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私のフィレンツェ 12月30日

 

読み終えても またすぐ最初から読み返したくなって

心の奥深くに印象が残るような わたしが感じたことを

その作家と話したいと思うような本に出会う機会は

あまりありませんでした。

でもこの「私のフィレンツェ」は間違いなく

これから先も繰り返し読むことになる本です。

著者の松永伍一氏は詩人であり 文章の美しさは

読んでいて清々しい気持ちになります。

この本は著者が一人でイタリア(主にフィレンツェ)を

旅した時に日本へ書き送った私信を編纂したものです。

美術館で鑑賞した作品の感想 街を歩いた印象から

まつわることに関しての著者の深い考えなどが書かれている

旅行記とも言える本です。

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フィレンツェでの松永伍一氏は旅人として 私は長期滞在者として

街に対して得た最終的な印象は違うとしても

フィレンツェに対する愛情は同じなのかもしれません。

美しい言葉で綴られる情景描写を読むと

少々感傷的な気分になりつつ 記憶が10年前へ

あっという間にさかのぼるようです。

(感想をお伝えすることがいかに難しいことか!)

わたしが長々とお話するより 

フィレンツェにご興味のある方に

ぜひ一度読んでいただきたいとお勧めします。

 

残念ながら 著者の松永伍一氏は昨年2008年3月に

お亡くなりになりました。

この本に出会うのがもっと早ければと悔やまれます。

わたしもまたいつか 一人でフィレンツェを旅する機会があれば

この本を片手に著者の足跡を辿りつつ その考えを

「その場で」感じてみたいと思っています。

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データ : 「私のフィレンツェ」

      著者 松永伍一

      株式会社 講談社

      昭和52年3月15日 第1刷発行