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無精製綿で押さえる 3月23日

 

古典技法の箔の貼り方はいくつかありますが

代表的なのが水押しです。

石膏地にニカワで溶いたボーロを塗り

その上に水を塗って箔を乗せる・・・というような方法です。

 

水の表面張力で箔を乗せ 水が引いた頃合いをみて

綿で箔をしっかり押さえる必要があります。

空気を抜きシワをつぶし ボーロと箔を密着させるのですが

その時に使うのは 薬局で売っている綿

(カットメンあるいは清浄綿などの商品名)を使います。

 

この綿は化粧用のコットンと違い その都度必要な大きさを

ちぎることができ 高価ではありませんから心配せず使えます。

でも本当は・・・精製されていない綿が良いとされています。

2015-02-23 11.36.24

上の写真は無精製の綿 綿花から摘んでそのままのものです。

片手にふわりと乗る程度の量で綿花1~2つ分。

色は精製綿のように真っ白ではなく ベージュがかっています。

すこしだけ綿花の殻の欠片も雑じっていますが問題ありません。

 

水押しの箔置きで なぜ精製綿より無精製綿が良いか?

それは無精製綿なら油分が水を弾いてくれるから。

箔の下にまだ残っている水分を綿が吸ってしまう心配が減ります。

ご存知のように 箔の上に水や膠液が付くと色が変わってしまいます。

これを極力防ぐためには 油分の残っている無精製綿が良いのです。

 

以前見学させて頂いた老舗の工房では 古い布団を分解して

これまた古い布団綿を使っていました。

昔の布団には無精製の綿が使われていたのだそうです。

現在はこうした綿を手に入れるのも難しくなりました。

生花店でたまに綿花を売っていますので

それで精製綿と無精製綿の違いを試してみるのも良いでしょう。