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額縁の蔵出し販売 3月28日

 

以前に展覧会用などに作ってそのまま

自宅の片隅で眠っている額縁がいくつもあります。

本当は展覧会時に販売できれば良かったのだけど

そう上手く行くことも無く・・・

長らく冬眠していた額縁たちを

オンラインショップで販売しています。

 

サイズは規格サイズではありませんが

鏡を入れていただくことも可能ですし

もちろん作品の額装として、

またお店の展示や什器として、

色々と使っていただけると思います。

 

▲piatto-francese フランスの古いお皿をイメージしたデザイン。

 

▲金焼 金箔を貼り磨いてから焼いたもの。かなり強い古色です。

 

▲銀焼 こちらも同様に銀箔を貼り磨いて焼いたもの。

 

どの額縁も、手に取れば作った時の記憶がよみがえります。

いちいち感傷にふけっている場合ではないのでございますけれども。

新しい持ち主の方に使っていただければ額縁の使命を全うできるはず。

よろしければどうぞ、KANESEIのオンラインショップをご覧ください。

 

 

KANESEIオンラインショップ

 

 

「そういう時」のために 3月25日

 

先日お話したようにノロウィルスに大打撃を受けた我が一家

おかげ様でそれぞれ快復いたしました。

わたしもどうにかパジャマを脱ぎ捨てて作業部屋に入った日

納期間近の額縁制作を再開したは良いけれど

あわや大失敗!という瞬間がありまして

いやもう、こんな日は急がば回れ、

落ち着いて違うことをした方が良いのです。

 

かと言って気は焦りますし本を読んだりする気分でもない。

何かしていないと落ち着かない。

「そういう時」のために、制作途中の

マイクロ点々打ち小箱がいくつかあります。

 

 

石膏や金箔が乾くのを待つ間の手持無沙汰の時とか

気分を落ち着かせたい時とか、

ひたすら点々打ちをします。

「なにかしている感」が感じられて(実際なにかしているし)

瞑想のような効果もあるようで

気持ちが徐々に落ち着くのでした。

 

今回のノロ騒動の余波で上の写真の小箱装飾は完成しました。

これも怪我の功名といいましょうか。

 

 

うわさ通りのアイツ 3月21日

 

いたって個人的な事ですけれども

先日ノロウィルスに感染しました。

家族のひとりが外食時に感染したらしく

(同席した方々も感染・・・)、

その後に他の家族も感染、そして最後にわたし。

 

話には聞いていましたけれど

このウィルスの強さにはもう、どうにもこうにも。

症状はいわゆる「ノロウィルスに感染した時」そのものでした。

お茶を飲むのも恐ろしい。

身体中がウィルスを追い出そうと

奮闘してくれているのを痛感しつつ寝ているのみ。

 

▲せめて画像は爽やかなフィレンツェの青空

 

いやはや・・・家庭内では気を付けるにも限度があります。

これはもう、コロナ並みにお風呂もトイレも寝室も

もちろん食事も別にしない事には

避けられなかったと思われます。

後悔先に立たず。

 

それにしても、どうにかこうにかシャワーを浴びられるまでに快復して

久しぶりに見た鏡の恐ろしさたるや。

10~20年くらい老けていました。

なんというか・・・日帰りした浦島太郎というか・・・

 

 

これから春なのに!気持ちの良い季節がやってくる!

わたしもここで老け込んでばかりいられませぬ。

モリモリ食べてジャンジャン作って

心身を盛り上げて回復したいと思います。

 

皆様も油断大敵、いつどこで何ウィルスが待ち受けているか・・・

ご用心です!

 

 

中世の本のような 3月18日

 

2023年にペルージャの国立ウンブリア美術館に行った時

誰もいないとても静かな空間で

思う存分に黄金背景テンペラ画を堪能できました。

その時に見た数々の作品に登場する聖人や司教など

聖書を持って佇む様子が沢山あるのでした。

 

その人物が誰であるとか

持っているのが本当に聖書なのかどうか等々はさておき

その本の装飾に見とれました。

大抵描かれているのはは赤とか青とか

ハッキリした色の本に金で模様が入って、

そうして金具で閉じられているのです。

 

それら絵の「金具で閉じられた聖書」のイメージで作りました。

 

 

古い黄金背景テンペラ画にご興味をお持ちの方でしたら

「ああ、よく見るあの感じね」と思われるような

そんなデザインです。

 

 

当時の聖書は羊皮紙に描かれて厚い皮表紙が付いて

とても重くてとても貴重な品だったようです。

重い聖書をきちんと閉じるために

こんな感じの蝶番のついた金具が取り付けてあるのは

写本の展覧会などでも見ることができます。

 

この小箱には「なんちゃって蝶番金具」を着けたくて

石膏下地を磨いた後、パスティリアで金具のベースの形を盛り上げて平らに磨き

さらにその上にもう一度パスティリアで釘風に小さなポチポチを乗せました。

金具で閉じられたように感じていただけるでしょうか。

 

 

クリーム色でちょっと明るく可愛くなっちゃったかしら・・・

で、中はキリリと紺色の別珍を貼り込みました。

 

いかがでしょうか。

 

 

お終いのとき 3月14日

 

わたしの額縁師匠パオラとマッシモについては

何度もお話しているのですが、

もう少しお付き合いください。

 

今回のフィレンツェ滞在で一番に連絡したけれど

なかなか会うことが出来なかったパオラ。

週に1~2度、体調の良い午前中だけ動けるとのことで

滞在後半にようやく会いました。

小柄でとても痩せていて身体が強くないパオラは

昨年秋から体調を崩していて

今は酸素ボンベを携帯しつつ吸入する生活になっていました。

昨年暮に夫のマッシモが亡くなり自分の体調も限界

これが潮時なのよ、と工房を閉じることに決めたと話してくれました。

 

▲「CORNICI」額縁。

シャッターが閉まっている時間がほとんどになった。

 

今はとにかく最後の注文額縁をどうにか仕上げること

(これは無理かも・・・と言うけれど古くからのお客様だから待ってくれるはず)。

その後には大量の材料や道具、荷物を片付けること

見本として店舗に掲げていた額縁を売りきること

そして空にした「元工房」店舗を賃貸に出すこと。

 

店にはまだ額縁が沢山かけてあって、

でもところどころ歯が抜けたように額縁が無くなっている壁には

かつてあった額縁の跡がうっすらと残っている。

あの額縁もこの額縁も、わたしを見習いで

受け入れてくれていた頃からあって、いつも眺めていた額縁でした。

なかにはマッシモを手伝ってわたしも制作に参加した額縁もありました。

 

 

現実問題として、この大量の物の仕分け、

業者を呼んだり売ったり捨てたり、事務手続き、

それらは今のパオラには無理なのでは・・・

かといって、わたしが出来ることはほとんど何も無い。

せいぜい荷物運びゴミ捨て掃除程度の肉体労働で

そんなのは最後の最後。

パオラのひとり娘(裁判所勤務)や友人知人がすることであって

わたしが出る幕では無いのだと頭では理解しつつも

でもこの寂しさ心細さはとても辛い。

次にフィレンツェに行った時、それが今年か来年か数年先か

その時にこの工房はもう姿を変えているのだろうと覚悟をしました。

 

店の見本額縁はすでに予約済みのものも沢山あったので

わたしはひとつだけ小さな額縁を買うことにしました。

パオラと、今は亡きマッシモの合作、ふたりの工房の残照。

 

 

懐かしの天使 3月11日

 

イタリア滞在から帰国して

オンラインショップも再開するのを機会に

新しい商品も載せることにいたしました。

新作ばかりではなくて旧作もいろいろと。

 

 

純金箔と純銀箔の双子額縁、かれこれ・・・

大変大昔に作ったものです。

その頃はエージェント事務所に所属しておりまして

マネージメントを担当してくださっていた方の

アイディアでアンティークの布を入れました。

な、なつかしい・・・

 

 

天使の模様が織り込んであるシルクを

クッションになるようにして(キルト芯を入れて)

ふかふかにしてあります。

帰宅後に外したアクセサリーを乗せたり

お店の展示にも使って頂けたら・・・と思っています。

 

 

このふたつの額縁を作っていた頃

なんだか無駄に色々と悩んで考えていたような記憶が蘇っています。

この頃に比べれば今は自分との付き合いが

ずいぶんと楽になりました。ハハハ。

 

オンラインショップでどうぞご覧くださいませ。

KANESEIショップ

 

 

ところ変わればお好みも変わる 3月07日

 

さて、今回のイタリア・フィレンツェ滞在の

目的1はマッシモのお墓参りでしたが、

もうひとつの目的は小箱販売継続に向けての諸々でした。

 

昨年2月の滞在時に友人Lに手伝ってもらって

ようやく辿り着いた「KANESEI小箱販売店代理店」の

EREDI PAPERONE へ、納品小箱を担いで行って参りました。

 

フィレンツェ特産工芸品のマーブル紙や革を使った

高級文具店の奥の一角にあるガラスケース、

そこに我が娘たち(小箱)が並んでおりました。

Lが写真に撮って送ってくれていましたが

自分の目で見ると喜びもひとしおでした。

▲お送りしたショップカードも置いてくださっている

 

鍵付きのガラスケースでライトアップされていて

安心安全にキラキラ輝いています。

なんだか授業参観に来た母の気分と言いましょうか。

 

今回は新しく10個の小箱をお預けしました。

20個持って行ったうち、売れ筋10個を

お店の奥様スザンナさんに選んでいただきました。

 

実は箔を使ったものが売れているような気がしていて

今回半分は箔小箱を持って行ったのですが

意外にもスザンナさんが選んだのは色小箱、

それも明るめの色の小箱でした。

そういえばショーウィンドウに残っているのは箔小箱が多い、

そしてホワイトゴールド、錫箔はず~~っと前から残っている。

日本ではというと箔の小箱がメインですし

色小箱もシックな色が人気だったりして。

ところ変わればお好みも変わる。

 

そうかそうか、ふむふむ。

このお店で買って下さるお客様の傾向が半年経って

少しずつ見えてきました。

 

▲素敵なウィンドウを見て、通りがかりで立ち寄って下さる方も。

2月なのに気温20度近くあった日、半そで姿とダウンが共存・・・

 

今までメールでのやり取りばかりでしたが

今回スザンナさんと3日に一度は顔を合わせて

送金についてや税金について手続き諸々やら

打ち合わせをすることが出来ました。やはり手っ取り早い。

そして実際のお店やお客様の様子を見ることが出来て

本当に良かったと思っています。

 

スザンナさんとお互いに人となりも分かって来た安心感も大きい。

(笑顔が素敵でとても優しくて機嫌の良し悪しを表に出さない、

手間も惜しまないキッチリしたスザンナさんでした。

語弊があるけれどイタリア人とは思えない・・・

日本人同士のような感覚で接することが出来ました。)

これからまだまだ長いお付き合いが出来るよう期待しつつ

あわよくば将来的に小さい額縁(写真やハガキサイズ)も

置いてもらえたら良いな、ウヒヒ・・・

などと小さな野望も抱いております。

 

今はとにもかくにも、良い小箱を作ってお届けしたいと思います。

EREDI PAPERONE Bottega d’Arte

Via del Proconsoli,26r Firenze

10::00~13:00/14:00~19:00

 

 

ありがとうはどこからでも 3月04日

 

フィレンツェ滞在から帰国いたしました。

1か月弱の期間、とてもとても充実した盛沢山の時間を過ごしました。

 

出発前のブログ(1月22日)で、わたしの額縁師匠マッシモが

昨年12月に亡くなったとお話しました。

今回の滞在でマッシモの墓前にご挨拶することを

大きな目標にしていたのでしたが、

結局叶えることは出来ませんでした。

 

 

マッシモの妻でわたしのもう一人の師匠である

パオラは現在体調を崩していて、

週に1~2度ほんの少し体調の良い午前中だけ動ける様子です。

すでに工房はほとんど使われておらず

見本として壁に掛けていた沢山の額縁も

「もう作れないから必要ない」とどんどん販売している状態。

そんなパオラに「マッシモのお墓に連れて行ってほしい」とは言えず

墓地の場所もフィレンツェ郊外でバスで行けるものの

「ものすごく広い墓地だから、あなた一人で行っても

お墓の場所が分からないでしょ・・・」と諭されてしまったのでした。

つまり「そんなに必死になって行く必要はないでしょ、

もう亡くなってしまったのだから」と言うことなのかな、と思いました。

 

日本のお墓参りの感覚とイタリアのそれと

大きな違いはないように感じます。そして

「お墓に大切な人の存在を感じるか感じないか」が

人それぞれなのも同じ。

最近のイタリアでは火葬が多く、

散骨(散灰)も増えているのだとか。

 

 

フィレンツェには驚くほど沢山の教会があって

そのどれもに、大切になさっている方々の存在を感じます。

お花、蝋燭の灯、清められた床などなど・・・。

マッシモに「ありがとう」も「さようなら」も言えなかったけれど

手入れの行き届いた教会に立ち寄るたびに

なんとなくマッシモを思っていたので、

きっと伝わっていたであろう

伝わっていてほしいと思っています。