diario
KANESEI作業部屋、冬の風景 12月29日
冬のボローニャ石膏塗り作業は
湯煎での石膏液の温度管理が忙しくなります。
石膏液の温度はすぐに下がってしまう。
かといって温め過ぎると気泡が入りやすくなりますし
石膏液の水分が蒸発してしまって濃度が変わってしまう。
こまめに湯煎にかけたり下したり。
そして湯煎用の鍋からの蒸気で窓が曇ったり。
ラジオからは乾燥注意報が聞こえています。
いつもの冬、石膏塗りの風景です。
2016年のKANESEI Diario 今日でおしまいです。
本年もKANESEIのホームページをご覧くださり
ありがとうございました。
また、仕事で様々にお世話になりました皆さま
心よりお礼申し上げます。
今年はチャレンジができた一年でした。
そしてそのチャレンジは続行中です。
2017年にその良い結果が出せますよう努力いたします。
来る年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
あたたかなお正月をお迎えくださいませ。
Buon Natale 2016 12月25日
メリークリスマス!
保土ヶ谷のビジネスパークにあるツリーです。
毎週通っていましたが、ある朝突然に大きくて立派なツリーが登場!
設置は大変だろうなぁ、その様子も見たかったな、なんて思います。
この巨大なツリー、3階くらいの高さがあるように見えます。
どうやって立てたのでしょうね??
きっと毎年、作業服の男性たちが組み立て、装飾をして、天辺に星を飾って。
電飾をONにしたときには喜びの拍手が起こったことでしょう。
普段はビジネスマンたちが闊歩するロビーですが
この時期は子供たちがツリー見学に来て、可愛らしい声も聞こえます。
皆が喜んでいる姿を、設置して下さった方々が見てくれたらと思います。
我が家の庭にも喜びが一つ。
デルフトブルーのヒヤシンス、ヒヤ子の芽が出ました。
昨年春に水栽培から地植えにして、今年春には小さな花を付けました。
地面の下で来春にむけて、着々と準備をしているのでしょう。
クリスマスに毎年登場する天使たちにも応援してもらって
ヒヤ子、がんばって!
何も無い 道と足跡 12月22日
誰もいない、空の広い開けた場所が好きです。
人工のものは砂利の敷かれた道だけ。
自然以外に何も無い。
ここは箱根の仙石原です。
季節外れだったせいか誰も居ません。
風が強くて枯れたススキがざわめき、雲がちぎれる。
ポケットに手を突っ込んでマフラーに顔を半分うずめて
ぼんやりと歩きました。
とても寒いけれど清々しい。
おや? 足元には謎の跡。
するどく刺さる形はハイヒールの踵では無さそうです。
誰?
いのしし、ですか?
足跡が重なっています。
前足の跡を後足で追う歩き方、面白い。
でも突撃されても怖いです。
そして寒さも耐え難くなってきました。
暖かな場所へ退散しましょう。
とても美しい「何も無い」でした。
Atelier LAPIS(アトリエ ラピス)の様子から 2016年12月№2 12月19日
ミッショーネ技法の練習をするにあたって
TAさんは「せっかくだから飾る事ができるものを」と
クリスマスデザインのプレートを作ることにしました。
ミッショーネとは、モルデンテと呼ばれる「箔用糊」で
模様を描き、糊が乾ききる前に箔を乗せて払う技法です。
まずは石膏を塗り磨いたプレートに緑と赤で彩色します。
そして 金箔をミッショーネ技法で置きました。
この払う作業はいつもとてもワクワク楽しい時間です。
天使と十字架の模様ができました。
つづいて銀箔のミッショーネです。
モルデンテを塗って、銀箔を置きました。
コツは下の写真のように、箔を思い切って大きく使うことです。
細切れの箔を置くと部分的に厚さが変わって艶も出ません。
コットンで優しく押さえ、柔らかい刷毛で払います。
さあ、完成しましたよ!
緑と赤、そして金と銀。きらきら華やかなプレートです。
これでミッショーネのやり方もだいたい掴めました。
次は額縁にもミッショーネで装飾を入れてみましょう。
TAさん、クリスマスが待ち遠しくなるような
かわいらしい作品を作って下さって
ありがとうございました。
頼もしい仲間 12月15日
筆もメノウ棒も、そして彫刻刀も
数はいくつも持っていて、そのつど使い分けますけれど
結局のところ好みの何本かが決まっていて
そればかり使っていたりして。
道具はある程度の数は必要だけれど、
沢山あればあるほど良い、というわけでもない。
反対に、いくら沢山あっても「これがなくっちゃ!」がある。
軍団の中の少数精鋭の道具たちは
大切な「気の合う頼もしい仲間」です。
押すのか引くのか 12月12日
さ、寒いのです・・・。
どうもエアコンの調子が良くありません。
金属のヤスリを握っていると熱が芯から奪われてしまう。
最近はもっぱら指だし手袋にカイロを入れています。
ヤスリを使っていて思い出すのは、大学時代にご指導頂いた先生。
彫刻の授業でFRPに必死にヤスリをかけていた時に
「あんたね!めったやたらにガリガリやるんじゃないよ!
ヤスリは押す時に切れるの!引くときにも力を入れたら
ヤスリが傷むからやめてくれ!!」と怒られて(?)びっくりしました。
なにせそれまでヤスリに方向があるなんて知りませんでしたから。
言われてみれば押すと手ごたえがある。ほほう!
それ以来、押す→引くのリズムをとるようになりました。
初心を思い出す、佐藤先生との懐かしい記憶です。
地味な戦いとその後の楽しみ 12月08日
額縁の修復・修理は、おおまかに
支持体である木地の調整・補強
表面装飾の整形・補彩
そして絵が入る部分も含めて額縁裏面の調整もあります。
装飾部分の箔置きや補彩が華やかな作業ならば
木地調整や裏面調整は地味な、まさに裏方作業ですし
埃とも戦わねばなりません。
19世紀の額縁裏面には、やはりびっちりと紙が貼られていました。
これを剥がします。
古い紙は酸化し粉になりかけている部分もあって
良いことは一つも無し。
表面に比べ裏面は躊躇なく不要物を取り除く必要があります。
(ラベルやシール、書き込みがある部分は状態に応じて
剥がして保存、部分的に残す等します。)
手で剥がせない部分はOLFAのデザインカッターが活躍。
絶妙にしなる刃で古い紙をそぎ取ることができます。
やはり日本の刃物は優秀でございます。
この程度とり除いたら、あとはペーパーで仕上げましょう。
額縁は裏面から、じつに様々なことが見えてきます。
木地の種類、構造、材料、制作年代や場所の予想ができること、
そして、その額縁を作った職人さんの息遣いも・・・。
これぞ修復の楽しみです。
Atelier LAPIS(アトリエ ラピス)の様子から 2016年12月 №1 12月05日
作家のIMさんの、ご自身で模写された風景画のための
額縁が完成しました。
今回は下地(アクリル系の白い塗料)がすでに施された木枠を使います。
オランダのシンプルな額縁をイメージして、作業開始。
まずは作品の背景にも使っている赤味の強い茶色を下塗りし、
その上に黒に近いこげ茶色を塗りました。
ただベッタリと塗るのではなく、微妙なムラを作っています。
そして古色付け作業第一弾、傷入れです。
木槌やクランプ(万力)の柄などを「良い具合に」打ち付けて
凹みを作ります。
強弱をつけて、打つ場所もしっかり計算しておくのがコツ。
磨り出しをして、今回は艶消しの雰囲気で終わりです。
写真が悪くて恐縮です・・・
作品が額縁にすっかりなじんで納まりました。
うう~む、素敵です!欲しくなってしまう。
IMさん、素晴らしい作品に合わせた額縁を作って下さり
ありがとうございました!
型取りオーナメント大会 12月01日
今日から12月、2016年おわりもカウントダウン開始です。
晴れ晴れとした気持ちの良い日に、朝からせっせと石膏で
型取りのオーナメントをつくりました。
完成後に並べてみると、なかなか達成感があります。
右側の丸いオーナメントは額縁10枚分と予備。
額縁の四隅に1つずつつける予定で40個ちょっとです。
これからバリを取り除いて、裏側を削って調整します。
左側には新入りオーナメントもあります。
いつものように、骨董市で手に入れた
ヨーロッパのオーナメントから型取りしました。
まるいバラの様な形のもの、そして天使。
この天使ちゃん、口元は笑っているのに目が怖いです。
クスクスと笑い声が聞こえてきそうな不敵な表情。
何に使いましょうか・・・やはり小箱?
ミステリアスな小箱が完成しそうです。