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ワシントン・ナショナル・ギャラリー参百景 9月21日

 

いつもの行きつけの大きな書店の美術コーナーで

じぃいいっとわたしを見つめた美女は

ワシントンにあるナショナルギャラリー所蔵の

レオナルド・ダ・ヴィンチ作

「ジネヴラ・ド・ベンチの肖像」であります。

著者は存じ上げない方だな、と思って開いてみたら

▲ぼんやりとご紹介。ゴッホの女性像に17世紀中部イタリア

(と思う)のサルヴァトーレローザ額縁が。

 

美術館に展示してある状態の作品写真がたくさん!

 

著者の松岡將氏は在ワシントン日本大使館に勤務された方で

美術史研究家等ではいらっしゃらないのでした。

掲載されている写真もすべて松岡氏の撮影によるもの。

なので、内容も写真も、まるで松岡さんのお宅に伺って

懐かしい写真を見せていただきながらお話を聞いているような

親密な懐かしさを感じられるのです。

(写真も一部はピンボケだったり切れていたりするけれど

プロの撮影でなければこうだろうな、といった感じ)

▲セザンヌの作品が16世紀ボローニャ(と思う)の

額縁に入れられている。素敵。

 

15世紀のイタリア絵画からはじまって、もちろん

祭壇型額縁やトンド(円形額縁)も見られますし

18世紀、19世紀絵画に16~17世紀イタリアの

ゴージャスな額縁がつけられていると

なるほどな、そうなのね、と納得してしまう。

 

かねがね美術館のカタログでも展覧会カタログでも

額縁が載っていないのを残念に思っていたのです。

こうして作品と額縁一体になった姿を見られる、

それも遠いワシントンの国立美術館所蔵の宝物の姿を

見ることができるなんて、もう嬉しい限りなのです!

 

額縁の有無、デザインで絵の印象は大きく変わります。

この本の作品写真を眺めながら

「この絵をあの額縁に入れたらどうだろう?」

「この絵と額縁の組み合わせを思いつかないな~」

などと想像を膨らませるのもひとつの楽しみ方です。

 

「ワシントン・ナショナル・ギャラリー参百景」

松岡 將

株式会社 同時代社

2020年7月7日初版第1刷発行