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祭壇型額縁を作る4 麻布貼りと下ニカワ塗り 12月03日

 

彫刻作業を終え、完成した装飾竿の

egg&dart も本体に取り付けました。

今日はボローニャ石膏を塗る

準備をいたします。

木地に「下ニカワ」といって目止めの

兎ニカワを塗りますが

今回は並行して亀裂防止の麻布も貼ります。

 

この祭壇型額縁の木地は、横から見ると

何層も木材を重ねて土台、柱、装飾を作ってあります。


このまま石膏を塗るとおそらく

木材の境目に亀裂が入ることでしょう。

それを少しでも少なくするために

石膏の前に粗い麻布を兎ニカワで貼ります。

木材が湿度で動いても、石膏に出る影響が

最小限になるように。

たった一枚の麻布、でも威力は絶大です。

 

この麻布ですが、織り目に沿って

切ることが大切です。

貼り込むときも、できるだけ目を整えて。

「なんたる面倒!」ではありますが

そうすることによって麻布の力は

最大限に発揮されるのだそうです。

今回のような下地につかう麻布も

絵画修復で補強に足す麻布も

かならず織り目に沿って切る。

先人の教えに忠実に行きます。

 

 

祭壇型額縁を作る3 渦巻きを彫る 11月19日

 

今日からいよいよ本体を手がけます。

イオニア風の柱、上部の渦巻きを彫りましょう。

トレーシングペーパーで作った下描きを

カーボン紙で写します。いつも通りです。

 

彫り彫り。

となりにモデルの写真を置いて確認します。


もう少し垂直方向に深いですね。

さらに彫りすすめます。

 

さてと。

左右がおおよそ彫れてきたところで

同じ深さ、バランスになっているか確認します。

 

egg&dart も仮留めして見てみます。

ふむ。


もう少し細かい調整が必要ですが、

ひとまず木地はかたちになりました。

 

わたしは木彫を留学時に学びましたので

今も留学当時に買った彫刻刀を使っておりまして、

21本のpfeil社製彫刻刀と

日本の彫刻刀3本でやりくりしています。

でもこれは決して多くない本数です。

道具があれば良いという訳ではないけれど

もっと様々なカーブの彫刻刀があれば!

と思うこともしばしばです。

今後すこしずつ買い足していきたいと思っています。

 

 

祭壇型額縁を作る2 egg&dart 彫刻 11月08日

 

下描きをした半カマボコ形の竿を

egg&dart のデザインで彫りましょう。

 

私が使っている彫刻刀はスイスのpfeil社のものです。

ステンレスの長い刃に木製の柄で、鑿(のみ)

のように木槌で打つことができます。

デザインのカーブに合った刀で溝を打ち、

そして彫り進めていきます。

頭の中に、正面や斜め、真横など様々な角度の

3Dで完成したイメージをインプットしておき、

それに近づけて削ぎ取っていく、という感じです。

 

上下と両脇、あわせて6面分の egg&dart

彫り終えてペーパーをかけました。

 

全く縁遠いような話ですけれど、

木彫が好きな人は車の運転が好きなのではないかな、

首都高の合流や車線変更も苦にならない

と感じる人が多いのではないかなぁ・・・。

わたしが木彫好きのドライブ好きだからって

こじつけている訳ではないのですけれど、

なんとなく、そう思っています。

 

 

祭壇型額縁を作る1 egg&dart 下描き 10月25日

 

今回の祭壇型額縁は、上部と下部の2か所に

帯状に彫刻装飾が入ります。

まずはこの彫刻から作業開始です。

 

デザインは egg&dart という古典的なもの。

まるい卵と尖った矢が交互に並ぶデザインです。


「CARVING ARCHITECTURAL DETAIL IN WOOD」より

 

いにしえのギリシャ神殿にも使われているような

いわばオーソドックスなデザインですが

それだけにバリエーションも沢山あります。

 

今回の egg&dart は2cm幅の半カマボコ形の竿に

入れますので比較的小さくシンプルです。

竿に下描きをしますが、この方法はそれぞれ。

コンパスで目安を手早く入れるだけの人もいれば、

金属板で型をつくる方法も本に紹介されています。

「CARVING ARCHITECTURAL DETAIL IN WOOD」より

 

わたしはというと、定規で目安を入れたあと

トレーシングペーパーで下描きをつくって

カーボン紙で転写する、という

面倒かつ無駄の多い(と思われる)方法です。

結局のところ、慣れて好きな方法が安心。

・・・というだけのことなのです。

 

なにはともあれ次、彫刻刀で彫ります。

 

 

祭壇型額縁を作る プロローグ 10月11日

 

額縁のながい歴史の中で、祭壇型の額縁は

比較的はじめの頃に登場した形ですが、

その特徴的なスタイルと雰囲気から

現在でも欲しいと思われる方がいらっしゃいます。

でも、日本で制作する工房はあまりないようです。

その理由はさまざま推測しますが、ひとつに

木地作りのむずかしさがあるように思っています。

 

そんな祭壇型額縁をKANESEIで制作しています。

電卓片手に四苦八苦、ようやく設計図をおこし、

そして注文して作って頂いた木地がいよいよ届きました。

木地は茨城にある千洲額縁さんにお願いしました。

ミリ単位の調整、細かいお願いを誠実に

聞いて下さるとても頼りになる工房です。


千洲額縁さんのブログに、おととしお願いした祭壇型額縁の

木地製作の様子(今回の木地ではありません)が

すこし紹介されていますので、ぜひご覧ください。

千洲額縁さんブログ2016.10.27

 

お客様からのご注文は、下の写真の額縁を再現すること。

この額縁は、ニューヨークにある有名な工房で

作られたものであろう、とのお話です。

(絵画作品は隠しました。お見苦しくてすみません。)

 

この祭壇型額縁制作は千洲額縁さんの木地が50%

続くKANESEIでの彫刻と装飾が50%という感じで

わたし一人では到底作ることができないもの。

木地完成の時点で半分完成したも同然・・・

の感がありますけれども、

今回のKANESEIでの作業過程をすこしずつ

このdiarioでご紹介しようと思っています。

ご興味を持ってくださる方がいらっしゃると

嬉しいのですが。

 

それでは、始まり始まり。

どうぞ気長におつきあいくださいませ。