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男の子と青海波 7月28日

 

いままで日本画を納める額縁を作るにしても

和の模様を入れることはありませんでした。

でも今回初挑戦です。

かわいらしい男の子のおもちゃの版画で

-独楽や凧、デンデン太鼓に引き車など-

ご依頼主の方からも「額縁も遊んでほしい」とのこと。

案外簡単に行くかな、と思いきや

悩みに悩み、迷いに迷いました。

 

そして伝統的な模様の青海波を入れてみることにしました。

穏やかな波がつづくおめでたい模様で

男の子の健やかな成長と暮らしが続くよう、との思いです。

いかがでしょうか。

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「works」内「modern」にこちらの額縁をアップいたしました。

どうぞご覧下さい。

 

 

きっと誰しも 7月25日

 

田町の Tokyo Conservation で仕事をするとき、わたしは

午前中10時から11時ころが一番作業がはかどる時間です。

いっぽう、自宅の作業部屋で額縁を作っているときにも

一番気分が乗って集中力が増す時間があります。

それは夕方17時から18時ころ。

理由は分かりませんけれども。

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この「自分だけの不思議なゴールデンタイム」は

きっと皆さんもお持ちなのでしょうね。

 

西洋更紗 トワル・ド・ジュイ展 7月21日

 

渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで開催中の

「西洋更紗 トワル・ド・ジュイ展」へ行きました。

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東インド会社で輸入された綿更紗から発展して

フランス・ヴェルサイユ近郊の街で生産されたコットンプリント

「トワル・ド・ジュイ」の布の展覧会です。

インド更紗同様に木版で花模様やオリエンタルな模様をを印刷していたものが

徐々に銅板でフランスらしいオリジナルの模様を印刷するようになったとか。

 

お客さんの9割は女性。

それはそれは美しく、大切にされてきた布が展示されていました。

愛らしく可愛らしい模様・・・

「貴婦人と一角獣」のタペストリーのミル・フルールを思い出したり。

あるいはローマのヴァチカン美術館の長い廊下の天井画にあった

ギリシャ・ローマ風の模様を思い出したり。

そしてペルシャからシルクロードを通って日本に来た

正倉院宝物の裂地を思い出したり。

どれもこれも西洋と東洋のつながり、そして

西洋の模様の歴史をたどれるようでした。

フランスに永住を決めた藤田嗣治は、どんな気持ちで

「ジュイ布のある裸婦」を描いたのでしょうか。

自らミシンも操作して様々なものを縫っていた藤田ですから

ジュイ布もきっとお好きで、手元にコレクションしていたのかも?

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鑑賞後のグッズ売り場では鑑賞の興奮冷めやらず

つい買いすぎてしまいました。やれやれ。

復刻版(日本製)のジュイ布も買いましたので

小さなバッグでも作ってみようと思っています。

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渋谷Bunkamura ザ・ミュージアム

「西洋更紗 トワル・ド・ジュイ展」

7月31日まで開催中です。

 

 

 

 

Atelier LAPIS(アトリエ ラピス)の様子から 2016年7月 7月18日

 

昨年、土曜コースのSHIさんがご注文を募って

皆さんで作ってもらった「帆立貝のタベルナーコロ」木地ですが

月曜コースで完成第1号が生まれました。

TAさんは4月末に取り掛かり始めましたが、

お家での作業も含めて約2か月での完成、お疲れ様でした!

 

5月9日、木地の彫刻に入りました。まずは egg & darts から。

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慣れてきたところで上下の細かい部分を掘り進めます。

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5月30日、石膏を塗り磨きました。

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6月13日には、ご自宅で箔を磨き終えておられました!

確かに箔置き作業は一人静かな方がはかどります。

 

LAPISアトリエでグラッフィートのテンペラ絵の具を塗りました。

中に入れる聖母子像にあわせて明るめの青に。

コバルトブルーとアイボリーブラックの混色です。

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ほりほり。

細かい作業が続きます。

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6月27日、下部の楯状部分に「PX」のモノグラムを入れました。

イエス・キリストの意味だそうです。

様子を見ながら磨り出しをして艶消しニスで保護しました。

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7月4日、ワックスとパウダーで汚しを付けています。

どうかな? うん、良いようですね!

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そして完成。

お父様が小さなころにフランス人の神父様から頂いて

ずっと大切になさっていた聖母子のカードを入れました。

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100年以上前のカードの雰囲気と額縁の仕上げが

ぴたりと合っています。

お父様も天国で喜んでいらっしゃるでしょう!

TAさん、素晴らしいタベルナーコロを作って下さり

ありがとうございました。

 

すでに待ち遠しい 7月14日

 

暑いです。

まだ梅雨は明けていませんが、もう夏のようです。

 

いま作っている額縁は秋の名前が付いた作品を納めて

秋に開かれる展覧会に出品されるものです。

今からもう爽やかで美味しい秋が楽しみです・・・

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暑さもあと3カ月の辛抱。

 

 

吊金具、お作りいたします 7月11日

 

昨年、特別に作ってもらった吊金具2種類を

KANESEIで受注制作、販売できることになりました。

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大きいものは3つ穴で銅

小さいものは2つ穴で真鍮で作られています。

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ひとつひとつを糸ノコで切りだしていますので

少しずつ違いがあって、同じものはありません。

「揺れのあるかたち」をお楽しみください。

 

価格:小真鍮製 900円

サイズ:31×17×1mm

耐加圧:30kg(静荷重時)

ネジ穴:2.1mm幅ネジ対応

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価格:大銅製 1200円

サイズ:44×24×1mm

耐加圧:30kg(静荷重時)

ネジ穴:2.1mm幅ネジ対応

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それぞれ1個からご注文をお受けいたします。

ネジは付属しませんのでご注意ください。

(お送りしますのは上記吊金具のみ、付属品はありません。)

2.1mm幅のネジで取り付けるものに応じた長さのネジをご用意ください。

また、別途送料を全国一律500円を頂きます。

海外も可能な限り対応いたしますのでご相談ください。

ひとつ当たり30kg(ステンレス木ネジ2.1×10mm静荷重使用時)

に対応しておりますが、

落下事故による一切の責任は負いかねます。ご了承ください。

 

モダンデザイン、クラシカルデザインを問わず

幅広くお使いいただける吊金具です。

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ご自分でお作りになった額縁に、

ずっと大切になさっている額縁の古い吊金具を替える時、

あるいはアンティーク額縁の金具交換にもどうぞ。

ご希望の方はKANESEI contact のページからご連絡ください。

お待ちしております。

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怪奇 額縁木地の行方 7月07日

 

たしかにわたしは自他ともに認める探し物下手です。

家族はさることながら修復スタジオの室長、主任にも知られてしまっている。

ですが土曜日の午後におこったことは謎に包まれたままです。

 

ご注文にあわせて木地を4本切っていました。

額縁は両端を45度に切った長辺2本と短辺2本の棒を組みますから。

額縁木地を切り終わって、さあ接着して組もうと思ったのですが

無いのです。木地3本が。

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どこかに片づけるはずも無く、必ず作業部屋内にあるはず。

2日がかりで探しても、家族に探してもらっても見つからず

「切ったのは気のせいでは?本当は切ってないのでしょ?」

などと言われる始末・・・。

だけど、わたしは確かに木地を切って近くに置いたのです!

 

切った記憶はあるし端材もある、そして長辺1本だけがある。

なぜ4本中1本だけある?

誰かが持って行った?

木地が自ら歩いて出て行った?

わたしは記憶障害?・・・いえ、まさか。

神隠し、だったりして。いえいえ、まさか!

 

それきり、今日にいたるまで木地の行方は分かりません。

初夏の夕方、KANESEIにおきた怪奇現象のお話。

七夕の短冊にお願い事

「木地の残り3本が見つかりますように」と書きましょうか・・・。

 

金継ぎ練習 作業2 7月04日

 

平和島の骨董市で「金継ぎ練習用」として買った

割皿の作業を続けています。

破片2つを麦漆で接着したあと、足りない部分を

木片で作って補填しなければ。

KANESEI作業部屋にあった木片を削ることにします。

今回はアガチス材にしました。

アガチスで良いのかな?どうなんだろう。

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欠けた部分に木片をあてて形をとってから

ざっとノコギリで切り出します。

強度がでるよう、木目は平行に。

 

まずは下と外側のアールを削ってから様子を見ます。

どうでしょう。大丈夫そうですね。

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では内側を彫刻刀でザクザク削りますよ。

削ってはお皿に当てて確認、の繰り返しです。

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さらに紙やすりで微調整など。

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作業時間1時間。

うーん・・・どうでしょう?

悪くないけど良くもない。

接着後にもうすこし削って調整する必要がありそうですが

削りすぎた部分はコクソ漆(パテ状漆)でごまかすことにします。

 

なにせお皿の破片再現は薄い3Dですから

それぞれのカーブを合わせるのが想像以上に難しい作業。

あっちを合わせるとこっちがズレちゃう!

道具と材料がすぐ手元にあるので練習できましたが

なかなかハードルが高い充填部分制作でした。

次回の金継教室で先生にみて頂こうと思います。