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古色再考 つづき 1月07日

 

フィレンツェの古書店をめぐって

手に入れた本、1500~1600年代のイタリアの

額縁を集めた額縁本をぱらぱらと眺めていました。

この本はメディチ家所蔵だった額縁を集めていますから

とにかく豪華絢爛、当時の最高の技術と材料で

作られた額縁ばかりが掲載されています。

 

はたと気づきました。

「思ったよりずっとキレイ。」

(ああ、どうか「いまさら?」とは

おっしゃらないでください!)

 

すこしの擦れと、たまに虫食いの小さな穴

木地の接合部分に割れや小さな欠けはあるけれど

金箔はどこまでも、隅々まで美しい。

凹みに汚れがたまっていることもありません。

しいて言えば、金箔の磨いたばかりの輝きに

かすかにグレーのベールがかかったような

印象に「感じる」程度です。

もしかして、修復時に箔を前面貼り直した?

それなら恐らく本に記載されると思いますし・・・

 

 

完成したときから管理・保存され続けたら

500年が過ぎても汚れないし擦れないし、

壊れないのです。

わたしはなにか勘違いしていたかもしれません。

 

この「かすかなグレーのベールがかかったような」

金箔の色味と艶――カサッとしていて

艶消しではないけれどギラギラではない、

反射の色が違う――を再現したい。

どうしたらいいだろう。

わたしが作る額縁とメディチ家所蔵の額縁を

比べて考えるのも図々しい話ではありますが

ここはやはり、理想は高く持ちたいものです。

 

パオラとマッシモの古色とも違う。

「古色付け」とひと言で言い表せないような

微妙で繊細な世界です。

立ち入るのが怖いような、でも立ち入らずにはおられない

そんな気分です。