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縮んだ彫刻刀から考える未来 4月24日

 

わたしが愛用している彫刻刀は

イタリア留学時代に購入したスイス製の物です。

学校の彫刻授業の貸し出しも、プロの彫刻師も

ほとんどのシーンでこのメーカーの彫刻刀が使われていました。

市が尾の古典技法アトリエ Atelier LAPIS でも

筒井先生がシリーズを揃えて下さっており、

生徒さんが日々彫刻に励んでいます。

先日、わたしの彫刻刀とアトリエの彫刻刀を

何気なく並べてみたら、ずいぶんと違うのでした。

柄の長さ、刃の長さがアトリエのものは短い。

見た目は小さな違いですが、使い勝手は大きく違います。

木製の柄は、わたしの物は塗装されているようですが

アトリエの物は無塗装(恐らく)でザラリとした手触り。

ロゴの入れ方も変わったように感じます。

わたしの彫刻刀は、かれこれ20年前(!)に

購入したものですが、アトリエの彫刻刀はそれ以降。

経費削減が図られた結果の変化、なのでしょうか。

単にシリーズの違いによるサイズ変化なら良いのですが。

(わたしの彫刻刀はばら売り、アトリエのはまとめて

購入した箱入りシリーズなのです。)

 

新しく開発される材料--発色の良い絵具や環境に配慮された

塗料、接着剤--は日進月歩で素晴らしい反面、

道具や古典手技法の材料は「昔より今が良い」は

残念ながら耳にすることがあまり無いようです。

ヨーロッパではボーロやニカワ、日本では胡粉も

昔のように良い物を手に入れることが難しくなってきている・・・

メノウ棒の品質も変化しているような気がします。

50年後には、いったいどうなっているのだろう?

2本の彫刻刀を眺めながら、複雑な気持ちの午後でした。