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やるぞエミリア、血と汗だけど涙はない。 7月20日

 

しばらく休んでいた額縁摸刻ですが

ここ数日に集中して自宅で作業し

彫刻はどうにかこうにか終わりが見えました。

イタリアのエミリア地方で17世紀に作られた額縁のレプリカです。

 

▲サイズはB5くらいで、結構小さい・・・けれど。

 

上の写真がモノクロなのは半分カッコ付けていますが

もう半分はカラー自粛であります。

というのも、白木に赤い血の跡が点々とあるのです。

 

彫刻刀で小さな切り傷を作ってしまっても

ティッシュでチャッと拭いてそのまま作業をするのですが

当然止血はしておりませんから

気づくと赤い染みが付いていたりして。

この灼熱地獄、プレハブの作業部屋はエアコンを

25度設定にしても室温33度なので

(フィルター掃除はしているのですよ)

この額縁は正に「血と汗の結晶」なのです!

・・・おおげさ。涙はない。

 

 

この額縁、ローマで知り合ったアンティーク額縁商の

カントさんが書かれた本に載っていて

実物もカントさんがお持ちでした。(今は売却済みとか。)

彫り進めるにつれ、正面だけではない情報が欲しくなり

カントさんに泣きついて斜めからの写真を送って頂いたのでした。

 

▲カントさんの本を見ながら彫る。

 

分かったことは、予想外にとても薄い額縁だったこと。

わたしが準備した木地はとても厚くて

オリジナルの優雅さが出ない。

苦肉の策ですが、裏面の面取りを

かなり深く大きく削ることにしました。

結果、「いつわりの薄さ」ですけれど

表から見るとずいぶんと「薄く見える」ようになりました。

わたしの身体中のお肉も面取りして

「薄く見える」ようになりたい・・・。

 

▲額縁裏側。木地は一枚の厚い板を切り出しています。

 

ちなみに今になって面取りし忘れた部分が

あることに気づきました。

上部のダイヤ型の穴、ここも削らなくては。

まぁ続きは明日にでも。

この後は、下ニカワ(兎ニカワ1:水10のニカワ液)を塗り

ボローニャ石膏液を塗り乾かし

恐怖の石膏磨き・・・と続きます。

 

このエミリア額縁は自分のための制作です。

仕事の合間やアトリエLAPISの時間にガサゴソ作っております。

実は完成の締め切りが出来ましたので

若干慌てておりますが、とにかく慌てず焦らず進めます!