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ゴシックへの旅 12月18日

 

暖かな冬晴れの日に上野の西洋美術館へ行きました。

混雑する企画展を横目に、常設展の入り口から入り

目指すは版画素描展示室で開催中の

「ゴシック写本の小宇宙 内藤コレクション展」です。

 

獣皮紙に書かれた(描かれた)美しい装飾文字と

挿絵、イニシャル文字を、かなり近寄って見られました。

そして写真撮影も許されていました。


▲50×60mm程度のごく小さなスペースにぎっしり!

 

中世の厚い壁に囲まれた修道院内、

外光と蝋燭の灯りのみの時代

これだけ細かい文字と挿絵を描くには、

相当な集中力と技術が必要だったはずです。

若くして熟練した技術とセンスのある職人(僧)がいたのでしょう。

当時は老眼鏡などほぼありませんでしたから。


ユーモラスな人物、写実的なウサギやリス、

装飾的な草花など、時間を忘れて見入ります。

これを描いていた時、楽しかったんだろうな、

この線を引くときは筆をどう持ったのかな、

ラテン語が分かるともっと面白いだろうな、

などと静かに興奮しながらの鑑賞でした。

そしてまた映画「薔薇の名前」を観たくなったのでした。

 


▲各要所にパネルで用語や技法の解説も。

 

ものすごく小さな世界を出て、美術館外の広い世界へもどる。

数時間の別世界への旅行のようでした。

 

有名作家の絵があるわけではないけれど、

写本好きな人にはどうにも堪らない展覧会です。

ぜひお出かけください。

 

内藤コレクション展「ゴシック写本の小宇宙

国立西洋美術館 ~2020年1月26日(日)