diario
ふたご。 2月15日
2016年に作った帆立貝のタベルナーコロは
Atelier LAPIS の筒井先生と生徒さんが
キットで販売して下さったものを制作しました。
その後、お客様からのご注文も頂いて
先日またひとつ完成しました。
古色考察のさいにもご覧に入れた額縁、
左が新しいもの、右が2016年のものです。
ふたご。
最近の熱中案件「古色付け」は
以前のものより磨り出しや打ち傷作りは
控えめにして、汚しも減らしました。
ワックスもすこし変えました。
メディチ家はまだまだ遠いけれど・・・
グレーのベールがかかったような金箔
すこし近づけたような。
いかがでしょうか。
▲こちら、新作でございます。
▲この2016年の仕上がりの方が好きとの意見が多い・・・
とにもかくにも、
この額縁、何度つくってもたのしいです。
先日ひとつご注文いただきましたので
また楽しく制作しております。むふふ。
古色はお客様のお好みで決める予定です。
帆立貝のタベルナーコロ その8 5月16日
迷った磨り出しに見切りをつけて
グラッフィートを保護するためにニスを塗りました。
そして最後の工程、ワックスのアンティーク仕上げです。
フィレンツェの額縁師匠、マッシモ氏から教わったレシピの
茶色のワックスを塗り、ニセモノホコリ(灰色の粉)をはたきます。
凹の奥までワックスを入れて粉をはたかねばなりません。
(凹部分にもきちんと金が入っていることが前提)
汚れは凹に溜まりますから、その再現です。
塗ってはたいて磨いて、繰り返すこと何回か。
徐々に好みの「汚れ」が出来てきます。
そして完成です。
1500年代イタリアで作られた額縁・・・に近づけたでしょうか。
ロンドンにあるオリジナルの額縁のような
虫食い穴も留め切れも作りませんでしたし
オリジナルの金はもっと擦れ輝きは低くなっています。
そして汚れはここまでコッテリしていません。
わたしのタベルナーコロは・・・これで良いでしょう。
右側面には差し込み蓋の入れ口。
左側面。
裏面にはステインで着色してワックスを塗りました。
そして吊金具は昨年つくってもらったものを。
銅の吊金具を真鍮のネジで留めました。
下の写真、オリジナルの吊金具は差し込み式でした。
はっ 彫刻部分の裏面、丁寧に面取りされている・・・
いま気づきました。後の祭り(3回目)
なるほどなるほど。反省多々、収穫もまた多々。
とても良い練習と勉強になった制作でした。
百聞は一見にしかず、一経験にしかず?でございます。
お恥ずかしい部分もそのままご覧頂きましたが
これにて「帆立貝のタベルナーコロ」制作報告終了です。
ながらくお付き合い下さりありがとうございました。
いつかロンドンのV&A美術館で
オリジナル額縁の実物を観たいものです。
いや、観るのが怖いかな・・・
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この「帆立貝のタベルナーコロ」額縁の木地キットを
現在 Atelier LAPIS で販売予約受付中です。
ご自分での制作にご興味のある方、ぜひどうぞ。
予約受付は5月いっぱいの予定です。
詳しくは下記のリンクから Atelier LAPIS のサイトをご覧ください。
KANESEIではこちらのキットを使って制作しました
完成品のご予約もお受けいたします。
また額縁に納める黄金背景テンペラ画模写も制作いたします。
こちらも5月いっぱいの受注です。
下記のリンクをご覧のうえ、ページ上部右の「ccontact」からご連絡くださいませ。
帆立貝のタベルナーコロ その7 5月05日
またまた久しぶりになってしまった
帆立貝タベルナーコロの制作報告です。
そろそろ完成も間近です。
装飾模様を入れ終わり、箔も磨き終わりました。
グラッフィートを保護するためのニスも塗りました。
これで完成、とすることもできます。
この額縁が制作された当時、おそらく完成図は
こんな様子だったのではないでしょうか。
いつも思うことですが、ルネッサンス当時に
すこし時代を経た古びた感じの額縁を好んだ人がいたのか、
それとも磨き上げた金の荘厳な輝きこそ至上だったのか。
アンティーク仕上げ、していたのでしょうか。
長年の疑問なのです。
さて、わたしは古びたものが大好き、ですので
この額縁もあえて金の輝きを押さえて時代を感じさせる仕上げにします。
でもグラッフィート部分の磨り出しはしませんでした。
オリジナルはずいぶんと擦れているのですけれども。
箔の部分を叩いて傷をつけて、石膏を割って木地を出したり。
上の写真では、あまり磨り出しの結果が見えませんが
角度と場所を変えると凸や角部分にボーロの色がすこし見えています。
もう少し磨ってみようか、どうしようか・・・
迷いつつ今日の作業はここまで。
次は磨り出しに決着をつけて、ワックスで汚しを付けます。
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この「帆立貝のタベルナーコロ」額縁の木地キットを
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また額縁に納める黄金背景テンペラ画模写も制作いたします。
こちらも5月いっぱいの受注です。
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帆立貝のタベルナーコロ その6 4月18日
金ぴかになったタベルナーコロの
脱お仏壇風、めざせルネッサンス。
グラッフィートで装飾模様を入れます。
グラッフィートとは磨いた箔地の上に
卵黄テンペラで色を乗せ、乾いた絵具層を削って
下の金箔地を覗かせて作る装飾です。
全面に箔を置く必要がある贅沢な技法です。
上の写真はオリジナル、上下帯状の装飾文様を入れます。
本によるとオリジナルの色はアズライトとチャコールの混色。
製作当時はもっと明るい青だったとか。ふむ・・・。
今回はアンティーク仕上げにする予定なので、
グラッフィートの色も現状を見本に作ることにします。
ほとんど黒の様な濃紺です。ムラが極力少ないように塗ります。
そして模様を転写して削ります。
が・・・嫌な予感的中。削りが上手くいきません。
原因は分かっています。やっぱりね、という感想。
後悔先に立たず、後の祭り。(またもや!)
これも経験、勉強です。もう同じ誤りは繰り返すまい!
気を取り直して修正。 削り終わりました。
装飾模様はもうひとつあります。
下の植物彫刻の中央にある楯状の部分です。
どんな模様が入っていたのか、擦り切れてもはや分かりません。
おそらく家紋、紋章、そんな感じです。
ここはもう創作して、自分のイニシャルモノグラムを入れることにました。
おこがましいようですが、小さな自己主張です・・・。
ひとまず装飾模様入れが終わりました。
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帆立貝のタベルナーコロ その5 4月11日
しばらくぶりの帆立貝報告です。
古典技法額縁制作のメインイベント(?)である
純金箔の水押しです。
今回はいつものように4号箔を使いました。
オリジナルはもっと赤味のある黄金色。
3号箔でも良かったかもしれません。
さてさて、箔を置きメノウ磨きを終えた額縁は
ぴっかぴか。
お仏壇やお寺の伽藍を彷彿とさせます。
彫刻の凹凸、奥まで輝かせるために
今回は金粉も少々使いました。
蛍光灯の下で観る純金箔の輝きはかなりの迫力です。
この額縁のオリジナルが作られたのは1500年代イタリア。
当時は蝋燭や松明の「炎」の揺らめきで観ていたはずです。
蛍光灯のような青白く広範囲を明るく照らす光では
彫刻を施し、純金箔を磨き上げた額縁の
本当の美しさは表現できないな、と
この写真を眺めてつくづく思ったところです。
完成した暁には、ぜひ燭台の横に置いてみよう。
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こちらも5月いっぱいの受注です。
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帆立貝のタベルナーコロ 番外お知らせ 4月07日
制作過程をご紹介しております
帆立貝のタベルナーコロ額縁ですが、
この度、Atelier LAPIS では木地キットを
予約受注製作することになりました。
木地サイズ:H280×w175×D50 (mm)
入る作品のサイズ:H112×W85×D5 (mm)
上の写真の右が木地、左はオリジナルの額縁です。
「ITALIAN RENAISSANCE FRAMES AT THE V&A A TECHINICAL STUDY」
1500年代にイタリアで作られた額縁を元にしています。
このキットを使って模刻することも、
ご自分でデザインした額縁を作ることも可能です。
ご注文の受付は5月末まで、商品のお届けは2016年10月以降の予定です。
価格はひとつ¥11.880
ご希望の方は下記のリンクからご注文下さいませ。
Atelier LAPISのブログ:タベルナクル型額縁のキット
KANESEIではこちらのキットを使って制作しました
完成品のご予約もお受けいたします。
額縁デザインは上記の写真と同じもので、手彫り、
純金箔を使った古典技法で制作いたします。
こちらも5月いっぱいの受注です。
完成品のお届けは来年2017年以降を予定いたしております。
また額縁に納めるテンペラ画模写も同時に受注制作いたします。
フラ・アンジェリコ、リッピ、ギルランダイオ、
あるいはクリヴェッリやゴッツォリ等、ご相談ください。
本格的な祭壇画が完成します。
ページ上部右の「ccontact」からご連絡くださいませ。
帆立貝のタベルナーコロ その4 3月31日
ボローニャ石膏を塗り終え、軽く磨いたあとは
金箔の下地、ボーロを塗ります。
ちなみにわたしが大学で初めて習ったとき
ボーロのことは「箔下とのこ」と教わりました。
いまこの言葉を言っても「何?なぜとのこ??」
と言われることが多いように思います・・・。
ボーロ(bolo)はイタリア語です。
さて、オリジナルのボーロについて本には
「The gold is applied over a red/orange bole…」とあります。
赤ボーロと黄色ボーロをまぜて準備することにします。
ねりねり。
ニカワ液で溶く前にしっかり赤と黄色を混ぜます。
濃いオレンジ色になったかな。
今回は魚ニカワで溶きました。
本にはボーロのニカワの種類までは書いていなかった(と思う)ので、
イタリアで一般的な魚膠溶きのボーロです。
思っていたより赤が強い色になりましたが
本の写真と見比べても近い色に仕上がったと思います。
黄色ボーロが多すぎると箔の密着や磨いた時の輝きが
赤単品より劣るような気がしますので
これ以上黄色は入れたくない・・・
ボーロが乾いたら箔を置きます。
帆立貝のタベルナーコロ その3 3月28日
ガサゴソと彫り進め、パテで修正して・・・
気になる部分はあるものの、ひとまず。
彫刻作業は終わりにしましょう。
さて次の作業は下ニカワと石膏塗りです。
この額縁はこんな風に分解されます。
そして石膏の塗り終わり。
彫刻が埋まってモッタリしないよう慎重に塗りました。
白で統一されて、頭の中にも完成予想図が見えてきました。
横からみるとこんな風に隙間が作ってあります。
オリジナルは恐らく差し込み蓋をいれるためですが
わたしはアクリルガラスを入れるか蓋を作るか迷い中。
つぎの作業は、軽く磨いてからボーロ、
そしていよいよ金箔です。
帆立貝のタベルナーコロ その2 3月17日
月曜日に引き続き。
制作中の帆立貝タベルナーコロは
まだ部分的に掘り下げたい場所、仕上げもありますが
彫刻も大詰めになって来ました。
こうして並べてみて、???
何か違うんじゃない?
・・・そうです。
くるり渦巻き部分、上下とも間違い。
そして中央の「egg-and-dart」(卵と矢のモチーフ)が
6つはいるべきところに5つだけ。数が少ないのでした。
フンギャアア・・・後の祭り。
開き直って制作を続けます。
帆立貝のタベルナーコロ その1 3月14日
タイトルが「帆立貝を食べるな!こら!」みたいですね。
タベルナーコロとはイタリア語 tabernacolo で、
祭壇型額縁、また壁龕(へきがん)を指す言葉です。
今、帆立貝モチーフの飾りの付いた祭壇型額縁を作っています。
制作の記録として、こちらでご紹介させて頂きます。
15世紀にイタリア・トスカーナ州で作られた額縁の模刻です。
オリジナルの額縁は以前ご紹介しましたイギリスの本
「ITALIAN RENAISSANCE FRAMES AT THE V&A A TECHINICAL STUDY」
に載っているもので、縦29センチ横17センチほどの小さな額縁です。
下の写真、左は本の写真で右が額縁木地。
Atelier LAPIS の生徒さんが、希望者にキットとして手作りで
木地を作って下さったのです。大変なお手間だったことでしょう。
SHIさん、ありがとうございました。
彫刻をほどこす部分にはアユースが使われています。
本にはオリジナル額縁の詳細なサイズが載っておりますので
木地も実寸で作られています。
横から見るとこんな形。
なかなかハードルの高い制作ですが、取り掛かりましょう。
まずは彫刻部分のデザインを起こします。
サイズは画集写真から割り出しています。
そして糸ノコで慎重に切ります。
入り組んだ形を切るのは難しい・・・
ひとまず彫刻の準備は整いました。
制作過程はまた追ってご報告いたします。