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ギルさま 9月25日

 

ルネッサンス期にフィレンツェを中心に

活躍した画家、ドメニコ・ギルランダイオの作品

「ジョヴァンナ・トルナブオーニの肖像」の

テンペラ画模写をはじめました。

オリジナル作品は腰から上の姿ですが

わたしは顔だけアップで。

 

▲完成までの道のりはまだまだ長い。

 

ギルランダイオの作品は、フィレンツェの教会や美術館で

またローマのヴァチカン美術館でも

観ることができますが、

いわゆる「すごい人気作家」ではありません。

 

今回模写に使っている画集はフィレンツェの

美術専門古書店で2018年に買いました。

その滞在時、他の古書店でギルランダイオの

画集が見つからなかったのですが

この店主いわく「そうね、ギルランダイオって

そんなに有名じゃないから。」と。

 

わたしがええっと言うと、申し訳なさそうに

「ほら、ボッティチェリやダ・ヴィンチのように

人気がある訳ではないでしょ。」と言いつつ

この本を探し出してくれたのでした。

 

言われてみればそうかも。

かの有名なヴァザーリ著「芸術家列伝」にも

書かれていません。

ギルランダイオの作品を見ていて感じるのは

穏やかだけどきちんとしている。

レオナルド・ダ・ヴィンチのような深遠さや謎、

ボッティチェリのような陰りのある優美さ、

フラ・アンジェリコのような静謐な明るさ・・・といった

「大きな特徴」は少ないかもしれません。

 

だけど、美しく正確に並んだ筆跡

(クリヴェッリのような神経質な硬さは無くて)

モデルとなった老若男女誰にでも

同じ穏やかな眼差しを向けている、

と言った雰囲気です。

 

変な言い方ですが「きちんとした大人」な

人柄だったのではないかと想像できるような。

絵から不機嫌さ、憂鬱さを感じさせないというか。

穏やかで真摯な人柄、でもそこはかとなく

「俺もやってやるぞ」「俺だってすごいんだぜ」感も

きちんと出ている。

・・・わたしの語彙力が足りなくてうまく説明できない。

 

▲ギルランダイオの自信溢れる自画像。46歳で亡くなっている。

 

好きな画家をつい「フラちゃん(フラ・アンジェリコ)」

「ボッちゃん(ボッティチェリ)」などと

親しみを込めて呼んでしまうのですが、

ギルランダイオの画集を見れば見るほど

「ギルちゃん」ではなくて「ギル様」になってきました。

 

▲髪は難敵・・・つづきは明日。

 

いま模写している原画はマドリードにあるので

実物を見るのは難しいけれど、

またフィレンツェに行ったときには

サンタ・マリア・ノヴェッラ教会で

彼のフレスコ画を見て、

墓所にご挨拶しようと思います。