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きんとうん・・・? 金斗雲! 10月30日

 

いつも谷中にある箱義桐箱店から

購入させていただいている桐小箱を

最近すこし加工して形に変化を出すことに凝っています。

 

今日の小箱は角を丸くして

蓋をゆるやかに丸く落としたかたち。

そこにモリモリッと雲をパスティリアで入れました。

 

 

江戸時代の装束裂「雲の丸文」から引用しました。

 

▲パスティリア部分ドアップ

 

アップにすると(粗が見えますけれども)

雲の周りにマイクロ点々を打っているのが見て頂けるかと。

このキラキラが予想以上に効果的でした。

 

▲女性用腕時計と並べました。サイズ感が伝わりますでしょうか。

 

いつもなら別珍を張り込むのですが

この小箱の内部は黄土色の艶消しに塗装しました。

御香合に使っていただいたり

ピルケースなどにどうでしょうか、と思いました。

 

布が無いほうが使いやすい、という用途もあるなぁ・・・

そしてお好みで後から別珍は張り込めますから

ご希望に応じて、と思っています。

 

 

作っている間、この小箱の呼び名は「きんとうん」でした。

有名なマンガでは「筋斗雲」と書かれていたようですが

西遊記の本には「觔斗雲」、また

「金斗雲」と表記することもあり、所説あるようです。

 

この小箱は純金箔で仕上げましたので

やはり気分的には「金斗雲」と呼びたいところです。

 

 

お手元にちいさな金斗雲、いかがでしょうか。

 

「秘密の小箱」展

11月9日(木)~11月19日(日)

箱義桐箱店 谷中店

10:30~18:30 月曜・火曜休廊

 

 

Firenze 2023-2 食べた食べた4 10月26日

 

2023年1月~2月のフィレンツェ滞在記のつづきです。

サンタ・クローチェ地区の小さなアパートを借りて

疑似ひとり暮らし。


普段は家族と暮らしておりますので

料理をしても「ひとり分」がイマイチつかめません。

そしてイタリアのスーパーではパック売りのもの(野菜もお肉も)は

基本的に日本の商品より量が多い気がします。

 

さて、サンタンブロージョ市場へ繰り出して

ちりめんキャベツ、玉ねぎ、にんじんやロマネスコ、果物

美味しいバター、トスカーナ名産の塩なしパン等を買い込み

朝っぱらから晩ごはんを仕込みます。

市場の帰りにまたもやスーパーに立ち寄り

市場で買い忘れた鶏肉とスープストックも購入。

チキンスープを作りましょう。

 

▲包丁は前回までの滞在で凝りまして、

小さくて使い慣れた包丁を持って行きました。

 

上の写真のものはスープストックですが

日本では見たことのない濃縮ジュレ状。

普通のキューブタイプもありましたが試しにこちらを使ってみたら・・・

やっぱり美味しいのですね。

味がフレッシュと言うか柔らかいと言うか。

ビーフやチキン、野菜のみなど数種類ありました。

 

そしてこの鶏肉、「ずいぶん大きな手羽元だな!」と思っていましたが

骨付きのもも肉なのでした。

これまた日本の一般的なスーパーで売られている

骨なし開き状態では無くて、こんなところでも

「国が違えば・・・」を感じる。

 

 

骨付きもも肉、ロマネスコ、ちりめんキャベツの

外側の濃い緑の葉をグツグツ。

そして完成して喜んで、午後は額縁師匠のパオラの工房へ出かけたのでした。

 

 

さて。パオラとしゃべりにしゃべって

頭も口も耳も疲れて帰ってきましたが

もうご飯は出来ている幸せ。早速晩ごはんです。

冷えた白ワイン、マスカルポーネとゴルゴンゾーラのチーズセット

そして例のチキンスープ・・・ですが

キャベツの外側の葉を捨てずにケチったので

「これでもか」と煮込んでも微妙に硬い・・・。

いや、まぁ自分で作って自分ひとりで食べるので

硬いな!で終わるのです。

上の写真はサイズ感がおかしいとお思いでしょうけれど

このイチゴが巨大なのです。キウイフルーツくらい大きい。

 

 

そして寂しいのでテレビをお供にするのですが

選りによって(?)ベルルスコーニ氏が

わたしの晩ごはんにお付き合いくださいました。

 

この時1月末、ベルルスコーニ氏はこうして

お変わりなくテレビで話しておられましたが

今はもう鬼籍に入ってしまわれた。

人生はいつどうなるのか分かりません。

だから出来るときに出来るだけのことをしないと。

そして翌朝。

寝る前に仕込んでおいたトスカーナパンのフレンチトーストです。

一度作ってみたかったのです、塩なしパンのフレンチトースト。

美味しい無塩バターでジュワッと焼いて、はちみつ

(これはお手頃価格だった・・・微妙。)をのせて食べたのです。

うむ、美味しい。

でも思っていたのと何かが違う。

 

▲パウチに入ったはちみつ。使いやすい形でした。

 

ひとつまみのお塩が入った方が美味しいらしい・・・

フレンチトーストにも人生にも、お塩が無いと

引き締まらない。再確認でした。

 

つづく!!

 

気が急いても 10月23日

 

秋になりましたね。

我が家の庭も秋真っ盛りです。

 

▲今の主役は藤袴

 

▲柿の食べごろはもう少し先

 

ニュースでは世界中の不穏なことばかり知らせていて

でもわたしの周りのごく狭い世界は平穏無事な毎日で・・・

ありがたく思うと同時に申し訳なさも感じる。

 

じゃあ何か少しでも動けば?と思うものの、

その気力体力も追いつかない。

こんなことをブログに書くこと自体が

偽善と取り繕いだと分かっているけれど。

 

気持ちは急く一方。

いろいろなタイムリミットは目前。

2024年も、もうすぐです。

 

色と形、どっちで分ける? 10月19日

 

完成した小箱は不織布の袋に入れてから

箱(いわゆるお道具箱サイズ)に入れて

収納しています。

今のところ、このお道具箱は5つあって

それぞれに仕分けして入れるのですが・・・

 

さて、サイズ別にするか、装飾技法別、つまり色別にするか。

これがいつも迷うところなのです。

たまに棚卸のようにすべての小箱を出して

価格確認や在庫を数えたりして

その後の片づけ時に毎度迷うのです。

 

一説によると、形で分類する人と色で分類する人には

それぞれ傾向があるのですって。

色別は女性に多いとか、形別の人は感覚の視野が広いとか。

諸説あるでしょうし、分類する物(小箱か服か食べ物か、

あるいは細胞か星か・・・分からないけれど。)

にもよるでしょうけれど、面白い考察です。

 

▲これは豆小箱のみ。サイズは同じ、でも色は別々・・・

 

▲こちらは色別。でもサイズはばらばら。

 

こうして見ても悩ましい。

色別のほうが、わたしはしっくりくるような気がします。

でも在庫管理としてはどちらが効率的なんだろう??

ううむ。

「狙いの一つをすぐに取り出せる方」が

効率的ということなのでしょうけれど

これはわたしにとっては同じようです。

(自作ですし数も限られますし。)

 

または制作順とか価格順、お気に入り順とか・・・?

これはなんだか小箱たちに優劣をつけるようで

気分が盛り上がりません。

 

そんな訳で、結局今日も釈然とせずに

色別とサイズ別の混ぜこぜ保管になっています。

 

 

小さな相棒たち 10月16日

 

とても細か~い彫刻をする仕事のご依頼を頂いてから

いったいどうしたもんかと考えていたのですが

この細密彫刻刀を手に入れて、どうにかこうにか。

 

 

ご存じの方もいらっしゃると思いますが

パワーグリップというシリーズ。

一番細いサイズで刃の幅は1.5mmです。

とても優秀な彫刻刀です。

細かい部分にも小回りがきいて、華奢だけど丈夫。

上の写真、左の1本の丸刃だけ以前から持っていたのですが

今回は5本買い足しました。

 

 

このパワーグリップを相棒に

2ミリ幅の葉っぱに溝を並べて入れております。

ハズキルーペをかけてLEDライト付きスタンドルーペを覗き込む・・・

総動員してガサゴソ。

日暮れとともに目が見えなくなってくるのは年齢です、ハハハ!

笑い事じゃないのですがね。

 

 

大丈夫、出来ます。額縁修復師の名に懸けてやりますぜ。

・・・と、自分を励ましております。

グオオ・・・

 

パワーグリップ、お勧めです。

 

 

秘密の小箱展 2023 10月12日

 

少しずつお伝えしておりましたが

箱義桐箱店谷中店にて、今年も

「秘密の小箱展」を開催させて頂けることになりました。

昨年1回目は9月でしたが

今年は11月9日から19日までです。

 

▲額縁はシルヴァーノ・ヴェストゥリ氏彫刻木地のカルトッチョ

 

DMも作りました。

写真は浅野カズヤさんに撮って頂いたもの。

撮影時に色々とお願いをして

思った通りの写真を作っていただきました。

やれ薄暗くしろ、やれ文字装飾を目立たせろ

赤っぽくするな、銀座の古いバーっぽくしろ等々・・・。

 

「銀座の古いバー」で浅野さんにイメージが通じたのが

同い年のよしみと言いましょうか、

笑ってしまったのですが。

 

おかげ様でイメージ通りのDMが出来ました。

浅野さん、ありがとうございました。

快く写真を使わせてくださった

曹洞宗「禅の友」編集のMさんにも感謝申し上げます。

 

 

謎めいて、いわくありげで、秘密めいた雰囲気・・・

になりましたでしょうか。

 

▲肝心なのはこちらのご案内面

 

「秘密の小箱展」

-フィレンツェの古典技法で作る小さな箱-

2023年11月9日木曜から19日日曜まで

10:30~19:00 月曜・火曜休み 最終日は17時まで

箱義桐箱店 谷中店にて

 

箱義さんの美しい桐箱に古典技法で細工した小箱です。

あなたの大切なもの、思い出をいれてください。

新旧を併せて展示いたします。

秋のお散歩に、どうぞお立ち寄りくださいませ。

 

 

二十歳の女の子の肖像 10月09日

 

ギルランダイオ作「ジョヴァンナ・トルナブオーニの肖像」

部分模写ができました。

 

 

サイズは10センチ×6センチ

名刺のひと回り大きいくらいのサイズです。

オリジナル作品は77センチ×49センチ

スペインの美術館にあります。

 

▲わたしの模写は・・・

うむ、すみません。お許し下され。

 

オリジナルの表情より子供っぽいような、

のんきそうな眼差しになってしもうた・・・

 

▲画像はwikipediaより

 

若く艶やかな肌、気品ある表情を

ギルランダイオはさすが美しく表現しています。

彼女、ジョヴァンナさんが亡くなって

2年後に描かれた肖像画だそうです。

まるでモデルのジョヴァンナを目の前にして

描いたみたいに感じていましたので、驚き。

 

名家アルビツィ家に生まれ

18歳でトルナブオーニ家に政略結婚で嫁ぎ、

19歳で第一子を産み、20歳ですぐ第2子、

そして亡くなった・・・二十歳の女の子の肖像。

どんなことを考えていたのかな

何が好きだったのかな、色々想像します。

 

わたしの模写のような、のんきで

子供っぽい表情をする時間が、彼女にもあったのかな。

 

政略結婚も、短い人生も、傍から見たら

不自由で辛い人生なのではと感じるけれど、

本当はどうだったんだろう?

ジョヴァンナ本人にしか分からない事ですけれどね・・・。

 

 

この肖像画はトルナブオーニ家から

パンドルフィーニ家に渡った時期もあったとか。

トルナブオーニもパンドルフィーニも、そしてアルビツィも、

今もフィレンツェ中心部にある有名な通りの名前です。

Via de Tornabuoni, Via dei Pandolfini, Borgo degli Arbizi ・・・

1400年代後半、その頃はそれぞれトルナブオーニ家

パンドルフィーニ家、アルビツィ家の

屋敷があった通りなのでしょう。

 

ジョヴァンナやギルランダイオが通ったであろう道を、

視線を少し上げれば当時と変わらない建物が続く道を、

600年後を生きるわたしも歩くことができる・・・

だからフィレンツェから離れられません。

 

 

Firenze 2023ー食べた食べた3 10月05日

 

忘れたころに再登場、フィレンツェでのお話です。

額縁と小箱のことばかりでは書いていて

自分でも息が詰まると言いますか(笑)

思い出をたどって。

 

2023年冬の滞在はサンタ・クローチェ~サンタンブロージョ界隈

(城壁内の東、住宅街)のアパートで、

市場もスーパーマーケットもドラッグストアもアジア食材店も近く

そして何より額縁師匠パオラの工房も徒歩2分という便利な場所でした。

でもいわゆるチェントロ・中心部からは歩いて15分くらい

毎日良く歩きました。

 

ウフィツィ美術館に朝一番で乗り込んで

中世~ルネッサンスを真剣に見すぎて

バロック以降の作品はギブアップして裏ルートで出口に直行した日。

おまけに自分との約束「今回の滞在では本は買わない」を破って

3キロはあろうという画集を買っちゃって

トホホ&ちょっとウキウキ、そして疲れてヘトヘトな午後でした。

 

ウフィツィから空腹を抱えてトボトボ歩きながら、思い出しました。

そうだ!この近くに行きたいお店があったんだ!!

日本人オーナーシェフのトラットリア

「アッカディ」にお邪魔することにしました。

 

▲お昼からひとり酒・・・お料理を待ちます。

 

こちらのお店は路地にポツリとあって

入口を入るとキッチンが良く見えます。

オーナーシェフと目が合ってお互い「こんにちは~」と日本語でご挨拶。

久しぶりの日本語と暖かな笑顔に迎えられて

いやはや、ものすごくホッとしました。

地元の方に愛されるレストラン、遅めの時間でしたが

向こうのテーブルには職人さん軍団もランチ中でした。

 

▲パスタはブロッコリーのスパゲッティ。

とろとろのブロッコリーと少しのニンニクで美味!

 

ランチセットの価格はもううろ覚えですが

パスタとメインディッシュ、飲み物(ワイン可)を選んで

12~15€くらいだったでしょうか。良心的です。

中心街から少し離れているのもポイントかもしれません。

 

▲メインディッシュはお芋のコロッケ!

 

メインは様々選べましたが、コロッケ即決。

想像した「日本のコロッケ」登場かと思いきや

フィレンツェと融合していました。

ジャガイモだけの柔らかいコロッケをトマトソースでパクッ!

 

 

アツアツサクサク、中のお芋はトロフワ

トマトソースのほのかな酸味で・・・ああもう。

写真を見て再度味わっております。

 

白インゲンの付け合わせはトスカーナの定番。

黒コショウとオリーブオイルを垂らして

これまたホクホク美味・・・

パスタとコロッケとお豆という

かなりボリューミーなお昼ご飯でしたが綺麗に平らげて

コーヒーも頂いて心身ともに満ち足りました。

そして今振り返ってみたら、ベジタリアンな食事でした。

お肉ゼロだからこのボリュームを平らげられたのかも?

 

このお店はメニューも雰囲気も

正統派フィレンツェスタイルです。

アラカルトにはフィレンツェ名物Tボーンステーキもあります。

先入観かもしれませんけれど

やっぱり日本人シェフのお店だからか

そこはかとなく日本を感じると言いましょうか。

脂濃くない(胃もたれしない)、

清潔で、静かで明るく穏やかな空気で

店員さん(この時は全員イタリアの方でした)も

ゆったり親切でしみじみ安心するのです。不思議。

 

 

滞在場所にも寄りますし、夜はちょっと

行きづらい場所かもしれませんが

また必ず行きたいお店です。

和食を食べたいわけじゃないけれど

日本を感じたい時などにも。

次回はデザートまでたどり着きたい・・・

ムフフ・・・

 

Trattoria Accadi

 

 

手に取って開くまで 10月02日

 

「禅の友」10月号です。

 

 

今月号の表紙は小箱軍団の登場となりました。

淡い桃色に臙脂色のタイトル文字

「あんこっぽい色で美味しそうだな・・・」と思っていたら

編集さんは「イメージは『しるこサンド』」と!

 

そこに金色と銀色、すこしの緑色の小箱が散りばめられていて

なんだかとてもかわいらしい表紙~裏表紙になりました。

読者の皆さんからのご感想が気になって

今からちょっとドキドキしています。

 

9月のお彼岸に我が家もお墓参りに行きまして

帰りのご挨拶時に冊子を頂きました。

真言宗のお寺でして、「光明」という季刊誌です。

今年、曹洞宗月刊誌「禅の友」に掲載して頂くようになって

にわかに「光明」も真剣に拝読するようになりました。

(今までは流し読み・・・罰当たり!)

 

季刊誌と月刊誌の違いはあるけれど

同じようにお檀家さんに配布する冊子なので構成は似ています。

サイズもおなじ。

ご本山便りから始まって仏典の解説

行事や季節についてのコラム、

読者からの投稿(俳句や詩、感想)、エトセトラ・・・

 

だけどそれぞれの編集部の好みや傾向があって

取り上げ方や雰囲気の違いが面白いのです。

曹洞宗「禅の友」の方はデザインが若々しくて

手芸やお料理などもあって女性的。

真言宗「光明」は、季刊誌だからかページ数も多くて

オールカラーで見やすい。

文章が多めで、読み物感が強い・・・

(ちなみに表紙は風景や仏像写真)

 

 

改めて考えてみれば、冊子を手渡された方が

「読んでみようかな」と興味を持って下さるようにするには

表紙って責任重大ですね。今更ですけれど!

なにせ無料配布(もちろんお寺が購入して

配布してくださるのですが)されるものですから、

読まれずにそのまま・・・なんてことだってある訳ですもの。

 

微力ながらKANESEIの額縁と小箱の

表紙が皆さんのお目に留まり、

ページを開くお役に立っていますように、と願います。