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100年前に作られた額縁修復 5月14日

 

先日 Tokyo Conservation でお受けした額縁の修復が

ようやく終わりました。

明治から今も続く老舗店製作の額縁で

この額縁に納められている作品もまた大正の巨匠の傑作です。

おそらくこの額縁も大正初期に作られたと思われます。

こうした歴史的にも芸術的にも貴重な作品と額縁を

間近で見ることができるのは 修復に携わる者の

特権と言えますが また反対に大きな責任でもあります。

 

さてこの額縁ですが・・・実は少し不思議な額縁でした。

一般的に日本の古い額縁によく見られる構造は

木地に胡粉による下地が塗られているのですが

この額縁は木地に繊維状の物(紙?)が張り重ねてあり

まるで張り子のようになっています。

経年劣化で木地と繊維状物質の間に浮き上がりが出来てしまい

簡単に破れて穴が開きそうな不安定な状態。

今のうちに補強・接着しておかなければなりません。

なかなか難しい修復でした。

写真2枚は木地と繊維状物質が浮いて破れてしまった部分。

上写真の白い部分が充填中 下が補彩後です。