデュレが好き」とお話しましたが

今日もまた「やっぱりラデュレが好き」なお話です。

こちらラデュレはフランスのお菓子のお店なのですが

東京では日本橋と銀座のデパートに入っています。

(ご存知の方も多いと思いますが)

このデパートへ行くたびに色とりどりのマカロンを選び

美しい小箱に入れていただいて喜んでいます。

併設されているカフェも これまた素敵な内装でうっとり。

日常から切り離されたような空間で 出てくるのはため息ばかりです。

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なぜこんなに惹かれるのか…

ひとえにラデュレの装飾と色の組み合わせに尽きるようです。

幾通りもあるピンクのなかでも ラデュレのこのピンク

同様に選ばれた紫 緑 グレー 水色・・・ 

そしてロゴに使われている金。小花。

パステル調だけど決して甘すぎないシックな色使い。

大人の乙女心(?)をピンポイントでくすぐるとでも言いましょうか。

カフェに入ると何もかもが夢のような「ラデュレの世界」です。

ああ でももちろん!雰囲気や色使いばかりではありません。

お菓子のお店なので ケーキもマカロンもとても美味しいのです。

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viva nutella! 9月13日

 

ヌテッラ。イタリアで生活したことのある方は

おそらく一度は目にしたことがあるであろう「nutella」です。

ヘーゼルナッツとチョコレートのスプレッド。

味はご想像の通りです。

パンにつけて食べるのはもちろん

街の小さなお菓子屋さんではヌテッラクリームのパイ

「la torta di nutella」なんて物も普通に売られていたりします。

おそらくイタリアの人達にとっては

幼い頃の記憶と強く結びついた食べ物だと思います。

こんなビン入りだったり アニメのキャラクターが

印刷されたコップ(食べ終わったらコップとして使える)で売られていて

子どものいる家庭で常備していないところは無さそうです。

イタリアでたった数年間暮らしただけの私も

この「nutella」のロゴを見ると懐かしさで一杯です。

 

だんだん涼しくなって チョコレートが益々美味しい季節ですね。

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銀を錆びさせてみたら その2 9月12日

 

一口に銀の錆色といっても いろいろな色があります。

銀箔を使った額縁を意図的に錆びさせる場合

薬液の種類や濃度によって錆の色や光沢も変わります。

以前展覧会で見たモダンな銀の額縁の錆色が

なんとも繊細な具合に出されていて感動したことがあります。

工房によって薬液のレシピがあるのですが・・・

それはおそらく門外不出の宝物ですね。

下の写真の額縁2点もそれぞれ違う薬液で錆びさせています。

使っている銀箔は同じ物なのに錆によって変化が出ます。

紫がかって艶が無いもの 金色の艶をおびたもの

どちらがお好みでしょうか?

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わたしの額縁の原点 9月11日

 

今日ご覧いただく額縁はフィレンツェで3年間通った修復専門学校

木工修復科の修了制作として作ったものです。

以前ご紹介したスペインの本「Coleccion CANO DE P.E.A」に

掲載されているゴシックスタイルの額縁を模刻しました。

角材の状態から木枠を組み 彫刻し 石膏を塗り金箔を施し

グラッフィートと呼ばれる技法で模様を入れています。

金箔の上にカゼインテンペラを塗り この絵の具層を

細く引っかくことで下の金箔を出しています。

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私がイタリア フィレンツェの修復専門学校「Palazzo Spinelli」へ留学したのは

当初は絵画修復を勉強するためでした。

大学時代から色々な先生にお世話になっては

油絵修復の手伝いをさせて頂いたり 模写をしたりと準備し

大学卒業と同時にフィレンツェへ行きました。

修復学校が始まる秋までの4ヶ月間 語学学校へ通いましたが

その頃にパリに留学中の友人を訪ねたことがあります。

パリ16区にあるマルモッタン美術館へモネの大作を観に訪れた時

思いがけずゴシックスタイルの額縁達に出会いました。

美術館入口からすぐにミニアチュールの作品を集めた部屋がありました。

赤い壁に暗い照明の中で小さな額縁がギッシリ展示されており

その部屋に足を踏み入れた瞬間の感動と言いましょうか

衝撃のようなものは今も良く覚えています。

それまでも沢山の額縁を見ていたはずですが

この時ほど「額縁」に打ちのめされた(としか言いようがありません)

ことはありませんでした。

パリからフィレンツェへ戻ったのは修復学校が始まる1週間前でした。

赤い小部屋で見た額縁の感動と衝撃が尾を引いたまま

そして漠然とどこか心の底でうごめいていた疑問が重なって

翌日の夕方には修復学校へ転科願いを出しました。

こうして木工修復科へ通うことに決め

同級生が家具修復工房で修行する中 私は額縁制作工房へ行き

3年後の修了制作で パリで見たゴシックスタイルの額縁を

イメージしてこの額縁を作りました。

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こうして文章にしてみると我ながらなんと衝動的なのだろうかと思いますが

私にとっての人生の転機 重要な瞬間というのは本人の好む好まざるに関らず

本能的に(?)決断が下される・・・と言う風に感じています。

どんなに迷っても理由付けを考えても 既にもう決まっていることのような・・・?

 

この額縁は私的記念碑になっています。

primavera 春の色 9月10日

 

季節はずれなタイトルですが・・・

この額縁を春に作ったので「primavera」と名付けています。

 

以前額縁メーカーの方とお話しする機会がありました。

「明るい色の額縁は案外少ないが希望されるお客様は多い」

とお話されていたことを良く覚えています。

それもあってパステル調の額縁を作ろうと思い立ちました。

ちょうど季節は春でした。

春をイメージする色と言えばピンクや淡い緑などかと思いますが

水色の爽やかさも良いのではないでしょうか。

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秋をイメージした額縁は何色でしょうか。

作ってみようと思います。

* 本日「works」内 「classical」にこちらの額縁をアップいたしました。

   どうぞご覧下さい。

ライオンと白猫 9月09日

 

フィレンツェでわたしが住んでいたアパートの近所では

月に一度ちいさな骨董市が開かれていました。

それこそありとあらゆる「古い物」が売られています。

興味がない人にはただのガラクタでも好きな人にとっては宝物

そんなものが詰まった木箱が店の片隅に転がっていて

ガサゴソ中を漁っているとたまに面白い物に遭遇することもありました。

写真左は家具の足だったであろう壊れた猫足の彫刻です。

かなり大きい足なので乗っていた家具も大きなクローゼットか何かでしょう。

いくらで買ったのか もう記憶にありません。

 

木工修復科には彫刻の授業もあり 見本を見ながら

角材から掘り出していくのは楽しい時間でした。

写真の右にある小さな不恰好な足二つは授業で作った物ですが

左の古い大きな足にくらべると なんとも不憫です。

ライオンに対峙するおびえる白猫2匹のようにみえませんか。

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額縁の本 ニコラス・ペニー著「額縁と名画」 9月08日

 

今日ご紹介する本は単行本サイズです。

著者はロンドンのナショナルギャラリーの学芸員の方で

ナショナルギャラリー所蔵の名だたる作家作品の

額縁写真を豊富に掲載し 額縁の歴史 デザイン 技法

絵画との関係 インテリアとしての役割などを簡潔に

読みやすい文章で書かれています。

主にバロック時代までの額縁がメインとされており

近代~現代の額縁に対する考えやスタイルが無いのが

残念なところとも言えますが・・・

額縁修復についても少しですが触れられています。

また古い時代の額縁を後世の画家達がいかに

生かして使っていたかなど面白いお話もあります。

副題にあるとおり「~額縁鑑賞入門」としては最適の構成です。

 

データ : 「額縁と名画 絵画ファンのための額縁鑑賞入門」

      著者 ニコラス・ペニー (古賀敦子訳)

      株式会社八坂書房

      2003年9月10日 第1刷 発行    

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印刷の美しさ vs 手描きの強さ 9月07日

 

日本橋丸善にて先日から展示されている

「グーテンベルク42行聖書」を見に行きました。

ご存知のように活版印刷技術は世界の3大発明の一つ。

このグーテンベルク42行聖書は15世紀に紙に

この活版印刷で印刷された世界初の聖書の一つだそうです。

整然と並んだ文字は当然ながらとても安定しており

本は想像していたより大きく そして500年も昔に作られたとは

思えないほど保存状態もとても良く美しい聖書でした。

 

発明された当時確かに画期的ではあってもまだごく一部

限られた人達だけのための技術であったかもしれません。

その「大切さ」「ありがたさ」の恩恵は後の世になって

広く世界に行き渡ることになりました。

歴史的な大発明出来事も「その時」ではなく 後になって

「ああ あの時に時代が変わったのだな」と気付くものなのですね。

 

展示されている聖書は美しく厳かな雰囲気でした。

でもやはり手描きの強さや発するエネルギーのような物が

あまり感じられなかったのは…やはり印刷だからなのでしょうか。

それともわたしの先入観でしょうか。

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「グーテンベルク42行聖書」展

丸善日本橋店3Fギャラリー 9月8日(火)まで 入場無料

http://www.maruzen.co.jp/Blog/Blog/maruzen02/P/7651.aspx

古典技法額縁の作り方 番外「完成」 9月06日

 

「古典技法額縁の作り方」でご覧いただいていたコーナーサンプルは

無事に制作につなげることが出来ました。

依頼して下さった方のご希望に添って サンプルよりも

すこしだけ装飾を小さく控えめにしました。

今日は完成した姿をご覧いただこうと思います。

 

黒いベースに石膏盛上げ装飾で植物モチーフの模様を入れました。

黒の下地には補色の赤褐色を塗っています。

金箔をあしらってアンティーク仕上げをしたのは

すべてコーナーサンプルでご覧いただいていた通りです。

額の内側にはライナーと言いましょうか 作品と額縁をつなげ

ガラスを押さえる役目をする内枠を入れました。

こちらも内側に金箔をあしらいグレーのベルベットを貼っています。

 

この額縁は来年の秋の展覧会で登場する予定です。

1600年代イタリアで描かれた作品が入ります。

まただいぶ先のことではありますが

皆様にご覧いただける時期が来たら またこちらでご案内申し上げます。

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和洋折衷 9月05日

 

鎌倉の骨董店で見つけた日本の模様集です。

和綴じの本で「古代模様集弐編」 横書きの文章は

まだ右から左へ書かれているので大正時代出版でしょうか。

着物や漆器などに使う模様を集めたようですが

中にはどこか西洋を思わせる模様も見受けられます。

正倉院の宝物にあるような・・・西洋とも東洋とも言えない

エキゾチック(?)な雰囲気です。

古典技法の箔を使った額縁にも合いそうな模様もあるので

この本を参考に「和洋折衷」の額縁を作ってみようと思っています。

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夢のつづき 9月04日

 

夢で見た風景を現実で見たら それはやはり

デジャヴというのでしょうか。

それとも子どもの頃の記憶が呼び覚まされているのか?

くりかえしくりかえし何度も見る夢がありますが

その夢の風景として出てくる森そっくりの風景がありました。

この森の反対側 つまり写真を撮っているわたしの

背中側はもうすぐに通行量の多い道路がありましたが

森はどこまでも続いているように見えました。

夢の中ではわたしはまだ小さな子どもですが

記憶や意識は現在の状態で大きな日本家屋の奥座敷にいます。

縁側の先に広がっていたのがこの森の風景でした。

夢のなかの森はもっと暗かったかもしれません。

「こんな庭のある家に住みたいなぁ」と夢の中で思いましたが

現実に見てみると ちょっと恐いような森でした。

なぜこの夢をくりかえし見るのかは未だに謎です。

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M&P 9月03日

 

フィレンツェには額縁工房が想像を超える数存在します。

また額縁制作にともなう木工所や彫刻工房なども含めると

大きくない町なのに額縁に関りのある職人さんは驚くべき数です。

それだけ需要があるということなのですね。

そのような環境の中でも 東洋の女性留学生を

受け入れてくれる額縁工房がいくつあるかといえば 

残念ながらそう多くはないのが現実でした。

第一に家族や個人単位の極少数で経営する工房が多いこと

そして当然ながら学生を受け入れれば

余計な仕事も負担も増えると考えるのが当然です。

わたしを受け入れてくれたマッシモ氏の工房も

マッシモ氏とパオラ夫人の二人で作業を進める小さな工房です。

今思えば ある日突然「額縁制作の勉強をしたいから

手伝わせて欲しい」などと図々しく押し掛けて行ったわたしを

よくぞ受け入れてくださったことと改めて感謝の気持ちで一杯です。

 

わたしが通っていた専門学校では2年生になった時から

工房で実地の修行をすることを奨励していました。

もちろん無給ですが商売の現場に乗り込むわけです。

とは言え学校が工房を紹介するわけでもなく 学生自身が

目指す工房を直接訪ねて(それこそ自己責任で)許可をもらいます。

マッシモ氏の工房はサンタ・クローチェ教会近くの住宅街の角に

小ぢんまりとした店構えで佇み ショーウィンドウには

アンティーク加工した色とりどりの額縁大小が並び

そして店のカウンターにはヒゲ面ギョロ目(本当なのです・・・)の

マッシモ氏が仏頂面で接客しているのでした。

ドアを開けるときの緊張を今も思い出します。

その日から留学を終えて帰国するまでの2年以上の日々

毎日半日をマッシモ氏の工房で過し  額縁に接し

学校では学べないことを教えて頂だくという

今のわたしを形作る何物にも変え難い時間を過すことが出来ました。

工房外でもまるで両親のように心配し イタリアで暮らす上での

諸々のことを教えてくださいました。

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帰国する挨拶に工房に伺うと マッシモ氏が工房の奥から

ひとつの額縁を持ってきて贈って下さいました。

それがこの額縁なのですが・・・

工房にお世話になり始めたばかりの頃 まだ覚束ないわたしに

この額縁の彩色装飾の仕事が与えられました。

完成はさせたものの 堅い線から自信の無さがにじむ結果に。

結局お蔵入りになってしまった苦い思い出の額縁でした。

挨拶のその日 マッシモ氏がアンティーク加工をして仕上げ

裏にご夫婦でメッセージを入れて記念に持たせてくださったのです。

口数の少ないマッシモ氏の「初心忘れるべからず」とのメッセージのような

思い出が沢山つまった額縁です。

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「裏通り」ならぬ・・・ 9月02日

 

ヴェネチア住宅街の「裏通り」ならぬ「裏水路」です。

こうした細い水路が家々のすぐ裏にもあります。

自家用車やオートバイを路上駐車するかのように

ここではボートが水路上駐”船”しています。

水路のうえに洗濯物を干していますが

なかなか乾かないでしょうね。

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不動のゴールデンコンビ 9月01日

 

金を使った額縁に色を組み合わせる場合

色の数だけ選択肢がありお好み次第です。

パステル調でも原色でも 最後には必ずまとまってしまう

その調和の力は「金色」の持つパワーだと思っています。

そのなかでも金と黒の組み合わせ これはもう

クラシカルな額縁では不動の一位と言えるのではないでしょうか。

そしてアカンサスも典型的なモチーフのひとつです。

このゴールデンコンビで作りました。

ともすると強烈で過剰装飾な印象になる金と黒とアカンサスです。

できるだけシンプルに 強さも柔らかさも兼ね備え

前に出過ぎない印象の額縁に と理想ばかり高くなりました。

典型的なデザインこそ 作るのが難しくまた楽しく

作者の個性もまた見えてくるのかもしれません。

ともあれ・・・アカンサス模様は好きなモチーフです。

たのしく作ることが出来ました。

版画作品などと相性が良さそうです。

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* 本日「works」内 「classical」にこちらの額縁をアップいたしました。

   どうぞご覧下さい。