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日本唯一のボッティチェッリ 12月08日

 

今月1日から丸紅ギャラリーで開催中の

「美しきシモネッタ」展へ行きました。

皇居のお堀端にある丸紅ビルに

今年完成したギャラリーだそうで、

まさにこの一枚の作品のために作られたようなギャラリーでした。

 

▲ビル入口で迎えてくれたシモネッタ

 

整理券配布と聞いて並ぶ覚悟でしたが

すぐ入場でゆっくり見られました。

 

日本で所蔵される唯一のボッティチェッリ作品とのこと。

最初の印象は「思ったより大きい!」でした。

(作品サイズ:650×440mm)

彫刻と金のかなり力強い額縁に納まっていたのも

印象を強めていたかもしれません。

丁寧に描きこまれた部分―—顔やペンダント、

レースなど―—と、あっさりとした部分

(背中側の衣装や髪)とのコントラストが

一見未完成かと思わせつつも、その落差(?)で

描きこまれた部分の美しさが引き立っているようでした。

 

そして背景の窓の向こうの空の美しさたるや。

以前読んだ本で、レオナルド・ダ・ヴィンチは

「ボッティチェッリの背景は単純で趣も無くて

つまらない」と言っていた・・・と読んだ記憶がありますが、

わたしは昔からボッティチェッリの描く背景の風景画が好きです。

透明で透き通って、強い風が止まった、その瞬間のよう。

薄そうな空気感。

意味づけも無くスッキリとして、前景を引き立てます。

つまらない風景なのでは無い、

そういう風に描いたのよ!と擁護したくなる。

このシモネッタの背後の空もまた、雲さえ無いのだけれど

ただ青空があるだけでは無くて、

ほんの少し茜色に染まりつつある空なのです。

この何とも言えない陰影と趣きは、いつまででも

見ていたい気持ちにさせられるのでした。

 


▲丸紅サイトからお借りしました。

実物の色はこんなものじゃない、際立つ美しさ。

 

実は大学1年の頃、まだ一般公開されていない頃に

お世話になっていた先生のコネクションで当時社長室

(会議室だったか応接室だったか)にあった

この「美しきシモネッタ」を見る機会がありました。

その時は「わぁキレイ」という

子供っぽい単純な感想しか無かった記憶でした。

その後、テンペラ同好会に入り卵黄テンペラ画模写を経験し

ルネッサンス美術に興味が深まり、

卒業制作ではテンペラ画模写研究をし、

その後フィレンツェに留学して・・・

大学1年生の頃とはずいぶんと違う気持ちで

「シモネッタと再会」できたようです。

 


▲新聞広告、チラシ、チケット。

なぜカラーにしなかったんだろう?

 

ボッティチェッリが生涯を暮らした

フィレンツェの、ウフィッツィ美術館にある

彼の名画に比べれば小品だけれど、

この作品が日本にあって、見ることができて幸せだなと思います。

新年1月31日まで公開とのこと、

ぜひぜひお出かけくださいませ。お勧めです。

 

丸紅ギャラリー

「美しきシモネッタ」 2023年1月31日まで

*チケットは現金では購入できませんでした。

クレジットカード、または交通系ICカードがあると便利です。