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お好みの形で 2月27日

 

額縁でも油絵でも 修復の際には

綿棒を使う場面が多々あります。

その時には 市販の物ではなくて

竹串に脱脂綿を巻いて その場で作り

汚れたら捨て また新しく巻いて使って・・・を繰り返します。

その方が経済的ですし なによりも

使う場面によってサイズを調整できるのが便利です。

 

出来上がった綿棒は 作り手によって

大きかったり小さかったり 細かったり太かったり

形もそれぞれ特徴があるように思います。

ナイフで削った鉛筆も 芯が長かったり短かったり

それぞれ好みや癖がありますよね?

綿棒も同じような感じで・・・

わたしが週2回ほど働かせて頂いているTokyo Conservationでも

形を見れば作り手は大抵当てられます。

ちなみにわたしは 市販の綿棒のような

アメリカンドッグのような形(分かり辛い喩ですが)に

巻くのが好きです。

美しい綿棒ができると作業も楽しくなります。

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La nostalgia in Italia 2011 Roma -Da lunotto- 2月23日

 

イタリアの郷愁 2011 ローマ 裏窓から

 

ローマの宿は テルミニ駅に近くて便利だけが取り柄の

すこし物悲しい建物にありました。

部屋の窓は裏に面していて

見えるのは雑居ビルの裏側ばかり。

旅先で美しい眺めの部屋に滞在できれば

その街の思い出も数割増しで美しくなりますが

こうした裏窓からの眺めは その街の本当の顔

現実の表情を垣間見られて 印象に残るものです。

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時差で早朝に目が覚めて まだ暗い時間に裏窓を見ると

すでに出勤の準備をするサラリーマンや

テレビを見ている老人の影が見えました。

ヒッチコックの映画ではありませんが

窓それぞれに一つずつのドラマがあります。

わたしは旅人で 束の間の時間しか過ごさない場所だけど

この窓からの風景の中で毎日の生活を送り

人生の営みがまたあるのだと思うと

感慨深い気持ちになりました。

roma-lunotto2-1

 

 

中世ヨーロッパの服装 Le Costume Europeen 2月20日

 

le-costume-europeen1

この本は書店ではなく雑貨店で手に取りました。

中世の騎士 王侯貴族や裕福な商人 また農民や道化師まで

当時の最新流行ファッションが美しいカラー図版の

文庫本サイズで見ることができます。

オールカラーなのにお手軽価格(¥300)も魅力の一つ。

実在の人物の肖像画を基にした図もあって

彼らのおしゃれに対する情熱も逸話として載っています。

16世紀のダランソン侯爵は豪華な宝石と

珍しい鳥の羽飾りの帽子をかぶって

「優雅な男性の模範となった王子の一人」と紹介されています。

また 17世紀市民の服装では 贅沢品の使用が

減ってきた時代にしゃれた襟飾りやブーツを履いて

「彼らの服装は法令違反であった」など。

服装からも当時の情勢や大きな階級差が見て取れます。

 

下の写真は15世紀の騎士と庶民の服装。

装飾的な図版が美しいページです。

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データ : 「中世ヨーロッパの服装」

       著者 オーギュスト・ラシネ

       株式会社マール社

       2010年4月20日 第1刷発行

 

 

虹色の耳 2月16日

 

おおきなアワビの貝殻をもらいました。

真珠のように虹色に輝いて美しい貝です。

なぜこんなに美しい色を 体の内側に作る必要があったのだろう?

誰に見せることもできないのに?

アワビ本人(?)も知らないかもしれません。

きれいに洗って 小物の受け皿にしようと思います。

 

イタリア語でアワビは

orecchia di mare

直訳すると「海の耳」。

たしかに耳のような形にも見えますね。

 

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La nostalgia in Italia 2011 Roma La pausa 2月13日

 

イタリアの郷愁 2011 ローマ 休息

 

朝一番で乗り込んだフォロ・ロマーノ。

丘を登ったり下ったり 地下のトンネルで迷ったり

最後にたどり着いたテラスからは

明日もまた 朝一番で向かう予定の

ヴァチカンのクーポラ(円蓋)が望めました。

これぞローマの象徴!でしょうか。

cupola-di-vaticano

 

そろそろ遅めのランチにしましょうか。

ローマの名物料理の一つは「カルボナーラ」。

生クリームと卵の熱々ソースのからんだパスタで

エネルギーを補給です。

向かった先の食堂はパスタで有名な店だそうで

地元の方々も沢山楽しんでおられました。

同じイタリアでも こうした蔦のからむ様子は

ローマならでは という印象です。

フィレンツェではあまり見られない風景。

石畳と石造りの建物に囲まれたイタリアの街で

ふとした時に緑を見かけるとホッとします。

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メディウムはがし刷り 2月09日

 

先日 TokyoConservation のデスクにあった

2008年の「日本美術家連盟」冊子を見ていたら

「メディウムはがし刷り」という版画の技法が紹介されていました。

ご存知の方もいらっしゃると思いますが

凹版画をプレス機で刷る代わりになる方法。

インクを詰めた凹版にアクリルのメディウムを塗って

紙を貼り インクごとメディウムをはがし取るという技法です。

いわば「薄い型取り」をするような要領と言いましょうか。

多摩美術大学名誉教授の小作青史先生のご考案だそうです。

この方法ならプレス機を持てない人でも

自宅で凹版画を刷る(はがす)ことが出来ます。

素晴らしく画期的なアイディア!

版とメディウムと紙の相性やメディウムの厚さ等

自分で試行錯誤する必要はありますが

試してみたくてわくわくします。

下記は「メディウムはがし刷り」の動画です。

ご興味ある方はご覧ください。

http://www.youtube.com/watch?v=eN_GIrADRcg

 

 

La nostalgia in Italia 2011 ROMA il carosello nel crepuscolo 2月06日

 

イタリアの郷愁 2011 ローマ 黄昏の回転木馬

 

ローマのテヴェレ川右岸

黄昏時の回転木馬には

数人の女の子の姿がありましたが

馬には乗らず 馬車に乗る子ばかりでした。

お姫様の乗り物は馬ではなく馬車ですものね。

 

幻想的な回転木馬のむこうには

サンタンジェロ城に立つ大天使の姿が。

どこかおとぎ話の風景のようでした。

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今もまだそこに 2月02日

 

右手の手袋をなくしました。

 

帰り道 右手だけポケットに入れて歩きながら

「駅で落としたのだろうか?それとも?」

「今も埃にまみれて薄暗いところに落ちているのだろうか?」

「あの手袋はもう何年役立ってくれていた?」

考えても もはや成す術もありません。

そして更に困るのが 片方だけになった左手の手袋。

処分するのは もう少し先にしましょう。

 

物をなくすのは悲しいことですね。

たとえ毛玉だらけの手袋の片割れでも。

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