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その世界を完成させるために 12月07日

 

油絵でも版画でも写真でも・・・

作家が自分の作品を納め保存・鑑賞するために

額縁を自作することがあります。

自分でイメージ通りの額縁を作ることが出来れば

その世界観を完成させるのに一番近い方法です。

 

以前 箱根にあるポーラ美術館を訪ねた時に

藤田嗣治の「姉妹」という作品を観ることが出来ました。

この絵には藤田自作の額縁が付けられています。

読んだ本によると 先に額縁を作り後から絵が描かれたとのこと。

「姉妹」の絵がこの額縁からインスピレーションを受けて

描かれたかは解りませんが とにかく額縁と作品の一体感が

完璧に感じられ 圧倒されたことを思い出します。

額縁を作るわたしにとって あの完成された世界は

嫉妬の対象にさえならないような別世界でした。

 

 でも・・・作家本人ではなく他人である額縁職人が作ることによって

違う感覚で新しく提案できる額縁があるのでは・・・?

自問しつつ今日も額縁を作ります。

foujita

データ : 「藤田嗣治 手しごとの家」

       著者 林 洋子 

       (株)集英社 集英社新書ヴィジュアル版

       2009年11月22日 第1刷発行