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勝利は目前 2月10日

 

古典技法制作の何が辛いって

石膏磨きなのであります。

 

ニカワを塗った木地に

液状のボローニャ石膏を塗り

乾いたところを磨くのです。

紙やすりでひたすらに磨く。

荒いやすりで形を整えて

細かいやすりで磨き痕を消す・・・

テンペラ支持体の平らな板や

シンプルな額縁ならまだしも

彫刻が全面に入った額縁なんてもう

気が遠くなりそうです。

 

この石膏磨き作業を左右するのが

石膏液の塗り方です。

均一な厚さで凹凸を少なく塗れば

それだけ磨き作業も減るのでございます!

フィレンツェの額縁師匠マッシモ曰く

「結局一番難しいのは石膏塗りだよ」

でした。さもありなん・・・。

海外ではスプレーで吹き付けるような

大きな工房もあるようで

上手にできればこのスプレー方式が

一番効率が良さそうです。

とは言え設備や場所が必要ですから

わたしには縁遠い方法です。

 

そんな訳で、わたしは石膏塗りに

命を懸けております。大袈裟ですが。

それくらい石膏磨きをしたくない。

筆選びから始まって、石膏とニカワの

割合、濃度、温度、室温

いかなる筆さばきで塗るか etc・・・

 

▲塗り終わりがいかにツルンとしているか、

表面張力を味方につけるのがカギ。

 

すべて自分の感覚で「こんな感じ」

なので説明が難しいのですけれど、

ようやく最近になって「実験」が実を結び

今のところの最適な塗り加減

つまり、塗り終わって乾いたときに

凹凸や気泡が少なく磨く手間が減る塗り加減

というものが見えてきました。

平面と角以外は磨く必要が無い、と言うような。

 

最初は「いかに磨き作業をしないで済ませるか」

という怠け心から始まった探求ですが

今となってみると、ツルンと塗り上げて

紙やすりで磨かない石膏地の方が

箔を貼り磨き仕上がった時に

「品がある柔らかさ」が表現出来るようです。

もちろん、シャープでビシリとした

仕上がりを求める場合は別です。

 

ボローニャ石膏との闘いに勝利目前です。

ワハハ!しめしめ・・・してやったり。

 

闘っているのは一方的にわたしなのです。

石膏からは白い目で見られているような。

でももうわたしは闘いの気分そのもの。

 

最適を探す実験はまだ続きます。